――分かって欲しい。これは、我が家の名誉の為でもある。
――すまない、私は君といられる程、強い人間ではないらしい。
(!!!)
突如、聞こえたその声、正確には思い出したその光景に彼女は戦闘中だというのに歯噛みした。その目は普段の彼女を知っている者であれば、驚愕するであろう程には激情に染まっている。
(どうして)
今、思い出す? と、彼女は苛立つ。
(こんな忌々しい
槍を振るい、自らを狙って獲物に群がる荒鷲の如く飛び回る金製の剣の模型にも見える塊をはじきながらも、彼女は過去へと思いをはせていた。いや、別にそうしようとしたのではなかった。一度解かれた記憶の扉は、まるで決壊したダムから流れる水が止まらないのと同じように次々と彼女にとっては忘れたい事を見せていく。
レイナース・ロックブルズ。
奇しくも彼女は現在戦闘中であるラキュースと同じく貴族令嬢であった。あったと言うのは過去形であるからであり、それは彼女の顔にあるある物が原因であった。
幼少期から正義感が強かった彼女は、自身の家が管理する領地に発生するモンスターを率先して狩っていった。彼女の体質に槍使いとしてもいくらか適性があったらしく、その実力の向上はすさまじく、同時に彼女の名声も上がっていった。領民達からしてみれば、彼女は間違いなく正義の戦乙女であったのだから。
もしも、と彼女は仮定してみる。あのモンスターと出会わなければ自分はどうなっていたのであろうと。
そんな彼女の人生の転換点は自らも誇りに思っていたモンスター狩りでの事であった。当時、領民である少女を食らわんと襲ったモンスターとの戦闘での事であった。そいつ自体は彼女はいつも相手にしていたものに比べてそんなに強くなかった。しかし、死に際に放った魔法らしきものを受けてしまったのであった。彼女の脳裏に当時の状況が鮮明に再生される。
初めは何ともなく、何でもないものかと思った。だが、その直後に自身に起きた事を知ることになったのである。
安否を確かめる為に話しかけた少女の表情が凍っていた。初めはどこか怪我をしたのか、あるいはモンスターに襲われたという事実によって心に怪我を負ってしまったのかと思った。が、それも違うと直ぐに気づけた。少女は自分の顔に怯えているようであったからだ。当然の様に彼女は少女へと聞いた。
――私の顔がどうかしたの?
返って来たのは怯えた声であった。少女は自らの頬を振るえる指で示しながら、今にも泣き出しそうな顔で答えてくれた。
――何か……出来ています……
その言葉を受けて自分の顔に手をあてる。顔は毎朝顔を洗うなどで毎日触っていたため、その違和感もその瞬間に感じた。人肌特有の柔らかさではなく、まるで泥に触れたような不快感が肌越しに右手に伝わって来る。離してその手のひらを見てみれば、ついていたのは黄色く、辛うじて液体と呼べるようなものであった。
そこで、自分自身が絶叫しなかったのは普段からの鍛錬のおかげだったと思う。
彼女がモンスターから受けた死に際の魔法、いや、呪いであった。顔の半分は醜くなっていたらしく、とても鏡を見る勇気はなく、しばらくは見ないで生活していたように思える――他にもその呪いの効果なのか、それともそれ程までに歪んでしまった自身の顔が原因か分からないけれど、膿を分泌する性質もあったらしく、顔を拭く布が手放せなくなった。
それ程までに酷い呪いであったが、自分自身は何とか堪える事が出来た。と、思う。それは、少女からの礼もあったし、自分自身の、両親が説いていた貴族の誇りにつながると信じていたから。しかし、家族にとっては違ったらしい。
それから直ぐに彼女は家を追いやられる事になった。彼女の両親にしてみれば、顔の半分が醜くなってしまった娘など、悪い事の材料にしかならなかったらしい。彼女を追放すると、その呪いが原因で彼女は死んだと領民へと伝え、更に婚約も破棄してしまった。
傷心した彼女はそれでも救いを求めて婚約者の元へと向かった。けれど、待っていたのは拒絶であった。その青年にしたって、恐ろしくなってしまった婚約者とは一緒に居られないと思ったのだろう。あるいは、彼もまた世間体を気にしたという事か。
こうして、彼女はそれまでの全てを否定され、全てを失った。
始めは途方に暮れたと思う。何も手につかなかった。そんな彼女が娼婦だとか、そう言った男たちの餌食にならずに済んだのは皮肉にもその呪いで歪んだ顔のおかげであった。
持ち物は長年愛用して、もう体の一部とも呼べる槍一本。当然の様に彼女は冒険者として生計を立てていくこととなった。彼女は強く、1人でオリハルコンまで登り詰めた。常人であれば、そこで満足したかもしれないし、そうでなくとも達成感に幸福を覚えたかもしれない。しかし彼女には何とも思わなかった。そんな時だったとレイナースは思い出す。
――それ程の槍の腕前、見事だ。是非とも私の下で振るうつもりはないかな?
