IS~傷だらけの鋼~   作:F-N

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第十話

ピット・ゲートに佇む隆道は、上着を放り投げ嫌悪感を感じながらも打鉄を展開し今回の目的を自分に言い聞かせていた。

 

(30分………30分は耐えろ。もし出来なくても連戦を避けるために奴の体力を出来るだけ消耗させるんだ)

 

彼の最大の目的は、一夏が持つ専用機の一次移行が完了するまでの時間稼ぎだ。仮に一次移行完了まで時間を稼げず敗北してしまったら、セシリアのコンディションによってはぶっ続けの連戦が予想される、そうなったら意味がない。つまり、時間稼ぎをしつつ彼女の体力も消耗させる必要がある。逃げの一手は許されない。

 

(どこまでやれる?こちとら10分………いや、それ以下の搭乗時間なんだぞ。攻撃が当たるかどうかすら………)

 

素人が、ましてや適性検査でしか動かしていない自分が経験のある、ましてや国の代表候補生に勝つなど夢のまた夢だ。それに加え此方は第二世代機で向こうは特殊兵装を積んだ第三世代機。経験も性能も既に負けている。この条件で勝つ者など、それこそ天才かもしくは人間ですらないだろう。あるいは俗に言う奇跡でも起きない限り不可能だ。

勝負に絶対は無いと言う人間がいるが、今の状況を見て同じ事が言えるだろうか。おそらく言えはしない。言ったとするならば、その人間は本当にそれを信じてるか、単なる馬鹿か。

既に勝利は無く、敗北は決定している。後ろ指を指される事になるが彼にとっては知ったことではない。そんなもの今まで数え切れないほどに経験済みであり、そんなものが可愛く見えるほど凄絶な出来事にも遭遇している。

痛みなど慣れている。物理的にも、精神的にも。

 

「………」

 

ゲートが開放されるまで残り僅かだが、隆道は先程から気になっている事があった。

 

───操縦者の異常を確認。心拍数上昇。処置を実行。………ERROR───。

 

先程からずっと視界にこの文字が赤く表示されている。

昨日もそうであった。一次移行を完了したと同時にこの表示が出てきたのだ。その時はものの数秒で直ぐに消滅したので大して気にも止めなかったが、今は表示されたまま。

 

(操縦者を安定に保つ機能が働いてない………?故障か?)

 

まだまともに動かしてすらいないにも関わらず故障などとんでもない事であるが、別に機体が動かない訳では無いので今すぐ戻って報告することでは無いだろう。それに報告したとして、異常を調査するから出るなと言われたら、それこそ一夏の代わりになった意味がない。非常に鬱陶しく思うが、今は無視することを決めた。

 

(武装は………結構あるな、もはや武器庫だろこれ)

 

彼が搭乗している『打鉄』は全ISの中で最も『換装装備(パッケージ)』が多い。様々な武器や装備が各企業で開発、製造されており、くまなく探せば必ず操縦者に合った物が見つかるほど。

彼の機体はデータ採取が主な目的だが、装備の使用データも欲しいため政府がありったけの武器を詰め込んだのだ。その数は近接武器と射撃武器両方を含めて十種類。

普通の武器もあれば用途が想像つかない怪物染みた代物まで目白押しである。

 

『柳君!ゲート開きました!いつでもどうぞ!』

 

少し思考してる間にゲートは開いたようで、真耶のアナウンスと共に奥から光が差し込む。この先に待ってるのはISを使った戦闘だ。

周囲は試合だの模擬戦だの言っているが、言葉を変えただけで結局は銃火器や近接武器を使った戦闘ということに変わりはない。

 

「………」

 

ISで戦う。その言葉が脳内に焼き付き、彼の鼓動は次第に大きくなる。

 

「はぁっ………………出るぞ」

 

その言葉と同時に彼は歩き出す。

一組全員の、今後決して忘れることのない柳隆道の初戦闘が今、始まる。

 

 

 

───操縦者の異常を確認。心拍数、更に上昇。処置を実行。………ERROR───。

処置を再度実行。───ERROR───。

ショ置ヲ再度ジッ行。───ERROR───。

ショチヲサイドジッコウ。───ERROR───。

 

 

 

 

 

アリーナの中央にて対戦相手である一夏を待つセシリアは相手側のピットが開いた事に、ようやく来たかと溜め息を吐いていた。

 

(ようやく、ですか。あまりにも遅すぎますわ)

 

相手より先に彼女がアリーナに出た事を考慮しても遅すぎる。先程までなにかしらのトラブルにあったのだろうと考える彼女は直ぐに思考を切り替える。

 

(わたくしは男なんて認めませんわ。あの二人の男も、どうせ………)

 

