組織の捕喰者 作:(◯|v|)<Howdy!)
何がどうしてこうなった。
青年は苛立たしげに頭を掻いた。足元には綺麗に真っ二つにされた人体が複数転がっており、濃厚な血の匂いが漂っている。その香りが青年の空腹を執拗に刺激するが、そうも言ってられないのが現状である。
光の乏しい廃ビルの中、足元にはバラバラの死体。目の前には顔を青くして驚愕に目を見開く女性と、紙みたいに顔色を真っ白にして必死に口を押さえて目を背けるごつい男性。それと、最初こそ驚いたものの楽しそうに凶悪な笑みを浮かべる銀髪の男性。
何がどうしてこうなった。
もう一度頭の中で復唱し、青年は諦めたように溜息を吐いた。
そこそこ平穏になった生活にけちがつき始めたのは、大体一週間ほど前からの事だった。
青年────
しかし“そういうもの”と割り切るにも限度がある。東京じゃなくて東都であることや、CCGや喰種が存在しないことはともかくとして、年間死亡者数が喰種が存在している世界とそう変わらないのは一体どういうことなのだろうか。しかも、米花町なる町のみ異様に犯罪発生率が高い。死神でも居座っているのか。ふと某特等捜査官が脳裏に浮かび、慌ててその影を消し去る。思い浮かべたが最後、死んでようが世界が違おうが、ふらっと出没しそうで恐ろしい。それに、あれは寧ろ死を遠ざけるタイプだ。
閑話休題。
瀬長は米花町には極力近づかないことを決めた。度重なる犯罪によって訓練された警察や探偵の相手をするなど御免被る。しかも犯罪者ネットワークは浅くとも広く、なおかつ素早い。裏で噂になってしまえば、いずれ表にも漏れていく。伊達に
瀬長は喰種である。一ヶ月に一人喰えば問題なく生きていけるし、天敵がいないからといって必要以上に喰い散らかす程大食漢でもない。ただ敢えて言うならば、その日は運が悪かったのだ。
たまたま食事サイクルの空腹期で気が立っていて。
たまたま路地裏でチンピラ崩れに絡まれて。
たまたまそいつらが裏の大組織でヘマをした下っ端で。
たまたまそいつらを処分しにきたのが、手隙だった幹部達で。
たまたま彼らにチンピラ共を素手で解体していた所を見られただけだった。
────役満だな、これ。
怯えの視線を二つ、好奇の視線を一つ。それらをひしひしと感じながら、脳内での独り言にすら論破された瀬長は再度溜息を吐いた。