対魔忍RPG 苦労人爆裂記   作:HK416

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骸佐「弾正戻ってきたってさ(絶望」

三郎「え? …………え?(困惑」

レイナ「ワンチャンもない身なのにどうして?(理解できない」

尚之助「は?(ビキビキビキ」

比丘尼「やろうおぶくらっしゃーーーーーーーーーーーー!!!!」

骸佐「もーどーにでもなーれ♪(壊れ」


こんな感じの前回のあらすじ


むぅ、今回のガチャはリリムか。性能は精神属性版ゆきかぜと言ったところ。でも上月ちゃんがいるので今回はスルーで。
そして、新イベはツバキちゃんがメイン。あの切ない感じの終わりは良かったですねー。
つーか、もっと強力なフュルスト特性の魔薬使ってるだろうに全く依存してない骸佐の精神力すげーなおい。

今回もまた短くなってしまった。では、本編どぞー!



紅のアフターケアは必要なかった、これには苦労人もニッコリ。そして股間はモッコリ

 

 

 

 

 

(骸佐からの返事は今の所はなし、か。返事をする余裕がねぇか、対弾正戦で共闘戦線を張るのは既定路線だが頭ぱーぷりんの部下をどう説得するか考え中ってところか)

 

 

 三郎から送られた鳶を向かわせて数日後。

 小太郎は学校をサボって五車町の中を一人で歩いていた。

 近代化から取り残された町並みは田舎町と言った趣で、道の両脇に連なっている家々はよくあるモダン調ではなく昭和の風情すら漂っている。

 

 まだ幼稚園に通う年ではない子供達が駆け回り、主婦達が井戸端会議を繰り広げる姿がチラホラと見える。

 皆、対魔忍や調査第三部そのものではないものの、その関係者であり、完全な一般人とは言い難い。

 とは言え、感覚や倫理観そのものは民間人と大差はない。太陽が頂点に達しようかという時間帯に制服姿のままの外を出歩く小太郎の姿に眉を顰めて、ひそひそと何やら話し合う者も見受けられた。

 

 しかし、そんな視線を気にする男ではなく、時折すれ違いざまに挨拶をしてくる子供達に片手で手を振りながら住宅街を抜ける。

 

 其処から田園地帯が短く続き、小さな竹林に囲まれた古民家に辿り着く。

 住宅街の民家に比べても一段と古かったが、隅々まで手入れが行き届いており、古臭さが逆に味になっていた。

 

 民家の前に立つと後付されたチャイムに押す。

 暫くすると磨りガラスの引き戸の向こうに一つの人影が生まれて揺らめき、ガラリと音を立てて開いた。

 

 

「はいはい――――っとぉ、若じゃないか」

 

「よう、龍。久しぶりだな」

 

「そうだねぇ。ところで学校は?」

 

「サボり。出席日数は計算してるんだ、文句はねぇだろ?」

 

「勉強云々に関しても卒業に問題ないレベルでもうとっくにやってるんだろうからね。だがねぇ、学校ってのはそういうもんじゃないだろうに。ま、あたいが言えた義理じゃないがね」

 

 

 現れたのは、浅黒い肌にウェーブがかった髪を腰まで伸ばした女性であった。自身の平気で学業を放り出していた学生時代でも思い出しているのか、サボってまでやってきた小太郎に苦笑を漏らす。

 薄紫のリップ、マスカラにアイラインまでバッチリ引いたメイクに、黄色のキャミソールとデニムのホットパンツ姿は如何にもギャル風の見た目であるが、立ち居振る舞いに隙きがなく片手に鞘に収まった刀を握っている。

 

 彼女の名は心願寺 龍。

 心願寺家は幻庵、楓、紅が直系に当たるが、傍系も存在しており、彼女はそれに当たる。幻庵の甥に当たる心願寺 帯刀の一人娘で、紅と従者であるあやめに続く心願寺家の生き残りだ。

 伝統的に心願寺家は直系が小太刀二刀の剣術を受け継ぎ、傍系は心願寺一刀流を受け継ぐのが慣わしだ。彼女の手にした刀も流派と共に受け継がれてきた大業物である。

 

