ソード・ワールド2.5(sw2.5)リプレイ風オリ主小説 蛮族退治はもう古い!? アルフレイムに響けあたしの平和な歌声!   作:すー2018

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2ばんめのぼうけん「腹ペコウルフを手なずけよう!」

あたしたちは、それぞれ最低限、冒険に必要なものを購入した。

 

あたしは新品の、みんなの分の食器セットを買った。これと、ガラクタ部屋で見つけた調理道具を合わせれば、冒険中でもおいしくごはんが食べられる!

 

ロッドは神聖魔法を使うのに必要な<聖印>を発行してもらった。これで、神さまからの加護を得て神聖魔法を使うことができるね。

 

リオンは「地図を作るのに必要だぜ!」と、羽根ペンとインクと羊皮紙を買った。

 

あとはみんな、ひとりづつ冒険者セットと一週間分の着替えセット。

 

冒険者セットは背負い袋、水袋、毛布、たいまつ6本、火口箱、ロープ10mと、とりあえず冒険に使うものが一揃い。ひとつひとつ買うよりお得だったよ。

 

そうして、冒険の準備ができたあたしたちが「月明かりの夜亭」に戻って、一晩泊まり、朝ご飯をギルドの酒場兼食堂のエリアでもぐもぐと食べていると。

 

マチルダさんが、やって来た。

 

「昨日はお部屋の掃除、ありがとうね。今日はまた一つ、依頼があるのだけどいいかしら」

 

「はい! 何でしょう?」

 

お仕事と聞いて、あたしは興味深々にマチルダさんの次の言葉を待った。

 

「ここマカジャハットから半日で行けるユゴー村というところがあるのだけれど……。

 

そこは森に近くて、ときどき魔物が出るらしいの。今回は、そこに住んでいる村人さんからの依頼よ。

 

ユゴーに暮らす村人のひとりが、村のそばでウルフを見かけたのですって。

 

今のところ被害は出ていないそうだけど、安心して暮らすためにウルフを何とかしてほしいそうよ」

 

「ウルフですかぁ……」

 

あたしは頭の中にある魔物の知識をフル稼働させた。

 

ウルフ。森や草原でよく見かける小型の狼だ。そんなに強い魔物じゃないけど、群れで行動してるから、数が多いと、大変かもしれない。

 

「そうですね……あたしたちで対処できそうな数だったらいいんですけど」

 

二、三匹のウルフなら、あたしたちだけでも何とかなりそうだけど……それ以上はちょっと無理そう。

 

「分かったわ。あなたたちを死地に送るつもりはこちらもないわ。

 

手に負えなさそうなときは、逃げてね。

 

報酬はひとり1000G。前渡しに、ひとり一個ずつのヒーリングポーションと一週間分の干し肉やナッツ、ドライフルーツの保存食をあげるわね。捜索も一週間で一区切りつけてちょうだい。

 

手に負えなかった場合、見つからなかった場合は、報酬は残念だけどあげられないわ。それでも、一度マカジャハットまで戻ってきてくれるかしら」

 

「はい。それくらいなら! ……みんな、引き受けていいよね?」

 

「おう! このまま暮らしてちゃ、生活費がかかるだけだからなあ」とリオン。

 

「いよいよ冒険じゃな! ワクワクするわい」とザム爺。

 

「すぐに見つかるといいわね」とナナ。

 

「腕が鳴るな!」とロッド

 

みんな全員、賛成だった。

 

 

◇   ◇   ◇

 

 

ユゴー村には夕方着いた。ユゴー村のひとたちはとても親切で、村長さんの家にあたしたちは一晩泊めていただくことになった。

 

食事もふるまわれて、お肉と野菜の炒めものの郷土料理をあたしたちは食べた。

 

うん、質素だけどおいしい。

 

「さっそく来てくださって助かりました。ありがとうございます」

 

食べているあたしたちに、村長さんが礼を述べた。

 

「こちらが、ウルフを見かけた村の者でございます」

 

