一匹の腕マッチョ妖精から紡がれる痛快スペクタクルストーリー
海上を息もまばらに走る影
潜って、海面に浮上してを繰り返し、蛇行しながら敵の砲撃をかわし続けるが、どうしても離れてはくれない。
「はぁはぁ、もういやでち。これだからオリョクルは…」
不運にもいつも航海する路線だからと一人で資源を取ってこようとしたのが運の尽きか、一人の艦娘が追い付こうとする深海戦艦から逃げていた。
巡潜乙型改二 3番艦 潜水艦
伊58通称ゴーヤその艦娘である。
潜ったり、岩礁に隠れてやり過ごそうとしたがいつもと同じように出撃したのに何故か体が重く一歩遅れて見つかってしまう。
「ゴーヤも年でちかね。」
見た目にそぐわぬセリフを吐き、今の心境を吐露する少女
愛する提督への見栄もあり、敵は避ければ大丈夫と缶をガン済みで魚雷を装着してこなかったのが何より悔やまれる
ひるまして、行動を遅延させればなんとか隙は出るのにと
そんなことを考え過ぎていたからだろう近づく影に気付かなかった。
ドーンという耳を塞ぎたくなるけたたましい音があがると同時に一発の衝撃を腕に食らい体が半回転しそうになる。
「うっ、まず、い…」
トレードマークの後尾を忘れるほど状況は最悪だ
深海戦艦の海の底から絶望を相対するものへもたらすような、おぞましい異形の姿の正面と思える顔の部分が吊り上がり歯がむき出しになる。止めを刺せることを笑っているのだろう、口から涎がだらっと垂れる
どうしようと瞬考するが現実は非常だ。息をひそめじっとしていたこの場所から離れて隠れられるところは…ない
万事休すか
覚悟を決める歯を食いしばる、まだやりたいことはいっぱいある。
嫌だ覚悟なんて決めれるかっと後悔だけが募り目の前が真っ暗に染まっていく
あぁ死にたくない、生きたい、逝きたくないの。まだあの人と共にこれからも…
「提督…ごめんでち…」
来るであろう痛み、感じる間もないであろう痛みかもしれないがその恐怖と衝撃に備え…
諦め目をつむった。
バラララララッバララララララッバラララララッ
自分の耳元付近から明らかに銃を撃ったとされる音がした。しかし、それは深海戦艦ではなく紛れもない第三者
聞こえた銃音があまりにも近過ぎたからだ。遅れてドサっと倒れる音がする自分ではない。
硝煙の匂いが香る…がそれに伴う薬莢が海に落ちる音は聞こえない。耳はあまりに音の出所が近過ぎたせいか全然聞こえなくなったが、誰かがしゃべっているのが微かに聞き取ることができた。
「さっさと消えて…。任務完了、ふぅ~…」
その声は最近になって聞く機会ができるようになった者だ
うっすら目を開けるとそこにいたのは
この前来たばかりのGr G11だった。
「なんで!ドラム缶の中で布団をかぶってるんでちか!」
ゴーヤは怒った、これからはドラム艦の時代が来るらしい。
一週間前
その日の鎮守府はどこか静まり返っていた。
とても奇妙なことが起こったからだ
その兆しの発端は一匹の妖精からだった。
「なんだこの妖精は?気持ち悪いな。」
工房で提督が一匹の妖精を指さして言った。
『ひどいです』
『ドイヒー』
『なんてこと言うのですかこの提督さんはクチクにしてやる』
『妖精差別良くない、反対。人権の改正を要求する。』
『間宮アイスをよこすです。そんなことよりおうどん食べたい。』
向けられる言葉にうっと怯むが提督として鎮守府にいる艦娘の安全快適な職場を守る義務と責任が立ち向かう意思を吹き返し言葉を続ける。最後の妖精の言葉は無視することに決めた。
「いや、でもな…明らかにその妖精の腕おかしくないか。だって筋肉ムキムキだぞ。腕だけ俺ぐらいあるぞ、よく考えろ。どう考えても、お・か・し・い…だろ?」
妖精さんたちは今気づいたと言わんばかりにビックリマークが上に付いたようにハッとし、一匹の毛色の違う妖精を取り囲む。
『何処からきたのでしゅか』
『すごい腕ですね、活躍できそうです、これはキタイができそうです』
『どうですか、ここでの月収はコレクライですよ』
『タカイタカイしてください』
矢継ぎ早に質問をしている。はやくも取り入ろうとしていることに戦慄を隠せない。特段妖精さんたちにとっては姿かたちなど気にならないらしい。まぁ支障にならないならいいかと疑問を横に置いて今日ここに来た目的をなすために行動をすることに決めた。
「あーごほんっ。もうそろそろいいか?大型建造を頼みたいんだが」
一斉にこちらに向きなおし妖精が答える。
