見る人によってはキツイ描写もあり、また一夏君大荒れとなってます。
それでもよければどうぞ!
感想、評価が原動力です!
今までとは全く異なるIS、『白式・スプラッタ』の異様な姿に一瞬物怖じする鈴だが馬鹿にするかのように喋る。
「それが新しい改造?ふん!むしろボロっちい見た目になってない?」
言うやいなや鈴は非固定部位に搭載された専用武器『龍砲』を稼働させ、圧縮した空気の弾丸を放つが…
「ふっ!」
一夏は右にスライドするかのように移動し、衝撃砲を躱す。
「なっ!?」
何気ない動作のように躱されたことに驚く鈴だが、一夏はその隙を見逃さず一気に加速。
「………」
無表情の一夏は鉈に変化している雪片を振り下ろし、鈴はメイン武器である青龍刀『双天牙月』を2基取り出して受け止める。
「チッ……」
小さく舌打ちする一夏だが、鈴は雪片の切れ味に戦慄する。
(何よこの雪片!?一撃で双天牙月に突き刺さってる!?)
鈴がガードに使った双天牙月の片方は、雪片が突き刺さったことで小さくだが亀裂が生じている。
「だけど…これなら!」
鈴は至近距離で一夏に衝撃砲を放ち、爆発。
一夏の手から雪片が離れ、地面に突き刺さる。
「どうよ!あんたの武器は―――」
しかし次の瞬間、鈴は腹に強い衝撃を受けた。
「…まだあるぜ?」
一夏が左手で握っていたのは、消火活動の際に使われる消防斧。
小型の斧とはいえISサイズの規格の斧による一撃を無防備な腹にくらい、鈴は一瞬溢れてきた嘔吐感を必死に押さえ込む。
「な…何で…?」
鈴の知る限り、白式は所謂必殺技である『零落白夜』を初期から使えるようにするため、拡張領域が雪片で埋められている。
そのため、追加の武装を乗せられなかったはずだった。
「馬鹿だなあ…しまうスペースなら他にもあるだろうが!」
拡張領域に収納できないのなら、余計なパーツを収納棚にすればいい。
一夏がたどり着いた結論はそれだった。
消防斧は拡張領域ではなく、白式の装甲…『左太腿の装甲内部』に収納していたのだ。
「ISってのはこんな馬鹿でかいんだ!スペースは有効に使わなきゃなぁ!」
一夏は右手で鈴の首を掴み消防斧を腹に何度も打ち付ける。
「ゲホッ!ゲホッ!よくも…」
鈴は一夏を睨もうとするが、一夏は迷うことなく斧を龍砲目掛けて振り下ろし、片方を破壊。
そのまま右手で鈴の頭を鷲掴みにし、アリーナのシールドバリア目掛けて投げつけた。
「あああああ!?」
バリアに当たり、地面に転がる鈴。
それと同時にエネルギーが切れたのか、ISスーツ姿に戻って気絶してしまう。
一夏は斧を左足の部分にしまい、雪片を拾う。
「………織斑先生」
「な、何だ織斑?」
一夏は気だるげに千冬に話す。
「『コレ』、ぜんっぜんつまんないですけどー。1組の専用機持ち全員出してくれませんか?」
してくれませんか?」
まるで人が変わったかのような態度の一夏に戸惑う千冬だが、彼女の前にラウラが立つ。
「教官!私達が相手をします!」
千冬の返事を待たないうちにラウラとセシリア、シャルロットと箒がそれぞれの専用機を展開。
「一夏!執拗に鈴を痛めつけるその所業!男として情けなくないのか!」
「いくら一夏さんでも、私は許しませんわ!鈴さんに頭を下げなさい!」
「一夏!鈴が何をしたっていうのさ!?」
「お前は私の嫁だろう!私はそのようなことをする男にした覚えはない!」
箒、セシリア、シャルロット、ラウラから次々と非難の声が相次ぐが…
「………さっきから、気持ちわりーんだよ。お前ら」
左手に『雪羅・悪夢』を出現させた一夏は冷たい目で4人を見る。
「な………!?」
「一夏…さん…?」
「今まで必死に我慢してたのが馬鹿みたいだな。俺はお前らのペットか?お気に入りの玩具か?違うだろ!」
『Stalk』
すると、一夏の姿が見えなくなる。
「なっ!一夏が!?」
ハイパーセンサーにも引っかからないことに焦る箒達だが、気が付くとセシリアの背後に一夏が立っており、セシリアの顔面目掛けて雪羅の刃で斬りつけた。
