対魔忍RPG 苦労人爆裂記   作:HK416

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イベント、始まりましたねぇ。だから報酬は精神をくれと! 自然と科学もそんなにいないんで嬉しいけど。ソニアは防御デバフメインで運用だなぁ、これは。

それしてもワイトのSP供給とアンジェのリジェネのコンボが強すぎる。
この二人がいれば、LV50レイドでもなけりゃ殆ど誰も落ちないんだけど。まあ、凜子とかゆきかぜのバ火力がいないので、チマチマ削るしかないですが。

さて、導入編は今回で終わり。次回からは新章に突入しますよ。では、どぞー!




忍び寄る苦労の足音を敏感に感じ取ってこその苦労人。但し、苦労を回避できる訳ではない

 

 

 部隊の結成から二週間。

 徐々にではあるものの、ふうま当主を中心とした独立遊撃部隊の存在は、対魔忍内部において噂になる程度にはなっていた。

 

 部隊が関わった案件は今のところ二件。

 

 闇の市場に流通し始めた麻薬の流通ルート及び売買組織の壊滅。

 日本が押収し、秘匿していた魔界技術を中華連合に流出させようとした政治家集団の暗殺。

 

 数にすれば僅か二つであるが、分類としては大仕事だろう。

 彼等以外の者に任せれば、どれだけの人数が必要になったか。少なくとも手練れの上忍数名が、中忍・下忍からなる部隊を率いる形になっていたのは、疑う余地はない。

 

 それを僅か六名の部隊で成功させた。噂にならぬ方がどうかしているだろう。

 

 尤も、噂の中心となっているのは紅、ゆきかぜ、凜子、災禍、天音の五名ばかり。

 元より才能は周囲に知れ渡っており、災禍と天音を除く三名は新人として期待と恐怖の視線を向けられていた。

 災禍にせよ天音にせよ、かつてふうま当主であった弾正が見出し、弾正を強力に補佐していた。二人が寝返らねば、ふうまの内乱はもっと長引いていたと言われる程だ。

 戦闘特化の風潮が強い対魔忍では、目を向けられるのは当然、彼女達だ。

 

 実際は、小太郎が情報を収集し、小太郎が情報を精査し、小太郎が作戦を立案し、小太郎が彼女達に指示を下し、災禍がサポートに徹し、四人はその通りに動いただけ。後始末も小太郎と災禍である。

 

 では、その一部(音声のみ)をご覧頂こう。

 

 

『くっ、敵が多いな……』

 

『小太兄ぃ、だから言ったのに』

 

『紅、ゆきかぜ、泣き言を抜かすなっ! 若の命令だぞっ!』

 

『いや、これはどう考えても私達が囮だろう…』

 

『まあ、そうだな。これだけ敵が一カ所に密集している上に、此方には空遁使いがいる。となれば――――』

 

 

『おい、お前ら、まだ生きてるかー? 今、助けに行くからな。地対地ミサイルと一緒に!』

 

 

『流石です、若ぁっ!!』

 

『『『……は?』』』

 

『…………凜子、空間跳躍の準備をしろ。お前が失敗すれば我々は全員死ぬ』

 

『『『……え?』』』

 

 

『ぶーん、どーん!!』←タンクローリーで倉庫の壁をぶち破り、敵を轢殺しながら。

 

 

『『『えー!?』』』

 

『お、全員無事じゃーん! 外見てきたけど、この倉庫に敵はほぼほぼ集まってる』

 

『流石は若っ! 結構なお手前でっ!』

 

『オレは何もしてねーよ。囮にほいほい釣られる相手がバカ過ぎるだけだ。ほら、凜子、空間跳躍だ。何、緊張しなくていい。失敗しても、ガソリンと爆弾で爆死するだけだから(ニッコリ』

 

『は、はわわー!』

 

 

 こんな感じで、非常に雑であった。

 

 任務自体がそれほどの難易度ではなく、また任務の内容も戦闘と暗殺のみ、という事もあるが、これは小太郎自身の思想と心持ちが多分に含まれた結果だ。

 小太郎は作戦自体を複雑にする事を好まず、対魔忍は人員の少なさ故に各人が短い期間で任務に挑まなければならず、時間的な猶予が非常に少ない場合が大半である。

 作戦を緻密かつ複雑にすればするほどに、たった一つのミス、たった一つの予定外が全体に致命的な亀裂を奔らせ、そもそも時間が少なすぎて一々そんな真似をしていられない。

 ならば、作戦内容は目標と大筋の流れだけを決めておき、後は状況に応じてその場で判断していく他ない。

 

 その分、情報収集や必要な道具の準備は入念に、作戦決行の決断は慎重に、尋常ならざる心血を注ぐ。

 結局のところ、小太郎にとって作戦の成否は単なる結果。作戦に至るまでの準備こそ、彼が最も重要視している事柄故に、作戦自体は雑でも構わないのだ。

 

