ソード・ワールド2.5(sw2.5)リプレイ風オリ主小説 蛮族退治はもう古い!? アルフレイムに響けあたしの平和な歌声! 作:すー2018
あたしたちは、ガッデンさんに話をした。
「お前さんたちくらいなら、きっと何とかなるだろう」と、ガッデンさんは笑顔で送りだしてくれた。
往復の食料とひとりひとつづつのヒーリングポーションと、"奈落の魔域"の場所が記された地図を受け取って、さっそくユゴー村へと向かう。
半日でユゴー村に着いて、また村長さんのおうちで一泊。
「またお世話になります、ありがとうございます」と村長さんは何度もお礼を言ってくれた。
朝に、ユゴー村を出発。
野宿をしながら、地図の場所へ向かう。
そしてあたしたちは、冒険で初めての光景を目にした。
そこは洞くつの入り口だった。大きな黒い球体が洞くつの前にある。それが"奈落の魔域"なのだろう。
「行くぜ」
罠や危険さを感知できるスカウト能力が一番高いリオンを先頭に、あたしたちは恐る恐る"奈落の魔域"に足を踏み入れた。
ぐらんぐらん、と平衡感覚がおかしくなり……。
気が付くと、あたしたちは洞くつの中にいた。暗いので、火口箱でたいまつに火をともす。洞くつの先は谷になっていて、一本の長い吊り橋が奥の方へと伸びている。
「ん。この吊り橋に、今のとこ危険はなさそうだぜ」とリオン。
みんなで吊り橋に乗ると、ぎしぎし言う。
リオンが洞くつの石ころを拾ってきて、吊り橋の向こうの闇に投げた。しばらくして、かつん、と谷底に落ちた音がする。
「谷底までは20mってとこか。落ちたら痛いじゃ済まないだろうなあ」とリオン。
「うわあ、そんなにあるの? 早いとこ、渡っちゃおう!」とあたし。
みんなで吊り橋を恐る恐る渡り切る。
その先は、人工の部屋になっていた。
「遺跡っぽいね」とあたし。
「かなりの年代ものじゃのう」とザム爺が続いて感想を述べた。
部屋の奥へ行こうとすると……。
ざざざっ、と足元で音がした。
「うわっ、何だ……!?」と先頭にいたリオンが後ずさる。
よく見てみると。
「それ、チープストーンだよ!」
あたしは魔物の名を告げた。
チープストーン。小さな石ころの魔物だ。洞くつや遺跡なんかによくいて、転がって攻撃してくる。
数は三体。うん、今のあたしたちなら負けることはなさそう!
……戦闘はあっさり終わった。
チープストーンは動かなくなって、ただの石になった。
足元に寄ってくるから転んじゃったりもしたけど、全力を尽くした戦いにはならなかった。
部屋に静けさが戻る。部屋の奥には扉があった。
用心深く、リオンがスカウト用ツールで扉の鍵を開けようとしたとき。
ドアが、急に動いて体当たりしてきた!
「痛ってえ!」
よけ損ねたリオンが悲鳴をあげる。
「下がってリオン!」とナナ。
「あとは俺たちに任せろ!」とロッドも続き、あたしたちは不意打ちに慌てて態勢を整えようとした。
「ドアイミテーターじゃ! ドアに擬態しとる魔物じゃのう」とザム爺。
あたしも、魔物が擬態を解いたから分かるようになったけど……。ドアだから固いんだよね、この魔物!
戦闘は、あたしたちの勝利。
不意打ちされて、ちょっとうろたえちゃったけど、前衛・後衛を作りなおして戦闘態勢に入ったら、楽勝だった。
倒した後に、魔材というアイテムも入手した。
ドアイミテーターの向こうには、さらに扉!
「こいつもドアイミテーターか……?」
用心して、戦闘態勢のまま、あたしたちは扉に近づく。
「こいつは普通の扉みたいだ」と、ロッドがドアを叩いた。
「ちょっと待ってくれよ」とリオン。
そろそろと扉に近づいて、聞き耳をたてている。
「まずいな……こりゃ」
「どしたの? 何が聞こえたの、リオン?」
「ドアの向こうに魔物がいるぜ」
「ええ……ほんとに!?」
「数がやばい。10匹くらい、いそうなんだ」
「えええ、10匹も!?」
あたしたちは扉を開ける前に、作戦を立てることにした。
知恵を出し合って練った作戦は、こんな感じ。
ドアの鍵を解除したあとで、開かずに一旦、パーティのみんなは洞くつの入り口まで戻って待機。
吊り橋を罠に変えて、一番素早くて軽いあたしが、魔物たちを吊り橋までおびき寄せて、吊り橋ごと魔物を谷底に落とすことになった。
「ピコ、後は任せたぜ。気を付けろよ」
扉の鍵を解除したリオンが、洞くつの入り口へと去っていった。
「うん、じゃあ行くよー!」
それを見届けて、吊り橋の罠設置に十分な時間をとってから、あたしは思い切り、ドアを開けた。
ドアの向こうにいたのは……エルビレア! リオンが言ったとおり、10匹も。
人間の子どもくらいの大きさで、頭がエビのような形になっている。
魔神のなかでは一番弱いけど、こうして群れになることがあるから厄介なんだよね。
おまけにエルビレアは魔神語も話せないから、交渉の余地もないし……。
そして。
エルビレアたちのその奥に、ありました、奈落の核! 漆黒の剣の形をした結晶体。あれを壊さないと"奈落の魔域"から出られないんだ。
「はいはーい、鬼さんこちらー!」
あたしはエルビレアを挑発した。一番奥にいる、なんだか強そうな二匹を残して、エルビレアが一斉にこちらへ向かってくる!