紹介されたのは、リオンと同じくらいの年ごろの少年。

 

「ありがとうっス。明日、ウルフを見かけた場所までご案内するっス!」

 

「うん。明日は案内をお願いするね! そのあとは、あたしたちで探してみるから」とあたし。

 

「よろしくっス!」

 

食事の後、あたしはリュートを奏でながら即興の詩を歌ってみた。初めての演奏だからか、ちょっと……あまり上手いとは言えなかったけど。

 

それでも拍手が、村長さんと案内役の少年、そしてみんなからもらえた。

 

うん。演奏や歌を聞いてくれるお客さんがいるっていいね。

 

 

 

 

一晩経ち、あたしたちは少年の案内に従って村の近くの森へと足を踏み入れた。

 

「……ここが、ウルフを見かけたところっス」と、少年が言う。

 

「ありがとう! 気を付けて帰ってね」とあたし。

 

少年は頭を下げて去っていった。

 

「さて……何か残ってりゃいいんだけどな」

 

リオンが地面を丹念に調べ始めた。

 

「おっ」

「どしたの?」

「見つけたぜ。ウルフの足跡だ。今日付いたばっかりのやつだぜ」

「すごーい! じゃあ、それを追いかけていけばいいね?」

 

「森の中はウルフだけじゃない危険もあるだろうし、気を付けていかないとな」とロッドがロングスピアを手にした。

 

森の中は、木々が立ち並んでいた。木漏れ日が心地いい。足跡を追って、しばらく歩くと……。

 

いました! ウルフが三匹!

 

でも……。

 

あたしはウルフの異変に気が付いた。

 

「ガウ……!」

 

ウルフもあたしたちに気が付き、吠え出した。

 

でも……でも。特徴的なのは、ウルフたちのおなかだった。三匹ともあばらが見えるくらい、ガリガリにやせて、足元がふらついている。

 

「……なんか、一瞬でかたがつきそうなんだが?」

 

ロッドも拍子抜けしたみたいだ。

 

ウルフたちは、ガウガウ吠えてるけど、一向に攻撃してこない。攻撃する余力もないほど弱ってるっぽい。

 

「おなか減ってそうだね……そうだ!」

 

あたしは背負い袋から、干し肉を取りだした。

 

「ほら、あげるよー」

 

あたしはウルフたちに干し肉を投げてやる。

 

わき目もふらず、ウルフたちは干し肉にがっついた。あっと言う間に食べ終わり……。

 

「ウウー、ガウ!」

 

あっ……!

 

近づいてたあたしに、ウルフの一匹が飛びかかった。

 

「ピコ!」

 

ナナが叫ぶ。

 

……だけど。

 

あたしは無事だった。

 

「クゥーン、クゥーン」と、ウルフが鼻を鳴らしてあたしの顔をペロペロとなめた。

 

「な、なつきやがった……!?」とリオン。

 

「よしよーし。いい子だねぇ」

 

あたしはウルフの背中を撫でてやった。心地よさそうに撫でられている。

 

「よく慣れとるのう……?」と、ザム爺がいぶかしんだ。

 

「こんな子たち、殺せないよ……」

 

あたしはうつむいた。

 

「ウー、ガウ!」

 

ピクン、とウルフたちが反応した。ガサガサと森の奥から音がする。

 

「何だ……?」

 

あたしたちは、音に向けて、いつでも戦闘に入れるような体勢をとる。

 

現れたのは、真っ白な毛に覆われた、大柄な体の……。

 

「ボルグじゃ!」

 

ザム爺がその名を告げた。

 

ボルグ。蛮族だ。たくましい腕の先の手に、錆びついてそうな剣を持っている。

 

「テキ コロセ!」

 

ボルグの口から、汎用蛮族語が聞こえた。

 

「こいつがウルフたちを飼っとったのか……?」とザム爺。

 

「ウー……ガウ!」

 

ウルフの一匹が恨めしそうな声を出して、ボルグに飛びかかった。

 

