響が可愛いと思ったから勢いだけで思わず書いちゃったような艦これ二次 作:水代
いや、違うんですよ、久々にモンハンフロンティア始めたら面白すぎて、時間足りなかったんですよ(何が違うんだ
あと、実はまだ六話までしかプロットが書けてないんですよね、最後一番大事にメインパートをどうやって進めて、どうやって〆るか、それがいまいち思い浮かばなくてだらだら日時ばっか過ぎてしまって、このままじゃ全く進まない、と思ったので、とりあえず書けるところまで書いてしまおう、と言うことで一話ようやく書き終わりました。
平穏
* two day after *
目を覚ましたそこは、暗い場所だった。
鼻腔をくすぐる鉄と油の臭い。そして響いてい来る重低音な機械の駆動音。
カラカラの喉が一つ息を吸っては吐き出し、また吸っては吐き出すを繰り返す。
密室の淀んだ空気に、咳き込みそうになったが、何とか抑える。
上体を起こすと、薄らぼんやりと見える周囲に光景に首を傾げる。
「……………………ここ、どこ?」
見覚えの無い景色。まるで異世界に紛れこんでしまったかのような。
いや、そもそも、だ。
「……………………私、誰?」
呟いた瞬間、頭が沸騰した。
直後。
コンセントの抜けたテレビがぶつん、と音を立てて切れるかのように。
意識が暗転に包まれた。
* one day A *
うだるような暑い夏。
「……………………………………」
工廠はサウナもかくやと言わんばかりの蒸し風呂状態である。
「て、提督、大丈夫ですか?」
扉を開いた瞬間通り過ぎていく熱風に思わず崩れ落ちそうになる自身を工廠長が支える。
「だ、大丈夫だから…………それで、ようやく終わったんだよね」
焼けるように暑い鉄製の取っ手をけれど倒れないように握り、工廠へと入る。
建造ドッグは工廠の人間しか入れないので、入り口の当たりまでだが、ようやく完成した初めての艦だ、自分の手で迎えに来たいと思ってしまうのは無理も無いと思う。
これが、本当の意味での、自身の初めての部下。
そう思うと少しだけ緊張もする。
本当に自分はやっていけるのだろうか。
それは誰にだってある軽い不安。
首を振って鬱屈とした感情を振り払う。
「物事は何事とて初めこそが肝心と知れ、だね」
それは自身の尊敬する人物の言葉。
未だ遠く、もう決して追いつくことの出来ないその背中は、きっといつまで経っても自身に焼きついたままなのだろう。
あの人の後継だなんてまだまだおこがましくて言えないけれど。
けれどそれが必要とされるのなら、あの人が望んだことならば。
「なってやるさ…………それがケジメだ」
呟き、最後の扉を開く。
建造ドッグから出てきた艦娘がロールアウトされる場所。
だから、その扉の先には――――――――
「初めましてかしら?」
彼女がいるのだ、そんなこと、
「暁型駆逐艦三番艦
だってこれは。
「よろしくね、司令官!」
* today *
うっすらと汗ばんだシャツに着心地の悪さを感じながら、目を覚ます。
暗い部屋の中、仮眠代わりに寄りかかっていたソファから体を起こすと、あちこちと体が固まっているので軽くストレッチして解きほぐす。
血流の巡りを感じ、ビリビリとした痺れに顔を歪めながら机の上に置かれた電子ケトルのスイッチを入れる。
「相も変わらずホテルみたいだな」
海軍本部、その中にあって将校たちに与えられる部屋の一室。火野江中将に与えられた部屋は、与えられてからほとんど内装を弄ってはいないが、その様はまるでどこぞの高級ホテルを思い起こさせる。
あるのは部屋の中央にドンと置かれたベッド、壁際に寄せられた人一人分ほどの大きさの机と冷蔵庫、あとはトイレと簡易風呂とまさしくホテルだ。さすがにテレビまでは置かれてはいないが、申請を出すか、持ちこみでもすればそれも揃うだろう。
まあ仕方ないのだろう。将校クラスになると、本部での会議に数日単位で拘束されることも多い。
下手に長引けば一週間、時には一ヶ月近くにもなることだってある。
それを考えれば、こうした環境を整えておく必要があるのかもしれない。
汗ばんだシャツを取り替えようと、上着を脱ぎ捨てる。
持参していた荷物の中から着替えのシャツを取り出し袖を通す。
「っくし」
くしゃみを一つ。汗で濡れた体が急速に冷えていくのを感じ、思わず身震いする。
寒くなってきた、そんなことを内心で呟きつつシャツを着ると、ふと枕元の時計を見る。
時刻は七時ちょうど。一般人にはまだ早くても軍人ならばすでに起きている時間だ。
多少寝過ごしたとも言えるが、将校クラスならばこれくらい普通、いや、早いほうだろう。
「そもそも昨日も日付が変わるまで決着が付かなかったしね」