吊り橋まで走る。何のためらいもなく、エルビレアたちが8匹縦に並んで吊り橋の上にやって来る。
「ピコ、こっちだぜ!」とリオン。
「あとは任せたよー!」
あたしはヒョイと吊り橋を渡り切った。
ぷつっ、とリオンが吊り橋を切り落とす。エルビレアは吊り橋ごと、がらがらと谷底に落ちていった。
エルビレアを罠にかけて倒したあたしたちは、リオンが小型ハンマーで作ってくれた、崖のフックにロープを通して、ひとりずつ谷底に降りた。そして、向こうの崖まで歩いて行き。
ロッドがリオンを抱えて、竜の翼で上まで行き、またフックを作って、残ったあたしたちを崖の上まで引き上げてもらった。
ロッドは「全員ぶん往復してもいいぞ?」なんて言ってくれたけど、まだ"奈落の核"の前に、強そうなエルビレアが二匹残ってるからね! 体力は温存してもらわないと。
そうして、戦闘態勢を再び整えて。
あたしたちは、二匹のエルビレアとの戦いを始めたんだ。
戦闘修了。たくさんいれば脅威になるけど、強いとは言っても、二匹のエルビレアに勝つことは難しくなかった。
一匹に、三つづつ、合計6個の<剣のかけら>と、二匹分の「悪魔の血」を手に入れた。
罠で数が減らせて良かった! もし、そのまま10匹と戦うことになってたら、こんな余裕無かったよ。
魔神を倒して、あたしたちは奥へと進み……。
「おっ、宝箱だ」とうれしそうなリオン。罠の無いことを確かめて、さっそく開けてみると、ひとつ500Gくらいで売れそうな宝石が5つ。
「おおー、臨時収入だあ!」とあたし。
「ラッキーね」
「綺麗な宝石じゃのう」
「ここに来たかいがあったなあ」
ナナとザム爺、ロッドも嬉しそうだった。
そして……。
部屋の奥にある"奈落の核"の前に、あたしたちはやって来た。
「これが"奈落の核"なのね」とナナ。
「うむ。これを破壊すれば"奈落の魔域"から出られるじゃろう」とザム爺。
「じゃあ、壊すよー? せーのっ」
あたしは声を掛けた。みんなで"奈落の核"を破壊する。
ぱらぱらと、五つの”奈落のかけら”に、それは砕けた。その"奈落のかけら"を拾い集めていると、外の景色がぼんやりと見えてくる。
「これで帰れるね!」
あたしたちは外の景色に向かって、歩きだした。
歩いて行くと、次第に周りの景色が歪み始め、渦を巻くようにして、それは消滅していく。
気が付くと、あたしたちは洞くつの入り口に立っていた。
"奈落の魔域"の消滅を確認して、あたしたちはユゴー村に帰ってきた。村長さんや村人たちが喜び合い、あたしたちに、合計1000Gを渡してくれた。
ユゴー村からマカジャハットまで戻り、ガッデンさんに事の次第を伝え、今回の冒険で入手した"奈落のかけら"や「悪魔の血」や「魔材」のアイテムを引き取ってもらう。宝石も売って、お金に変えた。
「お前さんたち、本当に力が付いてきたなあ。頼もしいぜ」とガッデンさん。
今回は、ユゴー村の村長さんから合計1000Gつまり、ひとり200G、宝箱の宝石が一人500G。そして”奈落のかけら”が200G。ガッデンさんからもらえた報酬がひとり1500G。一人当たり2400G! 魔物から入手した「魔材」や「悪魔の血」ふたつも合わせると、もうほっくほくだよ!
……こうして、あたしたちにとって初めての"奈落の魔域"の冒険は、大成功に終わったんだ。
オリジナル設定
エルビレアを吊り橋の罠におびき寄せて数を減らすという行動は、オリジナルのものです。