対魔忍RPG 苦労人爆裂記   作:HK416

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だっしゃー! 五車ガチャ制覇! バニきらパイセンも来たし、氷室ちゃんも引けたぜオラァン!! アリシア様強い、強くない?
なお、来月の生活はどうなるか分からん模様。何とかなるやろ(現実逃避

そして、氷室ちゃんが先輩になってて草生える。
どないすんねん。こっちは同学年で設定しちまったぞおい。まあええわ、設定は押し通すもの!!

というわけで、今回は殆どオリキャラ回なんじゃ~。では、どぞー!




苦労人の仲間は粒揃い! なおそれでも苦労は減らない模様

 

 

 

 

「来たか、早いな」

「時間の前には来るわよ、頼んだ側でもあるし。おはよう、ふうま、それに紫さんも」

「ああ、おはよう獅子神。それで、お前の仲間はまだか?」

「そろそろ来るだろうよ。どっちも真面目な奴だからな」

 

 

 五車町は表向きには今世紀に入ってから山間部に切り開いて新たに作ったニュータウン、とされているが、周囲には手付かずの原生林が多く残っている。

 特に、五車学園の校舎裏には3000ヘクタールもの広大な原生林が広がっており、訓練された忍獣が放たれている。必要とあらば、その原生林で行軍訓練も行われるほどだ。

 

 小太郎の復帰と勉強会から開けて翌日。

 校舎裏とはまた別の、五車の住宅街から歩いて三十分ほどの原生林の開けた場所で、小太郎、紫、自斎の三人が顔を合わせた。

 

 自斎が偽名ではなく、本来の紫という名で呼んだのは、昨日の時点で小太郎から事実を知らされていたから。

 隠したままでも良かったが、これから近しくなる以上は隠し通せる訳もなく、予見し得る弊害――黙っていたことできららが信用ないの、と不機嫌になるのを避ける目的が主――を鑑みて、至極あっさりと明かしてしまった。

 彼女等の驚きは相当なものであったが、次元侵略者の存在を語られ、何よりも己の知る紫と似すぎている少女を直接目にしては納得せざるを得なかった。

 

 三者は三者とも、それぞれの対魔忍装束を身に付けている。

 自斎と紫は馴染み深い己の一部を、小太郎は変装と潜入を前提とした目立たず、一般人の着るそれと見た目は変わらないコート型。

 これから行われる実験と実証は、あくまでも”だろう”の領域であって、確証など何もない。自斎に憑りついた神の強さを考えれば、彼等の格好も、町の中心から離れた場所を選んだのも納得の至りである。

 

 誰よりも神の理不尽さを知る自斎の表情は、バイザーの上からでも分かるほどに不安で満ちている。

 そのような表情をしていれば、紫なら叱咤の一つでもしそうなものだが、境遇と危険性を知っているが故に緊張から表情は硬く、口元を引き結んでいた。

 

 唯一呑気だったのは小太郎だけ。欠伸を噛み殺しながら、身体を伸ばしてなどいる。

 今回の実験に際して呼び寄せた自らの家臣への絶大な信頼――――ではなく、どうしようもなくなったら全力で逃げるつもりしかないからだ。

 神遁の性質上、術者である自斎は無傷で済むのは確定。紫に関しても、不死覚醒のお陰で早々死ぬこともなく、いずれ元の世界へと戻る事を考えれば此処で死んだとして痛手は少ない。呼んだ家臣も、神から逃げるだけの実力と智慧を有している。何の問題もない。

 

 戦うつもりも止めるつもりもなかった。

 忌神が暴走状態になった場合の対抗手段を持ってきてもいない。下手に手段を用意して無駄に神の気を引きたくはなかったし、予期せぬ暴走の引き金になりかねない。

 よって、用意したのは生き残る手段のみ。それだけで十分、と言わんばかりの態度でもある。

 

 

「おっ、いたいた。こた――――じゃなかった、今は若じゃなきゃ拙いよな」

「別にいいんじゃないか。威厳だの権威だの、気にする人じゃなし」 

 

 

 自斎と紫の不安と緊張で気拙さばかりが募る場に、対照的な声が響く。

 

 見れば、木々の合間を縫うように二人の若者が歩いてきていた。

 両者ともに一見すれば一般人と変わらない出で立ちであるが、纏っている衣服は小太郎と同様の偽装型の対魔忍装束である。

 

 一人はツーブロックの明るい茶髪に、人懐っこい笑みを浮かべた少年。

 身長は170の半ば。パーカー型の対魔忍装束のお陰で細身に見えたが、裾から覗く首の太さと分厚い掌の皮から決して華奢ではなく、鍛え上げている事が見て取れる。

 

 もう一人は、墨汁を流し込んだ黒髪を無造作に伸ばし、保たれた無表情と目付きの悪さも相まって、不機嫌そうに見える少年。

 身長は先の少年と同程度。ダッフルコートを模したセパレートタイプの対魔忍装束も黒一色で、細身の身体付きが更に細く見えた。

 

 

