さとり様が自室に来て慰めてくれます。しっとりとした純愛もの、になっているのかな…?
一人称・二人称を広めにして入り込みやすくしてみたつもりです。

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さとり様が慰めてくれる話

コン、コン、コン。

 

部屋の扉が三回叩かれる。

 

返事をすると、かちゃりと静かに戸が開けられた。

 

「…お疲れ様。」

 

癖の強い薄紫ショートボブに、袖の広い水色の服、淡い桃色のスカート。そして、複数のコードで身体と繋がる第3の瞳。

 

古明地さとり…地底深くに佇む地霊殿の主を務める覚妖怪だ。

 

「…そんなに驚くことがあるかしら。私が此処に居るのは、そんなに珍しいことだった?」

 

慌てて横に首を振ると、少女は微笑み歩み寄る。

 

「うふふ、行動と感情が本当にぴったり。わざわざ読む必要もないわね。…でも、いざ寝ようとするときに来てしまってごめんなさいね。少しだけ仕事が残っていたの。」

 

ベッドに腰掛け脚を組み、穏やかにさとりはこちらを見る。彼女自身が小柄なこともあり、自然と上目遣いになっていた。

 

「何を緊張しているの。アナタの部屋でしょう?

…ほら、こっちに来て、話しましょう?」

 

右隣をぽんぽんと叩く。自然と相手をその気にさせる、彼女らしい誘い方だった。

 

そのまま、ゆっくり腰を下ろすと…

 

…すっ、と、細く柔らかな指が手の甲に添えられた。

 

「…最近。色々と気が沈むこと、多いみたいね…。」

 

彼女は優しく寄り添いながら、小さくそう呟いた。

 

はっとしてさとりを垣間見ると、

 

「今日の夕食の時よ。ここ最近あったような、悪い記憶で頭がいっぱいだったわ。お燐やお空と話していた時は、少しだけ和らいでいたけれど…ひょっとすると、すぐに戻ってしまっていた…」

 

…やはり、心を読む程度の能力の前には、隠し事は出来ないらしい…

 

「謝らなくていいわ。」

 

くっ、と手が握りこまれ、一本ずつ絡まり合っていく。

 

「考えてしまうことに罪はない。あるとすれば…

…いえ、なんでもないわ、ごめんなさい。不快にさせてしまったわね…」

 

そのままさとりは少しだけよりかかり、密着を深めてくる。

 

「とにかくあなたは悪くない。私が此処に来た理由も、咎めるためではないわ…。」

 

するするとコードが動き、2人を包み込むように回りこむ。

 

2人だけの空間の中で、てのひらを通して彼女の温もりが伝わってきた。

 

「…私は、あなたの辛さ、苦労の源を取り除いてあげることは出来ないわ。勿論そうしてあげたいのは山々なのだけれど、私に何が出来るわけでもない。

…だからね。私は私のやり方で。私に出来ることで、あなたの心を助けることにしたの。」

 

冷めきり、荒んでいた心を、さとりの細く柔らかな温もりが溶かしていく。

 

「私の温もりで、あなたの心が安らぐのなら…私はいつも、いつまでも、あなたの側に寄り添い続けるわ。」

 

…駄目だ。

 

この温もりに溺れてしまっては。

 

この安らぎに味を占めてしまえば、さとりに迷惑が…

 

「…いいのよ、あなたなら…」

 

頬に柔らかな手が添えられる。

 

頬だけではなかった。いつのまにか全身がさとりの温もりの中にあったのだ。

 

「…迷惑だなんて思わない。私にとって、あなたの存在は…それほど大切なものだから。

 

…あなたがそうであるのと、同じように…。」

 

彼女の甘い囁きと、柔らかな吐息が脳を震わせる。

 

そっと耳元から口を離し、見つめ合う。

 

溜息と共に、互いの名を呼ぶ声が自然と漏れた。

 

…そうして、そのまま…

 

2つの唇は重なり合い、愛に溶けていった。


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