少し、アニメからネタを引っ張ってきていますラストの場面はアニメ第三期13話「その 新しいはじまりに...」の最後のシーンです。
「本日は数ある水先案内店の中からアリアカンパニーをお選びいただきありがとうございます。
またのご利用をお待ちしております」
三大妖精と謳われ名実共にトップのプリマウンディーネであった「白き妖精《スノーホワイト》」
アリシア・フローレンスの引退から1年。
アリシア引退の余波で一時は客足が遠のいていたアリアカンパニーも、
「遥かなる蒼《アクアマリン》」水無灯里の人柄や営業努力、街の人々の口コミによって
少しずつではあるがお客様が増えていった。
「今日のご予約はこれで最後ですね。お疲れさまでした、アリア社長!」
「ぷいにゃ!」
時刻はもうすぐ午後4時になろうかというところ。店内の予定表には
この後の予約は入っておらず、また店にお客様が来る気配もない。
「少し早いですけど、お店閉めちゃいましょうか」
「にゅ!」
いつもより早い店仕舞いをしていると、店の固定電が鳴る。
(こんな時間に誰だろう?お客様のご予約のお電話かな…)
そんなことを思いながら灯里は受話器を取る。
「お電話ありがとうございます、アリアカンパ…」
「灯里っ!元気にしてる?」「あっ、藍華ちゃん!?」
電話の主は老舗水先案内店「姫屋」のサンタ・ルチア支店の支店長を任され、
「薔薇の女王《ローゼン・クイーン》」の通り名で活躍するプリマウンディーネ
藍華・S・グランチェスタであった。
「どうしたの藍華ちゃん。こんな時間に電話が来るなんてびっくりだよ。
お店のほうは大丈夫なの?」
「束の間の休憩時間よ。それよりも灯里、5日後なにか予定入ってる?」
「5日後?ちょっと待ってね。えっと…その日は予約もないから
1日のんびりしようかと思ってたところだよ」
「そ、ならちょうどいいわ。その日は1日空けときなさい。
朝8時にアリアカンパニーに行くから!」
「えぇ~、分かったけど何かあるの?」
「ごめん、もう切らなきゃだから、詳しくは当日ね!そんじゃ!」
「あ、藍華ちゃ~ん」
いったい何なのだろうかと思いながらも、親友からの久しぶりの誘いに
灯里は心を弾ませるのであった。
藍華の電話から5日が経った日の朝。
灯里は店のシャッターに「本日休業」の張り紙をし、藍華が訪れるのを待っていた。
「藍華ちゃん、まだかなぁ」
のんびりと、しかしソワソワしながら待っていると
外から灯里を呼ぶ声が聞こえた。
「あっかり~!お待たせ~!」「あ、来た来た!」
灯里はワクワクしながら店の外へ駆けていった。
外へ出ると藍華と、その隣にライトグリーンの髪が綺麗な少女が立っていた。
少女の名はアリス・キャロル。姫屋のライバル企業「オレンジぷらねっと」に
勤めるプリマウンディーネで、「黄昏の姫君《オレンジ・プリンセス》」の
通り名で活躍していた。
「おはようございます、灯里先輩」
「おはよう!藍華ちゃんだけだと思ってたから、会えてすごく嬉しいよ!