「来たか、雅臣、日影。悪いな、休日に呼び出しちまって」

「全くですよ」

「おいおい井川、もうちょっと言い方あるでしょうが。若に当たりキツくね?」

「この人のやってること諸々考えろ。誰だってこうなる」

 

 

 久方振りに出会った友人に向けるような笑みを珍しく浮かべた小太郎であったが、返ってきたのは何処か棘のある言葉。

 日影と呼ばれた黒髪の少年は不満を隠そうともせず、露骨に眉根を寄せて睨むように視線を向ける。当主に対する敬いというものが一切感じられない。

 思わず茶髪の少年――雅臣は小太郎だけでなく、日影の態度すら庇おうと口を挟むのだが、取り付く島もない。

 

 小太郎は続いて苦笑いを浮かべたが、自斎と紫は素直に驚いていた。

 日影の態度はどう考えたところで当主を前にした態度ではない。常にどんな行為も全肯定する天音、苦言こそ呈しても地獄の底まで共にする覚悟であろう災禍の接し方とは根本的に異なり過ぎていた。

 小太郎ならば扱い難い人間は遠ざけておくと思っていた。前者の二人ばかりではなく、そもそも彼の周囲には肯定的な人間しかいない。だからこそ、日影の見せる態度に驚きを隠せずにいた。

 

 

「この埋め合わせはするから勘弁してくれ。それで、こっちが獅子神 自斎と別次元の八津 紫だ」

「どうしてこう厄ネタばかり引っ張ってこれんだ、この人は……」

「井川ー! そういうの本人の目の前で言うのやめてあげて!」

 

 

 日影の言動と雅臣のフォロー。どちらも当然と言えば当然の反応だ。

 

 神遁持ちの獅子神 自斎だけでも相当だというのに、別次元の紫などというどんな災厄を招くかも分からない厄ネタまで拾ってくるなど考えられない。尤も、小太郎とて望んで手を出したわけではないが。

 事情も内心も察している雅臣は必死に庇い、少しでも態度を矯正しようとするも、なしの礫。全く効果がない。

 

 

「茶髪の方が龍造寺 雅臣。黒髪の方が井川 日影。どっちも五車の三年だ」

「年上か。しかし、井河ということは……」

「御察しの通り、井河一門の出だ。尤も、扱いは分家じゃなくてお前と同じ下忍だがな。だから苗字も河口の方の河じゃなくて、普通の川の方だ」

「確か、そんな家があったような気がするが……しかし、アサギ様の配下を何故貴様の家臣扱いなんだ」

「事情があるだけだ。アサギさんも認めてる。口を出すなよ」

 

 

 小太郎は二人の名前と学年だけを簡単に伝える。

 

 しかし、紫には聞き捨てならない名前だった。

 主君の苗字に(あやか)り、苗字を変える者も少なくはない。古いしきたりや習わしを未だに続ける対魔忍の世界では極々普通の行為。

 ただ、紫が反応したのは敬愛するアサギの苗字である井河の名を肖っていたからだ。其処にあるのは同じ家の下忍出としてのシンパシーではなく、井河から肖った苗字を名乗る嫉妬と井河一門から離脱してふうま宗家についた事か。

 

 しかし、それは日影にとっても触れられたくない事柄なのか、ただでさえ不機嫌な表情が益々不快感で曇っていく。

 

 

「おいおい、いきなり雰囲気最悪じゃん……」

「えっと……今日はよろしくお願いします、先輩方」

「んなに、畏まらなくてもいいよ。オレも井川も若に呼ばれただけだし。それに困ってる人がいるなら助けるもんでしょ。もち、八津もな」

「うっ、むぅ……」

 

 

 悪くなる一方の空気を小太郎は素知らぬ顔でやり過ごしていたが、自斎は見るに見かねて頭を下げる。

 紫にせよ、日影にせよ、雅臣にせよ、今日は彼女のために集まったと言っても過言ではない。場の空気に耐えられなかったのは事実だが、心から感謝しているのもまた事実。彼女としては当然の謝辞だ。

 自身の至らなさを改善するためにどんな労も厭わないであろう姿勢は、いがみ合いが勃発しかけた紫と日影を諫めるには十分過ぎた。

 

 其処へ間髪入れずに人の好さを感じ取れる言葉を、雅臣が告げる。

 顔に刻まれた笑みは生粋の根明であることを示しており、余りの善人振りに紫は思わず、感情に任せてしまった己を恥じる。

 

 

「雅臣は対魔忍として日が浅い。一般上がりって奴だ」

 

 

 それぞれの性格から今までの展開を読めていた小太郎は、ようやく雅臣について僅かに語る。

 

 対魔忍は、小太郎を筆頭に古い家柄を持つ者が殆ど。

 生まれながらに生きる道を定められ、当人も対魔忍として生きる事を信じて疑わない。

 だが、全体において幾許かは、古くからの家柄と言う訳でなく、ある日を境に対魔忍へと迎い入れられた者も居る。

 

 過去に何処かで対魔忍の血が混ざったのか、或いは遥か昔に交わった魔族の血が長い時をかけて覚醒したのか。数は多くないものの、一般人の中にも忍法を発現させる者はいる。

 大抵は何らかの事件に巻き込まれることで肉体的にも精神的にも追い詰められた末に覚醒、元凶の生死に関わらず、駆け付けた対魔忍に保護される。

 

