響が可愛いと思ったから勢いだけで思わず書いちゃったような艦これ二次 作:水代
「ただいま」
「ああ、おかえり」
帰港してきたヴェルを出迎える。
それはヴェルが出撃するたびに必ずやっている自身にとっての習慣だ。
「戦果は?」
「戦艦ル級eliteを轟沈させてきたよ」
その言葉に目を見開く。それはそうだろう、戦艦ル級、しかもelite。それは明らかにこんな鎮守府周辺海域に居ていい存在では無い。
「あのクソ提督、そこまでするのか…………?」
この鎮守府の総責任者は提督である自身の役割だ。だが、鎮守府は提督と艦娘だけで回っているわけではない。
整備班、開発班、入渠班、補給班、改装班と必須のものだけ上げてもこれだけのものがある。
この鎮守府にいる艦娘はヴェル一人なので、他と比べても人数は少ないが、それでも十数人の人間がここに勤めている。
こんな孤島に建てられた鎮守府だ、もし深海棲艦が攻め寄せてきたら逃げ場など無い。
つまり、俺たちの命を守り抜くための札は、ヴェルたった一人なのだ。
当たり前ではあるが、普通は駆逐艦で戦艦など倒せない。不可能ではないが、無理がある。そんなこと戦艦と戦ったことのある提督なら誰でも知っている。
実際、ヴェルは戦艦を沈めてきたが、その代償として装備のあちこちに無理をさせている。修理のために数日は出撃できないだろう。
今回は戦艦一隻だったからそう言った無理ができたものの、もしもう一隻、重巡洋艦でもいればヴェルも帰ってこれたかどうか甚だ疑問だ。
そしてもしヴェルがやられれば…………残された俺たちはもうどうにもならない。
「この鎮守府潰す気か、あいつは」
ここが潰れて一番困るのは隣の海域を守っているあのクソ提督自身だと言うのに。
「考えなんて無いんだろうさ…………司令官に意趣返しできればそれで構わないんだろうね」
互いに顔を合わせて、はぁ、とため息を吐く。
「…………とりあえず、お疲れ様、だな。昼飯作っといたから、食べにいこうか」
「ああ、それは楽しみだよ」
そうして二人並んで鎮守府へと戻る。
ヴェルは先に装備を外してこなければならないし、自身は自身で顛末をまとめた報告書を書き、中将殿に一報入れる必要があるので、執務室へと戻った。
* * *
「ただいま」
そんな風に彼へと言うのもこれで何度目だろうか。
「ああ、おかえり」
そんな風に彼から言ってもらうのもこれで何度目だろうか。
独りである、と言うのはとても寂しく、けれど楽だ。
何より守るものが無ければ、失うものも無くて済む。
けれどそんな風に考えてみても、それは無理だといつも首を横に振る。
人は常に他者と繋がって生きている。それは艦娘であろうと例外ではない。
否、艦娘のほうが顕著であるとすら言える。
装備を整備してくれるのも、修復してくれるのも、新しい武器を開発してくれるのも、燃料と弾薬を補充してくれるのも、いつも自分でも司令官でも無い、他の人たちだ。
この鎮守府に艦娘は自身一人しかいない。
理由は簡単だ、司令官がとある上役から嫌われているから。
だから新しく艦娘を建造することすら許されない。
と言うか、そもそも建造の技術を持った人材を回してもらえない。
いつまで経っても自身一人。
そのことに不満があるかと言われれば、実はそうでもない。
頼るべき仲間がいない、と言うことは守るべき仲間もいない、と言うことだ。
少なくとも…………自身の知らないところで仲間が沈んだなどと知ることもなければ。
自身の目の前で沈んでいくことも無い。
それは最後まで生き残ってきたからこそ思うこと。
もし次に仲間たちが沈むようなことがあるなら…………まず最初に沈むのは自分であって欲しい。
そう考えたのが駆逐艦響であり。
仲間たち守り抜く…………もう絶対に誰も傷つけさせはしない。
そう誓ったのが駆逐艦ヴェールヌイである。
「ヴェルちゃん、お帰りなさい」
ふと、自身に声をかけてきたのは、整備班の中の一人の女性。
「ただいま」
そう言って返すと、無事で良かった、と漏らす彼女の言葉に、けれどそれはこちらの言葉だと内心思う。
先も言ったが、ヴェールヌイはこの鎮守府唯一の艦娘だ。
島を改造して作られたこの鎮守府だ、もし敵に攻められれば逃げ場も無く、みなやられてしまうだろう。
鎮守府から出て行く度に思う。
自身が出撃している間に、敵がやってきたりしていたら…………。
ありえない、とは思う。深海棲艦は海上の標的を優先して狙ってくる。
それに普段から出現の確認が取れると即座に潰している。だからこの周囲に敵がいるなんて可能性はありえない、とは思う。
だが絶対とは言い切れない。そんな保障誰もできない。
