if物語 藍染に成り代わった男   作:フ瑠ラン

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「Question Question 何も」が「Question Question LadyGO」に聞こえる自分の耳は相当イカれている様子。
因みにこの一行でどのアニメのどの歌か分かった人は今すぐ感想欄に行って答えを書き込むのだ!!
因みにヒントは『○○○○』である。

答えはCMの後で!!


空座町を滅す

捕まっていた織姫をようやく取り戻せた、そう、安心していた。近くには一護が、剣八が居る。戦力になるかどうかは分からないがやちるだっていた。敵のノイトラは剣八が倒し安心しきっていた。

 

でも、その安心が、命取りだった――。

 

目の前で消えた織姫を見て一護、剣八は目を見開いた。

 

 

「…消え……た…」

 

 

 

▼▲▼▲▼

 

「おかえりなさい」

 

 

織姫にそう告げるのは敵の総大将、皇。皇の後ろには乾と東仙が立っていた。目を見開いて動かない織姫に皇は近づいて行く。

 

長い階段を下り、織姫の目の前に立つと優しそうな表情――いや、織姫にとっては不気味な笑顔で織姫の頬を触り言った。

 

 

「どうしたの。随分と辛そうな顔をしているわね。――笑いなさい」

 

 

織姫は怖かった。目の前で不気味に笑う彼女を見て恐怖していた。

 

 

「太陽が陰ると皆が悲しむのよ。貴女は笑って少しここで待ってるだけでいいの。ただ――」

 

 

トントンと長い階段を上り、振り返って織姫を見ながら言った。

 

 

「私達が空座町を()して来るまで」

 

 

 

 

▼▲▼▲▼

 

何故、私がここにいるんだろう、とかどうやってここに来たんだろう、とか黒崎君は剣八さんはやちるちゃんはネルちゃんはどうなったんだろう、とか沢山疑問が浮かんだけどそれを皇さんに告げる前に違う疑問を声に出した。

 

 

「空座町を……()す………?」

 

 

無理だと、思った。空座町には冬獅郎君や乱菊さん、それに市丸君だっているし、強いのかどうかは分からないけど藍染さんだっている。他にも浦原さんや夜一さん、出したらキリがない程に空座町には今、沢山の死神や強い人達が集まってる。

 

なのに呑気に階段を上っていく皇さんの後ろ姿を見て『不可能』だとは思ってないと感じた。

 

 

「ええ。空座町を()して王鍵を創生するの」

 

 

階段を上りきった場所には大きな切れ目が出来ていて、そこには空座町が見えた。皇は切れ目に飛び込む事はせず隣にいた乾の名を呼ぶ。

 

 

「へいへい、分かってるよ」

 

 

乾はそう言うとどこからか白く小さいものを取り出しそれを右手首に付ける。すると右手首の横に大きな二重の四角が出てきた。

 

 

「縛道の七十七 天挺空羅(てんていくうら)

 

 

乾がそう呟けば皇さんはニヤリと笑って一人喋り始めた。

 

 

「聞こえるかしら?侵入者諸君。ここまで十刃を陥落させた貴方達に敬意を表し先んじて伝えるわ。これより私達は現世へと侵攻を開始する。井上織姫は第五の塔に置いておくわ。助けたければ奪い返しに来て結構。だって彼女は最早、用済みだもの」

 

 

クスリと皇は笑うと言葉を続ける。

 

 

「彼女の能力は素晴らしいわ。“事象の拒絶”は人間に許された能力の領域を遥かに凌駕する力だもの。尸魂界上層部はその能力の重要性を理解していた。だからこそ彼女の拉致は尸魂界に危機感を抱かせ現世ではなく尸魂界の守りを堅めさせる手段たりえた。破面の戦闘準備が整っていると判明した以上、日番谷先遣隊は全名即時帰還し尸魂界の守護についてもらう。そして彼女の存在は尸魂界の新規戦力となるであろう。“死神代行”を“旅禍”を虚圏へとおびき寄せる“餌”となり、更にはそれに加勢した四人もの隊長をこの虚圏に幽閉(・・)する事にも成功した。十三人の隊長全てが主要戦力足り得る力を有しているという事だ。だが今はその中から二人が離反し一人死亡。そして四人が幽閉。尸魂界の戦力は文字通り半減したと言って良い。容易い。私達は空座町を()し去り王鍵を創生し尸魂界を攻め落とす。貴方達は全てが終わった後でゆっくりとお相手するわ」

