揺れる馬車の中、窓などない為に、外の様子は全く分からない。故に、アインズ達も静かに過ごすしか選択肢はなかった。
(何か話をするべきだろうか?)
そう思いながらも適当な話題が見つからない。話のネタであれば、ここまでの道のりで全て話してしまったからだ。先ほど、貰った弁当は有難く頂き、ゴミはまとめて隅に置いてある。味は、一流の職人が手掛けたとあって、味は確かであった。最も、墳墓の事を抜きにすればになってしまうけど。
周囲に視線を回してみれば、従者である彼女達も静かに待機している。レヴィアノールの方は覆面を被っている為に何を考えているかは分からない。彼女に関してはいつもの事である為に、あまり気にはしない。
(と、言ってもな)
どうしても以前の失態を思い出してしまう。彼女とカルネ村にて姉妹の世話係を務めているメイドがやらかした事、過ぎた事であるというのに頭に浮かんでしまうのはそれだけ、その時の事が印象強く残っているからであろう。
(いや、大丈夫だ)
自身に言い聞かせるようにアインズは思考を切り替える。恐らくは、メイドの方に問題があったのであろうと、彼女は以前の件でもやった事があるのであるから。
(ルプスレギナって、意外とな……)
普段の言動、と言ってもアインズが見ているのは従者としての彼女であるけど、それを見る限りでは彼女は仕事が出来る人間であるのは間違いない、以前カルネ村に赴いた時の対応など見てもそれは、間違いないし、アルベド等と話をすることがあるが、そこでも彼女の働きぶりは好評だ。
(それは間違いない……しかしな……)
どうにも普段は違うらしく、決して自分が見る事は叶わない。が、それ自体は彼女達なりの気遣いであるのだから何か言うなんて事は自分の我儘である。
そんな彼女は普段はもっと砕けた(あくまで彼なりに言葉を取り繕った表現)性格であるらしく、ナーベラルやシズの彼女に対する態度に時折見え隠れしたりするのだ。
(なんだかな~)
失望とまではいかないまでも、気落ちしてしまう。例えるならば、仕事が出来るキャリアウーマン、新入社員の憧れの的である彼女が実は酒癖が酷いという一面を知ってしまったような気分である。
(違う……)
今自分が考えるべきはそこではないとアインズは今回の目的を改めて整理する事にした。御者の話によれば、目的地に着くまでまだしばらくかかるらしい。それも一直線ではなく、あちらこちらをわざと遠回りする道を選んでいるのであるからそれも当然だ。
(神経質、だが、それも当然か)
内装は高級ホテルのような馬車であるが、その外装は薄汚れて、というよりそういう風に装飾されていたのであるから。
何も知らない人間が見れば、物資を運搬しているようにしか見えないであろう。よって、今しばらく時間はかかる訳であるし、何もやらない訳にはいかない。
(暇……と、いうか、なんだかむずがゆい感じがする)
長時間何もしないで、唯待っているというのは辛いものである。仕事人間だったが故の悲しい性質と言うべきか、非生産的に思えてしまうのであるから。
(さて、今回の目的は、と)彼は右膝に右肘をあて、その手で傾けた頭を支えながら物思いにふける。その様子に黒髪の従者が場違いに胸を高鳴らせているとは知らずに。
アインズは考える。今回の目的、モモンとしては依頼を完璧にこなす。国王と第3王女を護って城塞都市へと送り届ける。
そして、アインズとしては多くの人脈を築く事にある。
(本命は、第3王女かな)
国王がかなりの年齢である事はこれまで得てきた情報で間違いはない。話し合いを設ける場さえ難しい上に、それ程の年齢となれば、考え方を改めるという事は難しいであろう。
(違うからな)
誰に言う訳でもなく、彼は首を振る。別に国王を老害だとか言うつもりは、ない。敬意を抱いている戦士長が忠誠を誓う相手であるのだから。立派な人物である事は間違いはないのだろう。
しかし、決して味方ではないのだから。
現在、アインズが進めている計画。思えば、その戦士長と出会った村の件の後で決めて、宣言した事であるというのに、その進捗は未だに芳しくない。別にそれで彼女達を責めるつもりはないし、元からそんなに簡単に事が進むとアインズも思ってはいない。
(そう、これはゲームだとか、漫画ではないのだから)
此処までの事は、綱渡りような場面も多く、僅かなミスさえ許されないのであるから。それこそ、何年でもかかると見積もってかかるべきであるのだから。
だからこそ、今回の事は千載一遇の好機とも言える。そして、国王ではなく王女に狙いをつけるのも合理的に考えての事であった。