 彼女は現役の対魔忍であると同時に、当主としての教育が十全に行き届かなかった紅をあやめと共に公私問わず支えている。

 紅の事となると暴走しがちなあやめを抑える立場であり、本人は努めて冷静に意見を述べる縁の下の力持ち。

 ただ、同時に剣鬼と呼ぶべき凄絶な本性も隠している。

 幻庵や帯刀から紅の助けを任された手前、勝手気儘に生きる真似はしないものの、その縛りさえなければ剣の道を極めんと五車から出奔していたに違いない。

 だが、九郎と共に世界中を飛び回っているあやめに変わり、紅の身の回りや当主としての仕事を肩代わりしている辺り、今の生活に不満がある訳ではないようだ。

 

 

「クラクルは……?」

 

「昼飯喰ったら散歩に行っちまったよ。どうやら近所のガキ共と遊んでいるらしいね。小五月蠅く言ってくる連中も居るが、クラクルはこっちから手を出さなきゃ無害だ。メシさえ喰わしてやっときゃ放っておいても大丈夫だろうよ」

 

「他所の家に冤罪でも押し付けられちゃ堪らねぇんだがな、こっちは」

 

「よく言うよ。若の事だ、そんな事になったらこれ幸いとばかりにでっち上げた証拠掴んで逆に追い詰めるんだろう? あたいの仕事は気難しい紅のお嬢と気侭な猫の世話だけさね」

 

「お前は気楽でいいよなぁ……」

 

「家になんて興味ないからね。やる事やったら後は剣を振る生活が出来るから、あたいは此処に居んのさ。知ってるじゃあないか」

 

 

 難しい事など何一つ考えていなければ考えるつもりもないとお気楽に笑う龍に、呆れと羨みの混じった視線を向ける。

 

 小太郎にしても、紅の補佐をするあやめにしてみても、彼女は扱い易い人間だ。

 既に心願寺家に力は残っていないが、血統から言って当主となるには充分でありながら権力欲というものが存在していない彼女は軒を貸して母屋を取られる心配がなく、剣を振る時間さえ与えてやれば満足してくれるのであれば信頼するには十二分。

 金や権力と言ったリソースのない家にとって、これほど最適の人材はいない。言い方は悪いが、割れ鍋に綴じ蓋だろう。

 

 龍はクラクルとの関係も良好らしく、嫌っている様子は見られない。

 性格も素直で実力も高く、多少の怪我など物ともしない野生は鍛錬の相手として申し分ない。何よりもまずは剣、という価値観を持つ彼女とは或る意味で相性が良かったのかもしれない。

 

 とうのクラクルも話を聞く限り、五車の生活に馴染んでいるようだ。

 小太郎にとっても嬉しい限りであった。このまま多くの若者が魔族との付き合い方を学んでいければ、魔族=敵という意識への改革に繋がっていく。

 もし万が一、クラクルを力尽くや策謀で排除するような輩が居たとしても、アサギが正式に認めた客人である以上、証拠さえ得られれば逆にそのような輩を排除するだけの大義名分を得られる。

 どちらに転んだとしても、小太郎にとっては手を汚す必要こそあれども、腹や頭を痛めずとも利の得られる話なのだ。

 

 

「で、本題だが、紅の様子はどうだ?」

 

「若に自宅謹慎を喰らってから毎日精神統一やら私と鍛錬、それから幻庵の爺様の仏壇に手を合わせてるよ」

 

「それなら問題なさそうだな」

 

「お嬢も一皮剥けたのかね。剣から迷いが消えて一太刀の鋭さが増してるし、顔付きも精悍になった気がするねぇ」

 

「ま、そんなところだ。上がらせて貰うぜ」

 

「お好きにどうぞ。お嬢は仏間に居るよ。あたいは庭で洗濯物を干してるから、何かあれば声を掛けとくれ」

 

 

 剣士らしい視点から捉えた的を射た龍の言葉に小太郎はお茶を濁した。

 紅が吸血鬼の力を引き出して心願寺の奥義に手を掛けた事実は、まだ身内にも隠しておきたかった。

 龍がその事実を知れば、嬉々として紅に模擬戦を挑むであろう。其処まではいいが、それを部外者に見られるのが問題だ。

 吸血鬼化、或いは魔性化とでも呼ぶべきあの状態を見られれば、ただでさえ警戒されている紅は、魔族そのものとされて排除に動かれかねない。

 

 一介の魔族に過ぎないクラクル、一目で良心的と分かるナディアとは異なり、紅は“エドウィン・ブラックの娘”という本人にも周囲にもどうしようもない前提がある。

 例え紅を陥れようとした者を排除したとしても、心証は決して良くならない。そういう噂が立つだけで疑いが募る結果となる。

 疑心暗鬼とは山火事のようなもの。一度燃え始めれば爆発的に広がっていく。これを鎮火させるのに必要なのは周囲に流されない自制心と確たる良心のみ。

 対魔忍であれども、それを手にしている者は少ない。正義を掲げている事と善人である事は決して等号では結ばれないのだから。

 

