3度目の人生は魔法世界で   作:恋音

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第4話 悪戯のお菓子と苦労の味は同じ

「だから! 我が君は私の息子の可愛さを分かっていないのです!」

「ルシウス貴様っ、我が娘が世界で一番可愛いと認めないのか!」

「我が君!」

「ルシウス!」

 

 ……一体なんだよこの大人共。

 

『男って馬鹿ね……』

「ばう……」

 

 ナギニさんの言葉に全面賛成したハロウィンの午後。大人げない親達の親バカ喧嘩を聞き流しながら目の前のドラコ君と遊んでいた。

 少なくとも生まれて4ヶ月の子供を放っておいて喧嘩をする親は失格だと思う。

 

「んぱぁ!」

「呼んだか」

 

 呼べば簡単にやってくるので嬉しそうな顔をしている父を──突き落とす。

 

「ぴ〜あ〜?」

 

 ピーターはどこですか?

 

「セブルスーーッ!」

 

 おい待て、呼ぶ相手が違う。私は!頼めば!外に出してくれる!ピーターを呼んだんです!

 

「リィンよ、最近ピーターばっかりじゃないか」

「んべー」

「うっ、我が子可愛すぎ…」

 

 ちょっとした反抗心で舌を出しても父(属性:親バカ)には効かなかった。いや、ある意味クリティカルヒットしてるんだけど。

 

「1ヶ月ピーター禁止令をする」

「めっ」

「禁止令やめる〜〜〜可愛すぎ〜〜」

「落ちたものですね、闇の帝王」

 

 簡単に叱っただけでコロッと表情と態度を変える闇の帝王はこちらになります。

 

 ドヤ顔してる所悪いけどルシウスさんはその言葉言えないからね。息子のドラコ君をめちゃくちゃ可愛がってるじゃん?『いやいやぁ』ってドラコ君が首を横に振ったらこの世の終わりみたいな顔してたじゃん?

 ……死喰い人終わったな。

 

「我が君、お呼びですかな」

 

 扉からのっそりと現れたのは肩まで髪を伸ばした幸薄そうな──

 

『──コウモリ?』

「コウモリ……」

「我が君、そうやってしみじみと言うのをやめていただきたい…。何故唐突にコウモリなどと」

 

 蛇語(パーセルタング)で呟いた言葉を目敏く聞き取った父がポツリと呟く。コウモリの人は眉間に皺を寄せ、酷く疲れた顔をして父を見ていた。

 

 あぁ、この人が苦労人。

 

 ……噂のセブルスさんね。把握した。約半年生きてきてようやくお目にかかれたよ。

 彼は他の死喰い人と違って父への扱いが雑に見える。おそらくここ数ヶ月親バカ化した父の手綱を握っていたからだろう。お疲れ様です。

 

「んぱぁ〜」

「どうした我が娘よ」

 

 呼んで指をさせば、不服そうにしながらも苦労人を紹介する。

 

「あやつはセブルスだ」

「せう、うす」

 

 名前の呼び方を教えてくれたので繰り返してみるが思ったより喋れなかった。喋ることは今後の課題だと思うけど、ちょっとした言い方で意図を読み取る父とピーターが悪い。

 

「セブルス」

「せううす」

「セブルスだ」

「せうううー」

「………セウでいい」

「我が君!」

 

 ルシウスさん並に発音が難しい。もごもごと口の中で繰り返し練習するが上手く発音できない。

 

「せうさぁ」

 

 セブさんでいいや。今後の発音に期待。

 ちなみにルシウスさんは発音的にフルの方が楽だったりする。

 

「………なんでしょうか、姫君」

「セブルス。ドラコの方が可愛いでしょう?」

「ルシウスも少々黙りやがった方がよろしいと思いますがね」

 

 そう言えば闇の魔法族の人達には姫君って呼ばれてたな。

 

「ぱ、めっ!」

「……何言ってるんだコイツは」

 

 聞こえたからな。絶対一生忘れてやらないからな。

 

「……我が君を叱り付けろと仰せですか」

 

 その通りですね!

 心の中でやっと正解したかと大喝采していると父が蛇に癒されていた。ナギニさんはとても喜んでいるから良いんだけど動物虐待……。

 

 ナギニさんがもし人間になったらめちゃくちゃ綺麗な人なんだろうなぁ。化粧は濃いめでミステリアスが似合うと思う。いっそ口紅を黒にしてみるとかさ。

 私の中でナギニさん元人間説が強く根付いているんだけど流石に違うよね。人間が動物になれるわけが無い。

 魔法?呪い?はたまた遺伝?1度でもいいからお目にかかってみたい。

 

 

 閑話休題(それはさておき)

 

 

「んあ!」

 

 抱っこの催促をすると微妙な顔をしながら渋々抱き上げた。初回ピーターと違って遠慮が無い。

 父に伺い立てるとかそこら辺ね。

 

「姫君の父上は拗ねていらっしゃいますからドラコと遊ぶのですよー」

 

 激しく棒読みのセブさん。

 