彼女は決して世の中に溢れる女尊男卑などではなく、ただ単に男が嫌いなだけである。厳密に言えば情けなく、弱い男がであろうか。

彼女の父親は情けなく、そして弱かった。それだけではない、周囲の男達も強欲で、情けなく、そして弱かった。

 

(織斑一夏………柳隆道………)

 

この二人もどうせ今まで出会ってきた男達と一緒。

先週は男だからという理由でクラス代表を周囲から推薦された事に激昂してしまい、代表候補生らしからぬ発言をしてしまったが今さら悔やんでも遅い。クラスへの謝罪は後回しにすると彼女は決めた。

彼女は自国で血の滲む努力をし、更に技術を磨くためにここに来たのだ。それを、ろくにISを学んでない男の下につくのは限りなく堪らない。

今回の試合は八つ当たりに近いものだが、それも仕方のない事なのだろう。

彼女もまだ15歳だ。いずれ国を背負うであろう立場になっても感情のコントロールが利かない場合もある。

 

(にしても、ゲートは開いてますのにまだ出てきませんわね)

 

ゲートが開放されればものの数秒で飛び出してくるはずだ。いったいなぜと彼女は疑問を持つが、ようやく出てきた人物の顔を見て───その考えは吹き飛んだ。

 

「あっ、貴方は!?」

 

出てきたのは一夏───ではなく今回のいざこざに全く関係のない隆道。黒灰色の打鉄を身に纏いゲートの先端に到着すると彼はそのままアリーナの地面に飛び降り、着地を難なくこなしアリーナ中央付近まで歩き出す。

セシリアを含め観客席にいる生徒達は驚きを隠せない。なぜ彼がISに乗ってるのか、なぜ一夏ではなく彼がアリーナに出てきたのか、彼の纏ってるあのISはなんだとざわつく。

中には未だに彼に対して恐怖心が抜けていないのか、少々怯えてしまう者も数人ほど。

 

「なぜっ、貴方がここにいるのですか!?織斑一夏はどうなさったのです!?それにそのIS………まさか貴方も専用機を!?」

 

「………」

 

彼は彼女の問いに答えない。またもや無視をするのかと彼女は怒りを露にしそうになるが、千冬のアナウンスによってそれは遮られる。

 

『織斑の機体にトラブルが発生した。調整が終わるまで代わりに柳が試合に出場することになる』

 

「なっ………」

 

『ただいまより、セシリア・オルコット対柳隆道の試合を開始する。始め』

 

セシリアの困惑など関係無しに試合開始のブザーが鳴り響く。始まってしまった以上は仕方がない、目の前の男を優先しなくてはと彼女は判断することにした。

彼女は目の前の男と機体を観察するが、その姿に疑問を抱いていた。

彼が纏う機体は打鉄そのもの。だがカラーリングは既存のそれとは違い、装甲の所々に切れ込みがある。

そして、I()S()()()()を着ていなくYシャツとズボンのままである。

ISスーツが無くても機体は動かせる。だが有ると無いとでは操作性が違うのだ。

舐められてるのか、または単純に知らないだけなのか。

そして最大の疑問。隆道の様子がおかしいのだ。

当の本人はアリーナに出てきた時から無表情のままだが、どこか辛そうな感じに見えた。先日まであれほどの負の感情をさらけ出していたにも関わらず、今はまるで人が変わったかのような雰囲気を出している。

理由は分からないが、ここでいちいち怯んではいられない。

 

「………何故、貴方が試合に出たのかは知りませんが、最後のチャンスを差し上げます」

 

「………?」

 

セシリアは正直な所、隆道を攻撃するのは気が引けたのだ。

彼がISを徹底的に嫌っているのはここ一週間でよく知り、女性に対する敵意も身をもって知った。

そんな彼が簡単にISに乗るとは思えない。現に彼は表情こそ出さないが、とても辛そうで弱々しい。

彼女は男嫌いであれど、弱っている男に追い討ちをかけるような非道な女になったつもりはない。

故に、彼に降伏を持ちかけた。

 

「わたくしが一方的な勝利を得るのは自明の理。ですから、惨めな姿を晒したくないのであれば、………どうか降伏してくださいまし」

 

高圧的な態度は既に消え、セシリアは穏やかな口調で隆道に語りかける。その姿は以前までの男を見下す面影は無く、正しく高貴な貴族そのものであった。

数秒の時を経て、隆道は口を開く。どうか降伏してくれと彼女は願うが───それは裏切られた。

 

「………『焔備』」

 

右腕を水平にかざし、手元に光の粒子が集まり武器が現れるのは、打鉄の基本装備の一つである中距離武装。

 

───自動小銃『焔備(ほむらび)』───。

 

