…という事で藍染の卍解こんなのいいんじゃね?っていう案受け付けます。自分が気に入った案があれば後々この作品に出てくるかもしれません。来なかった場合は…もし藍染の卍解の話になったときダサイネーミングの卍解で我慢してください。
「破道の三十一
志波海燕は手に霊圧を込め、的に赤い炎の火の玉を放とうとした。が、しかしうまくいかずその場で不発してしまった。
「十回中八回成功か。…微妙やな」
「んー、鬼道って苦手なんだよなァ」
ギンの言葉に海燕は悔しそうに頭をガシガシと掻いた。
五番隊敷地内訓練場。 そこで海燕とギンは修行をしていた。海燕が浮竹に副隊長の話を貰ってから早一週間。藍染の(無理矢理)弟子になってから早一週間が過ぎていた。
ギンと海燕は同じ藍染の元で学ぶものとして関わりそこから友好関係が深まった。そんな二人を見て藍染は海燕を弟子にして良かったかもしれないと思っているのだがそんなことを二人は知るよしもない話である。
「何で不発しちまうんだ?」
「……霊圧の込め方があかんとちゃうの?」
「霊圧の込め方って言われてもいつも通りさっきと同じ込めかたでやったしよ……」
修行に行き詰まる二人。二人の顔はとても苦々しいものであった。
「ギン、昼御飯食べに行こうか」
そんな時、救世主が現れた。言わずもがな二人の師匠、藍染惣右介である。ギンと海燕の顔が苦々しいものから光輝く子供の姿へと変貌を遂げる。そんな二人を見て藍染は来るタイミングを間違えたと後悔をするのであった。
「師匠!!鬼道を教えて下さい!!」
「師匠はやめてって何度も言っているだろう?海燕君」
「ボク達修行行き詰まっててん。ええとこに来てくれたな、藍染副隊長!」
「……ちょっと人の話聞こうか」
鬼道があーちゃらこーちゃら、修行がどーちゃらこーちゃらと勝手に人の話も聞かずどんどんと進めていく二人。
「…人の話を聞け」
最後には鉄拳チョップを食らわされた二人だった…。
▼▲▼▲▼
「不発?」
「十回中二回、不発しちまうんですよ…」
海燕がそういうと藍染は「そうか…」と呟いて悩み込んだ。なんやかんや考えてくれるらしい。
「鬼道って言うものは、言霊の込め方や霊圧の扱い方で大きく変わるんだ」
「言霊?霊圧?」
藍染が「ああ」と大きく頷く。
「自分が破道でも縛道でも何かを出すときの強い思いが言霊となって大きな威力を出すし、自分の霊圧の纏い方でまた変わるんだ」
「霊圧の纏い方ってなんや?」
「今のボクらみたいな纏い方じゃあかんの?」とギンは藍染に聞いた。藍染は「ダメって言うわけじゃないよ」と言う。
「例えば、戦闘大好きで有名な十一番隊隊長
「まあ会うたびにそんな事をされても恐怖感情は一切芽生えなかったけどね」なんて平然と言いのける藍染は普通に凄い。神経が図太いのだろうか。
「そう言や前に京楽隊長言ってたなぁ。「山爺に本気の霊圧を当てられたことがあるけどその時は周りの風景が一瞬地獄と化したような気がした」って…。そんなもんですか?」
「そんな感じだね」
「……奥が深いなァ」
「海燕君は鬼道を出すとき、どんなことを思いながら放っている?」
「え?」
急な質問に海燕は戸惑った。
「ど、どんなって…俺はどっちかって言うと鬼道が苦手だから…」
「それがダメなんだよ」
「え?」
「わざわざ技を放つときまで苦手意識を持たなくていいんだ。そんなのに神経を集中させておくよりも相手をどう倒すか、とか作戦を考えていた方がまだマシだね。ホントは詠唱の意味とか詠唱を妄想したりするのが一番いいんだけど…戦闘中にそんな事を考えていたら直ぐに殺されてしまう」
藍染はニコリと笑っていった。
「今度からの鬼道系の修行は詠唱に注目してやってみるといい」
「詠唱の意味かぁ…。よし、ギン!一緒に勉強するか!!」
ドタバタと走っていこうとする二人を藍染は捕まえる。
「勉強の前にご飯だ」
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「海燕君、副隊長就任おめでとう」
「い、いえっ!!こちらこそありがとうございますっ!!」
海燕はつい昨日十三番君副隊長に就任した。本来、責任感の強い海燕はとても光栄な立場であると共に若造の自分が就いていい立場ではないと思っていた為、断ろうと思っていた。浮竹に断る前、海燕は藍染に相談をしていた。
「藍染副隊長、俺……副隊長の話断ろうと思ってます」
「そうか」
