原作と展開が違います。
ーカオスー
ラズロとララクルを引き取ってから六年ぐらいになるか? 二人はすくすく育ち、そしてぐんぐん強くなった。二人揃って一二歳、後三年…一五歳になったら騎士団に入団が出来る。二人はその日を目指して日々の鍛練を欠かさない、義理ではあるけれどその成長が嬉しい。先代騎士団長が引退し、現在の騎士団長であるグレン君も楽しみにしてくれている。カタリナも若くして副団長となったし、ガイエン海上騎士団は成長し続けている。
ただ…最近、懸念していることがある。騎士団に多額の資金援助をしてくれているラズリルの領主フィンガーフート伯、彼が騎士団の成長と功績を自分の手柄であると吹聴。それと同時に自身の手の者を騎士団に入団させ、騎士団を私兵が如く利用し始めたのだ。グレン君にカタリナもこのことに頭を悩ませているらしい、俺とシエラも助力はしているんだけどね。
こんな身内? のゴタゴタの最中に、騎士団入団を夢見た少年少女がラズリルにやって来た。ここ最近常勝無敗だからね、憧れるのは分かるが時期が悪かった。更に年齢が入団規定に達していない子もいる為、入団が許可出来ない。だが、何かしらの事情があるかもしれないから話を聞いてみるか。
タル君一五歳にケネス君一二歳、生活困窮の為に口減らしとして故郷から送り出されてきたらしい。ジュエルちゃん一〇歳、単純に家出をしてきた模様。ポーラちゃん一一歳で母親同伴、故郷から追い出されて帰る所なし。ジュエルちゃんを抜かして帰る所なしの状況、さて…となればこれしかないか。
今の騎士団に入団させたらロクなことにならない為、入団可能なタル君に理由を話して俺の下に置く。指南役補佐としてね、騎士団のゴタゴタが終息したら入団させようかと思う。勿論鍛えてやるさ、良い騎士になれるように。
ケネス君とポーラちゃん、その母親も同じく俺が面倒を見る。騎士団を頼ってきたのに規定の為…入団出来ず、帰る場所がないとのこと故に。入団規定の年齢になるまで、タル君同様鍛えるつもり。ポーラちゃんの母親には悪いけれど、我が家の使用人として働いて貰うことにする。それでも彼女の母親は涙を流して俺とシエラに感謝する、…まぁ帰る場所がないもんな。このご時世、仕事と住居が一気に入手出来ることは破格なのかもしれん。
問題は家出娘のジュエルちゃん、どうしようかと考える。絶対に帰らないと駄々をこねる、そして家の柱にしがみついて離れない。無理矢理引き剥がして送り返すのが一番なのだが、…この調子じゃまた家出をするだろう。その時に無事でいられるかと考えれば面倒を見るしかない…か?
今回訪れた者達を全員引き取ることに決定、一気に家族? が増えてラズロとララクルは大喜び。ついでに今回のようなことが起きないよう布告を徹底させる、次があっても俺ん所で面倒を見れないからな。グレン君とカタリナ、よろしく頼むよ。
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タル君達を迎えて一年になる、最初はぎこちなかったけれど今はみんな普通に生活をしている。鍛練に関しても、ライバルが一気に増えたからラズロとララクルは毎日張り切っている。シエラも嬉しそうに魔法を教えている、ラズロとララクルは魔法に関してダメダメだったが、タル君達はきちんと覚えてくれるからね。中でもポーラちゃんが優秀で次にケネス君、続いてジュエルちゃんにタル君ってところか?
とにかく毎日がそれなりに充実している、そう…それなりにだ。何故にそれなりなのかと言えば、騎士団が未だにゴタゴタしているから。グレン君とカタリナは頑張って何とか纏めようとするんだけど、フィンガーフート伯寄りの者が色々とやらかすみたいでね。…良くなるどころか日々悪くなる一方、今ではグレン・カタリナ派にカオス・シエラ派、そしてフィンガーフート伯派の三派閥に別れてしまった。…と言っても俺達とグレン君達の仲は良好、実質的に俺達の派閥とフィンガーフート伯の派閥とで二分化している。
因みに『紋章砲』は俺達の方で掌握しており、フィンガーフート伯派には一切触れさせていない。ほぼ素人の集団に扱わせるわけにはね、…改良してはあるけれど危険なのには変わらない。
ここに来て暗雲が立ち込めてきた。…ラズリルは、…騎士団はこれからどうなるんだろうか? …心配だ。
心配といえばもう一つ、エドガー達とスティールの争いも未だに続いている。ミドルポートも最近…動きが怪しいし、六年前に会ったウォルターの噂も最近よく耳に入る。…マジでどうなっていくんだ?