 そして、彼が標的に向ける心持ちは虫に向けるそれに似る。

 

 無論、油断はしない。侮りもしない。恐れ、疑り、正当な評価を下して、適切な対応をする。

 しかし、其処までは心持ちや心境というよりは、これまで彼が学び、魂に刻んできた条件反射のようなもの。彼が今まで生きてこれた最大の理由であり、最大の武器でもあるが――――実際のところ、標的に対して興味はないのだ。

 

 対魔忍も、魔族も、米連も、彼にとって結局は同じ穴の狢。暴力を生業とし、暴力でしか意見を押し通せない間抜けども。自分も同じ狢である故に、声高には叫べないものの、結論としてはそんなもので、相手をしていたら馬鹿を見る。

 

 だから虫の如く無造作に殺す。

 蚊や蛾、蠅にゴキブリ、蜘蛛に。大半の人間は彼等に興味なんてものは持たず、さしたる憎しみも怒りも持たない。けれど不思議な事に、大半の人間は一度でも目に映ると実害なぞ殆どない彼等を遮二無二なって殺そうとする。何となく気味が悪い。何となく鬱陶しい。そんな理由で、だ。

 小太郎も似たようなものだ。興味関心はなく、憎くもなければ怒りもないが、仕事だから調べて確実に、でも無造作に殺すだけ。

 標的を理解はしても共感はしない。相手を嘲ってはいても、本質的には独り言に近く、会話を成立させるつもりすらない。

 

 これは、彼の標的となる者にしてみれば溜まらない。

 根本的に何かのために戦い、闇の世界で成り上がった己を誇る者達。

 そんな自尊心と自己愛に満ちた連中では、興味関心がないからこそ殺される、など耐えられない。

 平和のためだ、正義のためだ、と殺された方がまだマシだ。それならばまだ世界に自分が存在していた証になるのだから。

 

 とまあ、そんなこんなで標的をきっちりかっちり皆殺しにしつつ、独立遊撃部隊の始動の滑り出しは何のかんの順調であった。

 

 

 そして、紅達はと言えば――――

 

 

「……ぐぅ……すぅ……」

 

「心願寺さん、心願寺さん、ちょっと……」

 

「………………」

 

(凜子ちゃん、これ目を開けて寝ているんじゃ……)

 

 

 授業中に居眠りをぶっこいていた。上の二人がこの有様だ。ゆきかぜも同様だろう。

 紅の後ろの席に座る喜瀬 蛍は、目を閉じて船を漕いでいる背中を突いて起そうと試みるが効果は上がらない。

 凜子の左隣の席に座る紫藤 凜花は、目を開いてこそいたがペンを握ったまま微動だにしない幼馴染に疑いの目を向けていた。

 

 

「全く……心願寺っ!」

 

「あぐぐっ! ひゃ、ひゃいっ!」

 

「この問題、解いてみせろ」

 

 

 本日の授業は数学。講師は紫だ。

 苛立ちの混じった声に、紅はバネ仕掛けの人形のように椅子から立ち上がる。

 蛍は、あちゃあと紅の居眠りと自分の甘さに片手で顔を抑え、クラスの何人かがくすくすと嘲笑を浮かべていた。

 

 こんこん、と方程式の書かれた黒板を叩き、紫はにっこりと笑う。

 笑顔を見た瞬間、紅の顔は蒼褪めた。紫がこうした笑みを浮かべている時は、怒っている証拠である。

 

 無理もない。対魔忍を養成する五車学園であるが、通常の高等学校普通科の教育も行っている。

 少なくとも必要単位を取得すれば、高校卒業資格を得られる。無論、履歴書に五車学園などと書ける筈もない故、政府の用意した高校を卒業した体となるが。

 

 対魔忍としての教育、実技、実戦訓練のみに収まらないのは、落伍者のその後を案じてであった。

 

 対魔忍の訓練は過酷であり、実際の任務・実戦など語るまでもない。

 肉体の一部損失、一生涯に渡る後遺症、精神的苦痛によるトラウマ。生きてはいても戦えなくなる者は当然存在し、また学生の内に自分自身に見切りを付ける者もいる。

 その場合は本人の希望、アサギや各家の取り計らいによって裏方へと回されるのであるが、やはりそうした者の扱いは悪い。

 戦いから逃げた臆病者、敵に遅れを取った軟弱者と、常に後ろ指を指される羽目になる。

 

 そうした事態に憂いたアサギは、落伍者が新たな未来を掴めるよう高校卒業資格を与える方法を選んだ。

 最低限、高校卒業資格があれば、高飛車に選ばねば職はある。対魔忍として何時までも苦しむのではなく、一般人として生を謳歌する道を示したのだ。

 

 アサギ自身も一度は対魔忍を辞そうとした身。

 落伍者の身を案じるのは当然であり、また引退にも寛容で肯定的だ。

 これには忍としてしか生きてこなかった老人達は難色を示したものの、比較的若い世代は対魔忍の情報を秘するという条件付きで賛成が多く集まった。

 

