ーカオスー
ハーヴェイと共に調べてみた結果、…やはりミドルポートは黒だった。今回の一件はラインバッハ2世の筋書き通り、邪魔者である三つの組織を壊滅させるという大胆な策。それを成功させた手腕は流石であると賛辞を贈ろう、…それと同時に俺の敵であると認識を改めさせて貰う。
こうも早くに調べられたのは、…きっとエドガーが俺とハーヴェイを導いてくれたからであろう。そう思わなければ、これ程にまでこの件に関わった人物達と対面する幸運なんざ起きる筈もなし。
────────────────────
俺とハーヴェイはミドルポートへ向かう途中、商人に変装して潜入をすることにした。今回乗ってきたこの船は商船に見える程の小綺麗さ、変装すれば商人と言っても怪しまれないだろう。商品も適当にアイテムボックスから出しておけばいいし、…って何を驚いているハーヴェイよ。…何もない所から物が出てきたって? そんなのはアレだ、…紋章の力だよ。…凄いだろ?
そんな感じで航海をしていると、前方に漂流しているっぽいオンボロの小型船を発見した。…目にしたのなら助けるってのが海の男、…ってなわけで近付いてみれば驚いた。…俺ではなくハーヴェイがね、…知っているのかね?
助けたのは四人の男女? であった。…眼鏡を掛けた兄さんは何処かで見たような? …他の三人は知らんけど。…でハーヴェイに聞いてみれば、ウォルターの仲間だとか言うじゃない。…………で思い出したわけ、この眼鏡の兄さんには六年前に会ってるわ。確かウォルターと二人で一度、…ラズリルに来たことがあるよね?
まぁ会った会わないはどうでもいいとして、何故にこんな所で漂流しているのかと聞いてみた。…聞いてみれば彼等も被害者、…いいように利用されていただけのようだ。
簡単に言えば六年前に赤月帝国へ一度戻ったらしいが、仲間だった男に裏切られて追放。身内と共に再びこの群島諸国へと舞い戻り、これも運命と決意して『紋章砲』の調査を再開させた。数年越しの調査の結果、ミドルポートに目的となる情報があると確信。そこへ行ってみれば領主に交渉を持ち掛けられ、どうしても欲しい情報があるから今回の件に乗ったそうだ。
乗ったと言っても策略に乗ったわけではなく、海賊スティールの討伐にってことのようだ。スティールも『紋章砲』を所持している、奴を討ってそれが入手出来れば言うことなし。入手が出来なくとも、ミドルポートへ戻れば欲しかった情報が入手出来る。だからこそ乗って、言われた通りにエドガー達をこの討伐へ誘ったのだとか。
そしてあの結末、彼等の主であるウォルターは化物に変えられた。彼の息子であるキリルを助ける為、化物となったウォルターをこの眼鏡の兄さんが討ったそうで。その時の出来事に大きなショックを受けたキリルは気絶、未だに目覚めないとのこと。
あの混戦から離脱しようとしたが、謎の船団…ミドルポート艦隊が執拗に砲撃を放ってきたそうで。何とか風の紋章の力で船を加速させ、ミドルポート艦隊から逃げ切ることが出来たらしい。何故にミドルポート艦隊であると分かったのか? …船上の者達数人をミドルポートで見たそうで、…ここでやっと自分達が利用されていたのだと気付いた。
エドガー達があのような目に遭ったのは自分達のせい、そう言って眼鏡の兄さんと連れの姉さんが土下座で謝ってきた。俺とハーヴェイは直ぐにそれを止めさせたさ、…彼等がきっかけかもしれないが悪くない。彼等は利用されていただけであるし、何より主であるウォルターを失っている。その息子だって眠ったままだ、どう見たって被害者だろう。責めること等出来やしない、きっとキカも責めることはしないだろう。
とりあえず、彼等を保護することに決める。このままにしていたら、彼等はミドルポート勢に狙われ続けるからね。眠り続けているキリルを連れての逃避行は酷だ、…それにひっそりとしている
俺が保護をすると言えば、眼鏡の兄さんと連れの姉さんに感謝された。そして、ワケありの彼女は何も言わないけど感謝しているっぽい。…そういうわけだから、これからは俺の指示に従ってくれよ?
……まず最初に着替えて貰おうかな? その格好は相手方に知られているだろうし。
………ああそうだ、そういえば名乗っていなかったね。俺はカオス・ミケーネ、ガイエン海上騎士団の戦闘術指南役さ。
……何を驚いているんだ? ………まだ、…何かあるのか?