暗殺教室~28人の暗殺者と1人の戦争屋~   作:BIGBOSS0514

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9話 奥田の時間

ある日の放課後、いつものように学校で一眠りしていた俺はいつものように目が覚め、いつものように帰路に就くところだった。

 

ただ、玄関を出ようとしたところで違和感に気づいた。

 

(・・・理科室の辺りに人の気配がする。殺せんせーや烏間先生のではないな・・・行ってみるか)

 

俺は、踵を返して理科室へ向かった。

 

理科室前の廊下の窓から中を伺うと・・・中にいたのは奥田だった。

 

 

 

「やぁ、奥田さん」

 

 

 

「きゃぁっ!隼人君・・・でしたっけ?ハァ・・・びっくりしました・・・」

 

 

 

「あ~驚かせちゃってごめんね~。理科室に人の気配がしたから来てみたんだけど、何してんの?」

 

 

 

「これですか?私、みんなみたいに不意討ちとか上手くできなくて・・・けど、化学が得意だから・・・殺せんせーに毒を試してみたくって・・・」

 

 

 

「それはいい考えだね!俺もなんか手伝おうか?」

 

 

 

「え、いいんですか?」

 

 

 

「もちろん!でも、せっかく毒を作るんだし、専門家を読んでもっと強力なものにしない?」

 

 

 

「専門家・・・ですか?」

 

 

 

「うんうん、すぐに来てくれる専門家だよ~」

 

 

 

そう言って俺は携帯を取り出し、電話をかけたー。

 

 

 

 

 

「「「「「おお~!」」」」」

 

 

 

みんなが感嘆する。

 

次の日の一時間目は、俺達は理科の授業でお菓子から着色料を取り出す実験をしていて、殺せんせーが教卓で実践していたところだった。

 

 

 

「はい、お菓子から着色料を取り出す実験は・・・」

 

 

 

殺せんせーはそう言った瞬間、マッハでみんなからお菓子を取り上げた。

 

 

 

「これで終了~。余ったお菓子は先生が回収しておきます」

 

 

 

「「「「「え~~~~~~!!!」」」」」

 

 

 

「それ、俺達が買ったやつだぞ!!」」」」」

 

 

 

してやったり顔の殺せんせーに杉野が吠える。

 

 

 

「給料日前だから授業でお菓子を調達してやがる・・・」

 

 

 

「地球を滅ぼす超生物が何で給料で暮らしてんのよ・・・」

 

 

 

みんなが口々にぼやく中、奥田がこちらに視線を送っていることに気づいた。

 

俺は、笑顔で頷いてみせた。

 

それを確認した奥田は、緊張した面持ちで殺せんせーのもとへ向かう。

 

その手には、薬品の入った一本の試験管があった。

 

 

 

「あ、あの・・・先生」

 

 

 

「どうかしましたか、奥田さん」

 

 

 

「あの!毒です!飲んでください!」

 

 

 

みんな突然の事に驚くが、すぐに理解した。

 

 

 

「ストレートだなぁ・・・」

 

 

 

前原が苦笑する。

 

まぁ、俺もこんなストレートに行くとは思わなかったけど。

 

 

 

「だめ・・・ですか?」

 

 

 

「奥田さん、これはまた正直な暗殺ですねぇ」

 

 

 

「あの・・・あの、私、不意討ちとか上手くできなくて・・・でも化学なら得意なんで・・・隼人さんと千賀先生にも手伝ってもらって・・・真心込めて作ったんです」

 

 

 

「隼人君も手伝ったの?」

 

 

 

渚が聞いてくる。

 

 

 

「まぁな。昼寝してたら人助けをしろっていう御告げがあってだな~」

 

 

 

俺は軽口を叩く。

 

 

 

「でも奥田・・・それで渡して飲むバカは流石に・・・」

 

 

 

杉野がためらいがちに言う。

 

 

 

「それはそれは・・・では、頂きまーす」

 

 

 

殺せんせーは試験管のふたを開け、薬品を飲んだ。

 

 

 

みんなが息をのんで見守る。

 

 

 

「・・・ウグッ!?・・・これは・・・!」

 