 なお、小太郎は何度となく落伍をしようと自傷を繰り返して障碍者手帳を持ってきたり、精神科医を演技で騙くらかして統合失調症の診断書を持ってきたりしていたが、その度にアサギに命じられた桐生の手で傷を癒やされ、診断書を目の前で破り捨てられている。

 アサギも彼だけは何が何でも逃がすつもりがないようである。ざまぁない。

 

 

「………………あれ?」

 

「……ん? ……んん?」

 

「これで、あってますか?」

 

「む、ぐぅ……せ、正解だ」

 

 

 授業中の睡眠を咎めようと、敢えて今説明したばかりの方程式を用いねば解けない問題を出題した紫であったが、首を傾げながらも正答に至った紅に出鼻を挫かれてしまう。

 数学の問題は、答えの導き出し方である方程式が必ず必要となる。マークシート方式でもなければ当てずっぽうは通用しない。

 となれば、紅はきちんと授業を聞いていた事になるが、背後で感じていた気配も指された際の反応も眠っていた者のそれ。紫がたじろぐのも無理はない。

 

 暫く、呆然と黒板に書いた自らの答えを眺めていた紅であったが、突然天井に視線を向けると、つーっと涙を流した。

 

 

「……ど、どうした心願寺っ」

 

「いえ、嬉しくて…………ようやく、ようやく……」

 

「ど、どういうことだ……?」

 

「素晴らしい。素晴らしいぞ、紅。ようやく身についたのだな」

 

「ああ、やったっ。私はやったんだっ……!」

 

「な、なんだお前達は、突然……」

 

 

 突然、泣き出した紅に動揺する紫に追い打ちを掛けるように、寝ていたのか起きていたのか判然としなかった凜子が涙を流し、拍手をしながら椅子から立ち上がっていた。

 紅の涙は歓喜を意味し、凜子の涙は祝福を意味している。

 

 何も知らない紫やクラスメイトにしてみれば、二人の姿は奇異どころか完全にキチ○イの領域である。正直、かなり怖い。

 凜子の幼馴染にしてライバルである凜花ですら、顔を引き攣らせてドン引きの表情である。

 

 

「睡眠学習が身についたんだぁっ……!」

 

(((((((((――――なんて?)))))))))))

 

 

 何処からともなくロッキー勝利のテーマが流れ、紅は両手を上げて今すぐにでもエイドリアァ~~~ンと叫びだしそうだった。

 

 何も知らない人間には意味が分からないが、二人の涙も無理はない。全ては小太郎のせいだ。

 

 才能はピカ一、実戦経験も学生対魔忍にしては十二分な紅、ゆきかぜ、凜子の三名であるが、その才気と強さ故に彼女達の戦い方は常に真正面から敵を叩き潰す方法に限定される。

 何も間違ってはいない。敵よりも強い以上は、それが最も王道にして正道。下手な搦手など使う必要性など何処にもない。

 

 しかし、それは逆境や不測の事態に対応できない裏返しである、と小太郎は断じた。

 これまで三名が経験してきたのは戦いと呼べるものではなく蹂躙であり、言わば既定路線だ。

 そんな経験ばかりを積んでいれば思考は固定されて停止状態となり、敵の策や思惑を見抜こうとする考え自体が浮かんでこなくなる。それでは先がない。

 

 もし、自身よりも強い敵が現れれば。

 もし、単純な強さなど意味を為さない敵が現れれば。

 もし、敵が不意をつき、裏をかいてきたのならば。

 もし、自ら赴いた作戦自体が、敵の罠であったのならば。

 

 立場は簡単に逆転する。次に蹂躙されるのは三人だ。

 情報収集や任務達成の下準備が出来ないのはまだいい。誰もそんな事を彼女達に教えてこなかった上に、誰も重要視していない。知らないものは知らないで構わない。分からないものは分からないで構わない。これから学んでいけばいいだけの事だ。

 だが、彼女達が得意とする分野ですら使い物にならないのは頂けない。これまで彼女達が血反吐を吐く思いで丹念に積み上げてきた全てが無駄になる。

 

 故に、小太郎は対魔忍が携わった任務の中でも暗澹たる結果となったものの報告書を、彼女達に穴が空くほど読むように指示をした。

 失敗から学ぶべき所は多い。それが己のものであればなお良いが、対魔忍の任務は常に命懸け。そう易々と失敗などさせられる筈もない。但し、彼女達に出された指示は別の意味で命懸けであった。

 

 

『じゃあ、これを読んでおけよ。後で何が悪かったのか、お前達の意見を聞くからな』

 

『――――え? なに……この、なに……え?』

 

『あの、小太兄……この書類の束、凄いぶ厚いんだけど』

 

『…………期間は一週間だな?』

 

『なに寝ぼけたこと言ってんの? 一日分に決まってんだろ』

 