墳墓が主導で形作る楽園、そこに王国を組み込むとして、最も理想的な形は何か? 国王を暗殺して、墳墓所属のドッペルゲンガーとすり替える――あの悪魔が冗談交じりに言った案は当然の如く却下であった。その方法であれば速やかに目的を達する事は出来るであろうが、同時に危険も多い。
次に友好的に接して、という方法であるが、これも難しい。自分達が目指しているのは、ありとあらゆる種族が共存する世界であるが、この国には人間以外の亜人というのが殆んどいない。その認識を変えていくのにはやはり時間がかかる。ならば、現、国王よりは王女の方がまだ話が通るのではないか? という考えが彼の頭に広がり……
(違うからな、決して俺は変質者ではない)
幼い少女をかどわかす成人男性の絵に見えてしまい、思わず首を振りそうになる。決して自分はそうではないと。
(その王女様次第になるが、ひとまずはその彼女と付き添いであるというクライム君と上手く関係を作る。それが一番目、次に……ワーカーと言ったな)
帝国の事も彼女の働きで少しづつであるが、情報は入って来ている。それでも、現地の人物に直接話を聞くこともまた大切であるから。何とか話が出来ないか、あるいはその機会を設ける事ができないかと彼は思案する。
(アインズ様……)
恐らくは依頼の事に計画に事と数多くの事に頭を悩ましているであろう主の姿にナーベラルは胸が痛む感触を味わっていた。主は何かと1人で抱え込みがちである。かといって、今の自分では何も出来ないのも確かであった。悔しいが、自分は主にそこまでの信頼はされていない。
(いえ、これでは不敬に当たる)
主からの信頼はある。それでも、現状をもどかしく感じてしまう。こういったとき、統括である彼女であったり、墳墓一の智謀を誇る彼であれば、主は遠慮なく話を持ち掛けるであろう。それが、悔しくもある。
(適材適所というものね)
その言葉で自分を宥めながら彼女はせめて己が出来る事をやろうと開いた右手を見ながら心に決める。今回の依頼、同僚の勘だと嫌な感じがするのであるというのであれば、最大限に警戒してしかるべきであると。
それからアインズ達は、2度3度馬車を乗り換えて次なる目的地、最もそこまでは聞いていなかったが、付いた時には既に外は暗く、星さえ輝いている。
アインズ達が通されたのは、裏路地であり、扉をくぐれば迎えたのは若い男性。着ているのは黒ズボンに、白シャツの上から黒いベスト――正確にはアインズにそう見えているだけであり、別の服なのであろう――を着ており、その顔にしても涼し気であり、それだけで仕事が出来る人物であると初対面の相手であっても思わせる雰囲気を持った青年であった。
「ようこそおいでくださいました。アダマンタイト級冒険者チーム、モモン様とその連れの方々とお見受けします」
「はい、その通りです」
アインズの言葉に青年は薄く微笑むと彼らを中へと招き入れる。
そこは、見るからに普通の宿屋ではなかった。と、いうのも店員にしても客にしても全くその姿が見られなかったからだ。これは、アインズの、というより冒険者モモンとしての経験上、おかしな話である。宿にだって、ランクがあり、懐事情によって泊まる宿を選ぶわけであり、モモンも数多くの宿に泊まってきたが、そのどこにしても共通点はあった。
そして、それはここにしても同様である。扉をくぐった来訪者を始めに迎えるのは食堂のような場であるのは変わりがない。しかし、そこに人が全くいないというのは不自然に思えてしまう。いや、必ず誰かがこの場にいるという認識の方がおかしいのであるが、ともアインズは考えた。
「あの、こちらの宿なんですが」
その言葉に青年はやはり笑いながら、それも決して相手を不快にさせる者ではなく、ご婦人であれば年甲斐もなく黄色い声を上げさせそうになるそんな爽やかな笑みを浮かべながらアインズに答えを返す。
「ええ、こちら会員制となっていますので」
「成程、そう言う事ですか」
この宿自体、知っている人間が少ないと言う事であるのだろう。そして、青年の説明は続く。その途中、折りたたんだ羊皮紙をアインズに手渡しながら。
今夜は、この宿で休息して、明日の朝一に指定の場所に来てほしいという事であった。受け取ったそれを広げて確認して、アインズはその場所を、もっと言えば現在地の確認を行った。
「はあ、ここは王都でも外周に位置するところなんですか」
「ええ、そうなりますね」
集合場所は、郊外であるらしく。指定の時間に来て欲しいという事であった。
(全く手が込んでいると言うか)
青年が聞いているのは、自分達の宿に関する事だけであるらしく、それ以上の事は聞いていないという。
「それも、仕事の内ですから」そこで、青年の目つきが鋭くなる。「流石に犯罪となればまた話は変わってきますけど」