焔備を展開させ、彼は濁った目でセシリアを力なく睨む。彼には降伏の二文字は無かった。

 

「そう、ですか………。それが貴方の答え………ですのね………残念ですわ」

 

セシリアはゆっくりと目を閉じ深呼吸する。これ以上の言葉は不要だ。ならば、代表候補生として全力を持って相手をする他ない。

右手に持つ彼女の主装備、ニメートルを超す中遠距離武装を構え、彼を狙う。

 

───六七口径特殊レーザーライフル『スターライトmkⅢ』───。

 

───警告。敵IS射撃態勢に移行。

 

「では、………まずは一撃っ!」

 

「っ!?」

 

独特の音と同時に青き閃光が走り、隆道に襲い掛かるが、彼はこれを上半身を反らしギリギリで回避する。

 

「避けた!?ですがっ!」

 

「ぐおっ!!」

 

彼女は続けざまにレーザーを放つが、全てギリギリの所で回避される。彼の動きはお世辞にも良いとは言えないが、身体全体を駆使した動きは実際に全て回避出来ている。

この事実に彼女は心底驚愕していた。

 

(攻撃が当たらない!?どうして!?)

 

手加減などしていない。静止時にはしっかりとスコープに捉えており、彼が回避してる最中も偏差射撃も怠らずにしている。

専用機を持つだけあって、彼女の射撃能力は折り紙付きだ。本来なら既に数発は当たってもおかしくない。では何故当たらないか?

その秘密は隆道本人とISにあった。

彼女を含めた全員が知らない事だが、彼は女尊男卑の被害者の中でも一際苛烈な目に遭ってきた男だ。

 

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そういった輩から自身の身を守るべく逃走、迎撃を繰り返して数年ほど経ち、いつしか彼はある身体技能を身につけた。

 

───『危険察知』───。

 

彼の友人が勝手に名付けた捻りもなにもない名だが、その技能は常人をはるかに逸脱していた。

自身の危険が迫る時、例え目を瞑ろうが死角から攻撃されようが直ぐ様察知し、身体の許す限り回避を行うことが可能である。SP十人と渡り合えたのもこの技能があったからというもの。

回避出来る限界は勿論あるが、少なくとも一対一、しかも正面からの攻撃では余程出鱈目な速度でない限り当てることは不可能だ。

それと、ISの機能の一つである『ハイパーセンサー』。

ISに搭載されている高性能センサーは操縦者の知覚を補佐する役目を果たす。これにより目視出来ない遠距離や視野外を知覚出来るだけでなく、操縦者の思考速度を向上させるのだ。

この二つが組み合わさって、偶然ではあるが彼は屈指の回避能力を身につけた。

にも関わらず彼が未だに間一髪の回避なのは、ISに搭乗して間もないのと、彼の精神状態が正常ではないからであった。もし彼がISをそれなりに扱え、精神状態も正常であったなら、彼に攻撃を当てる者は限りなく少なくなるだろう。

 

───ソウ縦者ノ深刻ナ異常をカク認。心拍スウサラに上昇。処チを実コウ。………ERROR───。

 

(くそがっ!回避だけじゃどうにもならねえ!反撃を!)

 

らちが明かないと隆道は判断し、右手に持つ焔備をセシリアに向けて数発撃つ。弾丸の雨は彼女に向けて襲い掛かる───が、しかし。流石は代表候補生であろうか、これを難なく回避。放った弾丸は全て空を切るだけとなった。

 

(ダメだ!涼しい顔して避けやがる!偏差射撃しろってか!?やったことなんて有る訳ねえだろうが!!)

 

セシリアは上空に、隆道は地上に。彼等はお互いに激しく撃ち合うが、彼女の攻撃は彼の逸脱した回避能力の前では無力となり、彼の攻撃は代表候補生には決して当たることはない。

数分間の撃ち合いで、彼女はこれ以上無駄だと確信したのか、射撃を一端やめることにした。

 

「まさか、ここまで避けられるとは思ってもいませんでしてよ。射撃には自信があったのですが、正直こうも避けられるとへこみますわ」

 

「ふっ………ふっ………ふぅ。………そうかよ」

 

「ですので………あまり使いたくはなかったのですが、致し方ありませんわね」

 

そういった矢先、セシリアの機体の一部が切り離され、4つのパーツが宙に浮く。まるでそれぞれが意志があるかのような動きを見せ、隆道はそれがなんなのか察した。

 

「特殊兵装………!!」

 

「さあ、踊りなさい。わたくし、セシリア・オルコットとブルー・ティアーズの奏でる円舞曲(ワルツ)で!」

 