 

 

殺せんせーが悶え始めた。

 

 

 

「効いてるのか!?」

 

 

 

「まさか!」

 

 

 

みんなが口々に言う中・・・悶える殺せんせーは・・・真顔になった。

 

 

 

「・・・真顔になった」

 

 

 

「てか先生真顔薄っす!」

 

 

 

「顔文字みてぇだな・・・」

 

 

 

みんな口々に言う。

 

 

 

「この味は青酸カリですね。人間が飲めば有害ですが、先生には効きません。先生の事は嫌いでも、暗殺の事は嫌いにならないで下さい」

 

 

 

「いきなりどうした!?」

 

 

 

殺せんせーのいきなりの某アイドルの発言を持ち出してきた先生に岡島がツッコミを入れる。

 

 

 

「そ、そうですか・・・」

 

 

 

暗殺が失敗したことに奥田が落ち込む。

 

俺が奥田に声をかけようとした時、

 

 

 

「この後時間があるのなら、一緒に先生を殺す毒薬を研究しましょう。せっかく手伝ったんですから隼人君も」

 

 

 

「!?いいんですか?」

 

 

 

「もちろん!丁度あなたの苦手強化の化学の克服も狙えますからねぇ」

 

 

 

「うぐっ・・・」

 

 

 

・・・痛いところを突いてきた。

 

人助けのつもりがまさか弱点克服を狙ってくるとは・・・してやられた。

 

かくして、その日の昼休みに俺と奥田は殺せんせーと薬品を作ることになった。

 

 

 

 

 

昼休みになり、みんなが校庭で暗殺バドミントンをしている中、俺と奥田は理科室で殺せんせーの指導の下、毒薬づくりをしていた。

 

 

 

「では、奥田さんはそれをエタノールに投入しましょう。ああ、気体を吸わぬよう気を付けて」

 

 

 

「はい!」

 

 

 

「で、先生。俺は?」

 

 

 

「隼人君はできた固形物をこっちに持ってきてください」

 

 

 

「了解~」

 

 

 

殺せんせーの言われた通りに俺は奥田が調合した液体を蒸発させ、できた固形物を持ってきた。

 

 

 

「奥田さんは、理科の成績が素晴らしいんですけどねぇ」

 

 

 

殺せんせーが切り出す。

 

 

 

「ほんと羨ましいよ~俺、理系教科が苦手で・・・」

 

 

 

「へぇ~そうなんですか!何でもできるって思ってたから少し意外です」

 

 

 

「・・・あれ俺さっき暴露されたような~」

 

 

 

「ご、ごめんなさい。でも・・・私も理科以外はさっぱりで、E組に落とされるのも仕方ないです」

 

 

 

奥田さんの表情が暗くなる。

 

 

 

「特に・・・国語が・・・言葉の善し悪しとか、人間の複雑な感情表現とか、何が正解かわからなくて・・・でも、それで構いません。数式や化学式は絶対に正解が決まっているから。私には、気の利いた言葉遊びも、細かい心情を考える作業も、必要ないんです」

 

 

 

「奥田さん・・・」

 

 

 

それは違うと言いたいものの、いい言葉が見つからず口籠ってしまう。

 

 

 

「ふーん、そうですね。では、そんな奥田さんに先生から宿題をあげましょう」

 

 

 

殺せんせーはそう言うと、胸ポケットから一枚の紙を取り出す。

 

 

 

「何かのレシピですか?」

 

 

 

俺は殺せんせーに問うた。

 

 

 

「ええ、くれぐれも取り扱い注意ですよ?あと、千賀先生にもこのレシピは口外禁止です」

 

 

 

「あ、ああ。分かった」

 

 

 

(千賀にも黙っておけとは・・・なんかやばいレシピなんだろうか・・・)

 

 

 

そんな一抹の不安を抱えながら俺は殺せんせーに同意した。

 

 

 

「では、私は職員室に戻りますね。次の授業の準備をしなくては」

 

 

 

そう言って殺せんせーは理科室を後にした。

 

 

 

「いっちゃいましたね」

 

 

 

