if物語 藍染に成り代わった男   作:フ瑠ラン

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登山して合宿行ってテスト勉強してテスト受けて帰ってきました。ホント学校は自分を殺しにかかってきてると確信した今日この頃。

感想を下さった皆様、ありがとうございました。励みになります。これからもよろしくお願いします!

とりあえず諸事情により今日と明日で破面編終わらせます。


怒りの力

銀色の刃がアヨンを襲う。首を斬ろうとしたギン。しかし、想像以上にアヨンの装甲が厚く斬ることは出来なかった。

 

 

「市丸副隊長!!」

 

 

突然現れたギンに戸惑いを隠しきれない吉良。当たり前だ。もう無理だと絶望していた所にヒーローのように現れたギンを見て驚かない筈はない。

 

ギンはアヨンを見たまま、静かに口を動かす。

 

 

「イヅル。口よりも手ェ動かし。そのままやと誰も助けられずに後悔することになるで」

 

 

きつい言い方。声音はいつもよりも数段階低く、ギンは決してアヨンから目を逸らそうとはしない。イヅルは慌てて乱菊の治療にとりかかる。

 

 

「なァ、乱菊をあんなにしたのはお前か?それともそっちの右腕無い3人組か?」

 

 

アヨンは答えない。破面3人組も鼻で嗤い傍観しているだけで答えるつもりは無いようだ。

普段見えないギンの瞳がアヨンを映した。

 

吉良はそんなギンを間近で見て背中か凍えた。こんなにも怒っているギンを見るのは初めてだからだ。藍染が死んだ時、ギンは怒っていたが、殆ど吉良は関わっていなかったし、皇達に逃げられた後だってギンは怒っていると言うよりも悲しんでいて。部屋にずっと篭もりっぱなしか、時々散歩に出て藍染を探すくらいだった。

 

だから怖かったのかもしれない。

いや、今吉良が抱いているこの感情は――憧れだ。昔から吉良はギンに憧れていた。助けられたあの日から雛森が藍染に憧れを示したように、吉良もギンを憧れた。

 

 

「殺し損ねたそのデカブツも後ろで笑っとる3人組も殺す。安心してな。簡単には殺さんで。乱菊が苦しんでる以上にお前らは甚振って甚振って「殺してください」って懇願してくるぐらい殺ってやる」

 

 

ギンは地面を大きく蹴った。

 

怒りとは、時として力になるものである。冷静さを無くす代わりに強大な力を手に入れる。しかし、力が上がったとしても身体能力が急激に上がることはない。無茶をすれば当然その分は体に負荷として返ってくる。

 

 

「射殺せ『神鎗』」

 

 

霊圧を全開放。使える力は全て使う。

次こそはちゃんと狙い――。

 

アヨンの首を刎ねた。

 

しかし首を刎ねてもアヨンはまだ動き続ける。

 

 

「あ、あの状態でもまだ動けるのか!?」

 

「…ここまでなってくると見苦しくてたまらんわ」

 

 

ギンはそう言うとアヨンを粉々に斬り刻む。ただの肉塊となったアヨンはそのまま重力に逆らうことなく落ちていく。

 

 

「イヅル、乱菊と雛森護るんやで」

「…え?」

 

 

アヨンが殺され、怒りに周りが見えなくなった破面達はギンに突進していく。

 

 

「卍解 死せ『神殺鎗』」

 

 

素早い刃が吉良の目の前を通り、アパッチの左太腿、ミラ・ローズの左肩、スンスンの脇腹に突如切り裂かれた後ができる。

 

 

「カハッ!」

 

「な、何だ急に…!」

 

「アヨンを殺した以上の速さで私達に傷をつけた…!?」

 

 

傷ができた場所をそれぞれ手で抑える破面達。キッとギンを睨みつけるがギンにそれはきかない。いつもの飄々とした笑みをギンは浮かべると「どないしようか」と言った。

 

 

「アンタらほっといても死ぬし、別にボクがどうこうせんでええんよね。このまま縛道で縛って死ぬ時間まで待つのもええし、ボクと戦って動かせる手もアリや。どれが一番苦しむんやろ。乱菊がこない苦しんどるのに君らだけのうのうと死なせる事は出来ひんやろ?」

 

「はあ?死ぬ?あたしらが?お前頭トチ狂ってるんじゃねえのか?」

 

「………」

 

「…アパッチ、気づかなくて?」

 

 

スンスンがアパッチに言う。アパッチは「んだよ」と不機嫌そうに言った。

 

 

「体が重いんだよ。さっきよりもな」

 

「この短時間でこんなことができるのは…恐らく毒。私達が動き回れば毒はより早く体を巡り、動かなくても毒は勝手に回る。正直詰みですわ」

 

 

「何だよそれ!!勝ち目ねーじゃねーか!!」アパッチがスンスンに怒鳴る。スンスンはアパッチを思いっきり睨みつけると「私に言わないで下さる!?」と怒鳴る。

 

勝手に喧嘩し始めた3人を見てギンは放っておくことに決めた。あ、これ勝手にしてても死ぬやつだ、と思ったからだ。

 

 

「イヅル、傷残らんよう治してな。ボクは雛森ちゃん治すから」

 

 

ギンはそう言って雛森の手当てを始めた。

 

 

 

▼▲▼▲▼

 

「やはり、お前も出てきてたな」

 

 

乾が炎の壁にいなかったことにより、皇もそこにいないと踏んでいた。勿論、目の前に皇が出てきたことにより藍染の読みは当たっていたことを示す。

 

キンと金属同士がぶつかり合う音がする。藍染が鞘から『鏡花水月』を抜き背中を護っていたのだ。皇は前に居る。いや、『居るように見える』と言った方が正解なのか。

 

「チッ」と舌打ちの音が聞こえる。皇だろう。焦っているのか剣さばきは段々と雑になっていく。藍染は自身に傷をつけることなく全て綺麗に防御していく。

 

 

「何故、何故お前は生きている!!何故、お前は私が見えている!?何故、私はお前に騙された!!?」

 

 

藍染は決して見えている(・・・・・)訳では無い。違和感(・・・)()感じ(・・)とって(・・・)いる(・・)だけだ。

 

 

「じゃあ逆に問おう。君は一体いつから完全催眠(・・・・)()自分(・・)()斬魄刀(・・・)()能力(・・)だと(・・)勘違い(・・・・)して(・・)いた(・・)?」

 

 

目に見える違和感が更に酷くなった。皇が動揺しているのだろうか。

 

 

「いや、君は勘違いしていた訳じゃないね。きっと君の(・・)中に(・・)居る(・・)虚が(・・)そうさせて(・・・・・)いるんだ(・・・・)

 

「〜っ!?」

 

「何故気づいてるのか、そんな感じかな?いやあ、君の中にいる虚って主張強いよね。完全催眠で隠してたみたいだけど…隠せてなかったよ」

 

 

笑って言うと荒い攻撃が飛んでくる。勿論、全て躱すか『鏡花水月』で打ち返す。

 

 

「君の完全催眠よりも俺の完全催眠の方が強い。それは目に見えている。現に君は騙された。けれど、あれは本気じゃない。君には更に力の差を見せてあげよう――」

 

 

不敵の笑みで藍染は笑った。


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