「ええ……それも当然でしょうね」話を変えるべく、アインズは気になった事を聞いてみる事にした。「しかし、こんな所では収入も不安定ではないでしょうか?」
実際、こうして泊まる客が少なくてはいくら金額を高くしてもそんなに儲からないはずである。失礼だと分かっていても疑問に好奇心から思わず口にしてしまったアインズに青年は特に気にした風もなく答えを返す。
「ご心配なく、こっちは副業でして」
滅多に開くことが無いのだという。それならば、埃など酷いものであるはずであるが、アインズが見る限りではその影もなく、むしろ新築のような輝きさえ放っている。
(それって……)アインズは更なる好奇心で聞いてしまう。「あの、今日はどのように過ごされていたのでしょうか? よろしければ、教えてもらえますか」
「ええ、構いませんよ」
青年の今日は、朝から夕方まで、本業である酒場で働き、そして1時間前にこちらに来たというのである。
(それが、本当であれば)
つまり、この青年は1時間足らずでこの建物を掃除したという事である。それも、話を聞く限りでは自分達を泊める為だけだと言うのに。
(それ位)
珍しくナーベラルは対抗心を燃やしていた。彼女もまた墳墓所属のメイドであるから。彼女は先ほど見た光景を思い出す。この建物は、見た限りでは3階建て、部屋の数はその規模から12部屋程、6室ずつ2階と3階にあり、1階が今現在自分達が見ている食堂にも酒屋にも見える場所なのであろう。その全てを、それこそ外壁も含めて掃除を行う。時間は60分足らず……
(問題なくこなせるわ)
自分達姉妹の内誰か1人、誰もが担当しても完璧に、否、この男以上の仕事をこなせるとナーベラルは自信を持って答える事が出来ると口に出来ない事を惜しく思うのであった。
一行は、そのまま宿で一泊するのであった。ハムスケは一階で寝る事になり、アインズ達もそれぞれに部屋を貰ってその晩を明かすことにするのであった。
(思えば、移動だけで一日費やしてしまったな――しかし、本来の時間を思えば、十分か)
翌日、アインズ達は再び目的地を目指して歩いていた。時刻は、朝の4時ほどであり、周囲を見れば霧がまだ街を覆っており、人の数も数える程しかない。
「こうして見ると、王都も城塞都市もそんなに大差はないように思えてしまうな」
街を歩きながら彼はそう言う。実際、見た限りでは特にめぼしいものがないように見えたからであった。
(が、それも当然か)
「
「王国の内情を聞いた後だとな」
貴族達にしてみれば、自分の住むところ以外は特に気にならないのであるから。特に金をかけようとも思わないのだろう。結果がこれだ。
「――あ」
「と、気をつけなくては駄目だぞ。ナーベ」
「はい、ありがとうございます」
彼女にしては珍しいとアインズは思った。足元、崩れた個所につま先をひっかけ、彼女は前に倒れかけたのであり、その腕をとっさに彼が掴んだのである。
この舗装されていない道しかり、長年使い回していると分かる建築物等、素人目に見ても、以前の世界で見てきたものと比べてもどうしても劣ってしまうと思うのが彼の素直な感想であった。
(この世界には保険という概念はなさそう。が、それも仕方なし、これから考えていけば良いさ)
どうせ、ずっと先の事になると、それも彼らに意見を求めた上での事になりそうであるが、と彼らは進む足に力を入れる。
しばらく歩いて、彼らが着いたのは王都、その南にある門であった。以前、アルベドに見せた地図にアインズ自身の記憶に当てはめるのであれば、この先は街道へとつながっており、エ・ぺスペルとの前に小規模な都市があり、そこへと繋がっているはずである。アインズは衛兵へと声をかける。無言で渡る人間等、時代だとか、文化水準以前の問題であるから。
「すみません、よろしいでしょうか……」
「ん? 見ない顔だな」彼に声をかけられた衛兵は少しアインズ達を、正確には彼の傍に控えていたナーベラルの美貌に目を奪われ、3秒ほどして思い出したように問いかける。「ああ、モモン様にその御仲間の皆様ですか」
「はい、そうなります」
「そうですか、お噂はかねがね」
アインズは僅かなれど新鮮な気持ちを味わっていた。隣で待機していたレヴィアノールは男の態度に不満を覚えたらしく、威嚇する為に前に出ようとするので、それを手で遮る。
(レヴィア、気にする事はない。これが当たり前なのだ)
(モモンさんがそう言うのであれば、全ては貴方様のご意向に……)
