暗殺教室~28人の暗殺者と1人の戦争屋~ 作:BIGBOSS0514
「急げ、遅れてたらまたどんな嫌がらせされるか分かんないぞ」
クラスの先頭を歩く磯貝が急かす。
「前は本校舎の花壇掃除だったっけ?」
「あれはきつかった~花壇が広すぎんだよ」
「お前はほとんどサボってただろ~?」
ちゃっかり岡野に同意する前原に磯貝がツッコむ。
「はっはーっ、そうだっけ?」
「あーもう、何で私達だけこんな思いしなきゃいけないの~!」
すっとぼける前原を他所に、岡野が空に叫ぶ。
・・・なんか、カオスな情況だ。
俺達E組の校舎は本校舎裏にある山の上に立っているため、全校集会の際は昼休みを返上して山を下って本校舎に行かなければならないそうだ。
また、その山道も自然のトラップがいっぱいな訳で・・・
架かっている橋が崩れたり・・・
「岡島~~~~~~!!!」
蛇に絡まれたり・・・
「「「岡島君~~~~~~!!!」
落石に遭ったり・・・
「「「「お、岡島~~~~~~!!!」」」」
蜂の大軍が襲って来たり・・・
「「「「「お、岡島~~~~~~!!!」」」」」
・・・まぁ大半のトラップは岡島が全て引き受けてくれたおかげで難なく進めそうだ。
奴の冥福を祈ろう。
「死んでねぇよ!!!ハァ、ハァ、ハァ」
中間地点に到達した俺達は休憩を入れた。
岡島はもちろんだが、みんなの息もかなり上がっていた。
俺もほんの少しだけ肩で息を切らしていた。
「大丈夫か?」
一足先に到着していた烏間先生が俺達を気遣う。
「烏間先生!」
「焦らなくていい。今のペースなら十分間に合う」
てか、この山道をこのスピードで下ってもいつも通りの烏間先生なのを見て、烏間先生はやっぱり精鋭の軍人なんだなという事を思い知らされる。
「ちょっとぉ~~~~~アンタ達ぃ~~~~~~!!」
山の上の方から声が聞こえる。
「あ、ビッチ先生!」
「ハァ、ハァ、休憩時間から移動なんて聞いてないわよ、ハァ」
全速力で来たのか完全に息が上がって、地面にへばっていた。
「だらしねぇな~ビッチ先生」
杉野が苦笑する。
「ヒールで走ると倍疲れるのよ!!」
「何でヒールで来たの!?そりゃ疲れるわ!!」
俺がツッコむ。
「烏間先生、殺せんせーと千賀先生は?」
殺せんせーがいないことに気づいた渚が烏間先生に尋ねる。
「千賀は先程用があると言って首相官邸に行った。奴は生徒たちの前に姿を曝すわけにはいかないからな。旧校舎に待機させている」
なるほど。普通に先生が国家機密って忘れてたわ。
「さぁ、本校舎までもう少しだ。行くぞ」
烏間先生に促されてみんなは再び移動を始めた。
本校舎に着いた時には、俺以外の全員の息は完全に上がり、地面にへばっていた。
まぁ、俺もかなり息は上がっていたが。
「ほらみんな、急いで整列しようぜ!」
いち早く息を整えた磯貝がみんなを促す。
「おい、赤城隼人はどいつだ」
突然誰かが俺を呼ぶ声がして振り返ると、そこにいたのは・・・椚ヶ丘中学校生徒会長にして理事長浅野學峯の一人息子、A組の浅野学秀だった。
突然の人物の登場にみんなも驚く。
「俺だが・・・何か用か?」
「お前は集会に参加しなくていい。代わりに、理事長が君をお呼びだ」
「・・・分かった(あの男、何考えてる・・・)」
「ほかの奴らは、いつもの如くさっさと整列を済ませておくことだ」
そう言い残して浅野は去っていった。
「ちぇ、嫌な奴」
「てか、理事長に呼び出しとかお前何したんだ!?」
杉野が俺に聞いてくる。
「さぁな、悪いことはした覚えないんだけどなぁ・・・まぁ行ってくるさ」
そう言って俺はみんなのもとを離れ、理事長室へと向かった。