『ほんとですか、久々の大型。腕がナリマス』
『資源、燃料は?』
『ぼ~きは?』
『鋼材は?』
『弾薬は?』
「そうだな…外国艦の在籍がまだ少なくてなレーベやマックスは幼いながらも頑張ってるから、監督するお姉ちゃん的な艦がいいかな」
妖精は思案した。
『それでは4000/6000/7000/3000はどうでしょう』
提督はパソコンを動かし資材を確認して答える
「すまんそれだとボーキが足りないみたいだ。」
『では4000/6100/7000/2000はどうですか弾薬100だけで1000もボーキは節約できます』
すっごい誇らしげにドヤ顔である。
「あー弾薬がちょっとだけ足りないみたいだ…申し訳ない」
『かいしょうなしーな提督さんですね』
ゲシゲシと足をこずいてくる、そこへ腕の大きな妖精がごそごそして何か取り出して提督のお膝元の妖精に渡している。二人の世界を作り相槌を打つ、手をポンとなるほど名案だ、いいアイデアですねと言った風向き、話が終わりこちらに振り向きにっこりと
『提督さん、朗報デスよ!弾薬はこちらの腕スゴさんが寄付してくれましたヨカッタですね』
「そ、そうかありがとう。さっきは変なこと言って悪かったな感謝する。」
口を山の字のように結び、踏ん反り返って誇らしげにグッドの形で親指を立てる。
ほんとに大丈夫か、こんな寄付してくれる妖精とかありなのか?今までいなかったぞ。いくら生態が完全に解明されていないと言ってもこれは…途轍もなく不安だ。そんな気分を介することはなく腕スゴさんを含めて製造の準備を始める
『それー材料放りこめ~掘りこめ~』
『のりこめ~』
『えっさほいさっ』
『仕上げは上々、軽んじるな』
『終わったら最中下さい』
トンテンカンカン、工廠作業が心地よい音と共に進められる、その合間になんか腕スゴさんがみんなに配給食糧みたいに粗食バーみたいなのを渡している何か皆食べながらだからポロポロ屑が落ちてるよ、中に入っちゃうじゃないかおいおい。そしてどこから出した、流石妖精さんゾーン四次元ポケットか
にしてもあの腕は伊達ではないみたいで人一倍人力、いや妖精力があるのかすごい一杯資材が持ちあがるな。おいこらそこの妖精、腕スゴさんが持ち上げた大量の資材の上に乗るな、そのまま放り込まれ…
『アァァァァァ!』
おいこら余計なパーツを入れるな、おっ危うく出てきたかマジ不安だ、はやまったかもしれん…
滞りなくではないが作業は進み完成が近づく。時間を知らせるタイマーがランプと共に点灯した
刮目せよ
04:04:00
…ピッピッと時間を刻む音が無情にも鳴り響く
5時間を超えない…か
国が近い同僚を揃えられない申し訳なさに秘書官にした二人への慕情がかさむ
「あれ、提督建造ですか。あっうわっ大型ですか私も見届けたかったです」
その暗さを打ち消す様に明石が一室に入ってきた。ふっと元気が湧いて口元がほころぶ
「あぁレーベ達に同郷の仲間を増やしてあげたくてな」
「そうですか、それはおめでとうございます」
腕をグーにして右手をこちらに向け労ってくれる。
「いや出来なかったよ残念だけど5時間を超えなかった」
「なるほど残り時間を見るに、戦艦か空母級の何方か、戦力増強がはかどります!」
「あぁ4時間4分だったからな」
そう言うと明石は一瞬固まり眉をひそめ瞬きを一度し、首を傾げ人差し指をこめかみを当てる。何か考えているようだ。何か気になることでもあるのだろうか、そしてもう一度口を開いた。
「本当に4分だったんですか?」
「あぁそうだが…なにかあるのか?」
「いえ提督が嘘を言う人だとは思っていません。10分単位で建造される艦娘はいますが分単位で違いがあるのはまるゆだけです。おそらくは既知でない新造艦かと思われます。たのしみですねぇ!」
「なんだと」
驚きで顔の筋肉があがると同時に期待もあがる、もしかしたら俺の思いが通じたのかと。二人で笑い合いはしゃぐ声が工房に響いた。
それからの行動は速かった。大本営に新型の確認を取れば、実践と演習等でデータを取り詳しい詳細を纏めておいてくれとの事。昼飯を取り演習も終え時間もそろそろ完成かなと思われる頃、レーベとマックスにも出迎えを一緒にしようと促し共に立ち会うことにした。
俺らは横一列に整列し立ち並ぶ。俺、レーベ、マックス、明石だ。
妖精さんが材料を混ぜまぜした蓋が閉じた艦槽のランプが赤から青に変わり煙が立ち込める。その中に工房の片隅で自分の腕を枕代わりに寝ていた腕スゴさんが目を覚まし飛び込んだ。