それが、彼女にとっての「鮮血帝」との出会いであった。
その時には彼女には以前の明るさというものはなく、また、積極的に人を助けるといった事もしなくなっていた。自分の事で精一杯であったから。
始めは断った、以前であれば、呪いを受ける前の自分であれば名誉な事だと大喜びしていたかもしれないが、それも過去の話だ。
それでも皇帝からの勧誘は止まなかった。それだけ自分の力が欲しかったらしい。その熱意? に根負けした彼女はいくつかの条件で帝国の騎士となるのであった。
1つ目の条件、もしも命の危機に直面した際、仕えている皇帝よりも自身の身を優先しても良い事。
2つ目の条件、顔に受けた呪いを解くマジックアイテム、あるいはその方法の捜索の協力。
3つ目の条件、自分を捨てた家族と婚約者への復讐。
皇帝からも条件を求められてた。仮に2つ目を皇帝側の協力で達成した際。改めて皇帝への、帝国騎士としての忠誠を誓ってもらうというものであった。別にそれ位は問題ない、それよりも呪いを解くほうが彼女にとっては重要であった為にそれを受け入れて騎士となった。
既に自信を捨てた実家と婚約者に復讐は済んでいる。もう、終わった話である。そうであるというのに。
(おかしい、ですわね)
どうして思い出す。飛び交う鉄塊をはじきながらも、彼女はその理由を探してみる。
(!!!)
思わず、驚いてしまったのは、そんな金塊にも見える鉄塊の1つが自身の太ももを切り裂いたからであった。どういう訳であるか? 自分はこの剣群の動きを完全に捉えているというのに。視界の右上から2振りの鉄塊が迫る。彼女はそれを槍の穂先ではじき返す。
(!! またですの?)
丁度はじいた瞬間、今度は左手首、脈の辺りに痛みを感じた。言うまでもなく、斬られたのであろう。それよりもだ。と彼女はそこである事に気付く。
(動きが変わってきている?)
倒れたまま自分を襲っている6本の剣を操っている目前の冒険者。その目は自分に向けられてい――
(!!!)
彼女はまたも衝撃を受けた。その彼女の様子が明らかに尋常ではなかったからだ。その左目は充血していて、血が流れている。そこまで、確認すれば、先ほどからの変化の理由も直ぐに思い当たる。
本来、魔法が付与された装備、それも彼女が使うこの類はかなり特殊であり、使用者の魔力を消費して使うものである。彼女の物とは少し形が違うが、レイナースもまた、装備者の意図によって、自由自在に動くタイプの魔法装備は見てきている。その扱いで消費する魔力量も違ってくるという。決まった使い方であれば、定められた軌道を描くのであれば、そこまでの魔力消費は多くないという。正し、それを破り不規則に、それこそ無理矢理な軌道を描けば、その消費量は一気に上がるというのである。
これは別に魔法だけに限った話ではない。体を動かすのであったって、緩やかな動作よりも激しい動作の方が疲労が早く溜まるという事であるし。
そして、金塊の動きにも変化があった。それまで決まった軌道というものがあったのに、それが全くでたらめであるのだ。
(本当に)
何なのかと彼女は舌打ちをしながらも、弾き続ける。それでも、少しずつではあるが確実にその身に裂傷が増えていくのであった。
(……ラナー)
彼女もまた薄れゆく意識に、段々熱が無くなっていく体を何とか動かしながら騎士へと視線を向けながらその出会いを思い出していた。
それは、まだ「蒼の薔薇」が結成されてそこまでたっていない時、チームメンバーだって、自分を含めて3人だった頃の事だ。
国王からのお呼びがかかって城へと赴くことになった。叔父の事もあったし、それを抜きにしても自分たちは将来の有望株だと思われていたらしい。実際、現在は最高位の冒険者であるからそれは当たっていた訳だけど。
そこで初めてあの少女と出会ったのだ。世間の汚れを全く知らないといった瞳に、その美しさに同性ながら初めは見とれてしまったものである。
彼女との付き合いはそれからになる。本来の自分の爵位では、一国の王女と親しくするというのは周囲の貴族達の反感を買うものであるが、彼女自身の願いという事と、自分の特殊な立場のおかげで何とか親睦を深めていくことが出来た。
彼女とそのお付きの若い騎士の3人で過ごす時間は楽しいものであった。特に少女の純粋さには冒険者として世間に出て、
――ラキュース、この子、怪我してるわ。
ある時の出来事だ。城の敷地内、そこ咲き誇る薔薇の庭園を案内されていた時の事であった。その庭園には少女が丹精込めて育てた薔薇もあるらしく、それを見せて貰いに向かう途中であった。通路でぐったりとした様子のその存在に少女が気づき、手に載せて自分へとかけた言葉である。
神官戦士である自分は治癒系統の魔法も使用は出来るが、かといって軽々しくやる訳には行かなかった。
組合の規約の1つにそれに関する事があった為だ。無償での治療行為というものは論理的には正しい行いであっても、許されないものでもある。
自分なりに理解はしていたが、それでも完全に納得も出来そうになかった。それでも、積極的に規約破りをするつもりもなかったので、その旨を少女に伝えた所。
――ならば、お金を払えば良いのですね?