主の頼みもあり、直ぐに引き下がる彼女であったが、抱いた不満は本物である。これまで、英雄としての主を始めて前にした時の人間の反応というのは、見ていて心地が良い物、それこそ本来の自身の在り方であるNPCとしての喜びに近いものであったから。それが、この衛兵はまるで驚く様子も見せない。感覚としては、TVドラマ(無論、彼女はその存在を知るはずがない)5本以上出演して、平日の夕方、正に家族が勢ぞろいするお茶の間の時間(勿論、彼女はこういった事に関する知識も一切ない)。その時間帯に流れる番組、そのレギュラーを3つ程持っている大物(今更ながら、アインズもその手に知識があるか定かではない)が目の前に出てきたというのに「へ~」の一言で済まされるような感覚であるのだ。やはり、思う所は出てしまうのだ。
(ま、気持ちは分からなくもない)
そして、アインズもまた彼女の、もっと言えば彼女達の本来の性質を再認識させられたようであり、やや気力が萎えながらもこれが普通の認識なのだとどこか安堵している自分がいる事を感じていた。
(そもそも……)
この世界の基準が変わっているのである。確かに、自分があの夜やった事は凄まじい事であるのだろう。それは理解出来る。しかし、国中を、アインズは城塞都市での評判しか知らないが、噂が一人歩きしだしているようにも感じていた為に、目前の人物の反応には感謝してしまう。
初めから出来るサラリーマンとして見られるのと、特に何の興味もない新人サラリーマン。どちらに見られるのが良いかと言えば、アインズとしては迷いなく後者であった。
「にしても、どうしたんですか? 確か、ホームは城塞都市でしたよね?」
「ええ、少し、こちらの方に出稼ぎをと思いましてね」
不思議そうに聞いてくる衛兵に彼はそう答えを返す。彼の様子からして、レエブン候は此処まで手を回してはいない。あるいは、元から全く話が入っていないかのどちらかだろう。だとしたら、不要に大貴族の名を出す訳にはいかない。
「アダマンタイト級ともあろう人が、なんともまあ大変ですね」
アインズの言葉に衛兵は感心したように言葉を返す。彼がそう考えたのは、やはり例の噂が影響しているとも言えるし、その都市には2つのアダマンタイト級がいる為に特に珍しく感じる事もないのである。
「はい、お金はいくらあっても足りませんから……」
アインズもまた出来る限り、誠意を持った人間を演じるように言葉を返す。理想的な英雄像を演じる上で、あまりがめつい所を、もっと言えばお金で何でもやる奴だと思われないように気を付けながら。それでも、本音が混じっているのも事実であった。
計画は勿論、彼の元の環境が彼にそう考えさせてしまうのであろうから。
(英雄、と言っても。苦労する時は苦労するよな)
全身鎧に兜と、モモンの表情は見えないけれど、それでも苦笑しているという位は察する事が出来るというものだ。
「にしても、よく組合長がお許しになりましたね」
「それは、まあ、何とか誠心誠意お願いしましたから」
「あの組合長がですか……?」
いくら英雄と称される人物の言葉であってもそこは疑わしく思ってしまう衛兵であり、アインズもまた冷や汗をかきながら、何とか話を繋げる。
(そんなに評判が悪いのか? 組合長というものは)
「ええ、それは……大変でしたよ」
ここは話をあわせるのが一番であるとアインズは含みを持った返答を行う。それを受けた衛兵は「やっぱり」と言いたげに顔をしかめるのであった。
「そうでしょう。組合長がモモン様程の御方を黙って見送るはずがありませんから」
「その言い方ですと、何かと詳しいご様子。後学の為にもお教え頂けますか」
興味半分、怖いもの見たさ半分でアインズはそう聞く。衛兵は少し首を傾げながらも答えてくれた。別に城塞都市の冒険者組合長だけがおかしい話ではないという。有望な冒険者というものはそれだけでその都市に永住する事を望まれるという事であった。
「あの、そもそも」
アインズは一瞬、支配者としての計算だとか、営業マンとしての技術とか、あるいは理想の英雄像というものを忘れて彼は聞いてしまう。冒険者組合というものは繋がりがないのかと。
「ああ、確かモモン様は王国に来て半年たっていないんでしたっけ?」
「ええ、そうなります」
「なら、仕方ないですね。といっても俺も王国での事情しか知りませんけど」
そして衛兵は説明してくれる。
「本来なら、組合の人間が教えるべきなんでしょうが、あのせこい連中が教えるとも思えませんからね」
「ははは、そうですか」
冒険者組合。
それ自体に統括する本拠地というものは無いらしい。
「それは、組合長達が独自で定期的に集まっているという話もないのですか?」
「噂にも上がりませんね」
(だとすれば)
アインズは面白いと思う。冒険者組合、その立ち上げの歴史も大いに気になる。現在、王国だけにとどまらず、各地にある冒険者組合というものはそれぞれが独自の機関でもあると言えるのだ。
巨大な会社が複数の子会社を囲っているのではなく、商店街等に発生する自治会に感覚としては近いかもしれない。
