スプラッタ一夏の逆襲   作:狼牙竜

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お待たせしました、第6話です。
今回、シャルロットに対してかなりキツいので要注意です。
そしてついに、一夏の切り札が登場!

感想、評価をお待ちしております!


第6話 その名はクルーガー

シャルロット・デュノアとラウラ・ボーデヴィッヒの自室。

そこでシャルロットは課題を片付けていると、ドアが開いてラウラが帰ってきた。

 

「シャルロット…」

「ラウラ。言うとおりにしてきた?」

シャルロットはノートを閉じてラウラに顔を近づける。

 

「あ、ああ…」

ラウラはオドオドしながらも答えるとシャルロットはすぐに離れた。

 

 

「…ねえラウラ、わかってるよね?もし君がバレたりしたら………ラウラの独断ってことで話を通すって」

その言葉にラウラは肩を震わせた。

 

「ああ…わかってる」

 

「そっか。ならいいよ」

それだけ言うと、シャルロットはさっさとベッドに潜り込む。

 

 

 

(………私は…これでいいのか?)

 

 

――――――――――

 

一方、一夏の部屋では…

 

「で、聞かせてもらえるかしら、一夏君?」

楯無がいかにも不機嫌です!といった表情で見てくる。

 

「ボーデヴィッヒをあっさり解放した理由…ですね?」

「ええ。ドイツの候補生が日本の候補生に対して嫌がらせを行った。物事には限度ってものがあるし、あれは明らかにやりすぎていた」

あの後、一夏に確保されたラウラは千冬や楯無の尋問で自分が実行犯だと自白した。

 

だが、一夏はそれ以上深いことを聞かず、ラウラの制服に『あるもの』を隠して開放したのだ。

 

 

「このままアレを千冬姉に処罰させれば、すぐ終わります。ですが、これでは奴の裏にいる黒幕を逃がしてしまう…」

「その黒幕ちゃんを炙り出すのが目的ってわけね…まあ、もう思いついてるんだろうけど」

楯無の持つ扇子が開くと、達筆な字で『報復開始?』の文字が出ていた。

 

「はい。それで楯無さん。早速頼みたいんですが…」

「うん?可愛い可愛い義弟候補君のお願いならある程度は聞いてあげちゃうけど?」

楯無のウインクを無視し、一夏は頼みごとを口にする。

 

 

 

 

 

「今夜2時、アリーナの特別予約をして欲しいんです」

 

――――――――――

 

その夜、シャルロット・デュノアは幸せな夢を見ていた。

 

「ん…」

目が覚めると、そこはIS学園の寮ではなく温かみの感じる一軒家。

 

 

「おはよう、シャル」

ドアを開けて入ってきたのは、自分が知っている時より大人びた顔つきになった一夏だった。

 

「そろそろご飯だから、早く支度しなよ?」

「うん…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

朝食を食べ終えたシャルロットは、一緒にソファーに座りながら一夏と腕を組んでいた。

「おいおい、今日はやけに甘えんぼうだな?」

「だって…ここのところ、一夏はボクに冷たかったし…」

つい現実の話を口にしたが、一夏は優しく頭を撫でた。

 

「ごめんごめん。じゃあ…キス、するか?」

「え、ええ!?」

普段の一夏からは考えられない言葉に仰天するシャルロットだったが、一夏は悲しそうな顔になる。

 

「わ、わかった!じゃあ…」

シャルロットはドキドキしながらも目をつぶり、一夏の頬に手を伸ばし…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

普段と違う、デコボコした頬の感触に疑問を持った。

(え………?)

 

 

違う。この一夏は何かが違う。

そう思ったシャルロットはゆっくり目を開けると…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「キス…するか?」

顔面の左半分が醜く焼け爛れ、茶色の中折れ帽に赤と緑の横縞のセーターを着た一夏の姿があった。

 

「ヒイッ!?」

突然の変貌に悲鳴を上げるシャルロットだが、一夏はがっかりしたように肩をすくめる。

 

 

「おいおい?お前が欲しがったんだろ?キスして欲しいって。だったら、何で逃げるんだよ?」

一夏の両手にはいつの間にかシャルロットと一夏の人形が握られており、一夏は人形を動かす。

 

 

「『ねえ一夏!ボク、君のそばにいたい!』『わかった!じゃあ、はぐれないように手をつなごうぜ!』」

シャルロットの全く似てない声真似をし、奇妙な人形劇を始める一夏。

 

 

「『そういうんじゃないんだよ!何で君はわかってくれないのさ!』ババババーン!『ぐわ~!や~ら~れ~た~!』」

シャルロット人形がライフルを持ち出し、一夏人形をボロボロに撃ち抜く。

 