 

 読み終わるまで寝る事は許さん、と小太郎は教科書一冊分にも及びような書類を三人に手渡した。

 対魔忍の歴史は長い。近年だけではなく、確認できる過去全てを遡れば、失敗の数なぞ成功の数を上回り、それこそ星の数にも達する。

 それを一日に数十件分。内一件を読み終わり、自分なりの考察を下すまで一時間でも早い方だ。どう考えても一日中読み続けても終わらない。

 日常生活もある上に、更には小太郎からの訓練がまた辛い。限界を把握しろ、と兎にも角にも走らされる事もあれば、自身の忍法を行使させられ続ける時もある。大抵、訓練が終わる頃には反吐を吐いて、指一本動かせない状態になっている。

 

 どう考えてもオーバーワークなのだが、小太郎はにこやかに笑い――――

 

 

『何、心配するな。もし万が一死んだとしても、学園には桐生ちゃんが居るから生き返らせてやる。オレは今までそうやってきた。才能のないオレでも出来たんだ。才能のあるお前達なら簡単に出来るだろうよ』

 

 

 ――――死んだとしても許しなど与えない。徹底して鍛え続けると宣った。

 

 事実として彼の母親は幼い小太郎に対してもそのように鍛えたし、彼自身もそのような鍛え方の効果を認めており、現在も続けている。

 当主として必要な技能。射手として神業染みた射撃と装填。暗躍する者としての技術に智慧。それら全ては死んだとしても許しを与えず、出来るようになるまで徹底して虐め抜いた故に身についたものだ。

 そうでもなければ僅か五つで一族を売り払うような精神も発想も生まれない。そうでなければ僅か十六でアサギから絶大な信頼を寄せられる人物には育たない。

 常識の範囲では常識的な結果しか得られない。常識から外れた魔族を相手に渡り合うのに、最先端の科学技術と桁違いの人員を有する米連を相手に渡り合うのに必要なのは、非常識な鍛錬と理解しかねる狂気しかない。

 

 三人が文句も言わずに従ったのは、小太郎という前例を身近に感じていたからだ。

 忍法も使えず、突出した才能がないにも拘わらず、純然たる鍛錬の積み重ねだけで身に付けた銃の腕前と体術で己と渡り合う戦闘能力。

 悪辣とさえ言っても過言ではない策謀を捻り出せるだけの智慧、それを実現可能とする指揮。

 あらゆる手段を許容し、何をされたとしても、何をしたとしても、偽善的にも偽悪的にも振る舞わずに、自然体のまま動じず揺るがない精神性。

 

 少なくとも、三人の目に彼は万能選手に写っている。

 無論、そんなものは錯覚であるが、何処を切り取っても必要最低限の技能を身に着けており、どんな任務にもどんな環境にも適応して最低限の結果は出せるのは事実。

 

 成功例を見ている以上は、黙って従う他はなかった。

 何よりも、そうしなければこの独立遊撃部隊に身を置く刺客も、彼の隣に立つ資格も得られないのだ。三人には、それが何よりも重要な事柄であった。

 

 

『…………あ゛ー、頭痛い』

 

『ダメだ。真っ直ぐ歩けない。フラフラする。気持ち悪い』

 

『私なんて、今日は幻覚を見たのだが……』

 

『あー、疲労と睡眠不足による症状ですねー。うーん、良い傾向良い傾向。命が危険に晒されると人間凄い事になるからね! 身体と心がぶっ壊れてからが本番だ! なぁに、座学の時に眠りながら勉強すればいいんだよ。そうすれば、取り敢えず死なない』

 

『…………小太兄、簡単に言うよね』

 

『は? 睡眠学習くらいで泣き言いってんじゃねーよ。オレなんて、身体の方が仕事と鍛錬しすぎてこのままじゃ死ぬからって、もう眠らなくても生きていけるようになったんですが。桐生ちゃんがドン引きしながら半球睡眠してるって言ってたぞ。イルカかよ、オレは』

 

『『『…………うっ』』』

 

『喜べ! オレが将来のお前等の姿だ!』

 

 

 死んだ魚の眼のまま錯乱して笑う小太郎に、三人は同情の涙を禁じ得なかった。

 そして、凜子、ゆきかぜに続き、紅も睡眠学習を僅か二週間で身に付けたのであった。

 

 愛の力って凄い。

 命のかかった人間の力って凄い。

 誰も自分でやろうとは思わないだろうが、驚嘆に値する。

 

 

「座学の時は眠り放題だ」

 

「ああ、そうだな」

 

「二人とも、廊下に立っていろぉっ!!」

 

「「何故っ!?」」

 

 

 これで死ぬことはなくなったと安堵の笑みを零す紅と凜子に、紫の怒号が飛ぶ。

 当然だろう。授業に出席はしている。聞いてもいる。だが、いくら睡眠学習を身に付けているからと言って、眠りながら授業を受けるのは如何なものか。

 

 授業態度とて評価のポイントとなる。

 まして教えている側にしてみれば失礼にも程がある行為だ。

 

 

「…………まあ、仕方ないか」

 

「やったぞ、凜子っ。これで立ったまま眠る事が出来る」

 

「ああ、壁に背中を預ければ休息の効果は倍。完全に頭を休められる。願ってもない」

 

(こ・い・つ・ら・は~~~~~~~~~~~~~~っっ!!)

