ようこそ天才作家のいる教室へ   作:枝豆%

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ワートリ復活のお知らせ!!
何年も待ってましたよ!!!!復活おめでとうございます。そしてありがとうぅぅぅううう!!!!!


1ー3

 多くの生徒は深く考えることなく学園生活を満喫していった。

 日々の生活で10万という金を湯水の如く浪費して。授業では教師は放任主義で、私語や居眠り遅刻に欠席は当たり前。

 

 そんな怠惰な生活を続け、プライベートポイントの入る五月一日を迎えた。

 

 

 

 クラスではあちこちから愚痴が聞こえる。

 内容は簡単、プライベートポイントが振り込まれていないという事だ。

 先生の話によると毎月一日に振り込まれるはずなのにも関わらず、1ポイントも振り込まれていない。

 

 

 「席につけ、朝のホームルームを始める」

 

 まだチラホラと聞こえるなか、茶柱の凛とした声が教室を巡った。

 

 「先生、ポイントが振り込まれてないんすけど。毎月一日に支給されるんじゃなかったんですか?」

 

 

 クラスの山内が声を上げた。

 それは誰しもが思っていたこと、プライベートポイントのことだ。

 リーダーシップとは少し違うが、彼は挙手して皆の心の言葉を代弁した。

 

 

 「いや、今月分は既に振り込まれている」

 

 

 茶柱がそう言った瞬間、僕の中でずっと引っかかってていた異物が取れた感覚があった。

 

(ああ、そういうことか……オモシロイナァ)

 

 やっぱりこの学校を選んで良かったよ。

 そう思える、だって僕はここにそういう普通の学校では味わえない物を求めているのだから。

 

 

 「ポイントは既に振り込まれている。それは間違いない、このクラスだけ忘れられたという可能性もない」

 

 

 「でも実際振り込まれてないし!」

 

 池の言葉でまたもやザワつくクラス。

 10万円が無償に貰える生活なんて、本当にあるわけないだろ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「──本当に愚かだな、お前達は」

 

 威圧され息を呑むDクラスの面々。

 

 

 「遅刻欠席、合わせて98回。授業中の私語や携帯を触った回数391回。一月で随分とやらかしたものだ。この学校ではクラスの成績評価が毎月振り込まれるポイントに反映する。査定の結果、お前達は当初持っていた10万ポイントを全て失った。今月振り込まれるポイントは────0だ」

 

 

 むしろ当たり前と言ってもいい。

 学校が生徒に金を配る方がおかしいのだ。しかも10万円も。

 だけどそれもまた一興。

 

 クラスの絶望感。それはここでしか味わえないもの。だからこそ鮮明に、そしてより濃く彩り残る。

 本当に素晴らしいな。

 

 「ただの高校生に過ぎないお前達がなんの制約もなく、毎月10万も使わせて貰えると本気で思っていたのか?

 ありえないだろう、常識で考えて。何故疑問を疑問のままで放置しておく?入学式の日にも言っただろう?この学校は実力で生徒を図る、と。お前達は評価0の──屑という訳だ」

 

 

 

 

 ーーーーー

 

 

 

 

 

 あれからDクラスは少しだけ変化が起きた。

 授業を真面目に受ける生徒が増えたし、不真面目な生徒には注意もするようになった。

 それは『Sシステム』における減点を防止するためだ。

 

 不真面目だったDクラスとは思えないほどの目標が決まった。

 次の中間テストを乗り越えるという事だ。成績が良ければクラスポイントが加算される。

 毎月0円生活になるのは嫌なのか、皆は真面目に勉強を始めた……三人を除いて。

 

 

 Dクラス全体がテストに向かって頑張っている。

 小チームをいくつか作りテスト勉強をしているみたいだ。頭のいい人達、つまり平田、堀北、幸村をはじめとした成績上位者がクラスのあまり成績が良くない人、少し不安がある人を先導している。

 

 僕は文系は得意だけど、理系が平均の少し下なので平田くん直々に勉強会にお誘いされたんだけど……。

 

 

 

 

 丁重にお断りした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ここが図書室か、ちゃんとしてるんだな」

 

 流石国から莫大な資金を貰っている学校。金の使い方に惜しみない。

 図書室には古い本の匂いが漂い、図書室らしい雰囲気が滲み出ている。

 とりあえず読みたい本を決めていなかったので、一周まわって考えることにした。

 

 日本の小説から外国のものまで。本当にあらゆる種類の本がある。

 確かに茶柱があらゆるものが手に入る娯楽も含めてと言っていた。いい事だ。それは本当にいい事だ。

 

 マイナーな作品から有名なものまで…料理本やライトノベル。それこそ多種多様だ。

 

 

 「時計じかけのオレンジもあるのか…いいセンスしてるな」

 

 「知ってるんですか?」

 

 

 

 後ろから声をかけられた。

 図書室には人がいないと思っていたが、どうやら先客が一人いたみたいだ。

 よく見ると奥の方の机に荷物が置かれてある。

 

 「ええ、面白かったですよ」

 「そうですよね、私も読んだことがあります」

 

 何故話しかけてきたの?とは思ったがそれを聞くのは無粋というものだろう。

 

 「本お好きなんですか?」

 「はい。よく読んでますよ」

 

 「それはいいことですね。最近読書をする若者が減っているそうですから…私の周りにも読書が好きな人はいませんし」

 

 「確かに『時計じかけのオレンジ』を読んでいる人はあまり聞かないが、本を読んでいる人くらい探せばいるよ」

 

 時計じかけのオレンジのようなあまり名前を聞かない作品の話をする人はあまり目にしないが、そうだなアガサ・メアリ・クラリッサ・クリスティのような有名作家の代表作である『オリエント急行殺人事件』や『ABC殺人事件』『そして誰もいなくなった』なら多くの人が一度は読んでいるだろう。いや、仮に読んでいなくても興味はある筈だ。

 

 「そうでも無いんです」

 「……そっか」

 

 「はい。そうなんです。私が今読んでいる本は極最近発売されたものなんですが、タイトルしか知らない人が多いみたいです」

 

 「へー、何読んでるの?」

 「気になりますか!?」

 

 

 すごく目がキラキラと輝いた。

 この子はあれだな、本の話がすきなんだろう。

 それも今まで本についての話が出来なかったからか、ネタを持ち過ぎている。

 

 「うん、気になる」

 

 今時の女子高生が好む作者をしれたら、もう少し若いそうの読者もついてくるかもしれない。

 そういう意味では気になる。

 

 

 その言葉を聞くやいなや早足で自分の机に戻った。

 文庫本サイズではなく、1冊1000円2000円もする単行本サイズの本を持ってきた。

 そこ本にはブックカバーがされておらず、題名が露わになっている。

 

 それを横目で見た時、少しだけ僕の鼓動は早くなった。

 まさか君が読んでいる本がそれだなんて……ほんの少しも考えてなかったよ。

 

 

 「私が今読んでいる本は──」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「──高槻泉 先生の『虹のモノクロ』です」

 

 

 彼女は凄く嬉しそうな顔をしてその書籍をこちらに見してきた。

 僕はその本を知っている。

 

 それは所持しているなんていう、そんな生易しい理由じゃない。

 そうだな、一言で言うなら……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──それは僕の作品だ。

 

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