「・・・失礼します」
「やぁ、隼人君。元気そうだね。暗殺は上手くいってるかな?」
「・・・まずまずと言ったところです」
理事長室に入ると、浅野理事長がいつもの黒い笑顔で俺を迎える。
俺は理事長に促され、対面式ソファーに腰掛けた。
「で、何か御用でしょうか」
「君はE組への転校生だが、同時に国からの客人でもあるからね。E組の待遇を受けさせるのは無礼に当たると思ってね。モニターは用意しているから、ここで見ていくといい」
「・・・そんなお気遣いなさらなくて結構ですのに」
俺は理事長の表情を伺いながら言葉を返す。
「私もそうしたいところだが、国が業務停止命令を出すと脅してきたものだから仕方がないのだよ」
・・・本心モロに出てるじゃねえか。
しかしまさか、国が庇っているとは思ってなかった。
恐らく、この学校のE組のシステムを知っていた上で、ネメシスの一員を侮辱するようなことがあれば、うちのボスが日本を滅ぼしかねないとでも思ったのだろう。
それに、理事長も業務停止を言い渡されては流石に困るのだろう。
珍しく、彼の発する言葉に苛立ちが感じられる。
モニターに視線を移すと、体育館を俯瞰した映像が映し出されていた。
他のクラスの連中がバラバラにおしゃべりをする中、E組だけが整列していた。
「・・・これは」
「規律を守るために、E組は他のクラスよりも先に並ばなければいけないのだよ」
「話には聞いていましたが・・・」
なかなか酷い光景である。他クラスの連中が、整列しているE組を蔑んでいるのだ。
それは、集会が始まってからも同じ事だった。
校長の話にもE組を蔑むような発言が見受けられ、他クラスの連中が爆笑しているのである。
そこで、俺はE組の列にカルマがいないことに気づく。
「赤羽君はバックレたようだね。まぁ彼には十分な罰則を与えたので今回は見逃してあげよう」
「・・・だからちゃっかり私の思考読むのやめてください」
俺は理事長に反発する。
校長の話が終わり、生徒会が発表の準備に入った時、モニターの端の方に烏間先生が映った。
他クラスの教員に挨拶をしているようだ。
体育館がざわめきだしたー特に女子列が。
まぁ、烏間先生は確かにカッコいいが、ここまで反応するとは・・・この学校の男子はあまり恵まれていないのだろうか。
突如、烏間先生がE組列にすっ飛んでいった。その先にはデコったナイフケースを見せ合う中村と倉橋がいた。
てか、この前してあげた時よりさらにデコレーションしてる・・・。
烏間先生は凄まじい形相でそれを直させた。
・・・先生も大変だなぁ。
さらに、体育館にどよめきが起こる。
モニターを見ると、全校生徒の視線が体育館に集中していた。
視線を追っていくと・・・イリーナ先生がいた。
・・・あれは文句なしで美人だからああなるな。
てか、さっきまでへばってたのに凛として歩いているし。
(彼女、見栄っ張りなんだろうな~)
俺は心の中でつぶやく。
イリーナ先生が渚に近づき、何かを言っている。
そして・・・自分のおっぱいに渚を埋もれさせていた。
(何してんだイリーナ先生・・・)
烏間先生がすぐに引き離すが、他クラスの男子が羨ましそうに見ていたのは言うまでもない。
そうこうしている内に準備が終わり、生徒にプリントが配られる・・・が、E組には届いていない。
磯貝が尋ねると、プリントを忘れたから記憶して帰れと言い出した。
恐らくこれもわざとなのだろう。
全くどこまで陰湿なんだと思っていると・・・いつの間にかみんなの手にはプリントがあった。
そして、体育館の隅になんとE組校舎にいる筈の殺せんせーがいた。