 玄関からサンダルのまま裏庭へと向かっていく龍を見送り、小太郎は勝手知ったる人の家に遠慮なく上がり込む。

 廊下を進む度に床が軋む。耳障りな音ではないのは、あやめと龍がまめに手入れをしているからだろう。

 外から見てもそうであったように、内装も古さが味になっている。埃一つなく、障子や襖に傷は一切ないように張り替えられ、見栄えの悪い部分は何もない。

 

 廊下を少し進み、仏間の襖を開ける。

 畳張りの部屋には二つの仏壇があり、扉が開かれた仏壇には亡き幻庵の遺影と位牌、花と果物が供えられていた。もう一方の仏壇は帯刀のものだ。

 線香が香りを帯びた煙を天井へと静かに伸びていた。仏壇の前には、座布団も敷かずに正座したまま静かに手を合わせている部屋着姿の紅の姿があった。

 

 すっと背筋を伸ばし、瞼を閉じたまま死者を想う祈りの所作は、息を呑むほどに美しい。

 それはそのまま紅がどれほど幻庵に対して、深い感謝と親愛の情を抱いているのかを示している。

 

 小太郎は声を掛ける真似はせず、仏間へと足を踏み入れた。

 其処でようやく紅も小太郎の存在に気が付いて視線を向けたが、何も言わず隣に腰を下ろして黙祷を捧げる彼の姿に、再び瞳を閉じる。

 

 

「…………ヨミハラで、あの時、御祖父様が来てくれたような、気がした」

 

「そうか。心配性な爺様だな。死んじまったんだ、ゆっくりしてりゃあいいものを」

 

「不甲斐ない孫だからな、仕方ないさ。それよりも、身体の方は……」

 

「問題ない。よくない状態でお前に会いに来ちゃ、余計に落ち込むだろ、お前」

 

「ふふ。何から何まで、本当に済まないな」

 

「いいさ、好きでやってるんだ」

 

 

 暫くの間、互いに幻庵へと黙祷を捧げていたが、伝えたい事を伝え終わったのか、紅が沈黙を破った。

 

 僅かに小太郎を傷つけてしまった罪悪感を滲ませながらも、取り繕っている様子はない。

 各流派の奥義とは心技体が揃って初めて手が届く。魔性の力で以て無理矢理その領域へと手を掛けた紅であったが、精神的に成長していない訳ではない。

 龍の言う通り、紅は確かに一皮剥けた。自らに流れる穢れた血もまた自分の一部であると受け入れたのだ。ある意味、開き直りとも言える境地であったが、開き直りもまた成長だ。

 

 自らを傷つけられた挙げ句、一時は屍食鬼にまでなったと言うのに、気にした様子もなくあっけらかんと告げる。

 自分自身に対する頓着の無さは紅も心配になったが、それ以上に気を遣ってくれる優しさが嬉しかった。

 

 小太郎も嘘は吐いていない。自己の屍食鬼化という語っていない事実はあるが、口にした言葉は紛れもない事実である。

 紅は正真正銘の爆弾であった。強大な力を抑え込んではいるが、何時、何を切っ掛けに爆発するか分からない危険物。少なくとも周囲の人間は、そう認識していた。

 しかし、小太郎の生来の気質故にか、気にした事は一度もない。落ち込みやすいのが玉に瑕だが、根は素直で純粋な幼馴染。それ以上でもそれ以下でもない。

 言葉が通じて会話が成立し、手と手を取り合えればそれで充分。人も魔族も大差はない、善人も居れば悪人も居る。彼には、混じり者だからと忌み嫌う理由が理解は出来ても全くと言っていいほど共感できなかった。

 

 紅にとって、それが堪らなく心地良かったのだろう。

 我が身に流れる呪われた血も運命も、周囲から父親が父親だからという理由で忌み嫌われている事実も、小太郎の前では忘れられた。

 だから、何時でも命を張る覚悟が出来ている。だからこそ、愛して欲しいと乞い願ったのだ。

 

 

「今後だが、その力も使い熟してもらうからな。臭いものに蓋をするのは止めたんだ、構わないだろ?」

 

「ああ、それは構わないんだが……少し不安だな。あれ以来、一度も使っていないし……」

 

「それなら問題ない。その手の力ってのは自転車の乗り方と同じだ。一度でも出来れば、早々忘れられるものじゃない」

 

