異世界で聖女様とか呼ばれる話   作:キサラギ職員

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爛れた関係ッテイイヨネ


18.俺の好みじゃないから

 

 肝心の俺(?)の話はこうだ。困っている村人達のもとに森から一人の女が出てきて奇跡の力で治した。おわり。

 続きが無いのだ。なるほどここだけ切り出せば俺がその聖女様そのものに見える。

 一方で山の一角を吹っ飛ばす超火力を発揮したなる記述は確かに無い。というかあったら話も変わってるはず。

 うーん、うーん、おきてくれ、たのむ。

 俺は、本を抱いたまま幸せそうな顔で俺の腿につっぷして眠るライアン君をどうしたものかと困り果てていた。

 読み聞かせをすると大抵の場合木刀を振ったり村中走り回ったりしてクタクタになっているライアン君がダウンするのだ。

 いつもはどかして寝床まで抱えていくのだが、今日はがっつり俺にしがみ付いている。腿に顔を押し付けると言うなんとも贅沢なやり方だ。

 

「……」

 

 息があたるしぐりぐり押し付けてくるからくすぐったいし、ムリにどかすと起きちゃいそうだしで怖い。

 それに抱き付かれると胸の奥がぽーっと熱くなって、どかしたくないという気持ちになってくる。

 

 どかさなくてもいいか。

 寒いだろうし、布団に入れてあげよう。本を指から剥がして退かす。起こさないように慎重に抱えて包み込む。顔と顔が向かい合う位置をとって頭を撫でてみる。

 

「う、うーん」

 

 可愛い声を上げて眉間に皺を寄せるライアン君。耳がピクピクしている。

 ……ふぁぁぁ。眠くなってきた。俺も寝よう。

 

 

 

 

「……」

「……」

 

 意識がすーっと闇に溶けた。ふと気がつくと朝になっていた。

 で、目が覚めると顔を真っ赤にしたライアン君が俺のことを凝視してきていた。

 

「……」

 

 おはよう。

 

「………」

 

 口を金魚のようにパクパクさせるライアン君。どうしたの?

 

「ごごごごごめんなさいどきます! どきます!」

 

 布団からもがいて逃げようとするので捕まえてみた。慌てるなよ、OK?

 

「う、うぅぅぅぅ……」

 

 ? 逃げればいいのになんで逃げないんだろう。俺が腕を離しても布団で口元から下を隠して動こうとしない。乙女みたいな仕草しやがって。服着てるなら別にいいじゃんか。

 俺が疑問符を浮かべてベッドの上を這って進む。といっても一歩二歩四つんばいで進めばそれでライアン君が射程内という距離だった。

 

「いまは、その、うぅぅぅ」

「………?? ………!」

 

 あっ……なるほどね。いやぁこの体になってからなかったから思いつかなかった。

 ライアン君、妙に俺の顔を見ては視線を下げてを繰り返してるけど、なんだろう。おもむろに視線を下げると理由がわかった。胸元の布を引き寄せてじーっと顔を見つめてみる。

 

「ぅぅ……」

 

 ごくりと生唾を飲む音。ほーん、そっち(おっぱい)好きなのか。むしろそっち好きのほうが多いからなあ。

 逆はどうだ? つまり上じゃなくて下だ。試してみるのもオモシロソウ。

 

「……な、なにを……」

 

 布団の中に体を入れて、足を伸ばしていく。ライアン君の口元から足を出して顔を踏む。

 

「むぅぅぅ……っ」

 

 嫌がるかと思ったら、むしろうれしそうに踏まれてくれる。生足で踏まれる気分はどうかな? 楽しくなってきたなあ。グリグリ頬を踏みつけつつ、目元をもう片方の足で踏みにじる。

 両足広げてるから色々丸見えだけど楽しいからやめられない。

 はーかわいい。かわいい。ぐりぐり。

 おれは今どんな顔をしているだろう。頬に手を当ててみると、口元が吊り上っていた。なるほど、こういうとき俺は………。

 

「……」

 

 ぅおおおおおおっ!!!!

 俺は大慌てで足を引っ込めると仰向けでひっくり返って目を潤ませているライアン君に頭を下げた。謝罪しようにもしゃべることが出来ないので両手を合わせてだ。

 やばかった。色々とやばかった。自分でやってるとはいえ稀に理性が吹っ飛ぶ瞬間があるのがやばい。ま、まあ、仕方が無いなあとか言いながら“教育”してるんだから今更だけど足で踏んだりするのは趣味じゃないぞ! ……本当だぞ!

 

「はぁっ……ふぁ………だいじょうぶ、です。聖女様のすることだったらなんだって受け入れますから………」

 

 今にも泣きそうな顔をしてくるライアン君。胸元で両手を重ねて祈るような姿勢で頷いてくる。

 俺は布団から足を引っこ抜いて正座をしてみた。辛抱たまらず抱きかかえる。あーんゴメン! 踏みつけたりするつもりはなかったんだ! 君がいなかったら露頭に迷うか森で素手オンリーの狩人になってるところだった!

 ライアン君を抱きしめて謝罪の意味を伝えようとがんばってみる。ゴメンネくらい言葉で伝えたいけど、何をどうやっても吐息が音にならないからできないんだ。表情は酒を飲んだり、あの理性が無くなる謎の感覚の時には戻るみたいだけど、それだけで意思疎通は難しい。

 

「すぅぅっ……っ、ぷあっ……とろけてしまいそう……」

 

 おっぱいに埋もれていたライアン君が顔をもぞもぞしながら口を外に出そうとする。いかんいかん強すぎたか。緩めると、頬を真っ赤に染めてこっちを見てくる。

 ……妙にもじもじしてるな。あーそういうことか。俺はどうしようか迷った。教育といいつつやってることは甘やかしみたいなもんだし………そも、彼は俺みたいな不確定要素の塊じゃなくて立派な女性とだな……。

 

「……あ」

 

 俺が離れようとすると切なそうな声を上げてくるものだから、俺ははーっとため息をついてしまった。これじゃどっちがねだってるのかわかんないなあ。

 これで最後ねって伝えたいんだけど伝わらないし………その青い瞳で熱心に見つめられると断ることができなくて。

 

「………」

 

 ライアン君を抱いたまま、ゆっくり膝枕を取らせる。これ好きみたいだし……俺の好みじゃないし……俺の好みじゃないんだからな。

 それから………。













Q.ライアン君ってマゾなの?
A.イヌ気質。首輪とか嵌めると喜んでくれると思う。










おまけ

『足』
 舐めたいのか踏まれたいのか触りたいのか○○かれたいのかマゾには非常に需要の高い部位。足フェチもいるぞ。大抵見下されながらアレコレする時に使われるとか使われないとか。生足派もいるしストッキング派もいるしブーツ派もいるしガーター略

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