コルニと共に5番道路を訪れたルカリオは、一人の少女に出会った。少女の放つ波動に触れ、そして思う。"彼女と、戦いたい"、と――

女主で進めてたらルカリオにキュンときた (`・ω・´ )
シャラシティクリアまでの本編ネタバレがあるので注意。

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華のような君と共に

 

 

 私と彼女が初めて出逢ったのは、ラベンダーが美しく咲き誇るベルサン通りだった。

 

 

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 私のトレーナーは、対外的にはシャラシティのジムリーダーを務めているコルニということになっている。ポニーテールにした豊かな美しいプラチナブロンドが目に眩しく、さっぱりとした明るく元気な性格が心にも眩しい少女だ。ほぼ全てのジムリーダーの手待ちはジムに設定された一種のタイプに限定されており、コルニも例外ではない。彼女は、格闘タイプを使うジムリーダーだ。そして、私も複合タイプと呼ばれ純粋な格闘タイプではないが、そこに分類されている種族である。

 ただ、先程"対外的には"と称した通り、正確に言うと私のトレーナーはコルニではない。私の入るべきモンスターボールを持っているのは確かにコルニだが、登録タグに刻まれるべき"おや"の欄は空白であるし、もちろん"おや"のID欄も空白のまま。そんな状態なので、ジム戦に私が参加することはない。それは私の片割れにも同じ事が言える。

 私と私の片割れ、そしてコルニはポケモンとトレーナーの関係というよりも、兄弟弟子の関係に近い。目標に向かって切磋琢磨する。そんな関係だ。コルニの目標は、ポケモンの強さを引き出す事。対して私と片割れの目標は、強くなる事。進化の終わった身ではあるが、彼女の一族はその進化の壁を突き破る方法を有している。だから彼女は対外的な私たちのトレーナーで、共に修行に励んでいるのだ。

 ところで、ジムリーダーとしての務め、更には修行にと忙しい彼女ではあるが、それと同時に彼女はローラースケーターでもある。ジム内にジャンプ台があったりレールがあったり三角コーンが並べられたりしているのはそのせいだ。確かに、ジムリーダーに委ねられる内装は、その者の趣味嗜好が如実に表れると元より言われているが、ここまで趣味だけが反映されているジムはそうないだろう。大抵は手持ちの特色が入るものだからだ。表のモニュメントに刻まれた文字を読まなければ、格闘タイプのポケモンジムだと気付く者も少ないと思われる。それほどにコルニはローラースケーターなのだ。よって、彼女はいつでも滑れるようにヘルメットとプロテクターを欠かさず身に着けているし、白を基調に赤いラインの入ったミニのワンピースのスカートの下は、いつひるがえっても大丈夫なように太ももを黒のスパッツで隠している。

 そんな彼女だから、突然にベルサン通りに行くと言い出したのにも私はあっさりと納得できた。ベルサン通りは5番道路。11番、12番道路に挟まれたシャラシティからはいささか離れているが、スケーティングパークがあるのでカロス各地からテクニック自慢のローラースケーターが集まってくるのだ。そこへ行くと宣言したコルニはいつものように左手の小さな石が填め込まれたグローブをしっかりと嵌め直し、地を蹴った。ローラーが地面を削る音がする。それを追って私と片割れは走り出した。これも修行だ。

 シャラシティからベルサン通りへ行くには、道路の番号を遡るよりも一旦13番道路であるミアレの荒野を抜けてミアレシティに入った方が早い。ミアレの荒野は横風が強く進みにくくなる時もあるが、広く、草木が邪魔しない上に所々レールが設置してあるので思い切り滑るのに適している。ダグトリオが掘り進む時に出来る地面の盛り上がりを避け、スピードを落とさずにコルニはレールへと飛び乗った。途中にあるへこみも華麗に無視して終着点へと滑り下りて行く。私たちもそれに続く。細い足場は肉球のある脚では歩きにくいが、バランス力が鍛えられるだろう。私達が体勢を崩してしまう前に何とか渡りきった時、コルニは先にある段差からクルクルと回転しながら飛び降りる所だった。

 ローラーが円を描き、砂煙が立つ。止まった彼女は距離の離された私達を振り返ってニカリと笑った。熱い波動がここまで届く。彼女の波動は、まるで"にほんばれ"の日差しのように強くて明るく、熱い。私達は太陽に導かれてミアレシティのゲートへと向かった。