 ペンダントをしている限りもしもピンチになった時『セブルス』とパーセルタングで呼べば即座に反応してやって来てくれるらしいけど未だに怖くて実験してない。どんな人がやって来るのか的な視点で。

 この人が来るのかぁ。

 

 真面目で堅物、そして陰湿そう。

 だけどその分扱いが正しければ動かしやすいタイプでもありそうだ。逆にルシウスさんは扱いにくいタイプ。

 

 ……弱点を見つければなぁ。

 

「……? samukeがする」

 

 ボソリと呟いて首を傾げたセブさん。

 

 抱かれ心地がすごく悪い。絶対にピーターを見習った方がいいと思う。

 

「ぴーあーッ!」

「うわっ!?」

 

 抱っこをお願いした身としてはなかなか訴えづらい事だけどチェンジで。

 

 喉が焼けそうなくらい大きな声で叫ぶとそれに驚いたセブさんが私を落としかけた。

 

 ビックリすると人って物を落とすんだね、勉強になったよ。

 

「失礼します…!」

 

 ドタドタと走る音が聞こえて部屋に飛び込んできたのは世話係のピーター。待ってた。

 

「えっ、スニベルス!?」

「な、ピーター・ペティグリュー…!?」

 

 2人が顔を見合わせて驚く。口が鯉のようにパクパクと開いたり閉じたりしているけど、見た限り知り合いでしたってオチだな。

 

「なんでこんな所に……闇の魔術が好きだってのは知ってたけど……」

「リリー達はどうした、ポッターやブラックと何故居ないんだ……」

 

 ……ポッター、ってあの初回限定盤外出で出会った薄らハゲだよね。

 

 あ!ハゲで思い出した!セブさんあんまりハゲてない!でも髪質はねっとりしてるからびっくりするくらい悪いね!魔法を使うと髪の毛に異変が現れるかもしれない!

 父LOVEのベラさんって女の人も髪の毛がストーブで焼かれたみたいにチリチリしてたし。あれはもう髪質が異常。

 

「リリーには言わない。だからジェームズに言わないで……お願いだ」

「……分かった、お互い交換条件だ」

 

 あ、私が呑気に髪の毛の話してた間に心の整理が付いたみたい。

 お互い真剣な顔で呟く様に言った。

 

 とりあえずセブさんはリリーさんが弱点なのかもしれない。確かジェームズさんのお嫁さんの赤ん坊抱いた赤毛の女の人、だったよね。

 

「ぴあ?」

「あ、ごめん。スニベルスは学生時代同学年だったんだ。ジェームズ達が率先していじめてたって言った方がいいのかな」

「貴様……ッ!」

「うわっ、ごめんスニベルス!説明癖が!」

 

 その説明癖は私のせいだわ。

 なにか疑問がある度にピーターを呼んでたもんね。仕方ない。

 

「すいえうす」

 

 あだ名らしい呼び方を真似してみたら横で無関係のルシウスさんが吹いた。解せぬ。

 

「……セブさんでいいからそれだけはやめろ」

「やだぁ、セブさんとか似合わない」

「学生の頃に比べて随分と度胸が付いたようで何よりですなぁ、kosigintyaku」

 

 こ、こし?腰なんだって?

 まだまだ分からない単語が多すぎて嫌になる。

 

 ただピーターは初めの頃に比べて堂々としだした。アレか、姫君のお気に入りだと言われているからかな。そうだね、都合いいからお気に入りだよ。ナギニさんの次に。

 

 あ、お腹空いた。

 

「ぎゅえう!」

「何語だ」

「あ、多分お腹空いたんだと思う」

「……お前は何故わかる」

「…………慣れ?」

 

 これがピータークオリティ。言葉にすらなってない言葉を読み取って叶えるから私は言葉が発達してくれない。これはこれで快適かな?

 

 抱っこの催促をピーターにすればピーターは随分と慣れた様子で抱き上げる。役目を取られたセブさんは若干不機嫌な顔付きになった。

 これは、負けず嫌いかもしれないな。

 

 ……うん、使えるな。

 

「おやつにしようか。今日はハロウィンだし」

「いん!」

「お菓子をくれなきゃ悪戯するぞ、って言葉があるんだ」

「〝とあといー〟」

 

 ──ポンッ

 

 愉快な音を立ててお菓子の種を持った花が咲いた。私の手から、お菓子と花が咲いた。

 ちょっと自分でも何言ってるか分からない。

 

「うっそ……魔法使えてる……。ごごご、ご主人様ぁぁあ!?」

「んぱぁああ!」

「我が子天才…ッ!」

 

 視界の端に悔しがるルシウスさんと頭を抱えてしゃがみ込んだセブさんと、キラキラ目を輝かせているドラコ君が居た。カオスだなと思いました。まる。




ドラコ・マルフォイ
…リィンの従兄妹でルシウスの息子

ピーター・ペティグリュー
…この度翻訳機の称号を手に入れた

セブルス・スネイプ
…まだ胃薬は必要としてない。まだ闇側。
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