 

 

皇はそう言うと切り目を通っていく。皇が切り目を通って行った先には護廷十三隊一番隊隊長 山本元柳斎重國が立っていた。

 

 

「…どうやら間に合ったようじゃの」

 

 

目の前に立つ元柳斎を冷たい瞳で見て皇は言った。

 

 

「――間に合った?一体何を以てその言葉を口にしているのかしら?そこ(・・)にあるのが空座町ではないことは解っているのよ。でも、それは何の妨げにもなりはしないわ」

 

 

皇はそう言うと一人一人誰かの名前を呟いた。

 

 

「スターク、バラガン、ハリベル。来なさい」

 

 

三つの黒腔(ガルガンタ)が出てくる。そこから出てきたのは面倒くさそうにアタマをかいている男スターク、顔中皺だらけの老人バラガン、褐色肌の金髪女性ハリベルだった。後ろには彼らの従属官と思われる人物もいる。

 

 

「空座町が尸魂界に有るのなら貴方達を殲滅し尸魂界で王鍵を創る。それだけのことよ。それまで虚夜宮(ラス・ノーチェス)は貴方に預けましょう、ウルキオラ」

 

 

 

▼▲▼▲▼

 

「ざっと見たところギンが居ないようね。彼は私に死ぬ程恨みを持っているでしょうに…意外だわ」

 

 

皇がそう言えば乱菊は目を細めた。

 

 

「貴女に関係は無い」

 

「まあ、それもそうね」

 

 

皇は嗤った。

 

「ちィ」と舌打ちをし、愚痴を溢す大前田。その愚痴を聞いた砕蜂は「恐ろしければ逃げても構わんぞ腰抜け」と伝える。

 

 

「ここは先ず頭を叩くのがスジですかいの」

 

「いや。皇の能力は特殊だ。集中して対処する為には周りを先に倒すべきだろう」

 

 

「誰が一番強いかな?十刃の中で」

 

「難しいな…。皇に訊いてみない事には……」

 

 

「問題は十刃との戦闘中に皇が手を出さない保証は無ぇ、って事だ」

 

「…ですね」

 

「で、市丸はどこに行った」

 

「さあ?どこでしょう」

 

「松本……っ!!」

 

 

一人、歩き出す。歩き出したのは総隊長、山本元柳斎重國だった。

 

 

「皆、退がっておれ」

 

 

元柳斎が持っていた杖が刀へと変わる。それを見た面々は大人しく後方へと退がった。

 

 

万象(ばんしょう)一切(いっさい)灰燼(かいじん)()せ『流刃若火(りゅうじんじゃっか)』」

 

 

山本元柳斎重國の周りに大量の炎が渦巻く。それを見た死神は慌ててふせる。

 

山本元柳斎重國が『流刃若火』を一振すれば炎が大きな壁となって皇達に立ち塞がる。山本元柳斎重國は『流刃若火』を鞘に戻りながら言った。

 

 

「“城郭炎上(じょうかくえんじょう)”これで暫くは皇達もこの炎の壁から出られまい。さて、ゆるりと潰して()こうかの」

 

 

一人、炎の壁を見つめながら呟く山本元柳斎重國を見て浮竹は冷や汗を出しながら言った。

 

 

「手荒いな…総隊長…」

 

「それだけ山じいもご機嫌ナナメってことじゃないの」

 

「――皇」

 

 

一人、殺意を込めた目で炎の壁を見つめる日番谷の瞳は、顔はとても真剣だった。

 

 

「うわあ、熱い。凄い無茶するなあ、山本の爺さん。どうするよ帝。これだったら俺ら戦いに参加出来ねぇけど」

 

 

乾が皇に問えば皇は焦ることなく淡々と言った。

 

 

「何も。ただこの戦いが、私達が手を下すまでもなく終わることになった、それだけよ」

 

 

 

▼▲▼▲▼

 

狛村が卍解し容赦なく敵を切り殺す所を遠目で見ていた大前田は「容赦ねえ〜〜〜……」と口をあんぐり開けながら言った。容赦なく敵を切り殺す狛村を見て「良いことだ」と頷く砕蜂を見て「(砕蜂(こいつ)のこの最悪な性格じゃ彼氏は出来ねぇだろうな)」と確信した大前田だった。

