響が可愛いと思ったから勢いだけで思わず書いちゃったような艦これ二次   作:水代

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日刊17位になってて割とびびった。
というか、評価とか伸びる割に、感想来ないよなあ、と思う今日この頃。

そしてあとがきにサブタイの意味書いて、察せれるかもしれませんが、次回、ついに電ちゃんの最大のトラウマ発症、電発狂、作者大狂喜、読者阿鼻叫喚、いやあ、楽しみですねえ(


The worst is not so long at we can say ‘This is the worst’

 海上に巨大な水飛沫が上がる。

 一瞬送れて聞こえてくる轟音。

 沸き立つ荒波に、ヴェルと暁が足を取られそうになりながらも何とか戻ってくる。

「………………凄い威力ね」

「それでも、現行兵器じゃあいつらには通じない。この程度で死ぬようなやつらなら、こんなに苦戦しないさ」

 ズドンズドン、と次々に上がる水飛沫。ヴェルと暁に向かわせ、先んじて海中に撒いた機雷がきちんと発動しているらしい。

「それで、司令官…………その…………あの人は?」

 ヴェルのやや臆するような呟きに、けれどそれを無視して答える。

「医務室で寝かせている…………どうも最後の命令で体力の限界だったらしいな」

「最後の命令…………ねえ…………」

 暁が胡乱気な目でこちらを見てくるので肩を竦めて答える、正直自身に言われても困る。

「五日ここを守れって…………守ったらどうなるのよ」

「分からん」

「五日守ったら、全部解決するの?」

「知らん」

「解決しなかったら私たちここでお終いなんだけど」

「俺に聞くな」

「じゃあ誰に聞けばいいのよ…………?」

 ジトーっとした目で見てくるが、それでも上官に命令されたのであればそれに頷くしかないのが軍隊と言う縦割り社会だ。

「そもそも守りきれるの?」

 不安そうに、暁がそう尋ねる。気づけばヴェルもまたこちらを見ていて。

 上の不安とは下である兵士にも伝わる、そんなの昔から使い古されてきた当然の話で。

 だから、強がりでも。

 

「ああ、任せとけ」

 

 そう言うしかないのだ。

 

 

 * * *

 

 

 まあそんな弱音吐いても目の前の敵がどうにかなるわけではない。色々考えて、実行してみるしかないのだ。

 先ほどの機雷もその一つだ。敵がやってくる大よそ三時間の間に暁に任せた潜水艦対策に設置した水中機雷、そしてヴェルに任せた水上に置く浮遊機雷。水中に撒いた機雷のほうが普通の接触型だが、浮遊機雷のほうは機雷同士をブイのように線で繋がっており、この線をある程度の力で引くと爆破する。

 この浮遊機雷を鎮守府の正面を半包囲するように囲み、二重三重に設置することで、正面から来る敵に対する備えとする。

 だが先ほども言ったが、通常兵器は深海棲艦に対して、さしたるダメージを与えることが出来ない。

 だからこれは、敵の心理を突くための配置であり、実際の被害はそれほどでもないだろうことは簡単に予想できている。

 

 今回の深海棲艦の侵攻は、中将殿が指揮していた連合艦隊の敗北を切欠としている。けれど侵攻の速度を考えると、どう考えても深海棲艦は敗北した連合の追撃をしていない、つまり追撃より侵攻を優先している。

 この情報からのただの推測だったが、もしかすると、この鎮守府を落とすのに梃子摺るなど、何らかの理由で侵攻速度に遅れが生じるようなら敵はこちらを後回しにするのでは? と思ったのだが…………。

「半分当たり、半分ハズレってとこか」

 大よそ三百数十と言った数の敵が三列に分かれていた。

 一列はこの鎮守府に右側を、一列は左側を抜けて本土を目指していく。

 ここまでは予想通りだ。こう言う展開を望んでいたのだ。

 

 機雷によるダメージは敵には無い。だが、先ほど機雷が爆発した時に、ヴェルと暁が転びそうになっていた。俺が狙ったのはソレだ。艦娘だろうが、深海棲艦だろうが、人型程度の大きさしかない以上、波の影響と言うのは大きい。基本的に多少の荒波程度なら艦娘だって平気で移動するが、機雷による爆発で起こった波はその想像を絶する荒々しさがある。