彼女の機体に搭載されているイメージ・インターフェイスを用いた特殊兵装。それは遠隔無線誘導型のレーザー兵器であり、機体の名前の由来でもあるそれは彼女の思考制御によって操作し、全方位オールレンジ攻撃が可能な物だ。

先程の正面からの攻撃は一転して全方位からの攻撃へ変化。彼女に加え、4基のレーザー兵器。一対一から一瞬で一対多になってしまった。

状況は圧倒的不利。いくら危険察知があるとはいえ、多数を相手にすればいずれ隙を突かれる。

だからと言って、彼は早々にやられるつもりはない。焔備を構え直して彼女に向かって吠えるように叫ぶ。

 

「勝手に一人で踊ってろぉっ!!!」

 

 

 

───ソウジュウ者ノ深コクナ異常をカク認。心拍スウサラにジョウ昇。キン急処チを実コウ。………ERROR───。

………ERROR───。

………ERROR───。

………ERROR───。

 

 

 

 

 

「な、なんなのでしょうか彼は。まさかオルコットさんのレーザーを地上で全て回避するなんて」

 

「ああ………空中でなら射撃を予測し回避は容易に可能ではあるが、地上となると動きは制限される。その状況下であの回避能力………。侮れんな」

 

真耶と千冬は隆道の回避能力に唖然としていた。動きに粗は見受けられるが、それでもセシリアの高精度な射撃を全て避けている。それも空中ではなく地上でだ。当然の事ながら空中と地上では動ける範囲も違う。

だが、それも先程まで。セシリアが特殊兵装を使いだした途端に彼の回避能力は彼女の猛攻についてこれなくなり、次々と被弾していく。

 

「しかし、状況は一変したな………。恐らくここから柳が押されるだろう」

 

『ぐあぁっ!?ぐぅっ!?』

 

「ああっ、オルコットさんの攻撃が当たっちゃいましたよ!?………それにしても、何故柳君は飛ばないのでしょうか………?」

 

「………飛び方を知らないのだろう。昨日までISを拒絶していたからな………無理もない」

 

千冬は、試合を見ながら今回の事を後悔していた。

一夏の成長を促す為とは言え、セシリアと戦わせるよう多少無理矢理な事をしたが、最終的に隆道が一夏を庇い、代わりに戦う羽目になった。モニター越しの彼が次々と被弾する度に胸が苦しくなる。

もしも、予定通りに一夏が試合に出たら、彼と同じ目に遭っただろうか。

 

「っ………」

 

違う、私はこんな目に遭わせる為ではなかった。私の弟なのだからきっと、上手くやってくれると信じて、一夏とセシリアを戦わせようとした。それなのに結果は隆道を苦しめる事になっている。

彼を保護すると誓ったはずだ。だが現実はどうだ?余計彼を傷つけて、もはやどうしようもないほどに信用など無い。

 

「いや、元から無かったのだったな………」

 

「織斑先生………?」

 

「どうやら私は………教師以前に、人間として失格のようだ………」

 

「………」

 

真耶は言葉を返せなかった。何故なら、自分も同じ穴の狢だからだ。

あの時、クラス代表決めの際に自分が止めていれば、怯えずに彼に積極的に接していればこうはならなかったかも知れない。

だがそれは既に過去の出来事。やり直すことは出来ない。

 

「一夏!一次移行はまだ終わらないのか!?」

 

「無茶言うなよ箒!まだ20分以上もある!こればかりは俺じゃどうしようもないって!」

 

ピットの隅では一夏は一次移行の為、機体を纏ったまま待機している。

一夏が焦っているのは勿論だが、箒も彼と同じく焦っていた。

一夏を庇った彼が今、セシリアに嬲られている。可能なら止めたいが、これはあくまで試合。止める理由が無いのだ。

この状況を打開するには一夏の機体を一次移行させる以外道は無い。

 

「くそっ!箒、一次移行は終わってないけど、これ以上は見てられない!俺が出て───」

 

「馬鹿者!それではあの人が試合に出た事が全て無駄になってしまうではないか!?あの人の行いを無下にするつもりかっ!?」

 

「っ!?ぐ、ぐうぅ………」

 

一夏は惨めな感覚に陥る。いつもそうだ、誰かに守られてばかりで、自分は何も出来やしない。千冬からも守られ、友人にも守られて、今度は自分の為に隆道が守っている。

守られるだけなのは、もういやだ。今度は、自分が誰かを───

 

その時だった、アリーナの観客席で声が響いたのは。

ピットにいる四人は直ぐにモニターを見る。そこにはあちこちから紫電が走り、装甲もズタズタになっている隆道の姿があった。

 

 

 

 

 

