ソード・ワールド2.5(sw2.5)リプレイ風オリ主小説 蛮族退治はもう古い!? アルフレイムに響けあたしの平和な歌声! 作:すー2018
「じゃあ次は、夢! みんな、将来どんなことがしたいか教えてください」
あたしはみんなの顔をぐるりと見回した。
「あたしの夢は、アルフレイムのたくさんのひとたちに、歌で、幸せになってもらうことだよ!」
「素敵ね。わたしはピコの歌、好きよ」
ナナがうれしいことを言ってくれる。
「わたしは、ジニアスタ闘技場で自分の腕を試すことかしら? あとは……そうね……」
ナナは急に小声になり、ごにょごにょと呟いた。
「え? なーに?」
「お、お婿さんが、見つかったらいいな!」
必死の声で、ナナは恥ずかしそうに告げた。
「ははは、拳闘士、グラップラーの強気な女性と見ていたが、案外乙女なんだなあ」
ロッドが言う。竜人、リルドラケンの表情はイマイチよく分からないんだけど、優しく微笑んでいるように見えた。
「俺の夢は大きく行こうと思う。数々の依頼をこなすのもいいが、鍛えた果てには、いつか"奈落"の魔神と対峙したいものだ」
「ええ! そんなの、無理だよ! 死んじゃう!」
あたしは怖気づいた。
"奈落"というのは、アルフレイム大陸の北部にぽっかりと空いた異界への穴だ。
およそ3000年くらい前に栄えた古代魔法文明のころにできたものらしく、そこからは強力な魔神が現れて人々に襲い掛かってきたという。
古代の魔法王たちが封印したことで、人々は危機を脱したそうだ。
再び魔神がやって来ることに備えて、"奈落の壁"を作り、そこに"壁の守り人"と呼ばれる屈強な人々がいて、魔神との戦いに備えているという。
この"壁の守り人"と呼ばれる人たちこそ、冒険者の原点で、弱い者を助けるために盾となるんだって。
ふわぁ! 英雄譚として歌うにはうってつけの題材だけど、自分たちがそんな存在になるなんて、今は考えられないよ!
「今じゃない。いつか、の話だ。ナナの言うジニアスタ闘技場での腕試しも楽しそうだ」
「そっかあ。でもあんまり無理はしないようにしようね。あたしたちが行けそうなのは、とってもちっちゃい"奈落の魔域"くらいだと思うなあ」
「ははは、確かにな」
ロッドは快活に笑った。
"奈落の魔域"というのは、アルフレイム大陸のあちこちに、ときどき発生する"小さな奈落"だ。
それが現れるとき、北の空にオーロラが輝いて、それが示す先に現れるのだと言う。
その中は不思議なダンジョンになっていて、放っておくとその魔域が番人として魔神を召喚する。
魔神は、番人として"奈落の核"を守るようになるという。
小さなものならひとつの屋敷くらいの大きさのダンジョンだけど、大きくなるとひとつの城や要塞ごと"奈落の魔域"になる場合もあるらしい。
「ダンジョン! お宝! いいねえ」
リオンが相づちを打った。
「オレは、まずは金とかお宝だな! "はきだめの"魔動死骸区育ちなもんでね、金の無い暮らしがどんなにひどいか身を持って知ってるんだ」
ぶるぶるとリオンは身震いする。
「冒険できることになって本当にうれしいんだ。……そうだな、いつかは魔動死骸区で今でも苦しい暮らしをしてるオレのお世話になった人たちに、報いてやりたいな」
リオン……この子、シャイで現実的な物言いをするけど、本当はものすごく優しい子なんじゃ……?
「魔動死骸区かあ。魔動巨兵の残骸がたくさんあるところらしいね。治安がすごく悪いって聞いてるけど」とあたし。
魔動巨兵っていうのは、300年前、蛮族の大侵攻があった<大破局>のときに作られたもので、今は動いているものはいないとか。
多くの魔動巨兵の残骸は、高さ100mを超えるものもあって、それ自体が大きなダンジョンになっているところもあるんだって。
うう、面白そうではあるかも!
「確かに強盗だとか、暴行は多いさ。だけど、いわく付きの人間を受け入れてくれる寛大なところもあるんだぜ。
オレは、親の起こした不祥事のせいで貴族の座を追われたけど、そんなオレとオレの家族を迎えてくれたのは魔動死骸区の連中だったんだ」
リオンはしみじみと語っていた。
「そうなんだ……いっぱい稼いで、魔動死骸区に戻れるといいね! あたしも魔動巨兵のダンジョン、探検してみたーい!」
「ああ。そのうち一緒に行こうな、ピコ!」
リオンとあたしは意気投合した。
「いいのう、冒険じゃのう!」
樹の人、メリアのザム爺が目を輝かせた。頭のお花が二つ三つ、ぱぁっと咲き誇っている。
「ワシの夢は、もう、皆についてゆくことで叶いそうじゃよ! 老いて死ぬ前に、できるだけたくさんの冒険がしたいんじゃ!」
「そっかー。あたしも、みんなの冒険を歌にできたらすごくうれしいもんね。これでみんなの夢は全部かな? 一緒に頑張ろうね。かんぱーい!」
「乾杯!」とみんなの声が後に続いた。