 どちらにとっても苦渋の決断。

 

 一般人側にとっては己を含めた誰も傷つけずに済むよう忍法の扱いを学ばねばならず、また闇の勢力に目をつけられれば、嫌でも闇の世界に足を踏み入れねばならなくなる。

 ただ一人で独自に研鑽を積む道も存在しているが、そもそもそんな道を選ぶほどの独立性と精神性を持つ者はいずれは闇の世界に足を踏み入れる。そうでない一般人は自己と周囲を守るために対魔忍を頼る他ない。 

 

 対魔忍側としても戦力的には喜ばしい部分もあるが、それ以上に過酷な道を歩まざるを得ない者への憐れみと間に合わなかった己への不甲斐なさが募り、何よりも扱いに困る。

 元一般人は対魔忍の家系に生まれた者に比べ、戦いそのものに向いていない。軍人とて人に向かって銃を撃てるようになるには長い時間が必要となる。悪党だからと理由だけで人や人の形をした者を殺せるなど、生まれながらにそのような教育を施されてきたか、元より歪であるか。

 それ故、彼等はどれほど優れた忍法を身に宿そうとも、戦いを拒否し、殺しなど出来よう筈もない。極一部の例外を除いて。

 

 よって大抵はお荷物扱い。

 戦いに向かわせられず、かと言って放逐すればどうなるか。

 否が応にも出費を募らねばならず、戦力にならぬ者に対して割り裂かねばならない時間が増えていく。

 例外足る者も多くは正義や強大な力に酔って、現実どころか自分すらも見えていない。罪悪感を抱きながらも自らの正義感を信じ、他者に対する献身の本当の意味を理解し、罪と罰を背負っている真の守護者など極々一部だ。

 

 雅臣はどちらであるのかなど語るまでもない。

 命令以前に、何の関わりのない自斎の境遇を聞いただけで、自らの危険を顧みずにこの場にいる以上、真正の善人だろう。

 何よりも、小太郎が自らの部下と口にしている。才能は元より性格の底の底まで見抜いた上で選んでいる。ならば、彼は疑う余地もなく――――

 

 

「ふん、一般上がりか。井川の方も私の世界では名前が残っているだけで、末席を汚しているとすら言えない状態だ。何処まで頼りになるか」

「ちょっと、紫さん」

 

 

 紫の何処か見下した物言いに、流石の自斎も眉根を寄せる。

 危険を承知で見ず知らずの己のために来てくれた者を悪く言われては咎めもしよう。

 

 しかし、それは紫なりの優しさであった。

 彼女のいた次元でも、対魔忍の家系ではない一般上がりや親を失った孤児が対魔忍になる例はいくらでもあり、実情も知っている。

 ただ、やはり生まれによって十分な覚悟や才気、訓練がないままに任務へと赴いた者の末路は一様に悲惨。況してや今回は任務ではなく、自斎の個人的な問題になる。

 昨日できたばかりとは言え、己の事情を知ってもなお疑うことなく事実を受け入れてくれた友人が傷つく様など見たくはない。小太郎の持ってきた眼鏡の効果を実証するというのなら、別段彼等でなくとも十分な実力を持つ者が集える日まで待てばいいだけの話。今日でなければならない理由はない。

 

 

「なら戦ってみるか?」

「何……?」

 

 

 小太郎も、紫が乗り気ではないのは分かっていた。昨日の時点で日を改めるべきと再三に渡って進言してきていた。

 無論、単なる反抗ではなく十分な理由と理屈が其処にあった。それでもなお強硬に事を進めたのは、十分な勝算があったからに他ならない。

 

 その計算を支えるのは雅臣と日影。

 身内という色眼鏡を使わない小太郎の目で見て、二人の実力は懐刀である災禍と天音に遜色ないものである。

 経験の問題で、どんな事態にも、どんな任務も完遂可能とは言えないが、少なくとも忌神の暴走を止めるだけの強さを身に付けている。

 

 ただ、言葉にはしない。

 どれだけ語ったところで、実際に目にせねば、体験せねば納得しないのが人間というもの。

 論より証拠、百聞は一見に如かず。諺は無数にあり、賢者の見極めた人の性質は概ね正しい。実際、紫は欠片も納得していない。

 

 忌神に対抗できるというのなら、名前くらい聞いた事はある筈。元一般人の雅臣は兎も角、井河の末席に名を連ねている日影ならば世界線が違ったとしても話題に上がるに違いない。

 

 そんな紫の推論もまた概ね正しい。

 欠けているものがあるとするならば、小太郎の存在そのもの。

 自らの手の内を軽々に明かすほど、間の抜けた性格ではない。

 

 

