「
「主、我を卍解させる為には何が必要だと思いますか?」
卍解を習得する際、『鏡花水月』は俺に問うた。俺は顎に手を当て、考える。
「…霊圧?」
「確かに霊圧も必要です。でも一番必要なのは――想像力」
「想像力?」
『鏡花水月』は静かに頷く。
「卍解と言っても始解とそんなに変わりませぬ。変わるとこと言えば能力の範囲、騙す『物』、霊圧の量」
「しかし、我の卍解には想像力は不可欠。さあ!修行をしましょうぞ!!」張り切って言う『鏡花水月』に俺は「どんな修行をするんだ?」と聞いた。
「…滝行?」
「いや、なんで滝行」
俺がそう聞けば「現世の書籍には滝行がいい、みたいなこと書いてあったような気がするのです!!」と返ってきた。…なんで『鏡花水月』が現世の書籍に詳しいのかはこの際聞かないことにする。面倒事には関わらない主義だ。
「卍解って一体どんな能力なんだよ」
少し気になったことを『鏡花水月』に聞くと『鏡花水月』は嬉しそうに笑った。
「始解が『人』を騙すのなら、次は『世界』を騙しましょうぞ、主」
規模がかなり大きくなったのは言わずもがな。正直、俺はもう卍解の練習を辞めたいと思ってしまった。しかしここで許してくれないのが『鏡花水月』である。逃がしてくれない。自分の斬魄刀ではあるが鬼畜過ぎると思う。何せ俺は先程まで山のように積み上げられていた書類仕事をしていたのだから。
本気で逃げたいと思った。だけど逃がしてはくれなかった。誰もいない静かな場所で寝させてくれと叫びたかったのはここだけの話である。
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「卍解
目に見えない波が皇をビルを吞み込み、アスファルトを、世界を吞み込んだ。この見えない波は始解の時よりもより強い完全催眠である。ふつうの人間、いや多分俺以外はこの波は見えない。
波が通った場所はもう俺の支配下に着いており、催眠にかかっている。普通の人間には、いや、全ての人間は完全催眠にかかったとは微塵とも感じられない。と言っても『鏡花水月』の破片や本体を持っている人間には当たり前だが完全催眠はかからない。というか本体や破片を持っている人間までかかってしまったら、俺まで完全催眠にかかることになってしまう。
「どうやっても君は俺には勝てないよ」
「私は負けない、貴様に屈しはしない!!」
皇はそう叫ぶとまるで馬鹿の一つ覚えのように単調な攻撃で仕掛けてくる。勿論、俺はいとも容易く全ての攻撃を避けてしまうが。
「私は、私は…! 死んだ望の分まで頑張らなくちゃ、こいつを殺さなくちゃいけないんだ!!」
焦った顔で俺に攻撃を仕掛ける皇。対して俺はきっと退屈な顔をしているのだろう。何故そんな表情をしているのか。実に簡単である。退屈だからだ。
時が経つにつれて皇は弱くなっていっている。もう段々と面倒に感じてきた。終わらせようか。
「なぁ、1つ聞きたいんだが」
「…答える義務は無い!!」
「……君は一体いつから――自分が
ツゥーと皇の頬に冷や汗が一筋流れる。悪寒がした。まさか、と思った。
「その
藍染が笑うと同時に皇の首が吹っ飛んだ。皇は何が何だか分からないという顔をしていた。優しい俺は何も分かっていない皇に親切に教えてあげる。
「君は俺が卍解を使った時にはもう死んでいたんだよ。生きていると錯覚したのは俺がそう思わせていたから」
「莫迦…な、私、は……」
「首を斬られても喋れてるのは凄いね」
莫迦な、莫迦なと何回か繰り返した後、皇は事切れた。それを見た俺はふぅと息をはくと卍解をとく。これは実に精神に負荷がかかる。あまりやりたくないなと思った。
「皇は殺した。が、中にいた虚は逃げたか…」
死んだ皇からは先程までうるさく主張していた虚が感じられなくなってしまった。一瞬皇と共に死んだのかとも考えたがそれはないだろうと一蹴する。
追いかけるかで悩んだがやめた。今日はかなり頑張ったしわざわざ俺が出しゃばらなくても護廷十三隊の誰かか、死神代行が殺してくれると考えたからだ。俺以外にも心強い仲間は沢山居る。…殆ど面識ないと思うけど。
「…とりあえず一休みするか」
この後俺が殺し損ねた皇の中にいた虚は死神代行、黒崎一護の『最後の月牙天衝』で殺したと後に聞いた。その反動で黒崎一護が死神の力を使えなくなったことも。いつか謝ってお礼をしようと思ったのは秘密である。
短いですが破面編はこれで一応おしまいです。書き直すかもしれないけど。まあ終わりです。この後は少し閑話的なものを書いて、その後はアンケートでやるかどうか聞いていた千年血戦編を書くことに決まりました。
正直、千年血戦編はそこまで読み込んでないので、勉強から始まります。可笑しい所があれば指摘して下さると嬉しいです。出来れば優しめに。
今回、投稿が遅れてしまいすみませんでした。明日もあげようかな、と考えていますので是非見てもらえると。(あくまでも予定です)