3度目の人生は魔法世界で   作:恋音

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前回2019年の更新でした。(本日2025年5月)


第16話 第三の道はハードモード

 

 

 言うならばリィン陣営、だろうか。

 闇側として扱われるのは全くごめんであり、光側にはなりえない私。

 

 そんな私個人に味方をしてくれるのはシリウス・ブラックことグリム、そしてお世話係のピーター。絶望的に味方が足りない。

 

 リィン陣営の目的は『生きること』だ。

 実力者、権力者を引き込む必要がある。

 

 ぶっちゃけ、知識は疎いが学校を卒業し次第マグル社会で生きることも視野に入れている。

 

 在学中にすべきことを優先的にまとめてみる。

 第1目標は『生きて卒業』だ。これは絶対。

 

 ・罪人として扱われない様に立ち回る

 ・悪役にならない様に立ち回る

 ・アズカバン卒業

 

 私って望み悲しいなぁ。

 社会人として生活出来る知識は身につけたいので魔法界とマグル社会での知識両方必要。

 

 魔法界の知識は手に入りやすいが今後生きてく上でとても難しい。

 マグル社会の知識は手に入りにくいが今後生きていきやすい。

 

 うーんこの難易度。

 

 なぜマグル知識が入りづらいのか。それはスリザリン寮監の教師以外、私を避けてるからだ。しかもスリザリンの寮はマグルと極端に関わろうとしない。

 あーーーーー世界滅びろ。

 

 

 ところで、なぜこんな事をブツブツ考えているのかという理由は目の前に居るある男が原因だ。

 

「聞いておりますかな、姫君」

「あー、うん、まぁ」

 

 セブルス・スネイプ。

 敵とも味方とも言えない立ち位置にいるであろう男だ。

 

 あくまで推測でしかないのだが、この男、ダブルスパイなのではないかと思っている。この結論に至った理由は在学中の様子を知っているグリムとピーターに話を聞いたから、だ。グリムだってその可能性は捨て切れないと考えている。というか、頭のいいグリムがそう考えたならほぼ100%そうだよねー。しかもそれが闇陣営で話を良くしてたピーターもお墨付き。あー、ヤダヤダ。

 

 優先事項は恐らく『リリー・エバンズ』だろう。

 

「ゴタゴタ考える行為は苦手ぞ」

「……姫君?」

 

 考えなきゃあっという間にバットエンド間違いなしなんだけど。

 

 一息ため息を吐いて話の内容をまとめさせる。

 

「闇側とバレない様に、表で姫君を敵視しますがよろしいか」

 

 これだよ。

 これなんだよーーー!

 

 心の中で頭抱えた私が居る。

 闇側にも光側にも属してない私が、表立ってであれど敵視されるとより一層味方が居なくなる。

 

 んううう。

 悩ましい。激しく悩ましい。

 

「ふう、認識ぞ把握完了ぞりゅんぼ」

「……」

「却下するです」

 

 私は冷たい目でセブさんを見下す。

 

「お前なら実行可能でしょう。私の味方ぞしながら敵対の雰囲気を出すこと」

 

 私には出来ない無理難題をセブさんに押し付ける。まだだ、まだ信頼が足りない。私はこの人を信じれる一手が足りないから引き込めない。

 

 全陣営で忙しく駆け回るこの男を、私のものに出来る理由が見つからない。

 だから傍若無人に、理不尽でわがままで、同情する子供として振る舞う。

 

 少し手を震わせて、偉そうに伺う様子を見せた。

 

「姫君……」

 

 セブさんは私の手をちらりと見て震えていることに気付いた。そして少しだけ瞳が揺れる。

 よし、この手が行けるなら、同情メインで行くか。

 

「……お願いです、セブさん……。私、には、誰も一番を…くれぬです……」

 

 味方になってね。

 張り詰めていた緊張が解けるように涙を溜めれば、『油断ならない敵の娘』じゃなくて『必死に威張ってる孤独な少女』になる。そうだろう。

 

 お前の学生時代のようにな。

 

「…………姫君のお心のままに」

 

 よしっ。

 

 グリム、ピーター。こいつらは動物だからいざって時頼りにはならないんだよ。

 

 あとはこの偽りの忠誠心を本物にすり替えるべきなんだけど、セブルス・スネイプの心はリリー・エバンズに塗り潰されている。

 何年経っても人妻に懸想する独身男性(幼なじみ)ってジェームズ・ポッターから見たらだいぶきっついな。

 

 お付き合いもしてない段階でセブさんをいじめるジェームズ・ポッターは間違いなく悪だけど、結婚して法律的にリリー・ポッターを手に入れた男がセブさんをいじめるのは最早ストーカーに正当防衛しているようなものだし……。

 

 ん?

 あぁ、そうか。

 

 うーん、いけるかな。いけそうかな。

 

「姫君?」

 

 ジェームズ・ポッター。

 リリー・エバンズ。

 セブルス・スネイプ。

 

 この三名を味方に引き入れる可能性が生まれてきたかもしれない。

 もちろん、上手く行けばだけど。特にセブルス・スネイプが厄介極まりないけど。

 

 リリー・ポッターが生きている以上、尚更。

 

「大丈夫、表直立すて『味方』せねばならぬような状況は、私作成可能ですぞり」

 

 とりあえず、味方する言い訳くらいはこちらが作ってあげるから安心してね。

 

「具体的には……?」

「刷り込み。私、セブさん、だーいすき。はちゅこい?」

「………………。」

「その形容し難き顔だけは良してくれませぬ?」

 