「ほう、面白い。いいだろう、その実力、見せて貰う」

「決まりだな」

「……脳筋かよ」

「何か言ったか?」

「いや、別に」

「えぇ……これから神様と戦わなきゃなんないしれないのに、ほんとに戦んのぉ……?」

「ちょっと、ふうま!」

「いいじゃないか。お前だってコイツ等の実力に疑問があるんだろ? なら、これが一番手っ取り早い。幸い、お前が怪我をしても事は進められるし、紫の方も怪我してもすぐ治る。日影は獅子神の、雅臣は紫の相手をしてやれ」

 

 

 紫は舐められているとでも思ったのか、小太郎の部下がどれほどのものか見定めるつもりなのか。存外、乗り気であった。

 身内との殺し合いは極力避けるべき、とは考えているが、訓練ならばやぶさかではない。権左のような戦闘狂ではないが、筋トレだけで鈍った身体を叩き起こすには実戦形式が最も早い。

 何よりも、自らの実力に対する自負は人一倍。それが自惚れにならぬほどの強さもあれば、苛烈なまでの努力も重ねている紫にとって、小太郎の物言いは看過できないものであった。

 

 対して、三人の反応は正反対。

 紫とは相性が悪いのか、日影など思わず悪罵を漏らしていた。

 雅臣にしても、聞いていた役割とは違う展開に困惑しており、自斎など可哀想なほど狼狽えている。

 

 しかし、小太郎は聞く耳など持たず、紫は自らの獲物を構えている。

 紫は納得するまで続けるであろうし、小太郎は止めるつもりがない。こうなってしまえば、止めようがない。三人は三人とも同時に溜め息を吐き出し、それぞれ指定された相手と向かい合う。

 

 

「お前等にとってはいい経験になると思うぜ。殺すなよ?」

 

 

 彼の言葉は誰に対してのものだったのか。

 唯一分かるのは、言葉の前半と後半で向けた先が違うこと程度。

 

 紫は自慢の大斧を、自斎は忍者刀を手に握り、構えを取る。

 残る二人は徒手空拳。構えすら取っておらず、本当に戦う気があるのかという自然体。

 

 互いの戦いに巻き込まないように距離を置き、相手との間合いは五mほど。対魔忍であれば、あってないような距離。

 

 

「本音言えば、女の子を殴りたくなんかないんだけど……」

「気にするな、これは訓練だ。それとも馬鹿にしているのか、舐めているのか?」

「そんなつもりないよ。ちょっと若いだけで、こっちの八津先生と同じなんだから。でもまあ――――八津、オレやるからには勝つよ」

「…………っ」

 

 瞬間、雅臣の空気が変わった。

 感情が露わになりやすく、表情がよく変わりながらも人懐っこい笑みが最も似合うはずの少年の顔からあらゆる表現が消失する。

 小太郎によく似た無機質な無表情。冷酷さや冷徹さは感じられないが、非情さだけは似通っている。

 

 雅臣に現れた表情と雰囲気の変化は、相手の実力を見定める――――言えば、上から目線であった紫の警戒心は頂点にまで引き上げるには十分過ぎた。

 

 静かだが秘めた熱情を解き放つ宣言は、明確な宣戦布告。

 ただの一般上がりでは、これだけの精神性(メンテリティ)の変化は見られない。小太郎が目を掛けるだけあって、彼もまた特別な才能を生まれ持ち、闇との戦いに命をかけるに値する理由を持つ、立派な対魔忍なのだ。

 

 

「――――!」

「…………」

(速い! それに、この膂力! 身体強化系の忍法か?!)

 

 

 雅臣の踏み込みは、静かでありながら稲妻の如く速かった。

 古武術に伝わる技法、膝抜き。必要な筋肉のみに力を漲らせて、残りの筋肉からは力を抜くことで重心を高速で移動させる事で、予備動作を極限消しながらも体軸がブレず、初速も上がる。

 

 完璧な膝抜きであった。

 対魔忍ならば誰とて使える技法だろうが、此処までの完成度は類を見ない。正に、小太郎の言う“誰にでも出来ることを誰よりも巧くやれれば、忍法なんて使えなくても十二分”を体現しているかのよう。

 

 間合いを詰めると同時に放たれたのは、右の縦拳。

 正拳突きや右ストレートなどの掌を地面に向ける平拳に比べ、体重を乗せることが容易であるために踏み込みから最短距離の軌道で放つのに適し、また手首を捻る必要がないために初速で勝る。

 真正面からの強襲と同時の牽制、更に次手への組み立ても考慮に入れた一撃は、雅臣が如何に近接格闘に秀でているかを示していた。

 

 その一撃を真っ向から戦斧の柄で受け止めた紫を待ち受けていたのは、驚愕と戦慄だった。

 

 まるで空気が爆ぜるかのような――――否、事実として余りの威力に空気が爆ぜた。

 紫の力に耐えられるよう、兎にも角にも頑丈さのみを追求して造られたはずの大斧が軋みを上げる。

 

 このままでは折られる。

 一瞬でそう判断した紫は、受けた柄の軸をずらし、そのまま回転させて受け流す。

 目覚めた忍法の特性上、真正面からの力押しばかりが目立つ紫であるが、こうした技術がないわけではない。相手に技術や能力を使わせてもなお力で押し切るのが最適解なだけに過ぎない。

 