そういって、城へと走りだそうとする彼女を慌てて抑えて、簡単な治癒魔法を使用して、その小鳥を治したのである。本当であれば、駄目であるが、その時限りだと伝えた上で。
――見てラキュース! あの子がまた飛んだわ! あんなに元気いっぱいに!
だと言うのに、そんな事は一切耳に入っていない様子で元気になった小鳥を見て少女ははしゃいでいたのである。それは呆れながらも微笑ましい光景であった。
あの少女はとても優しい少女である。国政に関しても彼女の進言で少しずつであるが、良い方向へと進んでいる。それでも、少女にとっては不満らしく時折涙を流していた。
――どうして? ねえどうしてなの?
その都度、自分へと向けられた疑問の声である。少女は不思議がっていた。正しい事であるはずなのに、それが上手く通らない事に、自身の無力さを嘆いているようでもあり、その度にそんな事はないと若者と共に宥めたものである。
(そう、貴方は何1つ間違っていないわ)
彼女の持ち出す話は少し難しいものであるけど、確かに王国へと利益をもたらすものであるのだ。民が日々を平穏に生きていけるよう願ってのものであるのだ。それが通らないのは彼女にも全く原因が無いとは言い切れなけど、結局はあの馬鹿どものせいである。自らの利益を最優先にするあいつらの。
だからこそ、先ほどこの騎士が言った言葉を聞いた時、自分の中で何かが壊れたように思える。あれだけ、優しい少女を、あれだけ国を思える王女を自分は他に知らない。だと、言うのに帝国が王国を併合してしまえば、彼女は処刑されるという。それが無性に許せなかった。
(…………)
いくら、自分がここであがいた所で無意味かもしれない。彼女1人をどうにかした所で、王国と帝国の兵力差はどうにもならない。
それでも、と彼女は目前の騎士をその目に捉え続ける。その目にしたって、しっかり映っているのは右目だけであり、左目の方は視界がぼやけてきており、更に言うのであれば流れてきている血で真っ赤でもあった。
(……まず……いわね)
意識は更に遠のいていくが、何とか少女と若者の顔を思い出して奮起する。彼女たちとは友人であるが、年齢で言えば自分が最年長である為、どこか妹に弟のようにも思っていたのかもしれない。それでも、彼女は魔法武器を振るうのを止めない。その6振りの剣はその速度を増し、更に不規則な軌道を描き、騎士への攻撃を当てつつあった。
その魔法武装には、重爆と呼ばれた彼女も推察した通り、決まった軌道というものが決まっており、その型は所有者であるラキュースも当然熟知していた事であり、それだけでも十分強力な武装のはずであるが、相手もまた桁違いの実力者なのである。
(ほ……ん……とう……に)
天とは不公平だと彼女は思った。一見、やる気なさげな彼女がそれだけの才能に恵まれているという事実に嫉妬している自分がいるのを認めたからだ。
彼女は速い。目で見てから反応できるのであり、そうなってしまうと不意打ちの類が全く意味をなさない。少しでも攻撃の軌道を読まれてしまえば、ほんの1割でもその情報が分かれば、足りない分を彼女はその身体能力で補う事が出来るのであるから。
この武装で可能な攻撃の型は全て、試している、と思う。断言出来ないのは情けない事であるけど、まだ自分が見つけられていない型だってあるかもしれない。自分が把握している剣群の動き方は約60通り、しかし、その殆んどが既に彼女には効かないものとなっている。
本当に、手強い相手だと、彼女は意識を失わないように自らの舌を少し強めにかみ、ほんの少しであるがその表面に傷を付ける。おかげで口内は血で溢れてしまうが、その不快感に痛みが今しばらく自分の意識を繋いでくれる。純粋な実力では4騎士最強も嘘ではないらしい。そんな彼女にとって、自分が必死に見つけた剣群の軌道なぞ、一度見てしまえば、体で覚えてしまうものであったらしい。
ただでさえ攻撃を受けてくれないのに、戦闘を続ければ続ける程、自分にとっては不利になる要素しかない。ならばと、彼女がとった戦法は正に自殺行為でもある。
確かに彼女の魔法装備でも一から軌道を描く。という事は可能であった。しかし、それは同時に彼女の体に相当な負担をかける行為でもあった。更に言うのであれば、そうやって死にもの狂いで作った軌道にしたってレイナースには一度しか効かない。彼女は一度見てしまえば、以降はそれに倣った的確な動作を体にさせればいいのであるから。
ならば、と彼女はやるしかなかった。そう、すなわち先ほどから騎士を襲っている一撃に、連撃の型、それは全て彼女が即興で作りあげてゆく新たな軌道である。それが、急激に彼女の体力を奪っていっているのは誰よりも本人が分かっていた。それでも、彼女は止まらない。既に彼女がやっている行為は冒険者としても問題があり、その武装の運用にしたって、体は勿論、頭への負担も大きく。将来的に彼女の体に取り返しのつかない障害を残すかもしれない。
