B.A.D. いふ JCあざかちゃん 作:白雪さんお幸せに
原作:B.A.D.
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仕事場である八軒坂古書店からの帰り道に、行き倒れの少女を発見してしまう。
チョコレートだけでなく、ある程度美味しければ割となんでも食べるその少女は、小田桐の安アパートに居候し始めた。
「フレンドリーにあざかちゃんとでも呼んでくれたまえ」
「……つまみ出しますよ?」
これは、彼らのほのぼのとした日常を描く、物語。
なおまだJCでは無い。タイトル詐欺?
……そんなことを言う君には『神』をやろう。
「じゃ、先上がりまーす」
「はいよー。気を付けてねー」
僕の仕事場は八軒坂古書店と言う。この世ならざる物が何故か集まってくる店だ。僕の異能を活かすにはちょうど良かったのだ。望んだ力では無いが、折角持っているのだから使う。使い倒す。
そんな取り留めのないことを考えながら、いつもと変わらない帰り道をゆっくり歩いて行く。
そんな、当たり前の一日だった筈なのに。僕はまた、何かに巻き込まれるらしい。
「……何でこの人、道の真ん中で倒れてるんだ?」
行き倒れに、出会った。
****
家に運び込み、取り敢えず冷蔵庫の中に入っていたチョコレートと水をを手渡した。我ながら行き倒れにチョコレートはどうかと思う。
「いやぁすまないね。お陰で飢え死にせずに済んだよ」
僕が与えたチョコレートを食べながら、その人は微かに笑みを浮かべる。普通の物語であれば謎を知っている重要人物なのだろうが、生憎とチョコレートだけでなく他の料理も結構な勢いで食べ進めているためにミステリアスな雰囲気など欠片もない。只の大食いキャラに見える。
「……どういたしまして」
家の食料を半分食らい尽くした癖に何を言うのか。そう思った僕は何も悪くない。が、顔には出さない。基本的に
「で、あなたは何であんな所で行き倒れてたんですか?」
ようやく食べ終わった少女にそんな至極当然の質問をする。このまま放り出して餓死されるのはごめんだ。それに少なくとも戸籍上は未成年だろうし。戸籍があるのかは分からないが。
「いやなに、今月から中学校とやらに行かなければならなくてね。けれど
「なるほど家出ですか」
どこの異能の家系かは知らないが、義務教育を受けるということは時代に適応した家系か、どこかの傍流の家系に生まれたのか。どうであれこのまま家に送っていけば解決する訳でも無さそうだ。
「家出とはまた言い得て妙だね。確かに家から逃げたとも言えるかな」
「……はあ、それで食料も住処も無く彷徨って、僕に拾われたと」
「そうだね」
「そんな自信満々に言い切らないで下さい」
深く深く溜息を吐く。目の前でドヤ顔を晒す少女に苛立ちをぶつけたくなる。やらないけど。
「ところで何故君は敬語なんだい?僕より年下には見えないけれど」
「……ああ、異能者を見た目で測ったら面倒な事になるっていうのは分かっているので」
少女の質問に答えた僕は、自分の分の晩飯を用意するべく立ち上がる。自分の分も作っていたが、少女に全て食べられてしまった。
「ふむ。何故分かったのか聞かせてもらって良いかい?」
「何故って……仕事柄、そういう人とはよく会うから、ですかね?」
適当に残りものの食材を鍋にぶち込み、塩胡椒を振って味を整える。冷凍していた米を解凍する間、こちらを期待を込めた目で見てくる少女のために、蜜柑を幾つか箱から出して机に並べる。
「へえ、ボクにはそれだけではないように見えるけれどね」
「……まあ、僕も少し異能が使えるってだけですよ」
嬉嬉として蜜柑を口に放り込む少女の前に座りながら、あまり言いたくないことを少女に伝える。言いたくないといっても自称するのが恥ずかしいだけなのだが。
「ふむ。やはり、ね」
「ええ。そうですよ」
そう答えて即席の野菜スープと米で腹を満たす。隣人の白雪ちゃんに怒られそうなメニューだが、野菜はしっかり摂ってるので許されると信じる。
「おっと、まだ自己紹介もしていなかったね。僕の名前は繭墨あざか。繭墨家現当主だよ。フレンドリーにあざかちゃんとでも呼んでくれたまえ」
「……は?」
いきなりなにを言い出すのか。当主が行き倒れとか一族は何をしているのか。……いや、当主が家出してしまう時点で間違ってる気がするが。
「それで?君の名前は?」
「……あ、えっと……小田桐勤と言います」
そうかそうかと何が楽しいのか笑顔で頷く少女……自称繭墨家当主。あざかちゃん。
「ああ、それと一つお願いがある」
「……なんですか?」
嫌な予感がするも、無視するのも偲びないので嫌々返事を返す。
「今日からここに居候させて欲しい」
「…………はい?」
嫌な予感が当たってしまった。