 それにダメージはなくとも、爆風で押し戻されるのは確かなのだ、戦艦級や空母級でも出てこない限り、その圧力には抗うことなど出来まい。

 だからそう、鎮守府の脇を抜けて行く、と言うのは大よそ予想通りなのだが。

 

「………………これは予想外もいいとこだわ」

 

 鎮守府正面の海に残った敵…………およそ五十ほどだろうか。

 そして何より最悪なのが、敵の一番後方にいる一軍。

 

「…………主力部隊が残るとか、本当に予想外だわ」

 

 戦艦レ級。そう呼ばれる最近確認されたばかりの新種、サーモン海域の覇者が三体。

 正直言って、駆逐艦で相手するような敵ではないのは絶対だ。

 並みの戦艦ですら梃子摺る相手…………勝つだけならともかく、倒そうと思うならば大和辺りでも連れて来ないといけないような相手。

 

「………………五日、五日ねえ」

 

 その五日で、何があるのか。五日経てば何が起こるのか。

 全く分からない、予想も付かない。

 だが、上官からの命令だ。そして何よりも…………。

 

 敗北したはずの中将殿の目がまだ死んでいなかった。

 

 目が死んでいる、なんて…………漫画の読みすぎかもしれないが、けれど実際に人と相対すれば、目はとても素直に感情を浮かべているものだ。

 中将殿の目はまだ死んでいなかった、まだ勝つ気だった…………否、そもそも負けた気すら無かったのかもしれない。そんな風な不敵な目をしていた。

 

「ただの強がりか…………それとも、本当に何かあるのか」

 

 どの道もう遅い。逃げ出そうにも、右にも左にも前にも後ろにも敵だらけだ。

 だったらもう、腹を括って戦うしかない。

 けれどそうなると、不安ごとがいくつもある。

 以前の連合の敗北の時も相当な無理があったが、今回はそれに輪をかけてきついものがある。

 普段から使わないだけに、燃料も弾薬も高速修復剤もまだ有り余っている。補給の意味では心配は無い。

 だから問題は、戦力的な意味だ。

 最初から分かっていたことではあるが、駆逐艦二隻と言うのは致命的過ぎる。

 何よりも、五日連続で戦うと言うのは、いくら艦娘でも無理がある。

 疲労が溜まれば、性能だって落ちるし、結果的に被弾も増える。

 だが交代要員がいない。前回の撤退戦との違いはそこだろう。

 たった一度の交戦で済むか、それとも継続的な交戦が必要となるのか。

 

「……………………仕方ない、博打に出るか」

 

 決断は一瞬。どうせジリ貧したって二日で落ちる。真っ当にやればどうやったって五日も持たせられないのだ、だったら真っ当じゃないやり方でやるしかない。

 

 そう決めたなら、早速ヴェルと暁を呼ぼう。

 

 今回の博打の成否は、彼女たち次第なのだから。

 

 

 * * *

 

 

 ヒトロクサンマル、十六時半から始まった戦闘は、けれど機雷に足を阻まれ、列を分けた深海棲艦たちの動きによって一度の終息を見る。

 そして訪れるのは夜。深海棲艦にとっても、夜と言うのは活発に動く時間ではない。人とは違い、文明を持たない深海棲艦にとって、夜の暗闇は視界を閉ざしてしまうからだ。

 すでに半包囲の済んだこの状況で、深海棲艦は特段無理して攻めなければ状況でもない。部隊の大半はすでに鎮守府脇を通過して過ぎ去っており、ここに残ったのは、自身たちが鎮守府から出て来れないように封じ込めるための部隊だと半ば予想している。倒せなくても最悪本体が本土へと進むまで自身たちがここで立ち往生していればいいのだ、だからこそ、無理してここを攻める必要も無い、となれば夜戦は避けてくるだろうことは予想できた。

 

 そしてそれとは逆に、自分たちはここを守らなければならない。

 

 深海棲艦の勝利は自分たちの敗北だ。だからこそ、このまま守っていてはジリジリと削られていくばかりである。

 

「だからこそ、ここで一手打ち込む。楔の一手、これが決まらなきゃ、俺たちに明日は無い」

 