 そんな彼女が初手から技術で用いねばならないほどの身体能力と格闘技術。

 速力は圧倒的に雅臣が上。更に、自身の売りである筈の膂力が僅かに勝っている程度。不利なのがどちらなのかは、嫌でもでも分かる。

 

 されど、なおも紫は闘志を燃え上がらせた。

 これほどならば相手に取って不足なし。相手を舐め腐っていたの己と認識を改める。

 この次元における紫との最大の違いは此処にある。若さ故に過ちを即座に認め、改める素直さがある。元々の性格と重ねた年月が相俟って生まれてしまった頑固さが彼女にはないのだ。

 

 そんな姿を見て、雅臣はより一層気を引き締める。

 初手の強襲は成功したが、まともに喰らえば沈むのは己の方。

 況してや、紫の忍法は不死覚醒。首と心臓を同時に破壊しない限り、体力が尽きるまで戦い続けられる。油断すれば形勢は一瞬で逆転だろう。

 

 攻めて攻めて攻めて攻めて攻めて攻める。

 

 紫にとっては自らの能力を最大限生かす戦法であり、雅臣には勝利のために与えられた唯一の道。

 合致した両者の思惑は戦いを加速させる。他者の介在を差し挟む余地のない、文字通りの決闘が始まっていた。

 

 

「凄い、紫さんと真正面から……身体強化系の忍法でも使っているの?」

「いや、龍造寺は忍法を使えない。若と同じで、あくまでも対魔粒子が覚醒しただけだ」

「えっ? そんな、まさか……」

「素の身体能力が桁違いなんだよ、アイツは。若曰く、“ありゃ母上に近い生き物だ”だそうだ」

 

 

 隣で始まった凄まじい近接戦闘を眺めながら、思わず漏れた自斎の独り言に、日影は律儀に答えていた。

 初対面の人間にも分かるほど他者に冷たい態度を取り、距離を置きがちな彼であるが、こうして後輩の疑問に答えている辺り、面倒見自体は良いようだ。

 

 しかし、発言は如何なものか。

 小太郎の母――ふうま 潤を知らぬ自斎にはとんと伝わらぬ言葉であったが、ふうま一門の者であれば鼻で笑うか、激昂するであろう。

 暴力が形を成して生まれたような、強さだけをひたすら凝縮したような、人の胎から生まれてきた真正の怪物。

 ふうまの出身であるのならば、その強さと恐ろしさは身に染みて分かっている。だからこそ、日影の発言は許されるものではない。

 

 それもその筈、日影の聞いた小太郎の後にはこう続く。

 

 

『尤も、天と地ほどの差があるがな。それでも、母上と雅臣以外のオレ達に比べれば圧倒的に近い』

 

 

 誰よりもその強さを間近で味わってきた小太郎の言であれば、眉唾ではない。

 そも何の忍法も使えぬはずなのにも拘らず、異能系忍法にして身体強化系の極致である不死覚醒に迫る勢いの身体能力など常識外れにも程がある。

 

 

「それにしたって、どっちも熱くなり過ぎだ。後の事、考えてねえな」

「なら、井川先輩はやめておきますか? 私としてはその方が嬉しい……というか、安心なんですけど」

「いや、若の命令は絶対だ。やれと言われた以上はやるさ」

「……ふうまの事も、先輩の事も、よく知りませんけど、意外です。あんな態度で接しているのに」

「オレはあの人を信用も信頼もしてる。返しきれないほど恩もある。部下として命を賭して命令に当たる覚悟もある。けど、尊敬だけはしちゃいない」

「成程、確かに」

 

 

 自斎の胸に疑問が浮かび上がったが、端的に小太郎への所感と態度の理由を語る日影の言葉が胸にすとんと落ちる。

 確かに言う通りであった。エウリュアレーの一件で、小太郎がどれほど信じられるか、どれほど頼りになるかは理解できている。そうでもなければ神遁の件で助など求めない。

 それはそれとして、尊び、敬うべき人物か、と問われれば、彼女は全力で首を横に振っただろう。如何せん、やりようから言動までああなのだ。礼を尽くすべきとは思うが、敬意を払おうとは思わない――いや、思えない。

 

 

「それに、若がオレをお前に充てた理由は何となく分かるしな」

「……? それはどういう?」

「こういう事だ――――来い、“マカミ”、“ホロケウ”」

「それ、は……さくら先生と同じ、影遁の術……!?」

『『ウォォォォォォォオオオオォォォォンンン』』

 

 

 パン、と日影は手を合わせ、右手の親指と小指を離し、残りを一直線に伸ばして左手で握り込む。

 一種の手影遊びのようだ。太陽の光によって伸びる影は犬か、或いは狼の形を作り出す。

 

 すると影が泡立ち、盛り上がり、やがては三次元の世界で明確な形を成す。

 現れ出るは黒白の狼。するすると何処までも伸びるような遠吠えは、呼び出された事に歓喜しているようにさえ思える。

 