 

 

 二人は紫の怒号をさして気にした様子もなく、すたすたと廊下へと出ていってしまう。

 反省など全くしていない様子だが、二人にしてみれば睡眠時間の確保は死活問題である。気にしてもいられない。

 

 すっかり小太郎に染まってしまった優等生二人に、紫は握り拳を作り出し、この場にはいない小太郎に対しても怒りを向けるのだった。

 

 

 

 

 

―――――

――――

―――

――

 

 

 

 

 

 一方その頃――――

 

 

「ぶぇっくしょぉんっ!!」

 

「若様、風邪ですか?」

 

「いや、特にそんなことはない。誰か噂でもしてるのかねぇ」

 

 

 小太郎は授業をサボり、災禍は予定通りに独立遊撃部隊の仮本部で書類仕事に勤しんでいた。

 仮本部、と言っても本部らしさなど何処にもない。五車学園の空き教室から生徒用の学校机と椅子を出し、代わりに業務用の机を入れており、壁際には小太郎の持ち込んだ近代兵装がしこたま入った米連の武器ボックスが並んでいた。

 本格的な本部は小太郎の意向を取り入れつつ急ピッチで建設中。尤も、彼の要求した機材やシステム周りが最新式故に、完成は当分先になるだろう。

 

 くしゃみをして鼻を啜る小太郎に、災禍は普段の怜悧さからは考えられない柔らかな表情で気遣いを見せる。彼女がこうした顔を見せるのは、小太郎の前でだけだろう。

 

 

「噂、ですか……」

 

「まあ、出だしが良かったからな。その顔、何か不都合でもあったか?」

 

「若様にとっては何も。寧ろ好都合でしょう。噂になっているのは手足である我々だけです」

 

「重畳重畳。理想的だな、これは」

 

 

 くつくつと笑う小太郎に、災禍は納得がいかないのか憮然としていた。 

 災禍が小太郎に向ける忠誠心は、天音に劣らない。独立遊撃部隊がまともに機能し、結果を出せている最大の理由が小太郎であると誰も認めていない現状は面白くない。

 不満を抱いてはいても漏らさなかったのは、小太郎の考えと思惑を尊重しているからだろう。

 

 別段、小太郎は己自身の評判が伸びる必要性を感じていない。独立遊撃部隊の評判さえ伸びればいいのだ。

 指揮官は失敗の責任を全て負う見返りとして、成功の旨味を受け取る。例え、隊員の評価が鰻登りになろうと、実利も名声も根本的なところでは隊長である小太郎のものだ。

 そもそも隊員が評価をされれば、独立遊撃部隊の評価も上がり、最後には有益な人材を効率的に使う人物として小太郎を周囲も評価せざるを得ない。

 

 隊員に助けられている無能な隊長という評価であっても構わない。

 最終的な目的がふうま一門の再興である以上、当主の評価は低くとも、脇を固める側近の評価が高ければ組織は周り、下の者は付いてくるのだ。

 

 

「しかし、それではふうま一門の再興は当分先の話になってしまいますよ。殊更、二車の反乱に賛同しなかった者達は日和見主義のようなもの。若様が分り易い結果を出さねば賛同しないでしょう」

 

「今はそれでいいだろう。今、オレに必要なのはふうまに忠誠を誓った奴ではなく、あくまでもオレ個人に忠誠や特別な感情を抱いた奴だ。そちらの方が扱いやすい」

 

「まあ、当然ですね」

 

 

 今やふうまなど何の力もない。隆盛を誇っていたものの今は名前だけの家に過ぎず、数を増やしたところで下についた者に恩恵は与えられない。

 そのような状態で、“ふうま宗家”に忠誠を誓い、かつて夢見て集まった者は扱いにくくなるのは目に見えている。

 少なくとも、小太郎はかつてのふうまに戻すつもりは毛頭ない。必要な部分は残すが、不要な部分は切り落として新生させる腹積もりであった。

 

 そんな勃興期、黎明期に必要となるのは家に忠誠を誓う者ではなく、小太郎個人に忠誠を誓う者だ。

 紅やゆきかぜ、凜子は言うまでもなく、天音や災禍も口ではふうま一門の再興などと嘯いてはいるが、全ては小太郎を守るためにはそれが一番確実であると認めているだけに過ぎない。

 かつての一門との違いを認めつつも、全てを納得して付いて来る者だけの方が小太郎も動き易い。やれ伝統だ、やれ習慣だと口を挟んで脚を引っ張られ、遅きに失する愚鈍だけは避けたいのだ。