「はっはっはっは!どうだ?よく似てただろう?」

一夏は自分の人形をシャルロットに投げつける。

一夏人形に空いた穴からは血があふれており、シャルロットは怯えて後ずさる。

 

「い………一夏…なの?」

「ああ、そうさ。でもこの状況じゃあ、あの名前にしたほうがいいか…」

 

 

一夏は舌なめずりをしながら、左手に鉤爪のついたグローブを装着する。

 

「この世界での俺は…フレディ・クルーガーだぁ!」

最凶最悪、夢の中の殺人鬼の名を持った悪魔がシャルロットの前に降臨してしまった…

 

 

―――――――――――

 

「いやあああああ!?ああああああ!!」

深夜、突然叫び声を上げるシャルロットによって目を覚ましたラウラは、目の前の異様な光景に目を疑う。

 

 

「来るな!来るなああ!!」

立ち上がり、まるで何かを振り払うように腕を振るシャルロット。

 

「シャ、シャルロット…?」

眠っているはずなのに、シャルロットはまるで起きているかのように立ち上がって暴れる。

 

 

「うあああああああ!!」

 

――――――――――

 

 

「………これは恐ろしいわね」

深夜のアリーナで、楯無は目の前でISを展開する一夏を見つつ、イヤホンから聞こえる悲鳴に身震いしていた。

眼前では、青白い光を放つ白式・スプラッタの姿がある。

これこそが白式に単一仕様能力として新たに搭載された力。

 

 

 

「…『ナイトメア劇場』…ね」

一夏が『エルム街の悪夢』を見て思いついた新しい能力。それはハイパーセンサーへのハッキングという誰も想定しなかった武器だった。

 

専用機を普段から所持している人間は、肌身離さず持つことが多い。

仮に手放したとしても、使い手である以上は専用機と『繋がっている』。

一夏はその繋がりを利用する方法を思いついたのだ。

「まさか、コアネットワークを介してシャルロットちゃんのラファールに潜入、夢の中から彼女を自白させるなんてね」

 

恐ろしいのは、ターゲットはISが起動していることで意識が眠っていても勝手に起きている時と同じく自由に体が動けることだ。

この能力を使えば、ターゲットは眠ることすら許されなくなる。

 

「…この力、恐ろしいわ…」

 

――――――――――

 

「ああ…嫌だ…!」

溢れる出血を抑えながら、シャルロットは必死に逃走を続ける。

 

フレディの鉤爪に切り裂かれた右腕からは今も出血が止まらず、シャルロットはこの痛みがまるで現実であるかのような錯覚を感じていた。

 

 

「どうして…ボクはただ、一夏と一緒にいたかっただけなのに…」

どこで間違えてしまったのだろうか?だが、いくら考えてもシャルロットは自分の間違った道を見つけ出すことができなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前には一生、わかんないよ」

突然、シャルロットの目の前にあった不気味なマネキンが喋る。

マネキンはやがて人間の形に変化し、フレディの姿になった。

 

「愛情?お前の、いやお前たちのしてきたことは暴力じゃないのか?」

フレディが指を鳴らすと、これまでの暴力行為が薄汚い裏路地の壁一面に映し出される。

 

 

「所詮お前は誰かを愛するなんて無理だ。愛人から生まれた愛人の子供。誰かから奪うことしかできない、哀れな道化」

 

 

「…やめて」

 

 

 

「ほら妾の子!俺の心を盗んでみろよ!お前の母親がやったみたいに!」

 

 

「黙れええええええ!!」

シャルロットの心に反応し、ラファール・リヴァイヴが起動した。

 

――――――――――

 

 

「黙れええええええ!!」

現実世界。突然動きの止まったシャルロットに困惑したラウラだが、シャルロットは突如叫び出してラファールを展開した。

 

 

「シャルロット!」

ラウラが止めようとしたが、シャルロットは辺り構わずアサルトライフルの弾丸を撒き散らす。

 

 

ラウラはISを展開しようとしたが、自分の機体は懲罰として千冬に没収されていたことを思い出し…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の瞬間、ラウラの体に連続で激痛が走る。

「………あっ…!」

気が付くとラウラは倒れており、右足から凄まじい痛みが走っている。

 

 

「わ………私…は…」

 

 

この時、ラウラは気がついた。

自分は、シャルロットの流れ弾によって足を撃たれたのだと。

 

「………!」

痛みで意識が遠のいていく中、ラウラが見えたもの。

 

 

 

それは教師達と先頭に千冬が部屋に入っていく光景だった…

 

 





第7話 ガラスの靴は粉々に
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