ーカオスー
『
そんな俺の旅路に二人の女性が絡んでくるようになった、その二人は旅路の中で良く出会う。数日の間…ということもあれば、数年数十年単位で会うこともある。不思議なことに彼女達も変わらない、姿が変わらないのだ。…この二人も不老であると考える、…真の紋章を宿しているかは分からないけれど。
一人は絶世の美女と言っても良い女性、…名をジーンという。彼女は会う度に扇情的な衣に身を包んでいる、男ならばむしゃぶり付きたい程の色っぽさだ。しかし俺に魅了は効かない、普通の男ではないからな。彼女に会えば少なからず絡んでくる、…が俺は毎回軽くあしらう。それが彼女の琴線に触れたのか、度々ちょっかいを掛けてくるのだ。鬱陶しいと思う反面、嬉しかったりもする。何せ永遠の別れが来ない相手なのだから、不老の俺にはありがたい存在でもあるわけだ。
もう一人は可愛らしい美少女とでも言おうか、…名前は確かビッキーといった筈。彼女は何処からともなく突然現れる、そして『カオスさん、カオスさん!』とよくなついてくれるのだ。こんなになついてくれるのだ、可愛くない筈がない。たまに増えていたりするけど可愛い、難点を言えば突然消える。数年数十年…音沙汰がなく、そして前触れもなく現れては再びなつく。…ペット枠になるのだろうか?
この二人とは長い付き合いだ、何だかんだで癒される。永遠の刻は心がね、…悲鳴を上げる時もあるのだよ。だからこそ別れのない二人には救われている、言葉にはしないがありがとうって気持ちがある。…絶対に言葉にはしないが、…特にジーンには言いたくない。
更に数百年、…ある森の中で一人の少女に出会った。白髪のパッつん前髪、病的な程に白い肌。全体的に儚げではあるが、その中で光る赤い瞳が印象的だ。総じて美少女、その言葉しか出ない。…それ以上に注目すべきことがある、…彼女は真の紋章を宿している。全ての紋章を生んだと言ってもいい『
…今更ではあるが、この世界に降りて数千年。真の紋章を巡る戦いによく巻き込まれている、自然を壊し国を滅ぼしたってーのはこれが原因だったりする。…真の紋章同士、…惹かれ合ったりするんかね? …そういえば、その時に出没する女性がいたな。レックナートとかいったっけ? 宿星がどーとか108星が何だとか言っていたような?
まぁそれはいいとしてもどうしたものか、…何というかビクビクしているし。…そんな悲しそうな、すがるような目で見詰めないで欲しい。これアレじゃん、…見捨てたら俺ってば外道じゃん。…仕方ないな、…面倒を見てやるか。ほら…君、こっちへ来なさい。
そんなわけで話を聞いてみれば、真の紋章の一つである『月の紋章』に選ばれてしまったが為に追われる身だとか。しかも『月の紋章』の効果でバンパイアになってしまい、化物としても追われる身。誰にも頼ることが出来ずに各地をさ迷っていたらしいのだが、ある日…『月の紋章』が強く進むべき道を示してきたので従ってみた。そうしたら俺がいたってわけね、…なるほど。
…聞くところによると彼女は白、悪い娘ではないようだ。逆に彼女を取り巻く人? …国? それが悪いね。化物扱いってのも気に入らない、…彼女が化物ならば俺も化物になるよね? 強すぎるからこそそう呼ばれるのは仕方がないことだけど、………気に入らない。
……………よし、決めた!! 少女よ、名前は? ……ふむ、シエラか。
ならばシエラよ。俺と共に来るといい、…守ってやる。ついでにお前を追う者や国を滅ぼそう、降りかかる火の粉は払うのではなく消さなければな。