アリーナの上空で浮遊するセシリアは、地面に手と膝をついている隆道を見て、思わず目を反らしたくなった。

彼の機体は既に大破に近く、シールドエネルギーも一割を切っている。対して彼女の機体はスラスターに使用したエネルギーを差し引けば無傷。

端から見ればただの苛めに等しいそれは、観客席で見ている生徒達も居た堪れない気持ちにさせた。

 

「が………、く、くそっ、たれが………」

 

試合が始まって約15分。 シールドエネルギー残量は33。機体ダメージはCよりのB。浮遊シールドは半壊しており、スカートアーマーはフレームだけが残っている。もはや虫の息に等しい彼は、この状況に絶望していた。

 

(時間稼ぎするとか言っておいて………なんて様だ、全く)

 

時間稼ぎも、セシリアの体力を消耗させることすら出来なかった。

開始から数分はお互いにひけをとらない試合であったが、彼女の特殊兵装の使用によりそれも崩れた。

いくら危険察知があろうと、全て避ける事は超人染みた身体能力でもない限り不可能だ。

武器はまだ焔備しか展開していないが、特性を知らない以上使いこなす事は出来ないと判断し、展開を渋っていた。

そもそも攻撃が当たらないのだ。武器なぞろくに扱ったことの無い素人が代表候補生相手に当てるなど出来やしない。

 

「………もう、いいでしょう。これ以上は貴方に負担が掛かります。降参してくださいまし………」

 

「………まだ、だ」

 

「貴方、自分の状況が分かってらっしゃるのかしら………?」

 

誰が見てもこの状況を覆す事など想像出来ない。勝敗は既に決している。

そんなことは隆道本人がよく分かっている。最初から勝てる気など無いのだから。

 

「………まあいいでしょう。直ぐに終わらせて、その次は織斑一夏とですわね」

 

「まだだって、言ってん、だろうが………」

 

「しつこいですわよ」

 

そう一言言いながらセシリアは一発、彼の左腕に向けて撃つ。装甲は一撃で剥がれ、彼はその場で崩れてしまう。

 

「ぐっ!」

 

───エネルギー残量16。ダメージレベルC。機体維持警告域(レッドゾーン)に到達───。

 

───ソウジュウシャニシンコクナイジョウヲカクニン。シンパクスウサラニジョウショウ。キンキュウショチヲジッコウ。………EeeeeeeerrRRRROOooOrrrR───。

 

「ああ、くそっ………」

 

もはや手も足も出ない。彼に出来る事は───何一つ無い。

 

「次で終わりにしますわ」

 

彼女は手持ちのレーザーライフルを彼に向ける。これが正真正銘最後の攻撃。

 

(もう、ダメだ)

 

これ以上は持たない。そう確信した隆道は、一夏に心の中で謝っていた。

 

(時間稼ぎ、出来なかった、な)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここで思考を止めておけばこの先の未来は変わっていただろう。

だが隆道はあることを考えてしまった。そして、思い出してしまった。

 

(そういや、負けたらどうなるんだけっか………。先週、あのイギリス人が何か言ってたはず………)

 

『言っておきますけど、わざと負けたりしたらわたくしの小間使い───いえ、奴隷にしますわよ』

 

「………」

 

『わざと負けたりしたらわたくしの小間使い───いえ、奴隷にしますわよ』

 

「………」

 

『わたくしの小間使い───いえ、奴隷にしますわよ』

 

(ああ、そうか。奴隷、だったな………。とうとう人権まで奪われたってこと、か)

 

セシリアは彼を奴隷にするつもりなど毛頭無い。そもそも『わざと』なのだからどちらにせよ適用はされないのだが、精神に異常を来している隆道は正常な判断が出来なくなっていた。

大切なものを奪われ、自由を奪われ、今度は人権を奪われようとしている。これ以上何があるというのだ。

 

 

 

 

(………次は?)

 

 

 

 

 

その時、隆道は考えてはならない答えを出してしまう。

 

 

 

 

 

(………『命』?)

 

 

 

 

 

その答えを出した途端、彼の視界は反転し、過去の出来事が次々と鮮明に思い出される。

 

 

 

『隆道。お母さんね、お父さんと離婚することにしたの』

 

 

 

───なんで。

 

 

 

『あなた、自分が騙されたことにまだ気付かないわけぇ!?うけるぅ!!』

 

 

 

───どうして今。

 

 

 

『これ、貴方の犬なんでしょう?なんて汚らわしい犬なのかしら。そんな犬は───』

 

 

 

───やめろ。

 

 

 

『お前には恨みはない。けどな………俺達は女に逆らえねえんだ』

 

 

 

───やめるんだ。

 

 

 

『この病院はね、貴方のような男が来ていい所ではないのよ、それくらい自分で治療しなさい』

 

 