変装のつもりなのか、白い手袋をつけ、皮膚の色も若干人間の肌に寄せてある。
(・・・随分と無茶をしやがる)
幸いにも、他クラスの連中は殺せんせーのの正体に気づいていないようだから集会はそのまま続いた。
が、隅でイリーナ先生が殺せんせーをナイフで攻撃し始めたのにはヒヤリとした。
速攻で烏間先生に腕を捻られて連行されていったが、E組に笑いが起こったのを見て、俺は少し安心した。
「・・・」
ふと視線を移すと、モニターを見ていた理事長の表情が険しくなる。
このことを快く思っていないのは、明白である。
その後は特に何も起こることはなく集会は終わり、俺も解放された。
理事長室を出てE組校舎へ戻る途中、自販機の前で渚が他クラスの連中に絡まれてるのが見えた。
その手前には烏間先生と殺せんせーがいた。
どうやら、烏間先生が止めに入ろうとするのを殺せんせーが制止したらしい。
しかし・・・なぜ・・・
その瞬間、渚は・・・殺気を纏っていた。
それも、俺が思わず身構えてしまうほど強力な殺気を、あの気弱そうな渚が放ったのである。
理解が追い付かず呆然としていると、渚がこちらに気づき、同じく動けない他クラスの連中を無視して走って向かってくる。
「お待たせ隼人君、戻ろっか」
渚がいつもの笑みを浮かべて言う。
「あ、ああ。」
俺は釈然としないまま返事を返し、一緒に山を登るのだった。
集会の後の授業では特に変わったことは何もなく、いつも通りの放課後を迎えた。
が、俺がいつものように昼寝に入ろうとすると、
「ねぇ、隼人君。ちょっといい?」
渚が話しかけてきた。傍にはカルマもいた。
「ああ、二人揃ってどうした?」
渚は一瞬口ごもったが、
「・・・ビッチ先生と二人きりで話してた時とか~殺せんせーの触手切った時に隼人君から凄い殺気を感じ取れたんだよね~みんな気づいてないけど」
カルマが説明する。
「ひょっとして、周囲にいる全員じゃなくて対象だけに殺気を当てるってことができるの?」
渚が真面目な顔で聞いてくる。
突然の質問に驚いたが、二人から何かしらの悪意は感じられないし、興味を持っただけなのだろうと判断した俺は、
「ああ、そうだ。ウチのボスから教わったんだ」
そう答えた。
「へぇ~ワ○ピースの覇王色の覇気みたいなことできるんだ~」
(発言がアブナイ・・・てか、もはや隠れてねぇ・・・)
「そういえば、渚も集会の後に他のクラスの連中に殺気を放ってたじゃん」
俺は思い出したように渚に言う。
「え?ああ!あれは・・・その・・・殺すって言われたから・・・ちょっと反論しただけなんだけどね」
「いやいやいやいや、そのレベルの殺気じゃなかったって!」
「へぇ~渚君が殺気か~」
「それからかってるよねカルマ君!?」
まぁ、普段の渚君からすればカルマの反応もおかしくない。
だが・・・あれは育てたら伸びそうだな・・・。
「ねぇ、渚」
「うん?どうしたの?」
「その殺気、伸ばしてみないか?」
「え?それって・・・どういう・・・?」
「俺みたいに対象だけに効力を発揮したり、一部に集中させるみたいな使い方は暗殺にとても有効になるのはお前も見たろ?だから、あれ程の殺気を放てる渚なら鍛えれば俺ぐらい扱えるかもね~」
「えーと、隼人君が教えてくれるってこと?」
「そういうことー」
「いいじゃ~ん、渚教えてもらいなって」
珍しくカルマが渚の背中を押す。
「え、えーと・・・じゃあ、よろしくね?」
渚がぎこちなく言う。
「ああ、今日はしないけど、おいおい日付を決めてしようか」
「うん!」
これが後のストーリーに大きく影響するのはまた別の話である。
なんか最後おかしい着地になった()