嘘はいつから存在し、詐欺はいつから始まったのか。
これは「人を騙す」という行為についての調べた高校生二人のお話し。

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小説風に書き直しました


「人を騙す」ということ

「人っていつから他人を騙すという行為を覚えんだろ」

 僕自身、親や周囲の人間から嘘というものを教わったことはないが、今や当然のように嘘を吐いている。この世に存在する人間の大半は嘘を吐いたことがあるだろう。あるはずだ。むしろ、「嘘なんて吐いたことがない」と語る人こそ嘘にまみれているように思えてならない。

 もっと規模を大きくすれば、他人を騙すという行為はいつから存在しているのだろう。現代のように明確な言葉が無かったとしても、旧石器時代には既に嘘があったのでは、と僕は思う。人間が嘘を吐くのは本能的なものであり、人間の本能は今も昔もきっと変わらない。故に、嘘は人類の誕生とほぼ同時だと推測している。

「さぁ。嘘っつったら詐欺だけど……」 

 有名なものを例に挙げると、「オレオレ詐欺」、「ワンクリック詐欺」、「フィッシング詐欺」だ。他には「保険金詐欺」や老人の単独世帯を狙った「リフォーム詐欺」等々。世の中には無数の詐欺が存在している。僕も一度オレオレ詐欺に遭遇したことがあるが、僕の名を名乗ってきたため即座に受話器を下ろした。

「もしもし、○○(僕の名前)だけど。仕事でミスしちゃって――」

 当時僕は中学生である。仕事なんてしていない。この電話を取ったのが僕でなくとも騙されなかっただろうと、少し安堵したのを覚えている。

「そーいや国語の課題。自由な話題のレポートだっけか。嘘についてでいいんじゃね?」

「天才かお前」 

 友人の意見に賛同し、僕らは嘘、そして詐欺の歴史についてネットで調べてみることにしたのであった。

 

「――で、調べてきてくれた?」

 朝一でそう声をかけられたとき、僕は開いた口がふさがらなかった。こいつはなんと図々しいのか。それぞれで嘘について調べ、連名でレポートを提出する約束を下にも関わらず、こいつは何にも調べてきていなかった。いや、昔からこんなやつだったが……。僕は少々憤りを感じ、調査結果をまとめた紙をそっと机の中にしまった。

 

「そもそも詐欺って嘘の発展だから、まずは嘘について調べてみた」

「ん」

「保存されている昔の資料だと、世界で最初に嘘が確認されたのは……どこだと思う?」

 僕の問いかけに、腕を搔きながら興味なさそうに「あー? 知らん」と答えるこいつを殴っても、俺を怒るやつはいないだろう。いても構わず殴り続けるだろうが。

「……日本なんだよ」

 続々と登校してくるクラスメイトとあいさつを交わしながら、僕は嘘についての説明を続ける。

「弥生時代の記録を解読した結果、『労働者の報告と実際の進捗が合致しない』という事実が発覚したらしい。でもこの頃は嘘は一般的じゃなかった。嘘が常識となったのは平安時代だってさ。 言葉の文化に関して、大きな影響を与えた平安時代。発想豊かな物書きが現れ、それと同時に「話を作る」という文化が根付き始めた。そこから虚偽が生まれ、他人に真実とは非なる物事を伝えるという行為が広まった……らしい。んで、さらに嘘が成長を遂げたのが戦国時代」

 目の前であくびをしているこいつは、興味なさそうにしつつも一応メモを取っているようだ。呆けた顔をしながらもメモ帳に僕の話を書いている。

「人を欺き戦況を優位にするという行為が常識になって、この頃にはもう嘘は一般的なものになってた。そんで、その後も、年月を重ねる度、嘘は僕らの一般常識として根付いていったんだ。とまぁ、ここまでが嘘についてな」

「んじゃ次、詐欺についてー」

「こいつ……」

 机の中の紙をぐしゃぐしゃと潰して憤りを抑えながら、僕は詐欺についてを語り始める。

「江戸時代の1623年、日本で初の詐欺が起こった。当時は電話なんてないから、アナログ詐欺だ。その名も『寸借詐欺』。人の善意に付け込んで金を借りるふりをし、それを盗むってやつ。江戸時代の中期にこれが流行したらしい。

 ちなみに世界では、日本の寸借詐欺よりもずっと先にヨーロッパで寸借詐欺に似た詐欺が流行してたんだと。道に迷ったふりや財布を落とし途方に暮れた人を装い、狙った家を訪ね金をせがむんだと。これがオランダを中心に流行してたけど、発生件数は記録を見る限り日本が優勢だよ」

「優勢って表現おかしくね?」

「うっせ」

 電話や銀行の普及に伴い世界中の詐欺が激しく増加したのは、言うまでもない。

 

 僕の話を一通りメモし終えた友達は、礼も言わずにあくびしながら自分の席へのそのそと歩いて行った。

 このレポートの提出は明日の国語の授業でだ。実に楽しみである。

 

 ~翌日~

 

「……あなた、このレポートふざけてるんですか!?」

 放課後、友人は国語教諭に怒鳴られていた。周りのクラスメイトが不思議そうに眺めているが、僕はそれを必死に笑いをこらえながら見ていた。

「えっと、なにか駄目でしたか?」

 何が何だかわからない友人はそう訊ねるが、さらに国語教諭を激昂させただけだった。

「なにが駄目って……これ全部嘘っぱちじゃないですか!!!」

「……はぁ!?」

 

 僕が友人に話したのはすべて口から出まかせである。


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