 

 不安げな表情を見せる紅に、己の経験則を語る。

 尤も、小太郎は忍法に目覚めていない故に、災禍や天音が成長していく過程を目にしていた故の言葉だ。

 事実として、二人は我を見失うほど厳しい訓練の末に身に着けた新しい忍法の使い方や技術を出来なくなった事は一度もない。小太郎とて技術技能技巧に限定すれば同様だ。

 何かを身に着ける過程とは、己の身体と魂に彫刻刀で文様や文字、絵を刻み付ける行為そのもの。苦痛と共に得た成長は忘れたくとも忘れられるものではない。

 

 これから紅は凄まじい勢いで成長するだろう。

 元々あった雷遁の超火力に、制御能力が加わった事で応用範囲が爆発的に広がったゆきかぜ。

 希少価値が高い空遁をその身に宿し、小太郎の助言によって発想力を高め、万能とも呼べる領域に手を掛け始めている凜子。

 この二人に比べれば、紅は見劣りしていた。身体能力こそ高かったものの、風遁も剣才も幻庵には劣っており、彼の下位互換に過ぎなかった。

 

 しかし、本来の己を受け入れた事により、彼女にしか手の届かない人魔合一の領域へと足を踏み入れた。

 成長とは必ずしも緩やかな曲線ではない。確かな土壌と些細な切っ掛けがあれば、人は変わる。紅にとっては今がその時なのだ。

 

 

「ま、それはおいおいにして――――オレも少しばかり頭に来てる」

 

「ひゃわ……!? こ、小太郎、な、何を……!」

 

 

 これから何をするのか、これから何をすべきなのかに思いを馳せていた紅は、突然訪れた刺激に可愛らしい悲鳴を上げた。

 

 見れば、隣の小太郎が正座したまま尻に手を伸ばしている。

 紅はデニムのホットパンツの上から与えられる快感に抗う術はない。抵抗する、という考えそのものが抜け落ちていた。

 ぶるりと身体が震え、(はら)の奥底から燃え上がる欲情の炎を自覚せざるを得ない。

 

 

「全く、お前はオレの女なのに、ブラックや馬鹿娘の玩具に成り下がろうとしやがって」

 

「……はぅ……そ、それは……ぅ、ひぃ……♡」

 

「別に怪我とかはどうでもいい。オレが許せないのは其処だよ。あんな連中にお前の何もかもをくれてやるつもりは毛頭ない」

 

「あ、謝る。ちゃんと謝るから、今は――――ひうぅぅっ♡」

 

 

 ギラギラとした雄の欲望とみっともない男の嫉妬。

 そんなものですら、紅には歓びだった。小太郎はこういった形でしか愛情表現をせず、根本的に何処か歪んでいるが、これもまた嘘偽りのない彼の気持ちであり、それを一心に浴びている現実は女と牝を疼かせるには充分過ぎた。

 

 身悶えしながらも、何とか尻を撫で回す小太郎の手を掴み、細やかな抵抗を示す。

 流石に、幻庵の仏壇の前で事に及ぶ度胸は紅にはない。それでも頬は紅潮しており、牝の欲望が鎌首をもたげているのは明らかだった。

 

 紅の抵抗に、小太郎は無表情を歪めて、眉根を寄せてムっとした表情を作った。

 雄の脂ぎった欲望に対して、まるで玩具を取り上げられた子供のような無垢さもある不思議な表情だ。

 

 そんな彼を可愛いと感じながらも、紅は尻から駆け上がった新たな快感に嬌声を上げた。

 雄の欲望を受け止めるために成長したとしか思えない脂の乗った尻肉を、跡が残りそうな力で鷲掴みにされたのだ。

 

 

「今夜、オレの家に来い。たっぷり躾けて、可愛がってやるからな」

 

「ひゃ、ひゃい……主様ぁ……♡」

 

 

 耳元で囁かれた誘いの――――いや、命令の言葉に心臓がドクンと高鳴る。

 紅の瞳は潤んでとろんと目尻が下がり、口の端を震わせながら、どうしようもない期待とはしたない欲望の返事をするのだった。

 

 

 

 

 




はい、というわけで、龍登場&決アナほど剣キチじゃない&紅へのお誘いでした。

本編からも分かるようにエロの導入編。
主様呼びは、対魔忍紅でもあったからそれに倣った形です。
さーて、次回はエロじゃエロじゃ~! どういうプレイかは全く考えてないんですけどね!(白目

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