今回はシエラの物語。
簡単に書く予定です。
勿論オリジナル。
ーシエラー
カオスさん…、夫と出会ってから何百年の刻が経ったのでしょうか? 目を閉じれば思い出す日々、忘れたことはありません。
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わけが分からぬまま『月の紋章』に選ばれ、家族や友人達…大勢の人達に化物と呼ばれ、知らぬ内に手配されて命を狙われ、最終的には国から…国そのものからも狙われることに。逃げる道中、自身の能力を知り化物…バンパイアであることを自覚しました。
自覚した日から血を欲するようになりました、…でも私は血を吸うという行為をしませんでした。一度でも血を吸えば私が私ではなくなり、…人々の言う化物にへと変貌してしまうのでは? そう思ったからです。
逃げ続けて数年、紋章を宿す前が幸せだったからこそ辛い。逃げることや血を吸いたくなる衝動よりも、独りでいることが…孤独がこんなにも辛いなんて知りませんでした。私は死ぬまで、紋章から解き放たれる時まで独りなのでしょうか?
そんな日々の中で、初めて『月の紋章』が反応したのです。紋章に誘われるがまま進み、そして…彼に、カオスさんに出会ったのです。
カオスさんは優しかった。化物と呼ばれ、命を狙われ続けていた私の話をきちんと聞いてくれて。何より、こんな私を守ってやるという言葉までくれるなんて。…私は数年ぶりに安らぎを得ました、…この人は信頼出来ると。
安らぎを得た私は張り詰めていた糸が解け、…血を欲する衝動に襲われました。こんな姿…優しくしてくれるカオスさんに、嫌われて…化物と。安らぎから一変、拒絶される恐怖と血を欲する衝動に震えていると、
「それが『月の紋章』を宿し、バンパイアに変じてから度々現れるという衝動かね? …なるほど。見たところ…相当苦しいだろう、…今の今まで我慢し続けてきたのだな? …ならば我慢をすることは止めた方がいい、…俺の血で良ければ吸うといい。…心配はいらない、何かしらの力が発揮されようとも俺には効かぬ故。」
そう言って自身の首筋を私に差し出してきました。…必死に堪え続けてきた私は、…その甘美なる誘惑に負けてしまい………。
カオスさんから血を頂いて落ち着いた私。化物にならぬよう堪えてきたのに、…私という女は誘惑に負けて! …自分の弱さに己を責める。…そんな私を見ていたのであろう、
「君は『月の紋章』の力でバンパイアとなった、人はそれを化物と言う。…だが私からしてみれば化物にあらず、真の紋章を長らく宿している者達の方が化物と言えよう。君はただの幼子だ、…断じて化物ではない。」
うっすらとですが、怒りを含んだ物言いで化物という言葉を否定してくれました。その言葉に何か、…力を感じました。私は不思議に思い聞き返しました、何故カオスさんはそう思うのですか?…と。
カオスさんは懐かしむように、そして時折悲しそうに語ってくれました。
「長き刻の中をさ迷い、『
その言葉には重みがありました。カオスさんの言葉を信じるなら、彼は私の数年なんかよりも長い刻を生きてきたということになります。そして色々なモノを見てきて今に至って、それでも壊れることなく人であると。
心ある限り人であり続けられる…ですか、…私にはよく分かりません。身も心も逃亡生活で疲れることがありました、紋章を宿す前の生活を思い出して泣きたい時もありました。…そんな生活を続けていたら、…心が壊れていくのでしょうか? 私にはまだ分かりませんけど、彼の経験から言われた言葉ですから心に刻み付けておきましょう。きっと、…それが正しいことなのでしょうから。
出会った今日という日から、私はカオスさんと行動を共にしています。言葉通りにカオスさんは私を守ってくれました、私を狙う者達から……。
それでもカオスさんは私を守り続けてくれるでしょうか? 終わり無き追跡者達の襲撃から。
………いえ、……そのようなことを考えてはいけませんよね? 私は単純に信じればいいのです、…カオスさんに全てを委ねればいいのです。きっとそれこそが私の助かる道、…きっとカオスさんが
次は中編。
あの紋章とあのキャラが出ます。