「キャアアアアアッ!?」
当然ながら顔面は装甲で覆われておらず、絶対防御が発動。
しかし強化された腕力によって顔面を複数の刃で引っ掻くように斬られ、セシリアは衝撃と僅かな痛みに怯む。
「セシリア!よくも…!」
シャルロットはアサルトライフルを構えるが一夏はそれよりも早くセシリアの持つスナイパーライフル『スターライトmk3』を強奪。
通常、ISの武装は他の機体が奪ってもロックが掛かって使えない。
だが一夏はライフルをまるで鈍器のように振り回し、セシリアの後頭部を殴打。
「なっ!?」
驚くシャルロットに対し一夏は接近し、ライフルでシャルロットの武器を弾き飛ばして首に雪片を当てる。
「…零落白夜」
白式の単一能力が発動し、シャルロットの首に当てられた鉈が勢いよく振り抜かれる。
「~~~~~~~!?」
喉を切り裂かれたような錯覚に陥るシャルロットだが、一夏はシャルロットの左足を掴み、その場で振り回す。
「い………一夏…!?」
「黙れ」
そんな一夏に対し、ラウラは右手をかざす。
「止まれ、一夏!」
ラウラのISの切り札『慣性停止結界』、通称『AIC』が発動し、一夏の動きが止まる。
「今だ、箒!」
「任せろ!天誅うううううううううう!!」
上空から箒が2本の刀で攻撃してくるが…
「…ハァ。パワーアシスト、出力30%上昇」
一瞬だが白式が紅く光り、一夏は雪羅で刃を受け止める。
「そんな馬鹿な!?AICの中で動けるだと!?」
驚くラウラだが、一夏は静かに言い返す。
「…ジェイソンのパワーを嘗めんじゃねえよ」
AICを無理やり振り切った一夏は箒をシャルロットで殴り、ラウラ目掛けて気絶したシャルロットを投げ飛ばし、ぶつけさせる。
すると、一夏の周囲をレーザーが飛ぶ。
「…さっき殺り損ねてたか」
一夏の周囲を飛ぶのは4基のレーザービット。
「覚悟なさい、一夏さん!ブルー・ティアーズ!」
復帰したセシリアの専用機と同じ名前の特殊兵器『ブルー・ティアーズ』が一夏目掛けて一斉掃射をした。
「―――――!」
試作機なだけあって威力もそれなりにあり、一夏は今回初めてダメージらしいダメージを受ける。
「…ゴミ虫が!」
しかし一夏は意に介さず、背後のビットを雪羅で切り裂いて破壊。
「小蝿共が、邪魔すんじゃねえ!」
一夏は再度消防斧を取り出し、投げつけてビットを破壊。
さらに一夏は背中の非固定部位から新しい武器を取り出す。
「あれは…水中銃!?」
一夏は水中銃に小型スピアをセットし、2基のビットを狙い撃ちして撃ち落とした。
「そんな…私のブルー・ティアーズが…!」
愕然とするセシリアだが、一夏はセシリアに接近して腹に膝蹴りを打ち込む。
「ガッ……!?」
相当深く入ったのか、鈴と同じく声が出ないセシリア。
しかし一夏は右手でセシリアの頭を挟み込むように掴み…
挟む力が徐々に強まり、絶対防御が発動。
「このまま潰せば、お前はどんな脳漿ぶちまけるんだろうなぁ?」
楽しそうに耳元で囁く一夏の声にセシリアは青ざめる。
「え…そんな!いや!やめて!やめてえええええええ!?」
眼前に映り込むシールドエネルギーの残量がどんどん減っていき、セシリアは悲鳴を上げる。
内臓へのダメージも大きく、主武装もほぼ全て失ったことでセシリアは抵抗できなくなっていた。
結局、セシリアは恐怖から失禁しながら気絶。
「チッ…汚ねぇ貴族様だな」
用済みとばかりにISスーツ姿のセシリアを放り捨てた一夏。
「さて…残りはお前ら二人か」
――――――――――
これまでとは比べ物にならないほど暴力的な戦闘を行ってきた一夏に、箒は恐怖心を抱いていた。
「一夏…お前はどうして変わってしまったのだ…どうしてお前は千冬さんの魂を!雪片をそんな物に変えたのだ!?」
箒の叫びに、一夏は心底嫌そうな顔をして答える。
「どうしてだと………?全部お前らが招いたことだろうが!」