 

 

「厄介になりそうなのは、紫藤家ですが……」

 

「まあ、アレはほぼ一つの家として独立したも同然だからな。口を挟んでは来まいよ。邪魔をする旨味が少ないからな。寧ろ、此方が成果を示せば向こうから擦り寄ってくる」

 

「紫藤 甚内は強かな男ですよ、決断も早い」

 

「ああ、だからもう動いている。オレも甚内もな」

 

 

 秘書として忠告したつもりの災禍であったが、小太郎の想定外の返答に目を丸くした。

 

 独立遊撃部隊が設立された次の日には、小太郎は甚内へと連絡を入れていたのだ。

 各家の監視を警戒し、対面をせずに極秘回線を使っての口約束に過ぎないものであったが、十分であった。

 

 甚内は小太郎を正しく評価しており、同時に恐れている。少なくとも当主としての能力は認めている上に、暗躍されれば、とてもではないが己の能力では対応しきれないと考えているだろう。

 直接的な支援はしないものの、明確に敵対をせずに一定の距離を保っているのが良い証拠だ。

 

 甚内は今現在の対魔忍体制下を気に入っている。

 寝返り直後から一貫してアサギ閥に属しているのは、力がある故に従っているというよりも、甚内自身の持つ正義がアサギの持つ正義と共感する部分が多いからだ。

 そもそも、弾正に賛同した母と殺し合いを演じたのは小太郎の裏工作が切欠ではあったものの、己の正義と弾正や母の正義に齟齬が、溜まりに溜まった鬱憤として噴出した結果に過ぎない。

 

 今現在の体制を維持しつつも紫藤家が残れる事が甚内としては望ましい。

 かつてのふうま一門だからと周囲からのやっかみもある上に、小太郎が弾正のように我を通し、一から十まで縛り付けるタイプではなく、それぞれの意見を尊重しつつ妥協点を探るタイプの当主であると重々承知していた。

 ならば、アサギと繋がりが強い小太郎が力を付けるのを待ち、機を見て手を取るのが得策と考えるのは当然の帰結だったかもしれない。

 

 

「表立っては動かないが、票取りゲームには必ずこっちに賛同するとさ。それに、娘の凜花も本人が納得さえすれば好きにしてくれて構わんらしい」

 

「成程、人質兼嫁候補にしろ、と……」

 

「嫁候補かは知らんが、甚内自身が動くよりも、娘が勝手にした体にしたいんだろう。強かな奴だよ。嫌いじゃない」

 

 

 娘を人質に出そうとはしているが、それは小太郎が凜花を納得させられるかどうかに掛かっている。

 実質、甚内は何も支払ってはいないも同然であるが、どう転んだところで甚内にとっては美味しい話だ。

 

 大事な一人娘だが、早い段階で小太郎の側近として擁立すれば、後々になって恩恵に預かれる。

 子供でも孕めば、嫁の一人としてふうま内部における地位は安泰、宗家と紫藤家の繋がりはより強くなる。

 万が一、凜花が死ぬような事態になれば全ては小太郎の責任。大事な跡取りを失わせた以上、当主として甚内に何らかの代価を支払わなければならなくなる。

 

 甚内は清濁併せ呑む性格。一人娘に親としての情を抱きつつも、道具の如く扱う事に躊躇はない。

 尤も、甚内にとってもこれは苦渋の末の決意であり、血を吐く思いでの決断だ。故に、凜花には何も話してはいまい。全ては小太郎が如何にして凜花を口説き落とすかに掛かっている。

 

 

「何にせよ、今は待ちの一手だ。紅達の実力を底上げし、足元を固めるのが最優先さ」

 

「それが最も有効でしょうね。事を急いて今の内から内患を抱える必要はありません。勢力を拡大するのは、後からでも十分過ぎる」

 

「そういうことだ。残った元ふうまは日和見ばかり、今この段階で寄ってくる奴なんざいない。もし、こっちに近づいてくる奴が居るとするならば――――」

 

「――――紅達の成長と成果を目にし、若様の下で戦う恩恵を理解した若い世代に限られる、ですか」

 

 

 あれだけいやだいやだと喚いておきながらも、一度始めれば何もかも計算尽くの行動に、呆れとも感嘆とも付かぬ表情で災禍は呟く。

 

 元ふうま一門は、まだ様子を伺っている最中だ。

 小太郎が弾正のような傲慢で無能な当主なのか、それとも真逆に仕えるに値するだけの義や利益を生む存在であるのかを。

 

 しかし、彼にしてみればそんな連中は必要はない。少なくとも、自分の周囲には居ても邪魔なだけ。

 せめて甚内のように口だけであっても先手先手を打つ決断の早いタイプならば、まだ有能と言え、使う気にもなるが。

 