それでも、彼女は止まらない。転がしたサイコロとは止まることを知らないと言わんばかりに。
「おい、
それまで行ってきた行為ですっかりその周辺は血だらけになっていたが、そんな事はまるで気にもならないように男は現在拷問中の彼女へと言葉を投げかける。対して、彼女は意識を荒くしながらも――
「…………」
答える事はなかった。その姿も見慣れたものらしいのか、男は冷たく言う。
「やれ」
その言葉に彼女の左手に武器を押し付けていた男は黙って、その足に力を入れる。これまでよりも、鈍い音が響き――
「~~~!!!」
彼女は声にならない叫び声を上げる。それでも、それを見守る者達に彼女を哀れむ者は勿論、自分たちがやっている行為に罪悪感を抱く者達もいない。これは、正当な報復であると誰もが信じて疑っていないから。攻撃を仕掛けて来たのはあちらであり、もっと言うのであれば彼女達が自分たちに攻撃する事こそ間違っているのだ。それに、こいつは先ほどまで自分たちの仲間を散々殺して来たのである。ならば、彼女が受けているこれは当然の報いなのである、と。
そこで、質問をしていた男はその作業中は彼女の視線に合わせる形で膝を折って中腰だったのを再び足を伸ばし直立して、彼女を見下ろして言う。
「正直、ここまで黙ってられるのは、すげえよ。それは認める」
その言葉に彼の仲間らしき2人も頷き、この場に来ていた帝国兵達は面白くなさそうに舌打ちをする者達が続出した。
「それは、どういう事なんだ?」
一同の不満を察して男にそう問いかけるのは、彼女が劣勢に追いやられるそのきっかけにもなった長弓部隊一の腕を誇る兵士であった。
「ああ、それはな」
男は語る。
しかしながら、疑問も沸く。彼らが元冒険者の帝国正規兵という変わった経歴を持っていたとしてもだ。こんな残忍な拷問を知っている理由にはならないはずである。
と、言うのも冒険者組合はどこも神経質であり、そんなものが必要になりそうな犯罪めいた仕事は一切受けないようにしていると言うのもある。しかし、それ以上に男たちの経歴が更に複雑なものであるのが、その理由でもあるのが。
忍び姿の鎖鎌使い、ヴェイガン・ガルメン。
軽装のハルバード使い、デネット・イーブス。
タレントにより、空を歩く大剣使いでもある男、アルス・タイラ。
3人揃ってトライ・アスラ。
それが、彼らのチーム名であり、そして、過去に名をはせたワーカーチームの名でもある。
そう、彼らは初めはワーカーとして活動を始め、後に帝都の冒険者組合、その長に頭を下げられて冒険者へと転向、さらに皇帝の目に触れ、その申し出を受け、正規兵となった経緯を持つ者たちであり、彼らがこのやり方を知っていたのも、初期の仕事にその手の仕事が溢れていたからだとも言える。
それは、単にそんな事態が帝国でたくさんあったとかそういう訳ではなく、その仕事の受けてが不足しがちな事も関係していた。いきなり仕事は捉えた人間の手足を切ってその情報を吐きださせる拷問ですと言われて出来る人間はどれ位いるであろうか。
(無理、だな。そんなおぞましい事)
そう考えたのは長弓部隊に所属する1人であった。現在、この場には彼らに自分たちと総勢23と言った所。アノック達ライダー部隊はあの後、上層へと飛んで行ったのである。今も交戦中の他の部隊の援護がその目的であろう。
そして、男は冷静になってきて吐き気が襲ってくるのを何とか堪えていた。この場に居る者達だって、本来はあんな酷い事が出来るのは勿論、見ている事さえできないはずである。それでも出来てしまうのは、彼女に殺されてしまった仲間達を思ってであろうし、その憎悪もあれば、一種の集団心理かもしれないと男は思考を続ける。もしも、ここで「もう、やめよう」なんて言えば、膨れ上がった憎悪の矛先は例え味方であっても、それを口にした者に向けられるであろう。
(それも、無理のない話ではある)
帝国が王国に抱く印象はとことん悪い。例の薬の件もあれば、王国から帝国へと逃れてくる者達が毎年いるのであり、彼らが言うのだ。あそこは酷い所であると。
現在は帝国でワーカーをやっている戦士の話が。曰く、王国ではどれだけ働いても生活は楽になることはなく、また畑にしたって相続権は長男が優先であり、次男以下になってしまうと他の職を探さなくてはならない。しかし、専門の学業を修めるといった余裕は当然の如くない。