 

───やめてくれ。

 

 

 

『隆道………お前を───』

 

 

 

───頼む、もうやめ───。

 

 

 

『お前を一人にしてしまう父さんを、決して許すな』

 

 

 

 

 

───操縦者の深刻な異常を確認。心拍数不安定。緊急処置を実行。………不可能───。

 

───深刻な心的外傷後ストレス障害と判断───。

 

───自己防衛システム『狂犬』を強制起動します───。

 

 

 

 

セシリアは隆道に止めを刺そうとした。だがしかし、彼の様子がおかしい事に気づく。

手と膝はついたままで顔は俯き、表情は一切見えないが雰囲気が一変した。

 

「………?貴方、いったいどうし───」

 

───警告。未確認の脅威を感知。危険度レベルA。迎撃を推奨───。

 

「っ!?これはいったい!?」

 

突如セシリアの機体から警告が発する。なんだこれは、今までこんな警告など見たことはない。彼女は得たいの知れない表示とアナウンスに困惑していると、彼の機体に変化が起きた。

黒灰色の機体が鈍く発光し、その上に赤いラインが浮き出てくる。それはまるで血管のように装甲全体に行き渡り、心臓の鼓動のように点滅し始めた。

 

───警告。更なる脅威を感知。危険度レベルS。迎撃、又は撤退を推奨───。

 

「な、なんなんですの………」

 

何が起きているのか、困惑する彼女を余所に彼はゆっくりと立ち上がる。

所々ボロボロで、動かすのも困難なはずだ。機体に走る紫電はより強くなり、それが一層不気味に感じられる。

 

 

 

そして───

 

 

 

「くひ、ひひひ」

 

「………?」

 

「ひひひ、へへへへへ。あは、ははは………」

 

「あ、貴方───」

 

 

 

精神が極限まで追い詰められた彼は勢いよく顔を上げ───

 

 

 

 

 

「ぐひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!あははははははははははははははは!!」

 

 

 

 

 

───大粒の涙を流しながら狂ったように嗤っている。

今まで幾度となく傷つき続けた彼の心は、遂に壊れた。

 

 

 

「「「「「「!?!?!?」」」」」」

 

セシリアを含めた観客席の生徒、そしてピットでモニター越しに見ている四人は彼の豹変に背筋が凍る。中には激しい嘔吐感に駆られる者もいれば、あまりのおぞましさに意識が飛びそうな者も。ほぼ全員がその場から逃げ出したくなるが、何故か動かない、動けない。

ピット内では真耶と千冬は彼を見て戦慄する。

 

「あ、あれは、あの時、いやそれ以上の………!?」

 

教師二人は既に見ている。以前に記録として送られたモノレール内での映像。それを見て真耶は怯え、千冬は嘔吐したが目の前の彼はその時より遥かに嗤い狂っている。目を反らしたいのに反らせない。言い様のない恐怖に駆られ、真耶は言葉すら発せず目を大きく見開いてぴくりともしない。

一夏と箒も同じだった。今まで見たこともない彼の豹変に目を逸らせず、その場で固まってしまう。

 

「や、柳、さん?な、なん………で」

 

「こ、これは………いったい」

 

彼には先程までの面影はどこにもない。無表情で、それでも一夏に対して優しかった彼は、そこにはいなかった。

そんな彼を目の当たりにしているセシリアも同様にその場から動けないでいる。ISの機能により多少安定はしているが、それでも悪寒は止まない。

 

「あ、あ、貴方は………」

 

「ひははははは!ははは、はは………は、は、は………」

 

嗤い疲れたのか、彼の声は次第に小さくなる。同時に狂気も収まり、彼女は一安心しそうになるが───それも叶わなくなった。

 

「ははは、はは、は………ぁぁぁあああア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛」

 

彼は狂った嗤いから一変、今度は左手で頭を押さえながら泣き叫び始める。大粒の透明な涙は次第に赤く色づいた。

それは血だった。血涙と化したそれは彼の頬を真っ赤に染め、彼女をより恐怖に陥れる。

 

「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛」

 

セシリアはその光景を見て、目を見開き言葉すら発せなくなる。

いくらなんでも異常だ、彼に何が起こっている。声を掛けようにも言葉が出てこない。まさか、暴走でもしてるのかと彼女は考える。

だとしたら非常にまずい。先程から警告がより大きくなっており、彼も、自分も危険な状態になっている。

なんとかしなければと、そう判断した矢先に千冬からのアナウンスが鳴り響く。

 

『オルコット!!今すぐピットに戻れ!!早く!!』

 

「え、で、ですが………彼はどうするのです!?」

 

『我々教員が対処する!!だから、お前は一刻も早く───』

 