 お前が初恋で惚れた弱みでダンブルドアに突き動かされているのならば、私が初恋をセブさんにあげることでダンブルドアは利用しやすくなるだろう。

 セブさんは無下にもできず、全陣営からのバックアップが入る。

 

 あとお前、ドストレートな好意に弱いだろ。

 

「時に姫君、昨日は全ての授業を欠席した様ですが、何事でしょう」

 

 聞かれると思ってました。

 グリムがピーターをパクッとして、それを追いかけてずっと必要の部屋に居たので。

 

「実は、その、倒れるすて……」

 

 目を逸らしながら言えばセブさんは簡単に騙された。

 

「どこで倒れましたかね?」

「いっぱい上の階層ぞり。6か7階?グリム追いかけるすて、帰宅路もしゃっきり不明で、クラクラすて、バタンです」

「…………なる、ほど?犬を追いかけているうちに、帰り道も分からなくなり、体調不良で倒れたと」

「いぐざくとりー!」

 

 仕方ないよね。体力不足で、栄養失調。コミュニケーション不足で、学習不足。

 マッピング能力なんて無いし体力もなければ倒れるよ。

 

「お目付け係をつけるべきですな」

「でも、私授業ははっふはふですし」

「ハッフルパフ」

「ぱふぱふ」

「…………はぁ」

「でも寮はしゅりざりん故にバラバラなのですぞね。それに……人が多き、少量苦手」

 

 アズカバンって基本的に無人だからさ。人の声とかが多い状態って結構苦痛って言うか。

 慣れるまで時間かかるだろうなぁ。

 

 痛いくらいに静かな牢獄にいたんだもの。

 

「地図を用意します。もしくは慣れるまでハッフルパフ生と共に行くことですな。あとは……助けを求めることですけど」

「城、広大。魔法で?」

「廊下での使用は基本禁止されてますが、緊急であれば問題ないでしょう。守護霊の呪文を覚えるべきですな」

「しゅごれい」

「伝言が出来る魔法です。難易度は非常に高いですが、姫君は赤子の状態でもある程度魔法が使えた記憶がありますので、出来ないことは無いかと」

 

 実はずっと足元に居たグリムがふいっと顔を上げて驚いた顔でセブさんを見ている。

 何、そんなに難しい魔法とか?

 

「レクチャー、お願い出来るですか?」

「……誰にも、内密にして頂けるのであれば」

「うん。えっと、リィンの名前に置いて誓う、私はこの場の人物以外に、セブさんが守護霊の呪文を……行使?」

「使用」

「使用する事ぞ言わぬです」

 

 言葉に魔力を込めると誓いになる。これは簡易的な約束、らしい。

 

 はい、ここで大事なのは。

 『私は』言わない。『この場の人物』意外には。

 

 でも、グリムは他人に言えるし、グリムにも言える。いざって時はグリムにお願いすれば弱みにもなるし相談もできるってわけよ。

 

「では罰則、またはリハビリと称して呼び出しますので……。そのタイミングで訓練をいたしましょう」

「はーい。セブさん、ありがとう」

「……。どういたしまして」

 

 私に嫌味は悪手だと思ったのだろう。割と素直な言葉でやり取りしてくれる。

 ハリーにその分嫌味が降りかかりそうな気がするけどさぁ。

 

 私は退室の挨拶をして、スリザリン寮の自室へ戻ることにした。

 

 

 

 

 

 

「あのな、ティー」

 

 自室に帰ると、動物もどきだったグリムが人間のシリウスへと戻る。

 シリウスはすごく複雑な顔をしながら私に守護霊の呪文がどういうものだったのかというものを教えてくれた。

 

「そもそも、あの呪文に伝言機能は無い」

「無いの!?」

「不死鳥の騎士団独自の改良が伝言機能付きの守護霊の呪文だ。つまりオマケ」

「何故、そんなおまけを主題とすて教授しようと」

 

 あくまでもオマケだって言うなら本来必要な呪文があるはず。そうではなく、難しい呪文を教えるのに何か意味が?

 

「守護霊の呪文は防衛魔法で、特性として2つある」

「ふんふん」

「ひとつ。ディメンターやレシフォードって言う魔法生物を追い払うための防衛魔法」

「……えっ」

 

 アズカバン生活でディメンターと過ごす上で、きっと、それは大いに助けになるだろう。

 私はたまたまディメンターと仲良くなれたし、グリムも動物もどきになれるから影響が無いのだけどそんなこと外部の人間は知るはずない。

 

「そしてもうひとつ。こっちの方が重要なんだが」

「うん」

「……闇の魔法使いは守護霊の呪文を使えない」

「……えぇ?」

「何故かは分からないが、闇の魔術を使いすぎて親和性が高くなり、守護霊に拒否されるのかディメンター相手だと同盟者だと見られるのか。検証も審議もされていないが──一般的に『守護霊は闇の魔法使いじゃない証明』に利用される」

 

 なるほどぉ?

 グリムの説明は非常に分かりやすい。

 

 つまり『セブルス・スネイプは闇の魔法使いでは無い』し、私が使えるようになれば『闇の魔法使いでは無い証明になるから減刑が望める』かもしれないと。

 

「何を企んでやがるんだ、あいつ」

 

 私が無知であるのをいい事に好転しそうな魔法を覚えさせようとしている。

 

 好意的なのか、悪意を持ってなのか。多分そこまで悪巧みは出来なさそうだから前者だろうな。

 

「グリムは使用可能?」

「当然」

 

 ディメンターと親和性が高いどころか高すぎて最早同族とまで思われてるケド、そんな私が守護霊の呪文を使えるのか分からないけど……。伝言機能のためって目的があるから手早く覚えなきゃならない。

 

 はー。本当にハードモード過ぎるかも。

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