海燕の言葉に横槍を入れることもなく静かに話を聞いてくれる藍染は海燕にとって相談しやすかった。一通り海燕が藍染に自分の考えを話すと藍染は言った。
「海燕君。世の中に完璧な人間なんて存在しないよ」
「え?」
「君は色々と考えているね。考えることもいいことだが、時には実行しないと何もならない。正直言うとね僕も副隊長なんて今すぐ辞めたいさ」
突然のカミングアウトに海燕は「えー!!」と大きく叫び立ち上がった。
「それ、本当ですか、副隊長!!」
海燕が聞くと藍染は少し笑いながら「本当だよ」と言った。海燕の開いた口が閉じるのには時間がかかりそうだ。
「正直僕は上に立つ、って言うのがね苦手なんだ。上に立つものは下にいる者達を守るためより一層の努力をしなくてはならない。副隊長も隊長も隊士の命を預かる立場だからね。でも、簡単に辞めます、って言って辞められる立場でもない。少なからず僕に命を預けてくれている隊士は沢山いるし尊敬だって何だってしてくれる者もいる」
「僕の場合はこの五番隊に入隊したときから副隊長に就いていたからね。緊張のあまり若干人間不信になったことだってあったさ」と懐かしそうな顔をしながら語る藍染。海燕は唖然する他にはなかった。
「本当はもう僕はここにいない筈だったんだ」
「……え?」
「僕は平子隊長よりもこの五番隊に長くいる。勿論平子隊長の前にいた隊長も知っている。ここだけの話なんだが…前隊長は失踪なされたんだ」
藍染の顔から懐かしみが消え無へと変わる。
「見つからなくて僕が隊長職も兼任してた。正直、もうこの隊にいることは無理だと思ったよ。…死神なんて辞めようと思った。それほど隊長の失踪は僕の心にダメージを与えたんだ」
「……」
「でも平子隊長に会ったとき、前隊長を上回る程に惚れた。ついていきたいと思ったし尊敬もした。だから辞めなかった。あんな隊長だけど僕は尊敬している。彼の下しかつかないと心に誓ったんだ」
藍染は海燕に聞いた。
「海燕君にとっての浮竹隊長はなんだい?」
「尊敬の出来る自慢の隊長です!!」
即答だった。浮竹にスカウトされたあの日、浮竹の包容力に人格に人間性に惚れ込んだ。この人についていきたいと思った。
「副隊長は隊士の命を預かるだけではなく隊長をサポートするのも仕事の1つだ。隊長から海燕君に副隊長の話が来るってことは……浮竹隊長は海燕君に近くで支えて貰いたいんじゃないのかな」
海燕の決心が、ついた。
それから数日後、浮竹と話をつけた海燕は見事副隊長へとなった。就任式では思わず藍染が吹き出しそうになるぐらいガチガチに海燕は緊張していた。ちなみに平子は藍染の隣で爆笑して藍染とひよ里に制裁を食らっていた。
「(浮竹隊長が俺に隣で支えて貰いたい、か。本人に言われたワケでもねぇのに……以外とチョロいんだな俺って)」
就任式が終わり海燕は右腕についている副官章を見て苦笑した。
「海燕」
「浮竹隊長!!」
後ろから話しかけられ、海燕は振り向く。
何か用事でもあるのだろうか?そんな事を思っていると浮竹が口を開いた。
「…大変なことも沢山あるだろうがどうか俺を、十三番隊を支えてくれるだろうか」
浮竹の問いに海燕は少し目に涙を溜め言った。
「こんな未熟者の俺でいいのなら……よろしくお願いしますっ!!」
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「海燕を説得してくれたのは藍染副隊長だと聞いた。ありがとう」
「いえ、僕は何もしていませんよ。ただ少し自分の昔話をしただけです」
十三番隊隊首室に今、藍染と浮竹はいた。今日は浮竹の調子も良いらしく起き上がっている。
「彼は責任感の強い男です。きっと部下達からも慕われているのでしょう」
「やはり解るか?もう十三番隊は海燕無しでは生きられないさ!」
「ハッハッハ!」と笑う浮竹。自分の自慢の部下を相変わらずに褒められ嬉しいのだろう。
「彼は副隊長についてまたより一層の努力苦々しい励んでいます。体を壊さないよう浮竹隊長からも厳しく言っておいてくださいね」
「うーむ、藍染副隊長は四番隊みたいな事を言うな!」
「浮竹隊長も駄々をこねずちゃんと薬を飲んでください」
「………」
「そんなことでは良くなる体もよくなりませんよ」
四番隊隊長 卯ノ花烈のような笑みと圧倒的な威圧。思わず浮竹はゴクリと唾を飲んだ。
「…藍染副隊長、もしかしてだが母親は卯ノ花隊長だったり……」
「しませんよ」
藍染は苦笑した。