言いかけたその時、全員がある異変に気づいた。隆道が急に静かになったのだ。

収まったのかと、彼の様子を見るが顔を俯いたまま立ち往生している事以外分からない。

だが、一つだけ変化があった。彼の力なくぶら下がる右腕が発光し、やがて武器が現れる。

その武器はISの腕部同等、もしくはそれ以上に太い二本の大きな杭。弾倉も一際大きなそれを見て、セシリアは直ぐ様検索をかける。

 

───220mmダブルパイルバンカー『鋼牙(こうが)』───。

 

なんだあの武器は。フランス製のパイルバンカーより大きいと、彼女はその武器に寒気を覚える。

しばらくして、彼はようやく言葉を発するが───それはあまりにもおぞましいものだった。

 

「………やる」

 

「………?」

 

 

 

 

 

………てやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺kkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkk───」

 

 

 

 

 

───警告。未知の脅威を感知。危険度レベル測定不能。撤退を推奨。撤退を推奨。撤退を推奨───。

 

次第に言葉にすらならない発声となり、セシリアを完全に釘付けにする。やがて彼は、彼女と目が合い───。

 

 

 

 

 

セ゛シ゛リ゛ア゛オ゛ル゛コ゛ット゛ォォォッッッ!!!!!!

 

 

 

 

 

喉が裂けてしまうほどの雄叫びを上げ、隆道は殺意を全開にしてセシリアに向けて飛び掛かった。

 

───警告!未知の脅威を感知!!危険度レベル£$¥%@!!!即時撤退を推奨!!!───。

 

「ひっ!?!?」

 

自身の防衛本能が働いた為か、彼が飛び掛かると同時にセシリアは即座に武器を構え、発砲する。

放ったレーザーは彼の眉間を捉え、当たる───はずだったが、彼の姿が一瞬ぶれるとレーザーは彼を通り抜けた。

 

「躱した!?この距離で!?」

 

彼との距離は遠いがレーザーの有効射程範囲だ。しかしその距離で、後数メートルで着弾するはずのレーザーを回避することなど国家代表でも不可能だ。にも関わらず彼は回避した。

続け様に彼女はレーザーライフルを連射するが、当たらない、掠りもしない。

 

ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ!!!

 

そうしてる間にも彼は迫り来る。右腕にある二本の牙を彼女に向けるために。彼女を殺すために。

 

「くっ!?」

 

4基のブルー・ティアーズは間に合わない。間に合ったとしても恐らく当たらないだろう。ならば、奥の手を使う他無い。

しかし、今すぐ使っては簡単に回避されるだろう。ギリギリまで引き付けるのだと、彼女は身を引き締める。

 

───接触まであと二十メートル。まだだ。まだ使ってはならない。

 

(………ブルー・ティアーズは)

 

───接触まであと十メートル。彼は鋼牙を彼女に向けるべく、構えながら突っ込んでくる。奥の手を準備し、その時を彼女は待つ。

 

───接触まで、あと五メートル。チャンスは、やって来た。

 

「六基ありましてよっ!!」

 

その掛け声と同時に彼女の腰部から広がる筒状のアーマー。そこから彼に向けて放たれる物体。それはミサイルであった。

ブルー・ティアーズには六基の特殊兵装が存在する。四基は先程まで隆道を苦しめたレーザービット。そして、残り二基はたった今発射した唯一の実弾兵装、ミサイルビット。

自身もミサイルの爆発に巻き込まれてしまうが、そうは言ってられない。もはや回避不可能の距離に到達した彼は二発のミサイルにより、爆炎に包まれた。

 

「くうぅっ!」

 

至近距離で爆発したミサイルはセシリアにも襲い掛かり遠くに吹き飛ばされる。だが彼女は身構えていた為直ぐに体勢を立て直すことが出来た。

爆炎から二十メートル以上離れ、自身に脅威が去ったことに彼女は一安心する。

 

「はぁ、はぁ、はぁ………これで───」

 

しかし、今の彼女に安息など存在しない。

爆炎から飛び出して来たのは、ミサイルが直撃したはずの隆道。装甲が所々焼け焦げている彼はそんなことお構い無しに彼女に向かって突撃してくる。

 

オ゛ル゛コ゛ット゛オ゛オ゛オ゛ォ゛ォ゛ォ゛ッッッ!!!

 

「そんなっどうしてっ!?」

 

確かに直撃したはず、なのに何故と混乱するが、直ぐにそれは解決した。

 

(浮遊シールドがない!?まさかあのタイミングで防御を!?)