だから怖くなる。
もしまた、守りきれなかったら。
今度こそ、自分はどうにかなってしまうだろうから。
* * *
『ああ、そうか。ご苦労だったね』
「それで? 新しい艦を回してもらえると言う話は?」
『それなのだがね、残念ながら上に掛け合ったところ、そんな余裕は無いそうで、残念ながら今回の話は流れてしまったよ』
今回の…………ではなく、今回も、の間違いだろう。そんなことを内心で思いつつ、歯を軋らせる。
「それにして、中将殿のところにはえらくたくさんいるようですが?」
艦隊数37隻。俺の知る限り、国内でも有数の艦隊数だ。
『ふむ、残念だがね、私の担当する海域はキミのそれより広いのだよ、分かるかね? つまりそれだけ広範囲だと必要になる艦隊の数も必然的に多いのだよ』
俺の担当する海域よりも三倍は広いのは確かだが、それでも20隻もあれば十分なはずではある。
何せ三分の一を駆逐艦一隻で担当できるくらいなのだから。
『だがキミのところの艦隊は優秀なようだな、駆逐艦で戦艦を倒してしまうとは。いやはや、これなら今後も期待できそうだね』
つまり、また何かあったら俺に押し付けるつもりか、この野郎。
では、そう言って電話が切られると同時にドンッ、と机を思いっきり叩く。
「……………………」
歯を軋らせる、それでも怒りが収まらず…………。
「司令官?」
声をかけられ、はっとなる。目の前にヴェルがいた、今の今までそんなことにすら気づかなかった。
「ああ、ヴェルか………………来たなら、昼飯でも食いに行こうか」
そう言って椅子から立ち上がる。そうして入り口まで歩くが、ヴェルは動かずその横を通り過ぎる。
立ち止まり、振り返る。机の前からヴェルは動かない。
「ヴェル?」
動かないヴェルに首を傾げつつ、声をかける。
数秒の沈黙、やがてヴェルがその帽子を取り、被り直す。
「いや…………そう言えば、あの時もこんな感じだったな、と思い出してたよ」
「あの時?」
心当たりが多すぎて、さて、どれだろうか、と考える。
「初めてあった日だよ」
ヴェルのその言葉に…………ああ、と呟き、目を閉じた。
* * *
コンコン、と部屋の扉をノックする。
「はあ、それで? はい、今日からです」
けれど返事は無い。
「…………ええ、それで何人くらい…………はあ? 一人?」
コンコンコン、ともう一度ノックする。
「いや、それは………………はあ、それで種類は?」
返事は無い、耳を澄ませると、どうやら電話中らしい。
「……………………冗談ですよね?」
仕方が無いので扉に手をかけ、開く。
「……………………ちょ、ちょっと待ってくださいよ!」
中に入る、執務室と言うからもっと広いかと想像していたが、他の部屋となんら変わらない広さ。置かれているものも、正面の机に壁際の本棚、それくらい。他の提督は自身の勲章などを執務室に飾っているらしいが、この部屋にそれらしきものは一つとして無かった。
「いや…………っな!? そんなバカな話が!! ちょ、ま…………き、切られた?」
そして机に備え付けられた椅子に腰掛け、受話器を見つめて呆然としている男性、それが恐らく自身の身を預ける相手なのだろう、そう予想した。
「クソったれ中将! 地獄に落ちろ!」
電話に向かって先ほどまでの相手を激しく罵りながら、その顔を上げ…………こちらを目が合う。
改めて正面から見る、男性の顔。こうして見ると、男性と言うより青年と言ったほうが合っているのかもしれない。そのくらい若く見える。提督なんて誰も彼もが四十路を過ぎたような中年男性ばっかりだと思っていたので、目の前の青年は自身にとって多少予想外だった。
さらに言うなら、よく見れば間違えることは無いだろうが、初対面で一瞬見たくらいなら女性かもしれない、と思ってしまうくらいにはその顔は中性的だった。
ただ椅子に背を持たれ足を組む、そう言う一種尊大にも見える態度や雰囲気のせいで、すぐに目の前の人物が男性であることは分かるだろう。
「あー? 誰だ?」
そう尋ねるのは目の前の青年。まあいきなり自身の部屋に知らない女がいれば当然の反応である。
「駆逐艦響、今日からこの鎮守府に来ることになったよ」
だから答える、自身の名を、自身の存在を。
「
E-3攻略済んで、E-4だ!!! …………とはなりませぬ。
攻略の終わったE-3周回して、翔鶴さんのドロップを狙いまする。
あと資源も増やさないと、ボーキサイトが2000切った…………orz
>>艦隊数37隻
ゲームだと100隻あってもオーバーフローする艦娘ですが、基本的にこの世界だと同じ艦娘と言うのはいないので、現存する艦娘の実に三割以上になります。