マインクラフターがオラリオで生活したら?

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ダンジョンに潜らずにマイクラしているのは間違っているだろうか?

 ある日、俺は転生した。

 マインクラフトと呼ばれるゲームの世界だ。

 最初は好きなゲームの世界に転生できたことを喜んだ。

 ゲームと同じことが出来るからと、ゲームの知識を使い世界をどんどんと発展させ、強敵を倒し、新しいバイオームを見つけ、新装備新アイテムに一喜一憂して。

 だけど世界を渡り歩きり、強敵が強敵じゃなくなり、アイテムが揃い、村が都市と呼べるほどに発展した頃、俺は唐突に寂しさに襲われた。

 自分以外に『人』と呼べる生命体が居ないのだ。

 姿が似た村人は居る。

 だが彼らは『人』ではないのだ。

 言葉は「フーン」とも「はぁん」とも聞こえる音だけで意思疎通が出来ている訳でも無い。

 俺もどれだけ喋っていないのか、まだ喋ることが出来るのかも分からない。

 真っ暗闇、新月の今日は湧き潰し影響もあって敵性MOBも湧き辛い。

 星すらない夜空を見上げながら、俺は初めてこの世界に降り立った場所、初期位置に建てられた限界高度まで届く塔の上で黄昏ていた。

 ちらっとオフハンドに持った花火を見る。

 世界を見下ろせば、湧き潰しに使われる光源の明かりが夜空の代わりに星を受け入れていた。

 不夜城

 その言葉が唐突に思い浮かぶ。

 眠らない町、暗闇すら科学の明かりで打倒し人々が真夜中でも行きかうその様子を例えた言葉。

 だが、この世界に居る人は俺だけ。

 塔の上から俺は飛び降りた。

 死んだところで、ベットの上か、この塔の真下で生き返るだけ。

 死ぬ為に飛び降りたわけではなく、エリトラと呼ばれる空を飛ぶ為のアイテムを使用する為だ。

 エリトラをバサッと開き、オフハンドに持った花火を使用する。ピューという甲高い音と共に俺の体は斜め前へと引っ張られ、俺は、空を飛ぶ。

 新月の先へ。

 誰も言った事のないそこへと、俺は向かったのだった。

 

 

~ダンジョンに潜らずにマイクラしているのは間違っているだろうか~

 

 

 ベル・クラネルSide

 

 僕の後輩には不思議な子が居る。

 後輩というには語弊があるが、ある時女神様が拾ってきた子だ。

 僕の時の様にあちこちのファミリアに入団を断られ、女神様に声を掛けて貰ったとかじゃなさそうである。

 道端で気絶していたの見捨てられずにを女神様が背負ってきたとのこと。

 気が付いた彼は僕たちを見て、女神様に声を掛けらえた途端に驚きの表情を見せたと思えば、パクパクと口を動かし、そして泣き出した。

 慌てた僕たちは彼を宥めすかし、また犯罪者等ではなく、彼の現状を慌てて説明したりもしたが、思い返せば慌て過ぎており何を言ったかは思い出せない。

 そんな僕たちの様子に彼は驚き、笑顔を見せてくれた。

 聞けば久々に人と会い感激したとの事。

 どんな環境に居たのやら、彼の体には火傷痕や打撲痕、切り傷など様々で、栄養失調こそないが会話内容から虐待を受けていたと思わせる。

 当然女神様も僕も憤り、女神さまの無理やり感のある説得で彼は、ここ、ヘスティアファミリアの拠点であるボロボロの教会で保護されることとなった。

 まだ体が治りきっていないので恩恵は刻まない。

 自立する手助けをするものの、無理に冒険者への道を提示しない事にした。

 彼もいくつか首を傾げていたものの、概ね頷き、そして三人での生活が始まった筈なのだ。

 次の日、僕はダンジョンへと、女神様はじゃがマルくん販売のアルバイトへと出かける際に彼に教会内では自由にしてもいいが、まだ傷が治ってないからあまり外には出ないように注意して出かけた筈なのだ。

 彼の為にダンジョンで稼いだ金額で買えるポーションを買い、家と呼べる教会へと足を向けた筈なのだが、目の前にはボロボロの教会ではなく、えっと、何処だココと思わず固まってしまう僕と女神様が居た。

 

「あっ!?スティーブ君!?」

 