「成程、彼の私に対する異常な態度の原因が晴れた気分ですよ」
「それなら、良かったってもんですよ」衛兵は、一度、周囲を確認してアインズへと顔の距離を近づける。彼がそう言った趣味の持ち主ではなく、単に周囲を気にしていたのは分かりきった事であった。「良いですか? モモン様も一人の人間なんですから、嫌になったらいつやめても良いんですからね」
「ははは、お気遣いありがとうございます」
その言葉は確かにアインズの心に響いた。此処までの道のりで彼は、支配者だとか、英雄を演じる為に己を鼓舞し続けていた。無論、臣下である彼女達もそこは理解しているし、その上で従ってくれているのであるから。そこは感謝すべきであるし、それ以上の事を求めてはいけないとアインズ自身が律している。
それでも彼が唯の凡人である事実は簡単に覆りはしない。営業マンとしてのスキルもユグドラシルの魔法の知識も長い時間を経て形にしたものであるから。
それを目の前の衛兵は知らない。アインズではなくモモンを気遣ったものであるのは理解している。それが無性に嬉しい。
(嫌になったら――か)
残念ながら自分にそうする権利はないだろう。この世界に飛ばされて来て、沢山の間違いを起こして来たのであるから。墳墓を見捨てようとした事、かつての友達を裏切るに等しい計画、姉妹に対してついた嘘、その3つが筆頭であるけど、他にも沢山ある。それは、既にアインズ個人でどうにか出来るものではない。
もしも出来る事があるとすれば、計画を進める。それ以外にない。
(それに、人間――か)
その言葉をおかしく思ってしまう。アインズは疲れ知らずのアンデッド。精神的な疲労はともかく、肉体的な疲労とはもう一生縁がない存在である。それがありがたくもあれば、どこか寂しくも感じる。
「しかし、そんな事では、何か問題が起きる可能性も否定できないではないでしょうか?」
衛兵の説明に疑問を投じたのはナーベラルであった。彼女が受けた印象がそれであるのだから。
彼女は思う。それでは、冒険者としての本分――別に傭兵という名前にしても問題はないのではと思ってしまうその職業の第一は、人々を危険から守る事である。しかし、聞いた話だと各組合は、それぞれのホームとなっている都市を護るので精一杯のようであるから。更に言うのであれば、各組合は更に強い人材を求めて動いているという事であった。
「そうですね~今の所は特にそう言った事は聞きはしませんけどね」
「確かに、ナーベの言う事も全くあり得ないとは言えないな」
あるいは、それがこの世界における限界かもしれないともアインズは考える。自分達は大貴族のおかげもあり、ほぼ時間をかけずにここに来ることが出来た訳であるが、実際の所、城塞都市と王都の距離は離れており、王国全土とあれば、かかる時間も相当なのであり、とてもではない組合同士の連携というものは難しい。よって、それぞれが個別に頑張っていくしかないのである。
(あの男は、だからあんな事を)ナーベラルは先日、組合長プルトン・アインザックから言われたいくつかの言葉を思い出す。(…………)
同時に、胸の辺りが痛みだす。それは、怒りによるものかあるいは悲しみによるものかさえ自分では分かっていない。それでも間違いなく言えるのは、自分はあの男が嫌いであるという事は分かっていた。
衛兵からの話を聞いて、あの人物が主が演じる英雄に何を求めて、そして何を狙っていたのか、これまでの過剰な対応がその為の布石であったと、彼女は気付いたのであるから。その事もあり、ますます組合長への嫌悪というものを強めていた。
彼が城塞都市を思っているのは理解出来る。しかし、だからと言って、主の自由を侵害しようとしているのは許せるものではない。
(いえ、違うわね)これもまた私情からなのであると、彼女は思い直す。(私は、唯)
愛する主に、他の女が近づくのが許せないのであろうと、同時に自己嫌悪する。自分はかなり欲深い人物であったらしい、と。
主に想いを寄せているのは、墳墓では4人、それだって自分が把握しているだけであり、他にもいるかもしれない。
(例えば……)
尊敬の対象である戦闘メイド姉妹の長女だ。彼女はいつも微笑を浮かべて、自分達へと接し、余程の事がない限りは怒りの感情さえ顔に出る事はない。それは、姉として頼もしいしかっこいいとさえ思い、いつか自分も彼女の様になりたいと思えるのだ。
(だって、そうよね……)
今度は気分が落ち込んでしまうのを感じた。異変後、此処まであった事を見直してみれば、自分は大きな失敗こそしていない(それだって、主がそう仰ってくれるからこそであり、実際は不安だらけである)が、何かと取り乱しがちである。事、主の事に限って……
(!!!!)
