ーカオスー
シエラを保護して数百年、その間にシエラを取り巻く鎖は全て…滅した。守ると決めたからには徹底的に、後顧の憂いはないに限る。やはりその時に現れたのがレックナート、また何かを言ってきた。108星とかそういうのはどうでもいいんだが、協力してくれるのならありがたい。彼女に紹介された者達と共に打倒、晴れてシエラは自由の身となった。…なのに彼女は俺と共にいたがる、…自由なんだよ?
後はアレだ。…レックナートもそうだけど、ジーンとビッキー。俺がシエラと共に旅をしていると聞いた時の顔、アレはヤバいよ。レックナートの奴は眉間に皺を寄せてシエラを威嚇していたし、ジーンの奴は魔王とでも言えばいいのかっていうオーラを出してくるし、ビッキーにいたっては目から光が消えて『嘘だっ!!』ってさ。…恐いよコイツら!シエラもビビっとるしさ!
…でそんな三人の相手をしている間にやらかした。目を離していた隙にシエラが襲われて、『月の紋章』を奪われてしまったのだ。『月の紋章』を奪われて生死の境をさ迷うシエラ、…死なせたくないという俺の我が儘で彼女を眷属化させる。…これで彼女は死なずにすんだ、眷属化が出来たってことはアレか。シエラは俺と共に………。
一命を取り止めたシエラはより一層俺になつく、何かなつくとは違うような気がするけど。……もしかして俺が好きだとか? からかい目的でそう聞けば、白い肌を朱色に染めて……、
「私…カオスさんが好きです。……愛しています。」
はにかみ笑顔でそう言われました。……え、…マジ? からかうつもりで言ったんだけど、………どうしよう。
ちょいと恥ずかしくてシエラから視線を外し、問題児三人組の方へと向き直れば、
「「「………………。」」」
能面のような無表情で俺とシエラを見ていた。……めっちゃ恐いんですけど!!
その後、レックナートは…、
「私とカオスは運命の糸で結ばれている、…それをお忘れなく。」
そう言って消えた。ジーンは…、
「フフフフフ………。」
意味深に微笑を浮かべて立ち去った。ビッキーは…、
「カオスさんがカオスさんがカオスさんがカオスさんがカオスさんがカオスさんがカオスさんがカオスさんが……ひっくし!?」
ブツブツ呟きながら、いつものくしゃみでここから消えた。………恐いよあの三人!!
…………まぁいいか。今はとりあえずシエラのことだな、…うん。えっと…何? 紋章を奪ったのはネクロード? …アイツか! …108星の一人とか言って共に戦った奴。胡散臭いと思っていたが、…『月の紋章』を奪うとはな。そのお陰でシエラは死に掛けたわけで、…これはもう追うしかないな。『月の紋章』を取り戻してシエラに返さねばならない、眷属化にしたとはいえやはり心配だ。『月の紋章』がなくなってしまい眷属化させたとは言っても彼女はバンパイア、力の源である『月の紋章』があるにこしたことはない。…とにかくネクロード、…首を洗って待っているといい!
シエラの為にもネクロードを追うのは決定事項、されど何処へ行ったかは分からず。闇雲に探しても意味がない、悪戯に時間を費やすだけ。これはアレだな、紋章同士が惹かれ合うって特性を利用するしかない。確証があるわけではないけれど、…どういうわけか俺はよく巻き込まれる。俺が何かしらの事件か戦争に巻き込まれた時、そこには必ず真の紋章がある。…それに賭けるしか手がない、何年何十年…何百年経つかは分からないけれどもな。
因みになんだが、…俺はシエラの告白を受け入れた。冷静になって考えてみたら、俺にとってシエラは大切な人となっていた。そりゃあそうだろう、…数百年間共に旅をしていればな。その間にシエラは想いを育んでいて、…俺も知らずの内に。
…………………俺とシエラは結ばれました。本日より彼女はシエラ・ミケーネ、俺の妻です。