 

 結論から言うと、私達はミアレシティへと入れなかった。体格のいい、作業服姿の男が道を塞いでいたのだ。彼が言うには、ミアレの北エリアは現在停電しており、ゲートが開かないらしい。男がここに留まっているのは、その原因究明と工事の為とのことだった。ミアレシティは大きく、五つものゲートがあるが、その内の三つが封鎖されているそうだ。解放の目途も立っておらず、13番道路からミアレシティに入るのは諦めざるを得なかった。

 荒野を引き返すことになったコルニは、溜息をついて風で乱れていた髪を整える。遠くを見やったコルニの視線を私達は追った。陽炎の中、この国中の電力を賄っている筈の発電所が遠くに見える。カロス発電所は単一の設備ではなく、この荒野の何ヶ所かに分かれてそれぞれの方法で電気を作っている。地熱、火力、太陽光、バイオマス……さまざまな方法で電気を作り、カロス中に届けているのだ。視線を向けた方向にある施設は火力発電のものらしく、たくさんの煙突から白煙をたなびかせている。異常なく電気は生み出されているだろう。それなのに、地理的に一番近くのミアレシティに電気が届かないということは、途中の送電線が断裂したりしているのだろうか。

 疑問には思ったが、すでにコルニは地を蹴って滑り出している。置いて行かれないように私も片割れと一緒に駆け出した。

 

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 カロスは国の中に四季がある。例えば、海辺の町であるシャラシティはいつでも海水浴ができるような夏の気候。マンムーにでも乗らなければ進めない、いつでも雪が降り続ける17番道路……別名マンムーロードを挟んだフウジョタウンとヒャッコクシティは常に息が白く曇る冬の気候。そして、辿り着いた5番道路であるベルサン通りはいつでもラベンダー畑の薄紫色が鮮やかな初夏の気候だった。

 爽やかな風がラベンダー畑の濃淡を変えていく。コルニは複雑にステップを踏み、なるべく花を踏まないようにしながらスケーティングパークに入れるレールに飛び乗った。坂道が多いので、それを利用した傾斜のあるレールが多く、コボクタウン側からならそこから入った方が近いのだ。傾斜でスピードを上げ、飛び出した勢いのままコルニは段差を飛び越える。その先にある等間隔で並んだ赤い三角コーンの隙間を縫って一周し、ようやく彼女は満足げな息をついた。

 再びローラースケートで滑り出す彼女を尻目に、追いついた私達は邪魔にならない位置で長時間のランニングで荒くなった息を整える。風が体を撫でていく。暖かくも清々しい風はとても気持ちがいい。潮を含んだシャラシティの風も好きだが、優しいラベンダーの香りを含んだ風は急いた気分を落ち着けてくれる。風は、それだけではなく様々な波動を運んできた。草むらの中で居眠りしているらしいメェークルの新緑のような波動、薄紫の花の隙間からプラスルを驚かせようとしているマイナンの浮き立つようなそわそわとした波動、花で自身を飾り付けようとして余計に毛がボサボサになってしまって落ち込んでいるトリミアンの波動、体全体で楽しいと主張する太陽のようなコルニの波動。そして。

 新しく届いた波動に、私は弾かれるように顔を上げた。突然の私の動きに、片割れも驚いたように顔を上げる。私はそこから視線を逸らせなかった。ミアレシティの封鎖されてない二つの内の一つのゲート。そこから出てきた少女から。

 コルニのようなプラチナブロンドは長く、下ろしていて、毛先の所で纏められている。かぶったピンク色のカノチェのつばの上に乗せられているのは白いワイドフレームのサングラス。襟付きの黒のノースリーブの下で身を包みこんでいる大きなポケットがサイドに一つずつ付いたプリーツスカートはかなりのミニではあるが、黒のオーバーニーソックスのおかげで足の大半は隠れている。帽子と同じ色のトートバッグを肩に下げた彼女は、ゲートの出口で伸びをして初夏の風を思い切り吸い込んでいた。

