if物語 藍染に成り代わった男   作:フ瑠ラン

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MerryX'mas!!

私は家で寂しく一人で『White X'mas』聞いてます。サンタは来るどころか、貯金が減るばかりです。サンタさん、私にお金をください。そして、リア充は是非とも非リアの私の為に滅びてください。

平子、ギリギリで生きろよ!!
(問題:作者は今、何にハマっているでしょーか!)


MerryX'mas

残業、残業、残業。

現世ではクリスマス一色になっているが、俺は違った。クリスマスはやたら滅多に仕事が多い日である。

 

どうしてか。それは、独り身の自分を再認識したくないが為に仕事を少し残していたというのもあるが、他にも死人が沢山来たりと案外本当に忙しかったりするのだ。

 

リア充を僻んで殺人。いや、気持ちは分からんでもないが少し馬鹿すぎやしないかと思う。そんな事で自分の人生を棒に振るっていいのか。

 

無心とまでは行かないが、コツコツと仕事を片付けていると、誰かが部屋に入ってくる音がした。誰なんだろうか、と思って顔をあげる。

 

早々に逃げたアホバカ隊長か? それとも、今日は休みの雛森くんが来てくれたとか? いや、それは無いな。なんか雛森くんこの休みをとる時、頬を赤らめてモジモジしながら休暇取らせてください、って言ってきたからなあ。確実に無いわ。

 

 

「うわ、マジで居ったわ」

 

 

ドン引きした顔で言ったのはギンだった。しかも、ギンは凄い格好をしていて現世風で言うなら『サンタコス』である。お前、満喫してるな。

 

 

「こんな所で一人、何しに来たのかな?」

 

 

周りを見ても乱菊の姿は一向に現れない。霊圧も感じないし、多分一人でここに来たのだろう。

 

 

「いや、乱菊も連れてきたかったんやけど、今雲隠れって言うんか? まあ兎に角居らんねん」

 

 

話を聞く限り、仕事をしない乱菊に痺れを切らした日番谷隊長が乱菊をどこかに隠したらしい。ギンもギンで自業自得だと思っているのか助けに行くつもりはないんだと。

 

 

「結局のところ、助けに行って日番谷隊長の雷が落ちるのが怖いんだろう」

「まあ、そんなところやね」

 

 

では、次の疑問に行くのとしよう。何故、ギンがサンタコスをしているのか。それを聞けば「あー、似合っとるやろ?」と的はずれな答えが返ってくる。

 

 

「あれや。雛森ちゃんも碌に誘えんで、仕事漬けなイヅルを励ますためのサービスや」

 

「お前のサービスは求めてないだろ流石の吉良くんも」

 

「え? イヅル泣いて喜んどったんやけど」

 

「喜びの涙では無いことは確かだね」

 

 

俺がそう教えて上げれば、ギンは「えー、折角ここまでサービスしてやったのになあ。ショックやわー」なんて全然ショックじゃ無さそうな顔で言った。対してダメージは食らってないらしい。図太い神経で何よりだ。

 

 

「そういや、今日隊長見とらんなあ。何処におるん?」

 

「あんなアホの行先なんて知るわけないだろう?」

 

「うわ、珍しっ。……でも、なんか逆に怖いわ」

 

 

ギンがブルっと身震いをした。きっと今の俺は悪い顔でもしているのだろう。自分でもどんな顔をしているのか大体は予想がつく。

 

 

「これまでの刑は生温かったみたいだから、次からは総隊長にも御協力願おうと思ってね」

 

「……総隊長?」

 

「この仕事の束が終わるまで、総隊長の目の前で正座しながら仕事をしてもらおうと思ってるんだ。大丈夫、許可は既に取っている」

 

「うっわ……えげつな」

 

 

仕事が終わらなければ流刃若火、逃げても流刃若火。一度、死ぬギリギリを味わわないとアイツはダメだ。骨は拾わないし、そこらの犬にくれてやる。

 