 それよりも、求めているのは若い世代だ。

 血や家に縛られず、自らの成長のために必要と判断すれば躊躇なく頭を下げる者。最低限、それがなければ人は成長を見込めない。

 今は、そういった者を周囲に置きたいのだ。いずれふうま一門に加わるにせよ加わらないにせよ、此処で様々な技能を教え込めば、恩を売れる。繋がりが生まれる。成果が期待できる。

 ふうま一門が再興した頃には、若い世代によって周囲の家系も一新されている。今のようにアサギが力尽くで纏め上げるしかない対魔忍は劇的に変わる。己の意思で手を取り合い、驚異に立ち向かう強き群れとなるだろう。

 

 尤も、そうなるまでの間、小太郎に掛かる負担は凄まじいものになるのではあるが。

 浮気をせずに本気になるタイプは、言い方を変えれば一度でもやり始めれば手抜きが出来ない性格でもある。そうした自己への負担は一切度外視しているのは、良いことであるのか悪いことであるのか。

 

 

「若ぁっ! ご命令通り、装備課と約束を取り付けて参りましたっ!」

 

「流石に早いな。一応、聞いとくけど、無理やりじゃないよね?」

 

「無論でございます。交渉において人質や暴力を用いるのは二流の証左。若の執事である私が、若の名を汚すような不様を晒すと思われているとは心外です」

 

((…………普段を考えれば心配して当然なんだよなぁ))

 

 

 スパーン、と仮本部の扉をとんでもない勢いで開けた天音は開口一番にそう告げた。

 これ以上ないドヤ顔を見せる天音の言に、普段から暴走気味の姿ばかりを見ている小太郎と災禍は微妙な表情をする他ない。

 とは言え、小太郎が仕事を任せている以上は、出来ると判断した上での事。天音に失敗はあり得ない。

 

 そもそも、天音が暴走するのは小太郎の前でだけだ。

 小太郎の前以外では、他の者など相手にすらしていない。例外はライバルに等しい災禍、桁外れの実力を誇るアサギ、小太郎に見初められた紅、ゆきかぜ、凜子くらいのもの。

 彼が前にさえ居なければ、小太郎の悪口ですら聞き流す。お前達は何も分かっていないと冷笑するばかりだ。なお、小太郎が前に居た場合は忠犬から狂犬にチェェェェェェェェンジゲッタァァァァ、(ゥワン)! して相手がボコボコになります。

 

 

「最新鋭の装備を優先的に配備。見返りとして実戦データを提供する形に落ち着きました」

 

「あの業突張りのクソ爺にしては、まともな形じゃないか」

 

「当然でしょう。若様、以前に内源に何をしたのかお忘れですか?」

 

「オレは悪くないだろう。どう考えてもよぉ」

 

 

 内源 賀平。

 対魔忍の使用する装備の開発、調達を一手に引き受ける装備課の課長にして怪人物である。

 ゆきかぜが使用する制御装置“ライトニングシューター”も彼渾身の武装であり、それぞれが身に付けている対魔忍装束も彼がデザインしたものだ。

 

 その人物像を語るのならば一言で済む。エロ爺である。もう60を超えるというのにお盛んな事だ。

 但し、同じくエロ博士である桐生とは違い、実際に手を出す事はなく、紳士的だ。あくまでも彼と比較して、であるが。

 

 あの肌にピッタリと張り付き、身体のラインが浮き出る対魔忍装束を身に着けた女を視姦するのが大好きなのだ。

 よくやっ――――もとい、男として気持ちは分からないでもないが、明け透けなのは頂けない。だって、対魔忍装束に身に着けた女性を見る彼の視線はヤバい。女性対魔忍からも非難轟々である。

 

 さて、この内源が小太郎に何をしたのか。非常に単純な話である。災禍と天音に手を出したのだ。

 いや、直接的に陵辱をするような人物ではない。そもそも、彼はインポテンツだ。

 ただ、己の性癖を満たすために、二人の対魔忍装束に新装備と称して色々と仕込んだのである。所謂(いわゆる)、触手服、電気快楽攻め、羞恥を煽るポーズで固定機能等など。

 

 当主としての直感か、同じ男としての共感故であったのか。

 兎も角、小太郎は内源に感じた違和感から装束に仕込まれた機能を察し、それはもう酷い目に合わせてやった。

 

 

『んほぉおぉぉぉおおっっっ!! イグゥッ、イギ死ぬやべでぇぇぇぇえ゛え゛ぇぇぇっっっ!!』

 

『女みてぇな声で鳴いてんじゃねぇぞ、このクソ爺がぁっ!! どぉだぁ! テメェで作ったもんの機能を味わう気分はよぁ! 久方振りにエクレチオンしてんだろぉ! オラぁ、感謝の言葉どうしたぁ!!』

 

((……絶望的に汚い絵面だ))

 

 