ならば、武器を振って兵士になるか、冒険者になるしかないが、兵士になったとしても平民出身というだけで、その賃金は低く。王国で正規兵というのは、もっぱら、貴族の出が多いのであり、平民、というだけでその立ち位置が良くならないのはかの戦士長の件からも証明されてしまっている。
それならばと、彼はこの帝国に来たのであり、現在は帝国でも有数のワーカーチームを率いている。
(かぶと虫って、あだ名だったけな)
その体格に鎧の形などから彼はそう呼ばれていたはずである。そんなことよりも自分たちにとっては王国を憎む理由は正にそこである。
貴族の台頭。
帝国は我らが「鮮血帝」の働きで大分マシになってきているが、あの王国は未だ貴族達にとって都合の良いように振り回されているとか、いないとか。
(やはり)
今の国王は勿論、歴代の国王もとんだ無能であったらしいと男は内心で嘲笑う。貴族にも良心的なもの達がいる事は確かである。現に、先ほどアルスが叫んだ名前の中には貴族出身の者達も何人かおり、あのアノックだって貴族の出である。
(それでもな)
王国の貴族共はその大半が救いのない屑共である事に変わりなく、一刻も早く帝国が王国を併合しなくてはならないと男は今しばらく続きそうになる拷問を何とか見届ける覚悟を決めるのであった。
そう、かつて帝国も王国と同じように腐敗貴族による不当な支配が続いていたのであり、その事実が彼らが王国を憎む理由であり、そんな王国を庇う行動を取る者達への敵意へと繋がっているのであるが、それも含めて「鮮血帝」の策なのかは真実を知る者はいない。
アルスはその場にいる者達に聞こえるように、彼女のその胆力について説明をする。
「この手の事はよ、昔はよくやったものだが、大抵小指の先を落とした時点でそいつは泣き叫ぶもんだけどな」
実際に指を切った経験はないけれど、それを聞いてその場の者達はその痛みが相当である事だけはなんとか察する。その上で言えば、この小柄な魔法詠唱者は確かに大したものだと言えよう。
彼女の左手は既に手とは呼べず、赤黒い肉の塊にしか見えないものであり、その先は血だまりになっていて、その中に肉片がいくつか落ちている。現在も彼女の体は複数人の兵士たちによって取り押さえられていた。
客観的に見れば、年端も行かない少女を複数人の男たちが抑えているという限りなく問題しかない構図ではあるが、本人達はそれ所ではない。
「てめえが、唯のいけ好かない女じゃないってのは本当らしい。そこは認めるよ」
「……そうか、それは光栄だな」
ここで拷問が始まって初めて彼女は口を開いたのであるから、周囲の者達は警戒を強め、体を抑えている者達はその手に力を込める。
「けどな、だからといって、やった事を許す事に繋がらないし、情報は必要だからな。次は右手だ」
「そうか……」
簡素にそう返す女に彼は少々、苛立ちながらもデネットへと目配せをする。答えないのであれば、答えるまでこれを繰り返すだけであると。
(たく、本当に何なんだよ……)
男は疑問でしょうがなかった。この人物がその外見に反して単なる自身の強さを奢っている者ではない事は理解出来ていた。それでも、納得が出来ない部分もあった。
(そこまでやる価値があるのかよ)
あんな国にと男はこめかみに力が入るのを感じていた。彼女達が何者かの指示によって、この場に来たのはまず間違いない。冒険者にこんな事を平然とさせるそいつにも当然報いは受けて貰わないといけない。
「おい、てめえ」男は不思議に思った事を彼女へと聞く事にした。「何でそこまで出来る?」
「何だ……早く始めないのか」
「ああ、そうするよ。その前に教えろってんだ」
その言葉を受けて、彼女は数秒思案した様子を見せると、やがて声が返ってくる。
「あの……馬鹿の……面倒は…………私が見ないと……いけないからな」
「あ? あの馬鹿?」
「私は……最年長だからな」
「そうかい、よく分かったよ。んじゃ、再開だ」
そう言って、再び質問をしようとした彼に彼女の力ない笑い声が届き、それによって彼はまたも疑問を口にしていた。
「おい、何を笑ってやがる?」
「いや、礼を言わなくてはな、と」
彼女は何を言っているのだろうか? 続く拷問に遂に理性が壊れた? その可能性は十分にある。そうやって心を壊した者だって過去に何人も見てきたのであるから。
「何のだ?」
当然の様に男はそう返し、そして仮面をつけている為に、その表情を伺い知る事は出来ないが、それでも自分達に対して、何かしら感謝しているのはその声音から分かった。
「こんなに、時間を浪費してくれて……」
「「「???」」」
「何を言ってるんだ? こいつは?」
その言葉にその場の者達全員が首を傾げ、1人が声を上げる。確かにその疑問は最もである。彼女の言う事は意味不明ではないか、自分たちは先ほどから彼女を痛める行為しかしていない。一体何を感謝すると?