自分の頬が、頭が、熱くなってくるのを感じて、それを引っ込めようと必死に己を律する。と、同時に自身の未熟さを思い知る。恐らく、これのせいで自分の恋心なんてものは筒抜けであったのだろう。
(アルベド様が全て知っていたのも納得ね、我ながら不甲斐ない)
そんな自分に比べれば、長女である彼女はどのような感情も表に出すことがないのであるから。
彼女は勘違いしていた。その姉にしたって、弱音を吐いたり、感情が漏れる時はあるのだ。上司であり上位者である統括を始めとした墳墓で重要な位置に立つ者達に、仕える存在となった姉妹の前などで、結構晒したりしたりはしているが、彼女はその事を知らない。
ナーベラルは思う。そんな彼女だからこそ、仮に主に恋慕の念を抱いていたとしても、決して表に出すことはしないであろうと、その理由だって彼女であれば、その言葉さえ簡単に想像出来た。
『私はメイド、従者であるのですから。仕える事が出来る。という事実こそ至上の幸福なのですから』
(ですよね、ユリ姉様)
以前、機会があり、姉にその辺りをそれとなく聞く事があり、彼女は否定した。そして、本来であれば、自分に同じく主へと恋慕を抱く3女の在り方は不適切なものであるという事を忘れないようにと釘を刺されたのであるから。それでも、もしかしたらと思わずにはいられない。
(ルプスはあり得ないわね)
これは自信を持って言えた。彼女が主に抱いているのは純粋な尊敬、それ以上でもそれ以下でもない。
『そうっすよね~アインズ様は、すごいっすよ! 私が思いつかない事を次々に考案して、迷いなく実行する胆力の持ち主。まじすげええ!! 尊敬するっすよ!』
以前の集まりで腹を抱えて爆笑交じりに彼女が発した言葉であった。一体、何がおかしいのであろうかとその時は思った。せめて、アルコールに酔っていたとなれば、まだ救いがあったし、そうあって欲しかったが、残念な事にしらふの状態で発した言葉である。当然の如く、長女の拳は飛んだのであった。不適切な言葉遣いとあれば、その場にいた姉妹全員が納得したのであるから。
(シズに、エントマも違うのよね)
この2人に関しては、早い段階で違うと結論が出ている。あの娘達が主に求めているのは(当然の如く、表に出る事はない)父性であるのだから。
(エントマと言えば)
どうやら、彼女に関しては別の相手がいるのではないかという噂が浮上している様であった。その相手は、普段あまり接っする機会はないが、内心では兄のように感じている階層守護者である彼であるのだから。
(あの娘自身にはその素振りは見えないのよね)
現状では、どうなるか分からないけれど、もしも2人がそうなる事があれば、姉として祝福してやりたいという思いはあった。
(他に……)
主にそう言った感情を抱いている者はいたであろうか? 一般メイド達は違う様であった。何というか、上手く言葉には出来ないけれど、違うような感じがした。
ナーベラルは明確に言葉にする事が出来なかったが、彼女達が主たるアインズへと抱いているのは、憧れに近い。例えるならば、人気アイドルのファンをやっている女子高生、主婦のようなものが近いのだろう。
それ以上考えても仕方ないと彼女は思考を前に進める。そんな臣下にも現地にも思われている主、その主が演じている英雄をあの男は何が何でも城塞都市の所属としておきたいらしい。
『良いかなモモン君? 間違っても向こうの組合に行ってはいけないからね』その後、小声であるけど確かに聞こえた。『あの糞野郎の事だ。卑怯な手を使ってモモン君を引き込みかねない』
それに関してはお前も変わらないだろうとナーベラルは思う。その言葉自体は常人よりも身体能力が高い墳墓所属である自分達には聞こえていた。
よって、この都市の組合には間違っても行かないという方向で既に決まっていたのであるから。
「ああ、それが良いですよ。あいつも良い噂聞きませんから」
「その、だいぶフレンドリーなんですね……」
どうやら主たちもその事について会話をしていたらしい。冒険者組合、それも王都にある。その長となれば、それなりの地位にあるはずであり、そんな相手に対して言う言葉としてはいささか問題があるように感じ、主もそう感じたからこそ、可能な限り穏便な言い方にしているのであろう。それは、相手も分かっているようであり、それでも粗暴な言い方は止めない。
(気持ちは分かるかもしれない)
その事自体に怒りよりも共感が出てしまうのはそれだけ彼女がアインザックを嫌っているという事でもあるからかもしれない。
「あの、聞いても良いでしょうか? その悪い噂というものを」
「ナーベ」思わずアインズは声を上げてしまった。しかし、それは怒鳴るようなものではなく、静かにたしなめるようなものであった。「失礼しました。ですが……」
そう言い淀むアインズに衛兵はどこか生き生きとした様子で語りかける。それは悪魔の誘いの様でもあった。
「モモンさん、ここは奥さんの言う通りにした方が良いですって」
「何ですか! それは!」
今度はナーベラルが声を上げる。顔は一瞬で真っ赤になり、それを隠そうとして覆った手も次第に赤身を帯びて行くのであるから。それを見たここまで無言であったレヴィアノールが誰が見ても頭を抱えていると分かる仕草をするのであるから、事態が不味いという事は確かであるようだ。