 

「ギンもあまりサボるんじゃないよ。目に余るようだったら、アホの隣空いてるから」

 

「え、遠慮しとくわ。ボク、やれば出来る子やし」

 

 

「今度から仕事やろ」と呟いているのが聞こえたので、一先ず安心かもしれない。

喋りながらも動かしていた手を止め、立ち上がった。漸く、書類が消えたので次の仕事に行くとしよう。

 

 

「終わったん?」

 

「デスクワークはね」

 

「何処に行くん?」

 

「あのアホを捕まえに」

 

「暇やしボクも行くわ」

 

「好きにすればいい」

 

 

立ち上がり、隊首室を出ると吹雪いてはいなかったが、雪がポツポツと降っていた。

 

 

「…ホワイトクリスマス、か」

 

「何が嬉しくて男と見なあかんねん。さっびしーわー」

 

 

その言葉をそのままお前にバットで打ち返してやる、とは言わずに無言で歩き出す。雪が降っているせいか、いつもよりも外が寒く感じる。ハアと息を手に吹きかければ当然、白い息が出て直ぐに消えていった。

 

他愛もない話をしながらギンと歩いていく。通りすがりの死神に話を聞きながら歩いていると、案外早く見つかった。

 

 

「よォ、藍染」

 

「おや、日番谷隊長じゃないですか」

 

 

殺さないようにする為か、体だけ凍らされていたアホを背に日番谷隊長が話しかけて来た。何となくだが、状況は理解できたような気がする。多分だが、乱菊に助けを縋られた隊長が、乱菊を助けようとして簡単に成敗でもされたのだろう。これが当たっているなら完全に自業自得だ。

チラッと日番谷隊長の方を見てみると「当たってる」とでも言うかのように小さく頷いた。もう呆れて溜息すら出てこないのは逆に凄い。

 

 

「うちのアホが迷惑かけたみたいですみませんね」

 

「別にいい。案外早く片付いたからな」

 

「言い方怖すぎん? ちゅうか、めっちゃ寒いんやけど。誰か助けて」

 

 

『寒い』と言うキーワードを聞いて思わず笑みが出てきてしまうことは仕方の無いことだろう。笑った俺を見てギンは引いた目で「うわっ」と言った。

 

 

「隊長、温まりたくないですか?」

 

「え、急に何なん? あれか、飴と鞭か!」

 

 

急に優しくなった俺を見て隊長が慌て始める。何故慌てる? 俺は優しいから別に苦なことはしないさ。唯、一瞬、全身に火傷を負うだけで(火傷では済まされない)

 

 

「俺、取っておきの場所用意してるんで行きましょう」

 

 

ニコリと爽やかな笑みを浮かべ俺は言った。優しく言っているのに、何故か隊長は「嫌だ」と言って顔を横に振る。あまりにも抵抗するので、引きずって連れていくことにした。

 

 

せいぜい、流刃若火で温まるといいさ。




〜おまけ〜

「あれ? 雛森ちゃんやん」

「い、市丸副隊長!」

「どうしてこんな所におるん?」


ギン達が来て直ぐに解放された乱菊と歩いていたら雛森が居たのでギンは思わず話しかけた。雛森は、急に顔を真っ赤にして、「ちちち、違いますからね! 私とシロちゃんは、べ、別にそんな関係とかじゃ…!!」なんて言って否定を始めた。

乱菊がツンツンと肘でギンの腕をつつく。


「(ギン。あまり野暮なこと聞くもんじゃないわよ)」

「(あー、あれか)」

「(そうそう。デートに決まってるでしょ!)」


可愛く女の子らしい服装をした雛森はいつもよりも可愛く見える。きっと、日番谷を待っているに違いない。ギンは微笑ましそうに笑い、言った。


「おめんとさん」

「何、勘違いしてるんですかっ!!」


雛森の強烈なビンタ音が辺り一帯に木霊した。

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