現状議会は均衡している。だがそれも今日までだろう、どうせ最終的には結果の決まった議会なのだ、向こうの派閥だってソレが分かっているからこそごねているのだろう、少しでもこちらの有利を打ち消そうと。
議題は簡単だ。
複製艦の建造許可。
正確には現在国が所持している艦娘の中で、轟沈、ないし解体されて減った分の艦娘の建造、だ。
この議題について、海軍はタカ派、ハト派、中立派の三派閥に分かれて互いに議論を交わしている。
中立派の意見は先ほど述べた減った艦娘の補充。
逆にハト派の意見は、艦娘の無尽蔵な建造、つまり建造の完全解禁。
だがそんなことは認められない。中立派が反対要素として出した過去にあった不幸な事件など、こじつけの材料でしか無い。
本当は、ハト派に建造させないための処置である。
と、言うのも全てこのハト派の行いに問題があるからだ。
端的に言えば、ハト派が増徴すれば、この国が滅ぶ。
それは言いすぎだと思うかもしれない、だがこれに関しては誇張は一切無くそうなのだ。
ハト派のやり方は言うならば徹底的な防衛戦術。
彼らは本土さえ守れればそれで良いと思っている。本土の守りさえ固めればそれで良いと思っている。
無限に湧き続ける敵に対して、そんな消極的な姿勢を見せた時点で。
受けに回った時点で、それは滅びが決定する。
確かに防衛に徹すれば早々に滅ぶことは無いだろう。
だが敵の数が無限に等しい以上、いつかは決壊するひび割れたコンクリートダムに等しい。
守り続ければいつか敵がいなくなる。
そんな曖昧な言葉を信じているのが彼らだ。
主導権を渡せるはずも無い。
しかもそれが本気で国を思い、何か策があってのことではなく。
ただ単純に、自分たちの身が可愛さに、自分たちのいる本土を守れ、そう言っているのだ。
まだタカ派のほうがマシと言うものである。
「だからと言って、タカ派を認めるわけにもいかないんだけれど」
もう少し分別があればこちらとしても歓迎できるのだが、あの有様ではもう理性の無い獣も同然だ。
幸い、と言うべきなのか、タカ派自体は複製艦の建造に反対側の立場だ。
意外、と言われるかもしれない。過激派だからこそ、戦力の補充に反対する、と言う事実がおかしいのだ。
そもそもハト派が海軍の腐敗と政治との癒着によって作られた派閥であるのに対し、タカ派は真反対、深海棲艦によって大事な人を亡くし、深海棲艦への恨みを共通点として結成された派閥である。
その成り立ちは主に二つに分けられる。
一つは深海棲艦によって家族ないし友人など親しい人物を亡くした人間。彼らは深海棲艦への抑えきれない憎悪を持って深海棲艦の最後の一匹に至るまで殲滅せしめる、と言う思想で動く。
一つは深海棲艦との戦いによって仲間を失い、復讐を誓った人間。前者が民間人からの志願が多いのに対して、こちらは元陸軍、海軍の別部署からの出向が多い。簡単に言えば、部下や同僚を深海棲艦に殺された軍人だ。その中には当然の話だが、艦娘を失った提督と言うものもいる。
両者とも一部を除けば複製艦の制限解除に賛成するはずの立場の人間だ、だが。
人の感情とは移ろいやすい。これは実際にタカ派の人間の一人に聞いた言葉だが、いざ艦娘を率い戦い始めると、艦娘に対しての情が移り、彼女たちを単純な
つまるところ、今回の議題、賛成の人間と反対の人間の違いは非常に分かりやすいラインにある。
即ち、艦娘と人としてみるのか、道具としてみるのか、だ。
* * *
「なんか久々だな」
穏やかな午後のひと時。
なんだかこうして、ヴェルとゆったりと時間を持て余すのも久しぶりなような気がする。
そうだね、と俺の背後で呟くヴェルは俺の渡した釣竿を持って、海面へと糸をたらしている。
「最近は忙しかったし…………たまにはいいんじゃないかな?」
そう言って笑みをこぼすヴェルに、こちらも苦笑する、と手元の竿がくい、くい、と引っ張られる。
「っと、ヒットしたな」
糸を切られないように、慎重に糸をリールを巻いていく。
「ヴェル、網くれ」
背中合わせになったヴェルにそう声をかけると、
ヴェルが網を取ってこちらへと来る、と重心が移動してか、ボートがぐらぐらと揺れる。
自身が手繰り寄せている糸の先を追って、ヴェルが網を伸ばす。と言っても少し距離がある、必然的にその体勢は前のめりになって…………。
「お、おい、ヴェル、ちょっと下が――――――――」
それほど大きくも無いボートに二人で乗っているのだ、いくら小柄なヴェルとは言え、人一人分の体重を片側に傾ければそれだけ揺れもする。
咄嗟にヴェルを抱えてボートに背から倒れこむ。ギリギリのところで重心が戻ったボートはその船体を大きく揺らしながらけれど、徐々にそれも納まっていく。