「あれ、違いましたか? 噂じゃそう聞いていたんですけど……」
「いえ、違いますよ」
アインズも頭が痛くなるのを感じながら何とかそう返す。やはり、おかしな噂が一人歩きしているようだと再認識して、それから話を聞く事に決めた。余り、人の悪い噂を集めるのは褒められたものではないし、アインズは神というものを信じてはいないけれど、それでもそう言った事ばかりしていれば、いつか報いを受けるのではないかと思ってしまう所もあった。それもこれも彼の生い立ちが大いに関係しているのであろう。
(だが、情報は集めておくべきか)
悪評もまた情報であるのだから、もしもこの事が後で問題を起こすのであれば、向こうが持ち掛けてきた事であると、説明すれば良いだろうと。
「そうですね、確かにナーベが正しいのも確か、貴方さえ良ければ教えて頂けますか」
「勿論ですよ。ま、眉唾ものですけど」
衛兵は語る。王都冒険者組合、その人物に纏わる噂を聞かせてくれた。
「そうですか、そうなんですか」
「はい、それが本当だとすれば、とんだ金の亡者でしょう」いや、それよりもと衛兵は続ける。「どちらかと言えば、犯罪者の類ですかね」
確かに、とアインズも思う。その組合長は、冒険者に仕事の紹介をしている裏で、ワーカーの仲介人も務めているという話であったのだから。
彼は、手を兜の顎の辺りにつけて、思案する。(表では正規の仕事、裏では犯罪紛い、まんまドラマだな)
少なくともアインザックはそう言った事はしないであろうと、その部分に関しては信頼できると思いながら。
その話の真実は今は分からけれど、胸に留めておくべきではあると。
「それにしても、本当にあなたは不思議な方ですね」
アインズはそう聞いた。それは、このやり取りが始まってからずっとかといって、そこまで重要でもなかった為にそこまで意識もしていなかった事であるが、いい加減気になってしまったらしい。それに対して、衛兵は丁寧に取り繕いながら、それでいて気楽な口調で返す。彼は彼で英雄という人物を気にいったようであった。
「え、何がでしょうか?」
「いえ、普段は英雄ともてはやされることばかりですから」
嫌味になるだろうと思いながらもアインズはそう言葉にする。実際、これまでを振り返ってもモモンと初対面の人物が取る行動というのは先の一言であったのであるから。
(新人時代はそんな事は一切なかったというのに)
少々心がすさむのを感じてしまう。世の中とは世知辛いものであると、誰もが知っている。それでいて、目をそむけたくなる事実であるのだと認識させられているように。
だからこそ、英雄としてではなく、一人の冒険者として接してくれる衛兵の姿勢が有難かったのかもしれない。
「ああ、モモンさんには悪いですけど、仕事柄、様々な人と関わりますので」
「成程、私以外のアダマンタイト級や、王族、大貴族等を見る機会も多いという事ですか」(ん? という事はだ)アインズは更に興味が湧き、聞く。「その中には、ナーベ程の美貌を誇る方もいるという事ですか?」
それは、別に下心だとかその手の感情から来た物ではなかった。これは、誰も知ることがない事実であるけど、アインズの心というのは、その大部分が統括である彼女に向いているのである。本人さえ自覚はしていないけれど。
アインズが関心を持ったのは彼がナーベラルへと欲情めいた視線を送ってこない事が理由であった。これに関しては彼が己の激情を抑える事が多かった事とも言える。
彼女の美貌というのは、この世界の水準に当てはめるのであれば、やはり相当高いのであり、彼女と初めて会った者は必ずと言って良いほどに見とれたりするものであったが、彼にはそれがなかった。そして、その顔を見る限り、彼の年齢は21と言った所、それなのにまるでこの仕事を長年務めているような貫録を出しているが、それもこの世界であれば、当然なのだろうと結論付けて。
「そうですね、ナーベさんは確かに美人ですよ。でも」衛兵はアインズに気遣うように言葉を続ける。「‘黄金’の姫君に『蒼薔薇』のリーダー等見てしまうとですね」
「そうなんですか……」
アインズとしては好奇心が高まるのを感じていた。基本的に墳墓に所属するNPCというのは、ゲームという名の手が込んだ作り物であるのは確かであるのだから。その容姿が整っているのは当たり前と言えば、当たり前だ。そうではなくて、天然もの――それが正しい表現かは分からないが――としてあるのであれば、やはり興味は湧くというものであった。
何度でも言うが、彼に下心というものはない。どちらかと言えば、珍しいもの見たさという気持ちが強い。
「そうそう、蒼薔薇のリーダーと言えば、蘇生魔法の使い手だって評判ですから」
「それは、本当ですか?」
衛兵の言葉に、先ほどよりも強くアインズは食いついた。自分が知らない魔法の存在がその要因となったのかもしれない。
「はい、実際それで生き返った方もいるみたいでして……でして」
やや言い淀む衛兵に、アインズは何かあるのかと先を促す。
「その言い方、やはり、何か問題もあるという事ですか」