 私は、彼女へと近づく。その波動をもっと近くで感じたかった。彼女も近づいてきた私に気付き、上げていた腕を下して小首を傾げる。どうしたのかと問う視線に含まれた、柔らかくて包み込むような波動が私に向かって放たれた。至近距離で私と彼女の視線が合う。彼女の瞳に私が映っている。コルニよりも濃い青の瞳。アズール湾の海の色。

 気付いたコルニが私を呼んだ。そろそろ行くらしい。私は名残惜しくて何度も振り返りつつもその場を後にした。彼女もローラースケートをやっているらしく、最後に振り返った時にスケーティングパークに入っていくのが見えた。コルニはどうしたのと私に聞くが、私は人間の言葉を話すことが出来ないし、彼女もポケモンの言葉を話す事はできない。そして私自身にも、この気持ちを何と呼べばいいのか分からなかった。

 

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 次に彼女と出会ったのはシャラシティの一つ前。古代の遺跡とそれを取り囲むように並ぶ石が有名なセキタイタウン。観光客はそこそこいるが、石以外は何もないと言っていい程のどかで静かな町だ。そこで、私達と彼女は対峙した。先にベルサン通りを出た私達だったが、リビエールラインにあるバトルシャトーで修行している内に追いつかれたらしい。

 その頃には、私は自分の中で一つの答えを出していた。戦いたい、と。彼女と、戦いたい。だから、この邂逅はまたとないチャンスだと思った。コルニもジムリーダーとして、ジムを巡りながら旅をしているらしい彼女が気になっていたらしい。私の望むまま、対決となった。

 まずは片割れが前に出る。ジム戦や、着実に強さの単位である爵位を上げているシャトーではないのでメインの手持ちは使わない。戦うのは、私達だ。

 対して、彼女から繰り出されたポケモンはメェークル。そのメェークルには覚えがあった。新緑のような爽やかな波動。ベルサン通りで眠りこけていたメェークルだ。彼は彼女の周りを嬉しそうに一周跳ねてから片割れと向かい合った。角の下の耳をピクピクと動かして指示を今か今かと待っている。

 力量は、同じくらい。スピードはこちらが上。ただ、メェークルは私達の弱点である地面タイプの技を既に覚えていて、かなりのダメージは与えたものの先に片割れが倒れてしまった。嬉しそうにトレーナーを振り返るメェークルの角を、彼女が撫でる。堅い角の上を滑る繊細な白い指先。とても気持ちよさそうにメェークルが鳴いた。

 モンスターボールの中に収納された片割れに替わり、私が前に出る。彼女はダメージを受けたメェークルを下げ、テールナーを繰り出した。気合十分といった様子で、テールナーは腰元の広がった毛皮をスカートのように摘んで不敵に笑う。先程のメェークルは草タイプだが、今度のテールナーは炎。私の鋼の体の天敵だ。もう少し私の力量が上がっていれば、私もメェークルのように炎に強い地面タイプの技を覚えるのだが、それは言っても栓のないこと。ただ私の修練不足というだけだ。素早い動きで殴り掛かるが、一撃では倒せない。テールナーは痛そうに顔をしかめるが、闘志は衰えない。彼女の指示に従って、ふっくらとしたしっぽに突き刺してある枝を手に取った。しっぽの中は高温なのか、抜いた枝の先には炎が灯っている。指揮者のように振るった枝の炎が私を襲い、包み込んだ。

 倒れ込んだ私をコルニがボールへと収容する。視界の端で、テールナーが彼女に抱き付いて撫でて欲しいと強請っていた。それに応えて、微笑んだ彼女がテールナーの大きな耳に手を伸ばす。回復を待つボールの中で、私はあの白い指先で頭を撫でられる夢を見た。

 

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 空が高い。こんなに高い塔の屋上にいるというのに、ちっとも近付いた気がしない。普段コルニを待つ時は、そんな事を考えながら雲を数えるのが常なのだが、今日はどうも集中できない。空に視線をやっても、すぐに視界は空の青ではなくて塔内部へと続く暗闇に吸い寄せられ、中々離せなくなる。少しの物音でも聞き逃さないようにピンと立った耳をそばだてる私に向けて、片割れは溜息をついてみせた。そんな波動を寄せられても、ちっとも私は気にならない。