殺気を全開にした一夏が箒に攻撃するが、ラウラが間に入って受け止める。
「どいつもこいつも、お前が悪い、私が正しいみたいに振り回しやがって!もううんざりなんだよ!お前たちと一緒にいることが!あの教室でお前らと一緒に過ごすことが!」
雪羅でラウラに斬りかかり、一夏はなおも叫ぶ。
「まずは凰!お前いっつも専用機で攻撃してきやがって!転入初日に箒に偉そうなこと抜かしておいてテメェが早速ルール破ってんじゃねえか!」
消防斧でラウラのレールカノンを破壊。
「オルコット!料理を作る人間としてハッキリ言わせてもらう!テメェがあのサンドイッチ作るたびに世の中の貴重な食材が無駄に消えてんだよ!」
雪片で箒の刀を叩き壊す。
「デュノア!生身の俺に銃ぶっぱなしやがって!千冬姉の悪ふざけを実践してんじゃねえよ!」
ラウラのレールカノンを腕力で引きちぎり、AICの搭載された右手を掴み握りつぶす。
「ボーデヴィッヒ!日本語や常識覚えてから行動しやがれこのエセ軍人ロリ!」
だんだん言葉遣いが汚くなるのも構わずに一夏はこれまでのストレスを爆発させるように暴れ続け、ラウラの顔面に雪片を叩きつけ、気絶させる。
「…最後に篠ノ之!」
一夏はラウラを投げ捨て、残った箒に対して歩いてくる。
「い……一夏…!」
「昔っから暴力ばっかり振るいやがって…お前本当に剣道有段者なのか?」
鉈を持ちながらゆっくりと迫ってくる一夏に後ずさりする箒。
「よせ、織斑!これ以上は教師として見過ごせん!」
千冬が叫ぶが、一夏は怪訝な目で千冬を見る。
「はっ。何が『教師として』だよ。散々こっちが痛めつけられても見過ごしてたくせに、こっちが反撃すれば『見過ごせん』?」
一夏は雪片を千冬に向ける。
「黙ってねぇと、何するかわかんねぇぞ?」
千冬の後ろにいる山田先生が少しビビり、一夏は興味を失ったように視線を箒に戻す。
「思えば懐かしいな…扉ぶち破る威力の木刀の突き、何回くらいそうになったのか…」
笑顔で箒に近づき、首に雪片を当てる一夏。
「ひっ!?」
「お前に何度も殺されそうになって、俺は真剣を持つのが怖くなってさ…この雪片も、日本刀みたいなデザインが嫌になったから
雪羅を解除した左手で箒を殴り、一夏は雪片を振りかぶる。
「………零落白夜、発動」
そんな小さな言葉に反応し、雪片が発光。
「や、やめてくれ…!一夏!」
「そう言って、お前は俺への攻撃をやめてくれたか?」
防御無効化の光を纏った鉈は、寸分の狂いもなく箒の首を捉え…
――――――――――
「………」
職員室で、織斑千冬は弟の豹変を思い出し、頭を悩ませていた。
「…織斑先生」
「山田先生か…」
山田先生は千冬にコーヒーを渡す。
コーヒーを受け取った千冬の脳裏には、今までにないほど冷たい目をした一夏が映っていた。
「………私は…いや、私達は何もわかっていなかったのかもしれない…」
あの苛烈なまでに暴力を振るう一夏は、彼自身のストレスが暴走した姿。
あの後、5人の専用機持ち達は医務室へと運ばれ、その後の授業に参加することはなかった。
鈴、ラウラ、シャルロット、箒のISは大きく破損し、修理が完了するまで数日はかかるもののタッグトーナメントには一応参加できるらしい。
一番被害が少なかったセシリアだが、恐怖で失禁したことが相当心にダメージを受けたとのこと。
単なる模擬戦でここまで攻撃したことで一夏には謹慎などの罰が下ると思われたが…
『なるほど。ですがこれまで彼女達が犯してきた規約違反は見逃して、事故でダメージを与えすぎた自分には罰を下すんですか?』
という一夏の遠回しにこれまでの自分達の対応を批判する言葉に千冬は何も言えず、とりあえずケジメということで今日一日は自室待機となった。
「……今回のことは、あくまでも訓練中の事故、ということで処理するらしい」
あそこまで怒った経緯も含めて一度、一夏とはきっちり話をしなければならない。
そう思った千冬だった。
第4話 向き合う時