雷鳴が響く。

時刻は午後5時10分前。

ライブハウス《CiRCLE》の受付を務めるスタッフ、月島まりなはその冷や汗と思わず飲み込む唾を止められない。


ざっ、ざっ、ざっ。


歩調が合っていないその雑多的な足音が《CiRCLE》に近づく。


からんからーん。


ドアが開く。

「いらっしゃー、っ⁉︎」

まりなは目を見開き、叫んだ。

「その実力はプロも目を見張る!その容姿も目を見張る!主にドラムのこの世全ての悪が詰まったような目で!

変人で作られた超伝説級バンド、《Fool Cats》だあああああああああああああああああっ‼︎」

Gt&Vo.『シスコン変態紳士』美竹新一 大学1年

Key.『性癖歪ませ超天使』蝶ヶ島真里 高校2年

Ba.『常識的な非常識人』夏岸京介 大学1年

Gt.『慈愛と書いて冷徹と読む』田宮梨子 高校3年

Dr.『ゴーアローンウェイ』比企谷八幡 高校2年

ばあああん、といった効果音を幻聴するかのように登場した5人。

床屋に行くのが面倒だからとボサボサに伸ばした黒髪を適当にまとめたクズ系イケメン新一。
フランスとのハーフで見た目がどこかの12勇士の1人と見た目がそっくりな男の娘、真里。
短く切った清潔な茶髪と優しく微笑を口元に浮かべるイケメン、京介。
同じく微笑みを浮かべているのにどこか怖い、底の知れない何かがそこにある艶やかな黒髪を持った日本美人、梨子。
基本的にどこの作品の二次創作にも1作品くらいはこいつがいる、ある意味サン=ジェルマンな八幡。

この物語は、本来ガールズバンド御用達のライブハウス《CiRCLE》に『いつもバイトで京介くんにはお世話になってるし、練習くらいならいいよー』と特別に許可してもらったバンド、《Fool Cats》のメンバーが様々な人と関わっていく話である。

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