「いえ、誰でも蘇生が出来るという訳ではないようでして」
その対象によっては、灰になってしまう事もあると言う。その事で、彼女が理不尽な怒りを浴びる事も珍しくはないと言う。
(そうか、やはり……)
ゲームでしかなかった、あの世界の法則はこんな所でも影響を及ぼしているらしいとその言葉で確信を持つ。
そして、この世界の人間にもその法則が当てはまるというのである。これは、もう間違いようのない事実でありるようだ。
それに、とアインズは更に考える。この世界では人を蘇生させることに特に論理的な問題はないようであった。というか、命に対する価値観さえ元の世界と違う様であったから。
(それに倣うのであれば)
姉妹の本当の両親を生き返らせるという選択肢も新たに生まれると思うのも束の間、それは無理である可能性の方が高いと結論を出す。もしも、この世界がユグドラシルの法則に従っているというのであれば、個々人の強さもそれにある程度左右されると言うのであれば、カルネ村に住む人々のレベルはそこまで高くはなく、蘇生に耐えられるかどうか怪しい。
(逃げるな、モモンガ。これはお前に課された宿命だ)
「それは、苦労していそうですね。一度、お話してみたいものですよ」
「きっとモモンさんなら、アインドラさんと気が合うと思いますよ」
先ほどからのやり取りで確信した事がもう1つ。この衛兵もまた、かなりやり手の営業マンであるらしい。はじめは敬称であったのが、だいぶ友好的な距離感で話しているのであるから。それも、必死に抑えていたものが漏れ出したといった感じであったから。恐らくは、ここを通る殆んどの人物と友好的な関係を築けているのであろう。
そのやり取りを後ろで控えていた2人と1匹、ナーベラルは先ほど受けてしまった衝撃が激しくて未だ体を熱くしているようであるし、レヴィアノールはその姿に呆れていて、ハムスケに至ってはとっくに船をこいでいるのであるから。そんな状態だというのに主人であるアインズが動くとなれば、即座に目を覚ますのであるから見事なものである。
「と、大分引き留めてしまったな。それじゃ、頑張って来てくださいな。‘漆黒の戦士’事、モモンさん」
「はい、ありがとうございます」
僅かな時間であるけど、それでも親交を深めるには十分であったらしい。衛兵に見遅れてアインズ達は郊外へと繰り出すのであった。
外を出て、アインズは後ろを振り返った。見上げる程に巨大な外壁が見えた。
「こうして、見ると。大きいと改めて実感させられるな」
「そうですか?」
「ふふ、ナーベにしてみれば、肩透かしといった所か」
実際、墳墓に比べれば大したものではないと言えてしまう。立派な一見だけであり、よく見てみれば、ところどころヒビが入っていたり、苔が生えていたりと、長らく放置されているのがよく分かるのであるから。
「さて、余り時間をかける訳にはいかないからな」
一行は、外壁にそう形で歩き出す。レエブン候から指示された集合場所はそこであったから。50歩程歩いて、彼はこの世界に来て自作したマジックアイテムである腕時計を確認する。
時刻は、6:43を指している。
(一応、余裕を持って到着はしているな)
目的地までは、残り7分と言った所であり、レエブン候から指示された時刻は7:00であったのだから。
(10分前行動は社会人として当たり前。その認識はこの世界ではどうなっているんだろうな?)
それは、彼の元の世界で覚えた常識であった。集合場所に予定の時刻より早めに来るのは当たり前であるが、かと言って、早すぎても駄目であった。そうすると、「お前は時間の管理も碌に出来ないのか」とレッテル貼りをされてしまうのであるから。
それを考えると、10分が丁度いい塩梅なのである。
(よし、着いたな。と)
指定されたのは、外壁沿いの草原であった。周囲を見れば、ベンチ代わりに出来そうな岩が数個転がっており、草の長さも様々であり、靴の高さと同じ位のところもあれば、膝程までにのびている地帯もある。遠くをみれば、木々が続き、森が広がりその先はトンネルの先を思わせるように暗い空間が広がり、何があるかは見通せないようであった。
街道から外れた辺り、言うなれば王都から東南東の方角であった。アインズは更に視線を動かす。そして、ここに先客がいる事に気付いた。
(あれが、恐らくは)
レエブン候が自分達とは別に雇ったというワーカー達なのであろう。その本人に護衛対象である王族達や近衛隊らしき影は無く、それ自体は別に疑問に思う事もなかった。
(別々の時間を指定していると、言う事か)
今回、自分達は雇われている身なので、別に不満を言うつもりはなかった。それよりもと、彼は先客たちを見る。その装いから男女の4人組であるようであり、髪の色は金色が3人、紫色が1人と言った具合であり、それが現段階で得られる情報であった。
(少しでも話をしておくべきか)
彼らとは1週間程、飲食、睡眠等供にするのであり、共に仕事にあたる仲間であるのだから。少しでも話をしておくべきである。と、彼は傍に控えた者達へと声をかける。
「では、行くかナーベ、レヴィア、ハムスケ」
「はい、
こうして、アインズは彼らと元の物語とは違った邂逅を果たすのであった。