 自斎の驚きは当然であった。ただ、井河一門の人間が影遁使いであったことに対する驚きではない。

 アサギのお陰で忘れられがちだが、水城家が雷遁使いを、ふうまが邪眼使いを多く輩出してきたように、井河家は本来、影遁使いの一族なのだ。

 相伝の忍術は多くが影遁に関するもの。井河一門に相応しいの妹のはさくらの方であり、アサギこそが異端である。

 

 ただ、近年では影遁使い自体の数が減っており、日影レベルで自在に扱える者の数は更に少ない。

 凜子の空遁同様のレアリティであると同時に、応用できる範囲が広過ぎて、才能のキャパシティが忍法自体に追いつかないのだ。

 

 だからこそ、井河一門が影遁を使えるのではなく、影遁使いかつ分家の日影を手放したことに驚いていた。

 今でこそ井河一門はアサギに平伏しているものの、不穏分子がいない訳ではない。

 かつて台頭し始めたアサギを目障りに思い罠に陥れ、最終的には多くが粛清され、生き残りも五車から追い出された長老衆を支持する者が未だに居る。

 

 そうした者達にとって、日影は格好の神輿と言える。

 アサギとさくらの力が弱まった際には、相伝の忍法を受け継ぐものとして担ぎ上げ、家の力関係から傀儡とするには持ってこい。

 そんな美味しい存在を手放した挙句に警戒している小太郎に身柄を譲るなど考えにくい。例え、アサギの一存であったとしても、是が非でも抵抗して手元に置こうとするだろう。

 

 

「普段は忍獣使いで通っているからな。普通の影遁と違って、コイツ等は現実の獣や魔界生物と見分けがつかない」

「ああ、さくら先生が使っていた影とは、確かに質感が違う……」

 

 

 再び浮かんできた疑問に、日影は回答を示す。

 日影が影遁を使える事は小太郎を頂点とするふうま一門以外で知る者は殆どいない。故に、井河一門の不穏分子からの余計な邪魔が入らない。

 

 また彼の影遁で作り出された二頭の狼は、影ではなく生き物そのもの。毛並みの一本一本まで再現されているのは勿論の事、その仕草や息遣いに至るまで、まるで生きているかのよう。

 影遁使いの最高峰、井河 さくらの作り出した影の熊や鮫でも此処まで現実に即していない。どうしても影のようなのっぺりとした質感が現れてしまう。

 それを考えれば、日影が影遁使いとして、どれだけの才能を秘めているのか分かろうというものだ。

 

 

「いや、勘違いするな。オレはさくらさんとは方向性が違うだけだ。あんな影遁なら何でも出来るオールラウンダーと一緒にするな」

「…………?」

「……オレの影遁はかげほうしの術。本来は形を持たない精霊、かつては形がありながら時代の流れと共に失った妖怪や零落した神と契約することで、手影を媒体にして現世に喚び出す忍法だ。性質としちゃ、魔術師の使い魔や陰陽師の式神に近い」

 

 

 疑問の回答から一転して勘違いを正す。

 質感の違いはそのまま才能の差を示しているのではなく、あくまでも性質の違いだと日影は語る。

 

 井川家にはこんな口伝がある。

 

 戦国の世、祖先の一人はある戦で深手を負って敗走し、生き延びるために山の中へと分け入った。

 しかし、其処は自然の驚異がそのまま命の危険となる地。如何に対魔忍と言えども、手負いの状態では野生の獣にすら敵わない。

 流れる血と共に失われる失われる体温に死を覚悟した時、奇妙なものが目に入った。

 

 木々の隙間から己を眺める白と黒の狼の番を。

 

 祖先は今際の際に見る幻覚にでも縋ったか、或いは狼達の意志に誘われたのか。

 死が目前に迫った身体で、狼に近づいた。すると狼達はそそくさと離れていく。ただ、それは見た事のない生き物から逃げているようではなく、まるでついてこいと誘っているかのよう。

 

 導かれるまま山を進んでいくと、やがて人里に辿り着いて九死に一生を得るに至った。案内役だった狼は何時の間にか消えていた。

 幻覚か現実か判然としなかったものの、祖先は二頭の狼に甚く感謝し、細やかな礼として迷い込んだ山に小さな社を建て、死ぬまでの毎年通い詰めては手を合わせ、獣の肉を供えたと言う。

 それから、井川家の子孫は影遁を生まれ持つと、どんなに非才であろうとも狼の影だけは現実のそれと寸分違わぬ形で生み出せるようになったという。

 

 それが、かげほうしの術の原型(オリジン)

 通常の影遁とはまた違った性質を得た井河の子孫達は、ゆっくりとした歩みながらもその性質を解き明かし、脈々と伝説を継ぎ、研鑽を積み上げてきた。

 

 

「さくらさんとの違いは手動(マニュアル)じゃなくて、自動(オート)ってところだ。コイツ等には知性と意思があるから、ある程度複雑な命令も可能。一度喚び出せば、射程も街一つ分くらいになる」

「……ふうまの部下なのに、手の内を明かすんですね」

「手の内を明かしても問題ない忍法、問題のない相手。もしくは敢えて明かしてミスリードを誘う手もある…………それ以外に何か気付かないか?」

「どういう……?」

「察しが悪いな、それに鈍い。先が思いやられる。似てるだろ、オレとお前の忍法。自分の忍法なのに、自分以外の何かの力を借りてるってところが」

「……!」

 