 新たな継承候補者が現れたと聞いた。コルニの左手に嵌められた白いメガグローブと対になる、黒きメガリング。進化という成長を終えたいくつかの種族を限界を超えて進化させるそれの。そして、その継承候補者がベルサン通りで出会い、セキタイタウンで対峙した彼女だと。コルニは今頃、ジムリーダーとして、メガグローブの継承者として、彼女の力量を推し量っている筈だ。リングを持つに相応しいか、と。

 何度か空と出入り口へと視線を往復させた頃。ローラースケートが石畳を擦る音が聞こえて私は立ち上がった。コルニが暗がりから姿を現す。傍に駆け寄り結果を強請る私に、コルニは負けちゃった、と言った。片割れが立ち上がる。私は跳ねそうになる足を気力で抑え込んでその横に立った。

 彼女が、来る。

 コルニに勝ったという事は、そういうこと。彼女は継承候補者から継承者になったのだ。耳が先程と同じようなローラーと石畳の摩擦音を拾い、彼女の来訪を私に伝える。視界に入った彼女は最後に会った時とは全く違う装いをしていた。髪の色は、変わらない。ただ、その長く豊かだった髪はばっさりと切られ、ショートカットになっていた。頭に乗せられた帽子はピンク色のカノチェではなく白いキャスケットになっていて、ピンク色の花飾りがアクセントになっている。服装は左側の白い花のワンポイントが可愛らしい水色のミニキャミソール、黒のレギンスの上にダメージの入った青のショートパンツと言った具合に元気さを正面に出していた。海水浴が出来る程暑いためか、おへそや肩など露出が多い。むき出しの肩から下げられているのは、青と白のラインが爽やかなエナメル製のボーダーバッグだった。

 すでにジム戦の時に見ていたようで、彼女の見た目の代わり様にコルニが驚いた様子はない。一言二言話しかけて、新たな継承者となった彼女に黒いリングを差し出す。彼女は頷いてそれを受け取り、バッグが落ちないように脇に挟んで左手にリングを付けた。白い肌にリングの黒が映える。

 戦いたい。そう思った。彼女と、戦いたい。前に会った時もそう思ったが、今ならもっと正確に私は私自身の想いを知ることができる。

 私は、彼女と"共に"戦いたいのだ。

 その衝動に突き動かされるまま、私は足を踏み出す。コルニが驚いて私を呼ぶが、私の足は止まらない。彼女の傍らに寄り添って、その手に触れた。柔らかな波動が彼女の手を伝って私に沁み込んでくる。

 私の様子を見たコルニは、私が彼女と共に戦うのを許してくれた。セレナ、と私の横に立つ少女の名を呼んで、私のモンスターボールを彼女に握らせる。元の位置に戻ったコルニは、私の片割れの隣に立った。コルニの正面にはセレナ。私の正面には私の片割れ。

 

「行くよ、ルカリオ……!」

 

 コルニの呼びかけに、片割れが頷く。片割れが一歩前へと踏み出した。

 

「行こう、ルカリオ!」

 

 セレナが私に呼びかける。私は歓喜に震えそうになりながらも前に一歩踏み出した。

 潮の香りを含んだ風が戦闘の幕を上げる。最初に動いたのはセレナだった。彼女の左手首に引っかかった黒いリングに填め込まれた小さな石と、私のルカリオナイトが反応し、発光する。私の背後で彼女が力を解放するのを私は確かに感じ取った。咲き誇る花のような、柔らかくも鮮やかな生の波動を放つ君。おしゃれもバトルも冒険も、力の限り楽しむ華のような貴女。この華は、手折らせない。波動と力が決意ごと、私を包み込んだ。

 そして私は私と貴女が望むまま、進化の壁を突き破る。




まだ本編を進め中ながら、ルカリオに萌えたのでイベントを思い出しつつ。パーティに入れたくなったので厳選しようと何回かリセットしたんだけど、性格とか個体値とか固定なのね……
育てたら乗れるのかと思って育てたゴーゴートが使い易すぎワロタwww ただ、3V(多分)ながら肝心の攻撃個体値が0(笑)だったんで、本気出すなら厳選しなきゃだけど、対人しないからしばらくはいいかな。
ミアレの服を買う為にバトルシャトーに篭ったらメインPTのレベル上がりまくって、ストーリークリアまでにLv100になってしまいそうな件。
女主の髪型は基本四種の中だったらショートが一番可愛いと思います。

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