「そうだね~。ところで、それレシピ見てもいい?」

 

 

 

「え?ああ!ど、どうぞ」

 

 

 

俺は奥田さんからレシピを受け取り、ざっと目を通した。

 

 

 

「ふむふむ・・・アオダイショウの毒牙にコウモリの羽!?一体何を作らせてんだ・・・」

 

 

 

「きっとこれが先生に効く毒薬なんですよ!」

 

 

 

「そ、そうだな」

 

 

 

何か腑に落ちなかったが、考えても思い浮かびそうにないので一旦考えるのを止め、レシピの調達に・・・ん?待てよ。

 

コウモリの羽とかアオダイショウの毒牙とかこんなものどっから用意するんだ?

 

 

 

「あ、あの~・・・」

 

 

 

「ん、どうした?」

 

 

 

「こ、この注釈・・・」

 

 

 

さっき読んでる時には気づかなかった、レシピに小さい字で書かれていた注釈を指さす奥田の声が震えている。

 

そこには、『なお、薬品以外のものについては、隼人君、出番ですよ!』と書かれていた。

 

 

 

「あ~、なるほどね。後であのタコ絶対にぶっ殺す」

 

 

 

「すいません!私も手伝いに・・・」

 

 

 

「いや、これは奥田さんのせいじゃないし、それにこのミッションは少し危ないからサバイバル経験のある俺に任せたんだと思う。だから奥田さんは気にせずに待っててよ」

 

 

 

奥田は申し訳なさそうに頷く。

 

というわけで、俺は放課後に裏山に材料調達に行くことになった。

 

 

 

 

 

学校が終わり、山に入ってから数時間して、俺は毒牙と羽をアンプルに入れ山から下りた。

 

玄関では奥田が待っていてくれた。

 

 

 

「隼人君!」

 

 

 

「ほら、レシピの品だ」

 

 

 

俺は、アンプルを手渡す。

 

 

 

「ごめんなさい!私の為に付き合ってくれて・・・」

 

 

 

奥田が謝る。

 

 

 

「謝る必要ないって!俺も好きでやってるからさ」

 

 

 

「ありがとう!じゃあ、さっそく作ってきますね!」

 

 

 

そう言うと、奥田は笑顔で理科室へ駆けて行った。

 

 

 

「あ~疲れた。帰って寝るか・・・」

 

 

 

俺は放課後の昼寝をせずに、這う這うの体で帰路に就いた。

 

 

 

 

 

「で・・・その毒薬を持って来いって言われたんだ・・・」

 

 

 

「はい!理論上はこれが一番効果があるって!」

 

 

 

次の日の朝、奥田は完成した薬品を教室に持ってきていた。

 

茅野と渚がご丁寧にレシピまでつけてくれてることに感心する中、

 

 

 

「自分を殺す毒薬かぁ・・・何考えてんだ?」

 

 

 

杉野が疑問を口にする。

 

 

 

「きっと、私を応援してくれてるんです!国語なんて分からなくても、私の長所を伸ばせばいいって!」

 

 

 

(殺せんせーが一つの事に特化させるなんてことするかなぁ・・・まさか)

 

 

 

その時、俺は頭の中で一つの可能性を思いついた。

 

それを口にする前に、殺せんせーが教室に入ってきた。

 

 

 

「はい皆さん、席についてください」

 

 

 

「殺せんせー来たよ、渡してくれば?」

 

 

 

茅野が奥田を促す。

 

奥田は頷いてまっすぐ殺せんせーのもとへ歩いて行った。

 

 

 

「先生!これ!」

 

 

 

「おや、流石です。では早速頂きます」

 

 

 

殺せんせーは躊躇いもなく薬品を口に流し込んだ。

 

そこで俺は確信した。

 

 

 

(あれは毒じゃない・・・何かの強化剤だ!)