 

 日影の指摘に、自斎ははっとさせられる。

 確かに、その通りだ。自斎は神遁、日影のかげほうしの術。どちらも自らの力でありながら、本質は超常存在からの貸与か貸借。

 

 決定的な違いは、自らの才能への理解度。そして理解度の差は、そのまま熟練度の差になる。

 少なくとも、本人の意志と関係なく自斎の忌神が暴威を振るうだけに対して、日影は自らの意志で自在に呼び出して上で完全に支配下に置いている。

 

 ならば、小太郎が自斎に日影を充てた理由は――――

 

 

「見せてやるよ、後輩。こういう忍法の使い方とこういう連中との付き合い方をな――――噛み殺すつもりでやっていいぞ、行け」

「……っ!」

 

 

 日影の命に従い、黒白の狼は文字通りに地を駆ける。

 人のそれとは異なる野生の疾走。優れた理論と鍛錬による加速ではなく、この世を作り出した何者かが設計した造形と機能による加速。 

 普通の人間ならば猫相手でも刃物を持ってやっと対等という言葉が残るほど、獣と人の間には性能と言う面で大きな開きがある。

 

 それでも自斎は対魔忍であり、逸刀流の剣士だ。知恵を持っても術理を持たぬ獣に遅れを取らない。

 

 獣の速度に容易く対応し、二頭の仕掛けへと完璧に合わせて見せる。

 自斎には二頭が本当の命と呼べるものを持っているか定かではないが、振るう刃に迷いはない。

 

 迫る一頭の頭部に対して余裕と共に刀を振り下ろす。

 余裕を残したのはそれで充分だった事もあると同時に、波状で仕掛けてくるもう一頭への対処するため。

 

 

「――うっ!?」

 

 

 しかし、波状攻撃を仕掛けてくる直前で、二頭の狼は直角に曲がって左右に分かれ、距離を取る。

 行動を見れば分かる。狼達は主人に命ぜられるまでもなく刃の危険性を知っている。それぞれが、自ら思考して主人の命を遂行する自立存在。単純に敵わないと察すれば、自然と戦い方を変える。

 

 一息で噛み殺せぬのなら、狩りの方法を変えるまで。

 野生の狼の狩りは多くが持久戦。最高速度という点に関してはチーターなどのネコ科の肉食獣にはどうしても劣るが、獲物を何時間と追いかける鼻と持久力を持っている。

 バイソンの群れへと集団で襲い掛かり、しつこく追い回して体力のないものに喰らいつく。

 

 自斎への行為も同じものだ。

 追い回す事はないが付かず離れずの位置を取り続け、僅かでも気の緩みを見せれば即座に襲い掛かる。

 そうして神経と精神を削って、致命的な隙を突いて喉笛を噛み千切るつもりだろう。

 

 自斎にも狼の腹は読めた。

 野生の獣との持久戦は不利、自力に差があるのなら此方から攻める。

 

 彼女の判断はどうしようもなく正しい。相手が狼だけならば。

 

 

「そら、そっちばかり見てていいのか」

(こういう術の使い手なのに、本人が近接――?!)

 

 

 狼に向けた意識の間隙を突くように、何時の間か間合いを詰めた挙句に一振りの棍を握り締めた日影が顔面目掛けて突きを放っていた。

 

 こうした自分以外の何かを使う術は、術者本人が前に出ることは珍しい。

 大抵の場合、術に絶大な自信がある故に、後方で命令を下すばかりで前に出ない。また術者の意識が途切れた場合、術が強制的に解除されもするし、暴走を招いて周囲へと被害を齎しかねないからだ。

 自斎とて、忌神を喚び出した時には同様。喚び出した存在が強大であればあるほどに、自らも巻き込まれかねない。

 

 だが、日影にそのようなセオリーは通用しない。

 自ら召喚した存在への不信感故ではない。寧ろ、自ら相棒とも呼べる存在への信頼とその力を最大限生かすためである。

 式神自体が自意識を持つ以上、彼の戦いは常に一対多か、多対多の様相を呈す。また、彼自身が意識を失ってたとしても、一度でも式神を召喚しておけば解除はされない。

 

 それぞれに意識を向けさせて、注意を分散させる削り。

 異なる存在による、全く異なる方法の波状攻撃。

 数の利を生かした集団戦法。

 

 全てに対応できる者などほんの一握り。それに加えて―――― 

 

 

「……さくら先生みたいなオールラウンダーでは、なかったんじゃ?」

「ああ、違うな。さくらさんのように何でもは出来ないと言っただけだ。一部も真似できないとは言っていない」

(ミスリード……! この人、やっぱりふうまの部下ね。まるで容赦がない!)