 だからどうか、無事に行ってくれ。そう祈りつつ、自身の準備を行う。

 少しでも作戦の成功率が上がるように、彼女たちが無事に戻ってこれるように。

 今自身に出来ることをしよう、だから。

 

「後は頼んだぞ、ヴェル、暁」

 

 

 

「…………本当に、無茶ばっかり言うわね、司令官も」

「…………仕方ないさ、状況がすでに無茶苦茶だからね」

 水面に足を伸ばす。当たり前のように水面の上に立つ、と言う感覚。

 艦娘ならば当たり前なのだが、司令官にとってはこれが不思議に見えるらしい。

「…………作戦は頭に叩き込んだわね?」

Да(ダー)(勿論)」

 すでに互いに準備は終わった。司令官が今頃細工もしているだろう。

 後は仕上げを御覧じろ、と言ったところか。

 その仕上げも全て自分たちにかかっているのだと思うと、僅かに身震いする。

 

 それでも、行くしかないのだ。

 

 守るためには…………この日常を、守るためには。

 

 戦うしか、無い。

 

Верный(ヴェールヌイ)、出るよ」

「暁、出るわ!」

 

 

 * * *

 

 

 シューシューと、音がしたことに、ソレは気づいた。

 すでに時刻は夜。空には月が昇り、僅かな光を海上へともたらしている。

 その僅かな光を追って、音のした方向を見やる。

 

『?』

 

 そこにあったのは小さな船。駆逐イ級よりもさらに小さな小さな船。人ならそれがラジコン操縦の船だと言うことに気づいたかもしれないが、ソレにとっては見たことも聞いたことも無い未知である。

 よく見ればその船に筒のようなものが括りつけられており、その筒がシューシューと煙を吐き出していた。

 

『…………』

 

 艤装を船へと向け、撃ち抜く。ダァン、と重低音が響き、船が粉微塵に消し飛ぶ。

 波が揺れ、後には何も残らない。

 ソレが満足し、艤装を戻した…………瞬間。

 

Ура(ウラー)!」

 

 目の前に、白い少女がいた。

 

 

 

 目の前の敵に向かい、全ての魚雷を撃ちだす。

 どうせこの一瞬しか攻撃できないのだ、だったら出し惜しみも無く、全て使ってしまえ。

 魚雷発射管から飛び出した魚雷が、一直線に目の前の敵へと向かって行き…………。

 

 大爆発を起こす。

 

 巨大な水飛沫。響く轟音。だがそれでも周囲には見えないのだろう。

 

 いくつものラジコンボートに括りつけられた発煙筒がこの周囲に煙を吐き出し続けているのだから。

 まるで計ったかのように凪の現状、風が止まっているせいで煙は晴れない。

 

 と、その時。

 

 ドォォォォン、とすぐ近くでも響く爆発音。

 どうやら暁もやったらしい、そう気づくと同時に、撤退を開始する。

 煙のせいで視界は悪いが、それでも方向だけは間違えないように気をつけていたお陰で、煙幕から一直線に抜け出ることに成功する。

「ぷはぁ!」

 同じく抜け出てきた暁を見やり、互いに頷く。

 鎮守府正面は機雷が大量に設置してあるので、迂回して、鎮守府のある孤島の裏側へと向かう。

 

「成功ね、響」

Да(ダー)…………けど、無茶な作戦だったよ、本当に」

 

 

 司令官の立てた作戦は簡単だ。

 初日の夜戦、駆逐艦が最大の力を発揮できる状況で、敵の中心的部隊…………戦艦レ級たち率いる部隊に夜襲をかけ、敵全体を混乱させる、と言うものだ。

 言うのは簡単だが、五十前後の敵の固まった場所に近づき、正確に敵の中心部隊だけを叩いて、なおかつ無事に戻ってくる、と言うにはかなりの無茶であることは明白だった。

 けれど、これが成功しない限り…………敵が組織だって動く限り、二日だって守りきることは出来ない、と言う司令官の言葉に、現状の自分たちを鑑みてみれば、やるしかなかった。

 

 正直、今互いに無事でいられるのは全くの偶然に過ぎない。

 