 

 

 

その時には、時すでに遅し。

 

殺せんせーの体が赤く光りだし、何か大きな変化が起ころうとしていた。

 

 

 

「ありがとう奥田さん、君の薬のおかげで先生は新たなステージへ進めそうです」

 

 

 

「それって・・・どういう・・・?」

 

 

 

奥田はどういう事か分からず困惑している。

 

 

 

殺せんせーは大きな雄たけびを上げると・・・溶けた。

 

 

 

「ふぅ~」

 

 

 

「「「「「溶けた!?」」」」」

 

 

 

「先生、どういうことか説明してもらおうか」

 

 

 

俺が殺せんせーを問いただす。

 

 

 

「奥田さんに作ってもらったのはねぇ、先生の細胞を活性化させて流動性を増す薬なのです。液状なのでどんな隙間にも入り込むことが可能に」

 

 

 

そう言う殺せんせーはなぜか片岡さんの机の中にいた。

 

 

 

「何処に入ってんのよ・・・」

 

 

 

片岡さんが至極当然の反応を返す。

 

 

 

「しかもスピードはそのままに!さぁ、殺ってみなさい!!」

 

 

 

そう言うと殺せんせーは液状のまま教室を飛び回った。

 

悲鳴の他にはぐれ先生とかいう少しアブない発言も飛び交う中、

 

 

 

「奥田さん、あの毒薬って!?」

 

 

 

茅野が奥田に問いかける。

 

 

 

「殺せんせー、”わざと”奥田さんを騙したんだね」

 

 

 

「騙したって・・・ホントですか殺せんせー?」

 

 

 

奥田が信じられない様子で殺せんせーに聞いた。

 

 

 

「ええ、奥田さん。暗殺には人を騙す国語力も必要ですよ?」

 

 

 

教室の隅にへばりついている殺せんせーは言った。

 

 

 

「え・・・?」

 

 

 

「国語・・・力?」

 

 

 

奥田と渚が聞き返す。

 

 

 

「どんなに優れた毒を作れても、今回のように馬鹿正直に渡したのではターゲットに利用されて終わりです。隼人君、君が先生に毒を盛るならどうしますか?」

 

 

 

「うーん、俺なら香りの強いコーヒーで毒を割って、甘いケーキと一緒にいつものお礼って言って渡すかな」

 

 

 

「そう、人を騙すには相手の気持ちを知る必要がある。言葉に工夫をする必要がある。上手な毒の盛り方、それに必要なのが国語です」

 

 

 

奥田と、渚がハッとなる。

 

 

 

「君の理科の才能は将来みんなの役に立てられます。それを多くの人に分かりやすく伝えるために、毒を渡す国語力も鍛えてください」

 

 

 

殺せんせーは元の形に戻りながら奥田さんに諭す。

 

 

 

「はいっ!」

 

 

 

奥田さんも、納得したのか笑顔で返事をする。

 

みんなも、苦笑しながら状況を理解する。

 

 

 

(殺せんせーはわざとこの状況を作り出して、理解させようとしたのか・・・先生はどこまでも先生だな)

 

 

 

俺は内心でつぶやく。

 

 

 

「みんなやっぱり暗殺以前の問題だねぇ」

 

 

 

カルマが笑いながら言う。

 

まぁ、確かにごもっともなことだ。

 

 

 

これで、一件落着・・・あれ?奥田はこれで学べたけど・・・俺の山に入った苦労は・・・

 

 

 

「ねぇ、殺せんせー」

 

 

 

「にゅや?なんでしょう隼人君」

 

 

 

「俺がわざわざ山に入ってアオダイショウと格闘したりコウモリ叩き落として俺は化学を学べたのかな・・・?」

 

 

 

「にゅや!?・・・ヒュ~ヒュ~」

 

 

 

先生がすっとぼけるのを見てカチンときた。

 

 

 

「ぶっ殺す」

 

 

 

俺は、殺意を込めたナイフを一閃させた。

 

殺せんせーはすっ飛んで逃げたが、床には切れた先生の触手が一本蠢いていた。

 

 

 

「すげぇ・・・触手一本タイマンで切りやがった」

 

 

 

「流石軍人だね~」

 

 

 

みんなにチヤホヤされる中、渚とカルマだけが顔を見合わせていたのだった。

 

 

 

 




次回は集会です。渚とカルマの違和感は次に・・・またまた詐欺ってすいません(土下座)
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