 

 

 今まで手ぶらだったにも拘らず、いま手にしている棍は、恐らく影の中に閉まってあったものを取り出したのだろう。

 

 確かに、嘘ではない。

 さくらのように何でも出来ないとは言ったが、影を倉庫のように使えないとも、影に潜めないとも言っていない。

 

 何よりも日影自身、さくらのようなポテンシャルを持っているとは思っていないのだ。

 事実として、さくらの力量は凄まじい。無形の影に明確な形を即座に与えて攻撃を実行することがどれほど難しいか。

 決められた形がある故に発動までの時間を短縮できる己とは違って、その場その瞬間にあった影を攻撃や防御のみならず支援まで行えるように瞬時に組み上げている。尋常な創造力ではなく、発想が柔軟過ぎる。

 おちゃらけた態度の陰に隠れた明確な才能と血の滲むような努力が、同じ影遁使いとして肌で感じ取れる。だからこそ、彼はさくらと同等とは決して口にしないし、考えすらしない。

 

 自斎にしてみれば、とんでもない勘違いである。

 彼女から見て、日影のポテンシャルはさくらと同等かそれ以上。

 さくらでさえ、一度に扱える影の量はそれほど多くはない上に、同時に複数の形状を維持し続けるのは難しい。複数の影の刃、影の獣、影の分身を作れたとしても、影の刃と影の獣を同時に展開した場面を見たことはない。

 あらゆる形へと瞬時に形を変える自在性はなくとも、同時に異なる手段を用いれるのは、間違いなく唯一性。彼自身が言った通りに方向性が違うだけだ。

 

 何より、小太郎の考えに思い至り、即座に実行する勘の良さと思考力。

 明らかに格下である己にも意図してミスリードまで潜ませておく油断の無さ。小太郎の部下に恥じぬ容赦の無さだ。

 

 そして――――容赦はないが、どうしようもなく優しい。

 雅臣とは性質の違う人の良さ。彼の冷たい態度は他者への優しさの裏返し。甘やかすばかりが優しさではない、時には厳しく接さなければならないと無言で語っているようだ。

 

 これは訓練ではない。教育だ。

 先達である自分とは違って、似たような力を持ちながら苦しんでいる後輩に向けた指導。だからこそ、一切手は抜かない。

 

 

「どうぞ、よろしくお願いします!」

「ああ、付いてこれないなら――――置いていくからな」

「――――はい!」

 

 

 それはまるで、自らの理想を前にしたかのような敬意と決意、そして高揚。

 

 苦い敗北を喫した尚之助は、ただひたすらに他者のために極致に至った剣士であり、冷静になった自斎にとっては今や剣士としての理想そのもの。

 そして、今は目の前に対魔忍としての理想がいる。発展途上であろうとも、日影の在り方と忍法の使いこなしようは、彼女の理想に近い。

 

 ならば――――

 

 孤独は遠く、依存でもない。

 諦めは遥か彼方、今は希望しか目に映らない。ただひたすらに自立と克己で奮い立つ。

 

 今は自らの理想に恥じぬ戦いと研鑽を。

 自斎は、それだけを胸に刀を新たな力を込めて握り直すのだった。

 

 

 

 

 




補足と設定


影遁・かげほうしの術

手影を媒介とした一種の召喚術。
幻想の中で生きる精霊、霊獣。かつては形を持っていながらも人の台頭によって形を失った妖怪や零落した神と契約することで使い魔、式神として扱う。
見た目は余程現実ばなれしていなければ、通常の獣と見分けがつかないため、小太郎はこの性質に目を付けて、日影を忍獣使いと偽らせていた。

井川家の影遁使いは、皆一様にこの術の使い手となる。
伝わる口伝は事実であり、送り狼の逸話がモチーフ。祖先が感謝の末に行った行動が自然の精霊であった二頭の狼との契約に繋がった。
この二頭の狼だけは世代を超えて契約を行っており、井川家が途絶えるまで守り続ける。
他にも式神として契約できるが、その場合は術者が自ら新た存在を見つけ、契約を結ばねばならず、時には力によって調伏する必要がある。

術の名は影法師と影に奉仕する、影に奉仕されるという意味があるので平仮名。術者と式神の絆が強くなれば強くなるほど強力になっていく忍法。
今回登場した狼は祖先と契約したものと同一存在。名前の由来は、|大口真神(おおくちのまかみ)というニホンオオカミの神格化したもの、アイヌのホロケウカムイより。

は? 何? 日影と雅臣は元より術まで某漫画の某呪術だって? そうですが何か???(圧



エウリュアレー先生の評価

「面白い忍法ね! こういう存在との契約って本来はすっごく難しいのよ! 応用力もありそうだし、工夫も効きそう。総じて、良い能力だわ。私の所に来たら研究させて???」




若様「おい、変なのに目を付けられてんぞ」
日影「嬉しくも何でないんですがね……」
若様「だろうな。なお、オレがこの術を呼ぶ時は『ワクワク触れ合い動物ランド』と呼ぶ」
日影「やめろ。それに動物ばっかりじゃないから」
雅臣「えー。井川も疲れた時、よくモフってるじゃん。オレもやらせてやらせて!(キラキラ」
若様「やっぱりワクワク触れ合い動物ランドじゃねえか!」
日影「……余計なこと言うな、マジで」
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