 目の前の光景に呆然としていた女神様が家に居た彼の事を思い出し、慌てて姿を変えた教会へと走り出し、扉の前でカチッと何かを踏んだ瞬間……

 

「わきゃぁ!?」

「大丈夫ですかっ!?」

 

 ガシャガシャガシャと壁が動き、その口を開けた。

 女神様の驚く声に僕も慌てて女神様に駆け寄る。

 

「と、トラップ?」

「と、言うより自動に開く扉だと思いますが……」

 

 中が見えたから扉だと判断できたが、何せ中の風景は朝出かける時の物。

 違うと言えば、スティーブ君が居ない事と宝箱がいくつかと黒い箱の様な物が床にある事か。

 

「どいてー!?」

「へっ?うわっ!?」

 

 上から声が聞こえて上を向けば、スティーブ君が落ちて来た。反射的に飛び退いてしまい、このままではスティーブ君が怪我をすると抱き留めようとすると、水の入ったバケツが見えた。

 

「はぁあっ!?」

 

 バシャッと頭から水を被ってしまい、スティーブ君はチャポンとばかりに無傷。

 なんだいそりゃ!?

 

「す、スティーブ君?」

「ああ、ごめんなさい、バケツ着地しようと落ちてたから…」

 

 バケツ着地って何だい?とか怪我はない?とかの前に女神様ですら現状に追いつていないのか、全員が無言。

 気まずくなったのか、スティーブ君がもう一度頭を下げ、扉の中へとピョンピョンと跳ねながら入って行った。

 

「え、えっと?」

「取りあえず、この教会はどうやらスティーブ君の仕業の様だね。ベル君はお風呂入っておいでよ。そのままだと風邪ひくよ?」

 

 女神様がようやく理解が追いついたのか、苦笑しながら僕にそういってくる。

 教会の中からシチューだろういい匂いが漂ってくるのを我慢し、とりあえずお風呂へと僕は向かった。

 それからだろうか、スティーブ君がマインクラフトという物作りに特化しており、前居た所で集めた素材で教会をリフォームした事やらを聞いてからという物、スティーブ君が自重しなくなったのは、というか最初からしてないよね?

 空中から無限に湧き出る水を利用して三階建ての畑を教会に併設した形で作ったり、教会の隅から教会上にある巨大な塔へと昇っていけるようにしたり、そこでスケルトンやゾンビといったモンスターを倒していたのは驚いた。

 地下を掘り進み、金属や宝石類を持ち帰ってきたり、いつの間にか部屋を増やしてたりはまだマシ。

 本棚で囲まれた浮いた本の何かがあったり、取ってきた金属で作った武具防具が一見重量ありそうなのに布みたいな軽さで動きやすく丈夫だったり、光り輝く本や剣にエンチャントされていたりするのもまぁ、何とか。

 でもね、ある日いきなり「フーン」としか言わない大きな鼻の人を連れてくるのは如何なの?

 ボートに乗ったまま飲まず食わず動かずは大丈夫なの?

 えっ?村人はそんなもんだ?えっ?どういうこと!?

 

「あー、ただいまぁ……」

「あっ、お疲れ様です女神様。」

「うー、ベル君が僕の癒しだぁ……」

 

 スティーブ君を正座させ説教中に女神様が帰ってくる。

 様々な事をやらかしてきたスティーブ君がまたやらかして、その説明に女神様がギルドへと説明しに行っていたのだ。

 

「まさか、うちの教会の真下にダンジョンの中層へと続く道が出来たとか、いくら僕が神様だからってそう簡単に信じて貰えなくて…」

「ですよね…」

 

 女神様とため息のタイミングが被る。

 そうスティーブ君、教会の地下で鉱石集めしている内にダンジョンまで掘りぬいてしまったのだ。

 スティーブ君はダンジョンをただの広い洞窟としか認識しておらず、ツルハシを振るっている途中でロキファミリアによって保護されてきたり。

 本当にもう!

 怪我無くてよかったよ。

 

「もう今度からこんな無茶は出来るだけ控えてね?」

「はい!わかりました!」

 

 なんだろう、僕は笑顔で注意したのだけどスティーブ君に怯えられたのだが。

 ダンジョンに潜らずにマイクラしているのは間違っているだろうか?

 いいんじゃない?ここオラリオにはいろんな人が集まってるんだから。

 君みたいな子が一人くらいいても不思議じゃないよ。




続かない。

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