だけど、ヨロヨロしたウルフの攻撃は、あっさりとよけられた。

 

「ウラギリ コロス!」

 

ボルグの剣が、ウルフを貫いた。ウルフが地面に倒れ伏す。

 

「ワレ オオイ ココ サレ!」(あたしたちのほうが多い、お前はここを去れ!)と、あたしは汎用蛮族語で話しかけてみた。

 

「ヒト コロス! ワレ タタカウ!」

 

ダメだ。話を聞こうともしない。

怒り狂ったボルグが、こちらに向かってきた。

 

「ピコ、下がれ! あとは俺たちに任せろ」

 

ロッドがあたしの前に出た。

 

 

 

 

戦闘が終わった。あたしたちとウルフ二匹の攻撃を受け、ボルグは倒れた。

 

ボルグの体から、五つの<剣のかけら>が浮き上がる。それと、ボルグの持っていた錆びついた剣を回収して、あたしたちは帰路についた……二匹の、なついたウルフと共に。

 

村のひとたちには、ボルグに殺されたウルフの毛皮を渡して、ウルフを退治したと告げた。

 

なついた二匹のウルフたちに、干し肉をすこしづつやりながら、あたしたちはマカジャハットに戻ってきた。

 

街の前で、パーティのみんなにウルフ二匹の面倒を任せて、あたしは「月明かりの宿亭」に戻り、マチルダさんに事情を説明した。

 

ウルフを操っていたのはボルグだったこと。残ったウルフ二匹を連れてきてしまったこと。

 

ウルフたちはよく慣れていて、食べ物さえあれば、攻撃の意思はあまり無さそうなこと。

 

そうしたら、マチルダさんは「ちょうど良かったわ」と言って、一人の男性を連れてきた。

 

ドワーフだった。きらきらとした金色の髪と長い髭。赤いスーツに身をまとい、黒いシルクハットをかぶっている。

 

「お話は伺いました。私はマカジャハットを拠点に活動する総合芸術団の長、バケットと申します」

 

「総合芸術団……?」とあたしは尋ねる。

 

「歌に踊り、絵画に演劇……様々なパフォーマンスを見せるのが、我々でしてな。

 

ちょうど今、新しい演目として動物を使ったショーをやりたいと考えておりました。

 

聞けば、そのウルフたちは、とてもよく調教されているご様子。うちの団員に、動物の扱いに慣れた者がおりますから、何とかなるでしょう。どうです、うちで引き取らせてはいただけませんか?」

 

「ありがとうございます! そうしていただけると、とても助かります!」

 

ありがたい申し出に、あたしは礼を述べた。

 

バケットさんは団員さんを従えて、町の外まで付いてきてくれ、ウルフ二匹を預かってくれた。

 

門番の人がいぶかしんでいたけど、バケットさんのことをよく知っているみたいで、興業に使う大きな犬です、と言うバケットさんの言葉を聞いて、門を通してくれた。

 

こうして、2番目の冒険は終わりを告げたのだけれど……。

 

「この依頼は、半分成功というところね。一人500G、プレゼントするわ」とマチルダさん。

 

まあ、それでも当面のお金が何とか手に入ったので、ほっとしたよ。

 

いつか、バケットさんのショーも見てみたいなあ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 




オリジナル設定

バケット……金の髪と髭、赤いスーツと黒のシルクハットが特徴的な、マカジャハットの興行師(ショーマン)。詩人や踊り子や画家などを集め、町でパフォーマンスを行うテントを開いている。町の人たちには大人気で、門番でさえその名を知られているほど。

ラージャハ帝国のドノンⅣ世の親戚で、バケットもまた、蛮族やナイトメアに対する偏見を持たず、実力で判断する。

ユゴー村……村と村人たちの設定はオリジナルのものです。

ウルフたちの反応……ウルフが仲間になり、大きな犬として町に入れてもらえるという設定は、オリジナルのものです。
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