「…………納まった…………か?」
波に揺られながら、けれどもう転覆の心配はなさそうだと理解でき、ほっと一息を吐く。
と、自身の胸の中でごそごそと何かが動く…………視線をやると、ヴェルがいる。
そう言えば先ほど咄嗟に抱きかかえたのだと気づく。
「し、司令官…………その、放してもらえないかな? さすがにこれは…………その、恥ずかしい」
いつもの鉄面皮とは違う、頬を僅かに赤らめたヴェルの姿に、目を丸くし…………すぐにはっとなって手を放す。
「っと、悪い」
「いや、こちらこそ悪かったよ…………不注意だった」
ボートの中に転がった帽子を拾い、潮風にたなびく髪を抑えながらヴェルが帽子を被る。
ふとしたそんな仕草、別に見るのが初めてと言うわけでもない。
けれど今はどこか――――――――
「司令官?」
ヴェルがこちらを見て首を傾げる。呼ばれ、ハッとなり、すぐになんでもないと誤魔化す。
「あー…………逃げちまったな」
「すまない、次は気をつけるよ」
「仕方ないな、まあ中々良いポイントみたいだし、その内また釣れるだろ」
言えるわけが無い。
髪をかき上げ、抑え、帽子を被りなおす。
そんな仕草に、それも、ヴェル相手に…………。
色っぽかった、なんて。
そんなこと、
言えるはずが無い。
* * *
「電と暁は演習、戻ってくるのは明日だな」
そう告げる自身の司令官に
受話器を肩で挟みながらメモ帳に書かれた番号を押していく。
休憩がてらに司令官が釣りをしようと言い出した時は多少驚かされたが、良い気分転換になったのか今日の仕事は粗方終わっていた。
後は司令官自身がやることだけであり、秘書艦の仕事はすでに終わったので、退室することにする。
「分かっているとは思うが、出撃の予定は無いから今日はもう上がっていいぞ…………まあ緊急事態になったらコールするから、連絡だけはつくように鎮守府近辺にいてくれ、って今更こんなこと言うまでも無いか」
本当に言うまでも無い。何年共に過ごしてきたと思っているのだか。
「分かってるさ」
苦笑し、部屋を出る、扉をくぐり、それから閉めて…………硬直する。
「……………………どうしたんだろう、私は」
呟きながら、ふと自身の胸に手を当てる。
とくん、とくん、と心臓が鼓動を刻んでいる。その脈はいつもよりも随分と速い。
別に運動したわけでもない、呼吸が苦しいわけでもない。
けれど。
「胸が、苦しい」
どうしてだろうか。どこか悪いわけでも無いのに、どこも悪くないのに。
けれど、どうしてか、胸がチクチクと痛い。
分からない、分からない、分からない。
分からないけれど、けれど…………。
あの時だけは不思議と痛みは無かった、苦しさは無かった。
あの時、自身が海に落ちそうになって司令官に抱き寄せられた時。
「…………………………………………」
思い出すだけで気恥ずかしくなってくる。
それでも、思い出すだけで、どうしてか、胸の痛みは和らいだ。
「……………………分からない」
いつからこうなのだろう、ふとそんなことを考える。
そうして思い当たるのは…………。
「あの日、かな」
一度沈んだあの日、覚悟していたはずの死を恐怖したあの日。
自身の意思を、あり方をはっきりと自覚したあの日。
あの日からずっと、自身がこうだ。
ずっと考えても分からない、けれどどうしてか、それを暁にも、電にも、司令官にも尋ねる気にはなれなかった。
こんなにも苦しいのに。
こんなにも痛いのに。
けれど、自身はこの苦しみが、痛みが、大切なものなのだと無意識的に思ってしまっていた。
もう一度、胸に手を当てる。
とくん、とくん、と心臓が鼓動を打つ。
ぎゅっと、身を抱きしめる。
そう言えば、司令官にも抱きしめられたな、なんて先ほどのことをまた思い出して。
とくん
不思議と、心臓の鼓動が、速まった気がした。
なんで恋愛描写入れてるんだろ(
いや、当初恋愛要素なんて入れるつもり全く無かったんですが、友人の一人が
「え? ヴェルと司令官くっつかないの? 恋愛無いの?」
ってすごい驚いた顔されたので、一応考えていた五章へのフラグとして恋愛要素入れてみるか、と愚考してみました。
問題は恋愛描写なんてほとんど書いたことがないこと。お互い意識してる、みたいな感じが上手く伝わるといいんですけどね。個人的に恋愛するなら何ステップか踏んで欲しいところ。でもこの二人って一章からすでに3ステップも4ステップも踏んでる感じだよなあ、と思ったり。
それはそれとして、これ年内に終わるだろうか。
一日二話投稿しないともう無理って領域なんだけど…………。
帰省とかもあるのに、本当に大丈夫かなあ(