 詳しい描写は当作品の美観を絶望的に損ねるため、敢えて避けさせて頂きます。

 と、そんなことがあった故に、内源はほぼ小太郎に絶対服従状態である。男に対してすらこの快楽攻めの手練手管。流石は性技の味方といったところか(汚い絵面から目を逸らして)

 

 しかし、小太郎の怒りも尤もであった。

 ふうま時代からの付き合いであり、こうしてアサギ主導の対魔忍体制下に入りながらも、一貫して忠節を尽くす二人を汚されようものならば、当主として断罪せねばならない。

 幸いにも未遂で終わったから、この程度で済んでいたものの、実際に手を出されればどうなっていたことか。

 

 信頼には相応しい報酬を、裏切りには相応しい報復を。それが小太郎に叩き込まれた当主としての基本理念。母の教えだ。

 理念に沿うのであれば、災禍と天音に支払う報酬は未だ支払えていない状態なのだ。或る意味で、紅達よりも重要視しなければならない。そこがまた、災禍が顔を綻ばせ、天音が熱を上げる一因となっているのであるが。

 

 そう、災禍と天音は小太郎のためであれば命すら投げ捨てる。

 弾正が引き起こした内乱において、単身で井河・甲河に下った小太郎であるが、その道程は決して簡単なものではなかった。

 

 病の母を失い、冷徹な計算をしつつふうまを売り払う事を決定した小太郎であったが、内心は人間性の全てを喪失してしまうほどに落胆の淵にいた。

 なおも必要な決定を下せたのは、他ならぬ母の苛烈な教育があってこそ。更にそんな小太郎の決定を肯定し、逃走を助力したのは他ならぬ災禍と天音。

 当初は二人とも弾正付きの秘書と執事であったが、当時の時点で小太郎の母の働きかけにより小太郎付きの秘書と執事へと立場は変わっていた。無論、二人の納得を得た上で。

 

 小太郎の逃亡を知った弾正は即座に追撃部隊を編成し、これを追わせた。

 弾正は抜け忍を許容するほど寛容ではなく、また目抜けであった小太郎に対して父としての愛情を持ち合わせても居なかった。余計な事を井河・甲河に漏らす前に始末してしまおうとするのは当然だ。

 

 この追撃部隊の足止めを、災禍と天音は小太郎に頼まれるまでもなく行った。

 持てる力の全てを用い、邪眼を限界まで以上に行使してもなお戦い続けた鬼神の如き奮闘の果て、災禍は両脚の機能を、天音は左腕を失った。

 二人はふうまの隠れ里で命を失う寸前に、小太郎から情報を得た内乱鎮圧部隊の手によって救出される。大怪我を負ったものの、鬼気迫る二人の姿は恐れられ、不要な陵辱を受けなかった事だけは幸いであった。

 

 その後、数年の間、災禍と天音は障碍者としての生活を余儀なくされたものの、小太郎が何処からか手に入れてきた義足と義手によって秘書と執事として返り咲いた。

 二人の忠誠は正に鉄。紅達が外部に対して喧伝可能な分かりやすく強大な戦力であるとするならば、二人は懐刀。この二振りの刃がなければ小太郎に過去はなく、未来(さき)はない。

 

 

「これで暫くの間は安泰でしょう」

 

「天音、気は抜けんぞ。書類仕事も、三人の教育もある。それに、独立遊撃部隊の内情を探ろうと他家が差し向ける者も居るだろう」

 

「む。それくらい分かっているぞ、災禍。私は若の執事、お前以上に働いてみせる」

 

「――はいはい」

 

 

 何処か姉妹のようなやり取りを見せる二人の姿は、対魔忍が関わる闇の世界とは似つかわしくない平和なものだ。

 姉に食って掛かる妹と妹を諌める姉そのものである。思わず、誰もが顔を綻ばせてしまいそうだ。

 

 しかし、そんな中で小太郎は相変わらずの無表情で全く別の事柄を考えていた。

 

 

(なんか、フラグが立った気がする。順調は順調なんだけど、順調過ぎると後の揺り戻しがなぁ……何も起きなきゃいいけど。起きないわけねぇんだろうなぁ、オレだから)

 

 

 

 

 




ほい、というわけで、三人娘生き地獄&若様既に歩いてきた道だった&災禍と天音マジ忠臣、の回でした。

災禍と天音が、若様にどうして惚れ込んでいるのか、何故ふうま宗家よりも上として見ているのかは、今後明らかになってきます。
なお、弾正が出てきた時の二人の反応は以下の通り。

弾正「ふふ、今こそ目抜けが僭称する仮初めの一門ではなく、私の率いるふうま一門復活の時!」

災禍「今更何のようですか。媚薬も使わなきゃ女も抱けない粗チン野郎(ペッ」

天音「お呼びでない上に若様に迷惑が掛かるのでお帰り下さい。逃げ腰無能当主殿(ペッ」

弾正(この二人、私の扱い酷すぎない?!)

※一族捨てて逃げてるんだから残念でもなく当然の反応です。

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