 

既に彼はすぐそこまで接近している。なんとかして迎撃せねばと彼女は近接武器を展開するため高々に叫ぶ。

 

「インターセプター!!」

 

ブルー・ティアーズに搭載されている近接ショートブレード『インターセプター』を展開し、構えようとするが、それは無駄に終わる。

 

ウ゛ラ゛ァ゛ッッッ!!!

 

なんと彼は速度を殺さずに回し蹴りを放って彼女の近接武器を蹴り飛ばした。

しかし急停止を考えていなかったのか、彼は彼女に勢いよく激突。大破に近い機体の装甲は殆ど砕け、空中に撒き散らす。

 

───エネルギー残量2。ダメージレベルD。操縦者生命危険域(デッドゾーン)に到達───。

 

「ああっ!な、なんて無茶苦茶な!!」

 

離れて態勢を立て直さなければと、彼女はその場から離脱しようとするが───遂に、彼に肩を捕まれてしまった。

 

「あっ………」

 

ツカマエタ

 

彼女は彼と目が合い、硬直してしまう。目から夥しい血を流す彼の顔は酷く歪んでいた。

 

………将来の奴隷が贈る、最初で最後の悪足掻きだ

 

「あ───」

 

彼の右腕に装備されている二本の杭は彼女の頭と胸を捉えている。それを押し付け───。

 

しっかりと味わえライム女ぁっっっ!!!

 

───容赦なく放たれた。

 

「がぁっ!?!?!?」

 

ステージ内に鳴り響く爆音。とてつもない威力をモロに受けたセシリアは弾丸の如く吹き飛ばされ、アリーナの壁に激突、そのまま地上に墜落する。

二本の杭が装甲の無い頭部と胸部に直撃し、絶対防御が発動。それだけでなく、壁に激突と墜落したことにより彼女のエネルギーが大きく削り取られる。

 

───『絶対防御』───。

 

操縦者が生命に関わる攻撃を受けた際に発動するISの最大の機能。これによりあらゆる攻撃でも操縦者を死に至らしめる事は無いが、その分エネルギーは極端に消耗する。

頭部と胸部に受けたダメージと、壁に激突し、墜落の衝撃によって九割近いエネルギーは一瞬の内に一割以下に減った。

今まで受けたことの無い衝撃に彼女はもがき苦しむ。

ブラックアウト防御機能により気絶も出来ない彼女はその激痛から逃れる術は無かった。

セシリアを吹き飛ばした隆道だが、彼もまた、ただでは済んでいない。

彼が使用した『鋼牙』は重大な欠陥があった。

それは大きな炸薬を二つ同時に発火することによる、ISのパワーアシストがあっても抑えきれない強烈な反動。

まともに構えなかった彼は射出と同時に吹き飛び、彼女と同様地上に叩きつけられる。

 

『試合終了。勝者───セシリア・オルコット』

 

ブザーと共に無機質な音声が鳴り響くが、観客席にいる生徒達やピットにいる四人はそれどころではない。

試合と思いきや、殺し合い染みた事と化した戦闘は誰もが戦慄を覚えてしまった。

 

 

 

───操縦者生命危険域超過。具現維持限界(リミット・ダウン)に到達───。

 

 

 

地上に激突したことによりエネルギーがゼロになる処か、機体に限界が来たのか隆道の機体は光の粒子となって消え、彼は地表に放り出される。彼の暴走はようやく終わりを告げた。

 

 

 

───しかし、更なる悲劇が彼を襲う。

 

 

 

『柳!今すぐそこから離れろ!』

 

千冬の叫びと共に隆道は力なく空を見上げる。そこにあったものは、円柱状の物体。

それはセシリアのミサイルだった。彼女は彼の攻撃を食らう直前に悪足掻きとして二発のミサイルを発射していたのだ。

彼女のミサイルビットは自立誘導型ではなく、思考制御のミサイルだ。当の本人は激痛に苦しみ、制御など出来ない。

コントロールを失ったミサイルの一発は明後日の方向で爆発し、残りの一発は───。

 

 

 

───不運にも生身の隆道に向かっていた。

 

 

 

『避けろ柳ぃぃぃっっっ!!!』

 

千冬の言葉は聞こえてないのか、その場で膝をついたままの彼は、諦めたように小さく呟く。

 

「………くそったれが」

 

疲労が限界に達したのか、立ち上がることすら出来ない。人生の最後がこんな形など決して認めたくはないが、所詮自分の人生は既に終わってるのだ。もういいだろうと、彼はゆっくりと目を閉じた。

 

 

 

 

 

───だが、彼が死ぬことを決して神は許しはしない。

 

 

 

 

 

隆道に真っ直ぐ向かっていたミサイルは再び不規則な動きとなり、彼の十メートル手前で地上に着弾し爆発する。

その爆発の衝撃波により、隆道は大きく吹き飛ばされた。


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