 何か一つでも間違えば、どちから、もしくは両方ともここで沈んでいたかもしれない。

 それほどのリスクを負った行動だった。

 そして、だからこそ、リターンも大きい。

 

 先ほどから遠くで砲撃音が聞こえる…………司令官の思惑通りに。

 

 混乱した敵が、見えない敵を探して同士討ちを始めたのだ。

 それを増徴させるために、ラジコンボートに張りぼての人型を作って突撃させるとか言っていた。

 この間の撤退戦の時も思ったが、一体司令官はいつの間にあんな用意をしていたのだろう。

 昨日や今日で急に始めて作れるようなものではない、前もって準備しておいたものだろうが、自分も暁もいつ司令官があんなもの準備していたのか全く記憶に無いのだ。

 特に機雷など、普通に兵器である、どこから仕入れたのか、どこに保存していたのか、どこから出してきたのか、本当に謎である。

 と言うか、あんなもの使って戦う司令官など他に見たことが無い。

 

 だがそれも当然なのかもしれない。何せ、この間までこの鎮守府の戦力は駆逐艦一人だったのだから。

 

 ラジコンなんて玩具、人によってはふざけているように見えるのかもしれない。

 

 だが、それでも司令官は司令官なりに本気で使っている。

 

 そして現に結果が出ているのだから、問題ないのだろうとも思う。

 

 まあ。

 

「それでもやっぱり変だけどね」

「ラジコンは無いわね、ラジコンは」

 

 そうして、二人して苦笑した。

 

 

 * * *

 

 

 どうやらヴェルと暁の攻撃した相手はかなりのダメージを負ったらしい。

 敵はかなり混乱したのか、激しい同士討ちの被害が多数、そして二日目の朝、まともな攻勢を仕掛けてこない。

 だがそれでも散発的にはやってくる敵がいる。それでも一隻か二隻かずつであり、ヴェルと暁だけでも対処は可能だった。

 二日目夜。本来ならもう一度夜襲をしたかったが、さすがに二回目は警戒されているだろう。だから、最後の最後、五日目の夜だろうと結論付ける。

 発煙筒と張りぼてボートを出して、混乱を長引かせるようにする。それでも散発的な攻撃があり、夜中に機雷が爆破、その音で目が覚めた。幸い鎮守府に近づかれる前にヴェルと暁を出したが、連戦で少しばかり辛そうだった。

 三日目朝。混乱が終息に向かっているらしい、昨日よりも激しさを増した敵の攻撃。六隻編成でやってくる敵に、ヴェルと暁で迎え撃つ。どうやら戦艦や空母と言った主力艦は本体のほうに言ったらしく、ここにいるのは駆逐艦や軽巡と言った水雷戦隊がメインのようだった。これはまだ幸いだった部分だろう、少なくともこちらも駆逐艦で対処できる範囲である。

 間を見て、新しい機雷を設置するが、大分減ってきている。足止め効果も限界が見えてきたかもしれない。

 だがさすがに連戦に続く連戦である、もう三日も戦いっぱなしなのだ、さすがに疲労のピークが見えてきた。

 三日目夜。波止場で敵の様子を伺う。双眼鏡では正直、夜の闇のせいでほとんど見えないが、それでも近づいた敵を発見するくらいはできるかもしれない。

 そう考え、双眼鏡を眺めていると、暁がやってきた。

 

「司令官」

 呟く声にいつもの元気が無い。当たり前だ、ほとんど不眠不休で戦っているのだから、正直良くやっているとしかいい様が無い。

「大丈夫か、暁? 敵が着たら知らせるから、もう休んでいろ」

 そう告げるが、暁が首を振る。力無さそうに、自身の隣に座り、それから――――――――

 

「電に、手伝ってもらいましょ」

 

 ――――――――そう言った。

 

 




「これがどん底」などと言える間は、本当のどん底なのではない。

The worst is not so long at we can say ‘This is the worst’






鎮守府からの夜襲により三章ボスが弱体化しました


戦艦レ級elite  中破 先制雷撃不可、艦載機数半減
戦艦レ級
戦艦レ級     大破
軽巡ヘ級flagship 小破
駆逐イ級elite
駆逐イ級elite
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