 

 

空座町(ほんもの)模造の町(レプリカ)もカンケーないのね…これで七番隊、今期赤字かしら」

 

「隊長なら隊の戦いで出た損害は自腹切ってでも隊には背負わせねぇさ。少なくとも狛村はそういう男だ」

 

 

少し論点のズレた乱菊の言ったことが聞こえた日番谷は乱菊にそう言うと乱菊はキラキラとした顔で振り向き言った。

 

 

「マジですか!?やった!じゃあお気軽に戦お――っと♪」

 

「お前は別だ。お前が壊した分は問答無用で給料から引くからな」

 

 

日番谷がそう乱菊に言えば乱菊は頬を大きく膨らませ「そりゃないですよ隊長〜」や「せめてあたしの自腹じゃなくてギンから引いて下さいよぉ〜」等と言い始める。

少し、ギンのことが可哀想に思えた日番谷だった。

 

 

「ぼくら間に合わなくて良かったですね…」

 

「…ああ…」

 

 

間に合っていたら逆に仲間に殺されそうになっていたイヅルと檜佐木は静かに身震いした。

 

簡単にやられた破面を見て他の破面達が動き出す。その姿を見た山本元柳斎が言った。

 

 

「全霊を賭してここで叩き潰せ!肉裂かれようと骨の一片まで鉄壁とせよ!!奴等に尸魂界の土を一歩たりとも踏ませてはならぬ」

 

 

山本元柳斎の命令を聞いて京楽が笠を深く被り少し怠そうに言った。

 

 

「…やれやれ肩が凝るねぇ。気合いの入った山じいと居るとこっちまでさ」

 

「そうだな。これが片付いたら久し振りに先生の肩でも揉んでやろうか」

 

「いやいや、凝ってるのはボクの肩だってば」

 

「何言ってるんだ。見たことないぞお前の肩が凝ってる所なんて」

 

 

そう言っている二人には油断は無い。

 

 

「大前田!」

 

 

久々の戦闘が怖いのか、死ぬのが嫌なのかブルブルと震えている大前田を見て砕蜂は言った。

 

 

「ガチガチだな。怖いか、久々の実戦が。情けなくて見るに堪えんな。いい機会だ。この際、適当なところで何かのついでに死ね」

 

「はあ!?」

 

 

砕蜂のそんな言葉が大前田の何かのスイッチを入れた。大前田は大量の汗を垂らしながら、硬い表情で砕蜂をおちょくる様に言う。

 

 

「ハハーン!何言ってんスか!怖くねえしガチガチでもねえし!!つーか絶対死なねえし!!」

 

「…そうか。じゃあ死ぬな」

 

「言われなくてもそうしますよォ!!」

 

 

珍しく隊長がデレた、そう思った大前田だった。

 

 

「…始まるぞ松本。本当に市丸の居場所知らねえんだな?」

 

「執拗いですよ隊長〜。知らないって言ってるじゃないですかぁ」

 

 

乱菊の瞳を見る。しかし、乱菊は本当に知らないのか、それとも言う気がないのかは分からない。それを見た日番谷は「そうか」と言うと乱菊に声をかける。

 

 

「行くぞ気を抜くな松本!」

 

「はい!」

 

 

 

▼▲▼▲▼

 

誰も居ない職員室。そこに二つの影があった。

 

 

「…どうやら戦いが始まったみたいだね」

 

「そやね。まだボクら行かんでええんですか?」

 

「そうだね。そろそろこの重い腰を上げよう」

 

 

そう言って立ち上がる男、藍染惣右介。それを見て笑みを深める男、市丸ギン。

 

 

「ホンマはこないな事にならんかった筈やけど…。隊長が学年主任に捕まってしもうたから」

 

「仕方ないだろう?彼女は何かと俺に突っかかっ来るんだ。お陰で出遅れてしまった」

 

 

久し振りの死覇装を着て、校門を出る。横目で見たギンは嬉しそうな顔をしていた。

 

 

「ホンマに、ホンマに生きてて()かった――」

 

 

藍染はギンの言葉は聞こえていないフリをした。


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