(いや、待て?)
アルスはそこで、此処までのことがどこかおかしいのではないかと初めて疑問を持った。彼女がやった事に対する怒りで目が曇っていたのかもしれない。
(大体、俺が叩き落した時から)
彼女は無抵抗であった。それが、そもそもの前提としておかしいのではないか? 彼女が魔法詠唱者としては相当な腕前、それこそ宮廷魔術師殿には遠く及ばないかもしれないが、それでもその腕前が本物なのは機動力であれば現在の帝国軍で3本指にも入る、‘激風’が率いる部隊をほぼ壊滅させた事からも分かる。自分たちが勝利して、この状況に持ち込めたのは、その部隊が粘りに粘り、彼女の魔力を消費させたからであり、もっと言えばその部隊と現在彼女の拷問に立ち会っている長弓部隊の働きあってこそである。
(そう、それは間違いないはずなんだ)
一度消費した魔力というものはそう、簡単に回復しないはずである。それを主目的としてアイテムがない訳でもないが、それだって使用する機会は与えていないし、時間経過による自然回復だってあり得ない。
魔力とは体力に近いものであり、回復させるにはしっかりと体を休ませる必要がある。しかし、彼女の場合その時間は一切なかったはずであるし、それは事実であるはずだ。
(なのに、何だ? この違和感は)
その答えは彼女の言葉で分かる事になるが、その時には全てが遅かった。
「…………的が集まってくれて」
「こいつ! 総員!」
彼女の狙いをようやく理解して、叫ぶがその時には大量の血が噴水となり、それが何本も吹き上がり、同時に四肢がが何本か飛んだ。突然、空間、それも集まった兵士たちの間に水晶製の大剣に、ナイフ、バトルアックス等複数本の武器が出現したのであり、それにより数名の命は一瞬にして奪われた。男自身も腹を割かれ、そこから自身の臓器がこぼれる様を見る羽目になったのであるから。
(くそ! そう言う事かよ)
彼女は別に魔力切れなんか起こして等いなかったのである。全て、この為、自分たちが彼女の周囲へと集まる事を狙った自らの身も切る覚悟で仕掛けられた罠であったのだ。
「苦労したよ、お前たちの位置を把握するのに……視界は限られているからな……」
その言葉と共に彼女は空いた手、唯一動かせる右手の指を器用に鳴らす。それと同時に武器は暴れ回り、正に暴力の嵐が吹き荒れた。完全に不意を打たれた事と、この場にいる者の大半が長距離戦闘を視野に入れた身体づくりをしていたためにその攻撃に対応が出来ずに引きちぎられていった。男自身もその瞬間には右腕を失った。仲間の2人もまた、それぞに喉元を抉られたり、あるいは袈裟斬りにあって、果てていた。
(畜生)
始めから彼女の術中であったのだ。多対一における、多の方のやり方として、射程を利用した集中砲火があり、先ほど彼女に行っていたのはそれであった。故に彼女はわざと捕まってみせたのである。
(くそったれが)
せめて、その面を拝んでやろうと彼は左腕を必死に伸ばす。これまで顔を確認しようとしなかったのは、それも手段の1つとしてとってあったというのもある。手に足の指を全て切断した後、次は歯で拷問を行う予定であったからだ。
飛び交う凶器の中、彼は何とかその仮面に手をかけて、それを外すことに成功した。そして、彼女の顔を確認して――
(……そういう事かよ)
こんな事であれば、もっと早くそれを確かめるべきであったと今更ながらに男は後悔した。全ての答えが分かったからであった。どうして、彼女はそんな捨て身の戦法を取れたというのか。
やがて、彼女が召喚した武器による蹂躙は終わり、彼女は左右で長さが違う足で苦労しながらも立ち上がり、水晶の剣2振り程、器用に操り、半分になった右足に持ってきて、そして更に水晶製の鎖を召喚して、それを巻きつける形で使用して足と剣を固定した。即席の義足と言った所だろう。次に片手で自らの破片を集め、それを備え付きの布に包んで、ゆっくりと小さな歩幅で歩き出した。その途中で文句を言うように言葉を発した。
「たく、切るならもっと丁寧にやってくれ。くっつけるのが大変じゃないか」それから彼女は取られた仮面を身に付け、さらにぼやいた。それは、普段の彼女らしからぬ悲し気なものであった。「ふん、拷問か、慣れていたとしても声は上がってしまうものだな」
そのまま、彼女は足を引きずるようにその場を立ち去ろうとする。そんな彼女に後ろからそれこそ、虫の息といった感じで声がかかる。
「おい、待てよ」
「何だ? まだ生きていたのか?」
彼女が驚くも無理はない。その言葉を口にした男、アルスは現在、上半身のみの状態であり、その状態で口を開くのは勿論、生命活動だってとっくに終わって良いはずであるのに。