でも二人とも、お仕事は大丈夫なの?」
「心配しなくても平気よ~。今日は晃さんと副支店長に丸投げしてきたから」
「私も、今日は有休を頂いてきたので、でっかい大丈夫です」
「そうなんだ。それで、今日は一体何をするの?」
「ピクニックよ、ピクニック」「お弁当も準備してきました」
「わ~ひ!三人でピクニック、すっごく楽しみだよ!」
三人は早速、藍華のゴンドラに乗り込む。
「それでは、藍華・S・グランチェスタが操船を担当させていただきます!」
「わ~(ぱちぱちぱち)」
「ま、流石にずっとはしんどいから途中で交代ね」
「は~い!」「はい」
「それでは、出発進行!」「お~」
藍華がオールを漕ぎ始め、ゴンドラはゆっくりと水の上を進んでいく。
時々漕ぎ手を交代しながら、合同練習の思い出の場所や
あまり知られていない名所などを巡り、お昼には仲良くお弁当を食べた。
夕暮れ時、三人は「希望の丘」へと来ていた。
「ここに来るのは後輩ちゃんの飛び級昇格の時以来ね」
「私がプリマになってから、そんなに経つんですね」
「あの時はほんと、びっくりしたよ~」
それから三人は夕日を眺めながら、思い出話に花を咲かせたり
近況を報告しあったりした。
「そういえば、今日のピクニックは藍華ちゃんが計画してくれたの?」
「そうよ~。ま、これを思いついたのは後輩ちゃんのおかげ、
とでも言うべきかしらね」
「アリスちゃんの?」
「この子、三人揃って遊びに行かないと世界が滅びる~、なんて
自分ルール作ってたのよ。ほんとお子ちゃまよね~」
「藍華先輩、でっかいうるさいです」
「ま、私も久しぶりに三人で集まりたいと思ってたしいい機会かなって」
「藍華ちゃん、アリスちゃん。二人ともありがとう。
今日過ごした幸せで、素敵な時間は二人が運んできてくれた宝物だね!」
「灯里」「灯里先輩」
「「恥ずかしいセリフ(でっかい)禁止~!(です!)」
「えぇーーっ」
「それとね、私あんたたちに一つ報告があるのよ」
「えっ、なになに気になる~」「でっかい気になります」
「私ね、後輩を一人指導することになったの」
「ほんとに!?藍華ちゃんすごいよ!」「でっかい驚きです」
「晃さんや本店の人事部長から進められてね。あずさっていう子なんだけど、
来月から正式に私の直属の後輩になるわ」
「後輩の指導か~。頑張ってね、藍華ちゃん!」
「頑張ってください、藍華先輩」
「ありがとう。灯里と後輩ちゃんは、まだ後輩をとらないの?」
「オレンジぷらねっとは会社が決めるので、何とも言えません」
「そっか~、灯里はどうなのよ」
「え、うん。アリアカンパニーに入りたいって子はいるんだけどね」
「え、そうなの?」「でっかい初耳です」「誰、どんな子なの?」
「アイちゃんなんだけどね」
「あの子、本当にウンディーネ目指すんだ。でもいいじゃない。ね、後輩ちゃん」
「はい。素敵ングペア、でっかいお似合いだと思います」
「うん、私もアイちゃんが入ってくれたら嬉しいなって思うんだけどね。
私にアイちゃんをしっかり指導できるのかなって不安で」
「なに言ってんのよ灯里。あんたはアリシアさんがいなくなって大変だった
アリアカンパニーを一人で切り盛りしてきたじゃない!自信持ちなさいよ!」
「そうですよ灯里先輩。藍華先輩の言う通りです。
それにアイちゃんは灯里先輩をとても慕っています。
灯里先輩がいるから、アリアカンパニーに入りたいんじゃないんですか?」
「藍華ちゃん、アリスちゃん」
「それに、灯里は一人じゃないわ。私や後輩ちゃんがいるじゃない!
困ったことがあったら遠慮せず頼ってくれればいいのよ」
「藍華先輩の言う通りです。でっかい頼ってください!」
「…うん!ありがとう藍華ちゃん、アリスちゃん」
「さ、もう時間も時間だし帰りましょうか」
真っ赤な夕焼けに包まれながら、三人は帰路についた。
ピクニックから半年以上がたったある日のアリアカンパニー。
灯里が朝食を作っていると、三階の下宿部屋から
駆け下りてくる少女が一人。
「アリア社長、おはようございます」
「ぷいぷーい!」
少女はアリア社長に挨拶をすると、キッチンへと向かった。
「おはようございます、灯里さん。制服着てみたんですけど…
ど、どうでしょう…」
少し照れ気味の、制服を着た少女を見た灯里は優しく微笑む。
「うん!とってもよく似合ってるよ、アイちゃん」
「さぁ朝ごはんにしましょうか。アイちゃん、並べるの手伝ってくれる?」
「はい、灯里さん!」
朝食を並べ終え、なかよく食べ始める二人と一匹。
「ん…あの、なんでしょう…」
アイは顔を赤くしながら小さくなってしまった。
どうやら無意識のうちに、灯里はアイを見つめていたらしい。
「あっ」
アイの言葉で自分の行為に気づいた灯里は、自分がアリアカンパニーで
初めて朝食を食べた時のことを思い出いし、優しく笑う。
「ちょっと、嬉しいだけだよ」