「提督、新しい仲間が来たみたいだ」
「新しい艦が完成したようよ。」
あぁそうだなきっとお前たちの同郷の仲間だレーベ、マックス
煙から新たな艦娘が登場した。腕スゴさんを頭にのせて、一歩踏み出してこちらに姿を今見せ…る…
ん、なんだその手に持っているのは?銃、銃なのかそれはスコープが見えるが
「G11…です…指揮官、お布団、まだある?」
第一感想、クール系パンキッシュスタイルとでも言うのか。制服ですらない、完全私服のようなのは初めてだ。いやどちらかといえば軍服か、緑のコートがそれっぽい。前はホットパンツに白のタンクトップ。スカーフか、いやネックウォーマーだ。帽子も緑キャップと、首のと色を揃えた紫のバンダナか。
第二感想、換装はどこにあるの?長方形の馬鹿でかい銃持ってるよね、もしかしてそれかな。右下の太ももに巻いてるポシェットの中かもしれない。左の膝と左右非対称のサポーターはお洒落ですね
第三感想、指揮官て呼ばれ方は新鮮だ。お布団?やっぱり眠いのね、すんごい気だるく眠たそうに見える、服の着こなし感が肩ずれしているからか
一番冷静だったのはマックスかちょっと異例の出で立ちに反応した。銃を見て
「これは、確かにいい装備ね。状況を確認しましょう。」
「あぁ確かにそうだな…」
「G…Gute Nacht?(おやすみ)かな。分析は大事だ。」
レーベは少し混乱しているようだ。
「Gute Nacht.んぅ~…」
驚くことにドイツ語で返してきたが、そのままぐでぇ~と寝だしたぞ、おい。確かに言葉は通じるのなら外国艦ではあるのだろうがどこに突っ込めばいいんだ
「明石の出番ですね。えっとG…11ちゃんかな」
彼女が肩をやさしく揺らし彼女に確認する。
「Heckler&Koch(ヘックラー・ウント・コッホ)Gewehr elf(ゲヴェーア エルフ)G11(ジーイレブン)、じーじゅういちでも構わない。」
「じゃぁG11ちゃんかなよろしくね!それで貴方は何級の何番艦かな、見たところ体格的に駆逐艦だとは思うけど」
明石ぃ…お前はなんて頼りになる奴なんだコミュニケーションの架け橋まで作って正式名称を引き出すとは流石工作艦だな。
「級に…番とはなんのこと?私は戦術人形よ。駆逐艦とは船の事なら私は船ではないよ」
空気が固まった。
ふ、船ではない、艦ではないだと!言葉を挿まずにはいられなかった
「それは、あきつ丸のような陸軍特殊船、揚陸艦でもないのか?」
「うぅ…しつこいなぁ…私は船じゃないの海になんて浮かべないよ」
海に浮かべない、これは逆に新しい!戦上はいつのまにか陸上まで対応するようになったのか
「そっそうか有難う。国は名前の語の通りドイツでいいのかな、この二人はドイツ出身だから仲良くしてやって欲しい。」
そう言って考えていることを後にしてレーベとマックスを前に押し出す、恥ずかしそうに対面してるのは微笑ましいな。G11は二人に目を向け
「うん、ありがとっえ~と…」
「僕の名前はレーベレヒト・マース。レーベでいいよ、うん。よろしくね」
「Guten Tag.(こんにちわ)私は駆逐艦マックス・シュルツよ。マックス…でもいいけど。よろしく」
「うちの鎮守府を案内してやってくれ。部屋は同室でも隣の部屋を使ってくれてもかまわない。食堂や浴室、訓練場などもだマックス、レーベ頼んだぞ」
やはり同郷だと気が合うのかG11も嬉しそうだ。手を取り合って部屋を連れ出してくのが何よりの証拠だ。
あぁそうだな海に浮かべないとか、彼女にできる可能な運用方法を、考えなくてはいけない問題は色々あるが大事なことを言い忘れていた。部屋を出る前にこれだけは言っておかなくては。大きな声で俺は言う
「G11!鎮守府へようこそ、これからよろしく」
部屋の外へ向いていた顔がこちらに振り返り眠たげな目を開き笑顔という花を咲かせた。頭にのっかったままの腕スゴ妖精さんがこちらにウィンクをした。
任務完了、ふぅ~…これで休める
色々と突けば出る矛盾はあります。
QGrG11は弾薬が脆く、湿気に対して極端に弱いはずだよ。海なんて無理無理。暴発もするよ?
A仕様です
Q艦と銃じゃ比較になんないよ、ぶち抜けるはずないじゃん
A仕様です
Q600回回してもうちにGr G11こないんですが?
A仕様です
Qあれが可能な運用法ですか?作者の頭はいかれていますね
A仕様です
スゴ腕妖精さんあの四コマのあれです
どもでした。