「てめえ、文字通り、
その言葉に彼女は多少思う所があったのか、後ろを振り返り、目だけで自分を見据えている男へと視線を移して自嘲気味に笑った。
「そうだな、私に似合いの言葉だろう?」
そう、まるで仕立てたドレスを自慢する令嬢の様にも聞こえたそれに、男も笑って続けるが、その声は次第に小さなものになってきているのも確かであり、それは男の最後の言葉になるであろう事はお互いに理解している様子であった。
「驚きだよ、てめえの様な奴が……あんな…………屑共の、為に……戦って、いる、なんてな」
「さっきも言っただろう。私はあの馬鹿の面倒を見ないといけないんだ」
言いたいことはそれだけかと彼女は行こうとしたが、男は更に続ける。
「てめえ、の為に…………忠告して、やるよ」
「??? 何だ?」
この状況で自分に対して何を言うつもりであるか、多少気になった彼女は彼を見据えた。そして、男は残された左腕を必死に上げ、その手を、その指を動かして彼女を指さして言う。それは、憐れみと嘲りが半々に混じったものであった。
「てめえ、が、どれだけ……あの国に、尽くした…………としても、誰も、感謝なんざ……しないんだぜ、むしろ…………」そこで、事切れたように男の腕は地へと落ち、その口から血を噴き出した。「……………………」
それが、男の最後であったらしい。そして、彼女は空を見上げて答えた。それ位はしてやっても良いかもしれないと思っての行動であった。
「そう、かもしれないな。いや、その通りだろうな……」それから彼女はもう一度彼の方へと視線を向けて、続ける。「じゃあな、若造」
彼女は歩き出す。目指すは上層、自分の歩く道がどれ程血にまみれたものであったとしても、それが自分の立ち位置であると、認識を新たにして。
仮面を付けた2人組は第1層へと繋がる階段を上がっていた。その道中、倒れている帝国の兵達の様子を確認しながらである。
「こいつは、問題ねえな。気を失っているだけだ」
「そうですか、それは良い事です」
白髪の人物の言葉に少年はそう返す。人が死ぬのはどうにも辛いと感じる所がある。
「どうやら、初めはあの貴族剣士様も出来る限り穏便に済ませようとしたみたいだな」
「ならば、どうして、それがこんな戦闘になってしまったのでしょうか?」
思わず聞いてしまった事に少年は後悔した。男がどんな言葉を返して来るか分かっていたからである。
「人間てっのは結局馬鹿でね、無理だと分かっていても、そうしてしまう事があるんだよ。今回の件について言えば、双方共に引き下がるつもりがなく、行くところまで行った結果って奴だろうな」
それが、男、ベルゼブブの意見なのであろう。この遺跡にある物、それが王国と帝国、そのどっちに流れるかで、国の未来が変わるのである。本来、冒険者である彼女達にその資格はない。
「たく、大変だね、あのお嬢さん方も。ま、その方が都合は良いかもしれないけどよ」
「どういう意味ですか?」
思わず言葉が冷たくなる。こんな状況をこの男は楽しんでいる素振りが時折見られるのであるから。
(やっぱり)
彼は嫌いであるし、彼が普段仕えているあのスーツの人物もその下にいる彼らも自分は信用出来ないと彼は思った。あの者達の中で、信頼が出来るのは優しき巨漢だけであり、彼を含めた2人は人間をいたぶる趣味の持ち主であったし、2人は特に何かする訳ではないけど、人間というものを見下していた訳であるし、残りの2人に関して言えば、全くの無関心であったからだ。
現在、自分たちの主が勧めている計画における人間の扱いというものは、かなりデリケートであると言えば良いだろうか? 今回の件だって、死んだ者達を蘇生させるのはあくまで、この事態が事故であるというのが自分たちの上位者達の判断でもあったからだ。それでも、瀕死の状態にするというものであるけど。
(なんとか)
完全に治療をする訳にはいかないものかと思った所で男の声が返って来る。
「おい、何の為にポーション瓶を置いていっているのか分かっているのか?」
「分かっていますよ。自分たちの行動を此処で、双方の勢力に知られる訳にはいきませんから」
「そうそう、分かっているのであれば、良いんだがな」
幾ら、自分たちが出来る事が多くてもそこに制限を駆けなくてはならない。例えば、死んだ人間を蘇生させたとして、その状況を当の本人達が受け入れらるかと言えば、どうなるかはかの上位者達でも予測がつかないと言う。
ならば、瀕死の重体にしてやった方が、本人達がその事実そのものの認識をうやむやにして処理しまう可能性が高いという話であった。
(……)
少年は普段、見せる振舞から大きくかけ離れているように舌打ちをした。それが分かっているのも、あそこで何が行われているか知っているからだ。その対象はどうしようもない屑だと判定された者達であるけど、それでも心苦しい事に変わりはないのである。
「すみません、話の趣旨がそれてしまいました……それで、先程の話なんですが」
「さっきの? ああ、あれか、それはな……」
彼は語る。彼女達がやっている事は、確かに問題であり、もしかすると王国での立場を失くす物かもしれない。
「だからこそ、こちら側に引き込みやすいってな」
「悪趣味、悪知恵だけは素早く回るんですね」
「おい、その言い方はねえだろ」
「事実でしょう」
しかし、不思議にも感じた。それは結局、この男が彼女たちの事をそれなりに評価しているという事でもあるから。
「やっぱり、叩き落とされた件が関係しているんですか? 忠犬」
「おい」そこで、男の空気が変わった。明らかに自分の発言に気分を害したようであった。「何でそれを知っている?」
「あの方が嬉々として話してくれましたよ」
そう、現在上層にて帝国兵達を無力化しつつも神祠を目指している彼女からの情報であったはずである。
『本当に面白いものでありんした!』
まるで、世の中の不思議を発見したと自慢げに語ってくれたものである、新たな研究内容にもなりえると、彼の方を見れば、片手で顔を覆っており、「まったく、カーミラ様は……」と、愚痴を吐いているようであった。その姿に少しだけであるが、先ほどまでの不満が軽くなったのを感じた。
「ああ、まあ、良いとっとと次に行くぞ。多くの帝国兵を救護して」
「‘死者など始めからいなかった’事にしなくてはなりませんからね」
そのやり取りの間にも彼らは帝国兵達の介抱をしていく、その状況を見て、可能な限り、不自然にならないように細心の注意を払いながら。
一方で、神祠の方でも状況は動いていた。ここがこの遺跡の最も大切な場所であるのは、外見から想像がつくことであった。そして、そこでは帝国の歴史に名を残す人物が今もその調査に没頭しており、そしてそれを護るように1人の騎士が無法者達へと名乗った。
「‘雷光’バジウッド・ペシュメルと名乗れば、話は通じるかね」
「そうですか、あなたが有名な」
此処まで来た一行を代表して言葉を返すのはペテルであった。彼女から指揮を引き継いだ以上、自分がやれる事はしなくてはならない。
「とまあ、いきなりで悪いが、引き返しちゃくれないかね――こちらとしてもあまり殺傷沙汰にしたくはないんでな」
そう言って、騎士は背に背負ったグレートソードを引き抜き、地面を叩きならす。その音は室内を反響して、雷鳴の様にも彼らには聞こえた。
(文字通りの警告ですか)
彼の実力は帝国随一、それにその後ろに控えている人物も見て、彼は帝国がこの地にどれだけ力を入れているのか把握して戦慄した。
(ニニャ、あのご老人は)
(はい、わたしも噂でしか聞いた事はないんですけど)
後ろでに彼女が伝えてくれる。現在、自分たちの視線の先で、この遺跡にある物をを物色しているらしき老人がそうであると。
帝国主席宮廷魔術師にして、第6位階の魔法に使い手でもある間違いなく逸脱者とも呼ぶべき存在。
フールーダ・パラダイン、その人物であった。
(これは)
仮に戦闘になったとしても、自分たちに勝ちの目などないではないかと。それでも、何とかしなくてはならない。
「帝国は、ここで何をされているのですか?」
此処まで何度も彼女がした質問をしてみるしかまずは思い付くことがなかった。騎士もそれに対して何でもないという風に返してくる。
「別に、大したもんじゃねえさ」
「その言葉を信じる事が出来るとでも? そうであるならば、見せて貰っても良いのではないでしょうか」
「それは出来ねえ話だ。此処での事は機密事項でな」
互いに引くことがない言葉の応酬、騎士達にしたって、此処で冒険者達の要望を聞くわけにいかず、かといって、冒険者達にしたって黙って放置は出来る事ではなかった。その間にも帝国の宮廷魔術師はそのやり取り自身が起きていないように、目の前の文献をあさる事に夢中になっている様子であった。
沈黙が続き、例え死ぬとしても剣を抜こうとした彼らを止めたのは新たな人物の声であった。
「面白そうな事をなさっていますね。私も混ぜてはくれませんか?」
突然の声に、双方が声のした方へと視線を向けた。そこに立っていたのは鮮血のように真っ赤な鎧に仮面を付けた人物であった。
王国、帝国、そして墳墓。ここに3勢力による会談が始まるのであった。