ご注文は思い出ですか?   作:雷王

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皆さんお久しぶりです。
なんとか前回からおおよそ4日で完成しました。
0話は思っていたより多くの人に見てもらったようでとても嬉しい限りです。本当にありがとうございます。
お気に入りにしてくれた方逹も本当にありがとうございます!
それでは記念すべき(?)第1話です。どうぞ!


order1 〜お客に渡す時より、練習した時の方がコーヒー豆を多く消費するのは喫茶店としてどうだろう。〜

 

 

 

 

 

俺の名前は香風 玲央。

俺は現在、"木組みの家と石畳の街"にやって来た。(事情は略。)まずは、"ラビットハウス"と言う喫茶店に向かおうと、俺は意気揚々と駅から歩き出し、三歩ほど歩いた所である重大なことに気付いた‥‥‥

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「‥‥"ラビットハウス"って何処にあるんだっけ?」

 

 

 

 

 

 

‥‥‥無理もない。俺が以前この街に来たのは、十年も前の事だ。街の中も場所もうろ覚えで、ましてやこの中から一つの喫茶店を一人で見つけるなんてほぼ不可能だ。"木組みの街"はそう狭くはない。一週間前に叔父さんから"ラビットハウス"の場所を聞くのをすっかり忘れていた。多分、叔父さんも俺が場所を知っていると思っているのだろうから迎えに来る筈もない。それに叔父さんにだって、喫茶店での仕事がある。

 

この街には他に知り合いもいないため…

 

 

 

 

 

 

「はぁ…どうしよう……。」

 

 

 

 

 

 

 

‥‥俺は空を仰ぎ、そう呟やきながら途方に暮れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここは喫茶店"ラビットハウス"。

 

今店内では、保登(ほと) 心愛(ここあ)、香風(かふう) 智乃(ちの)、天々座(ててざ) 理世(りぜ)の三人が働いている。とはいっても店には一人もお客がいなくて暇なので、ココアとチノはリゼの指導の下でラテアート練習をしていた。

 

「できた〜! リゼちゃん見て!見て!」

 

とココアが監督のリゼを呼ぶ。

 

「おっ、どれどれ?‥‥ん?」

 

リゼが見たココアのラテアートは、コーヒーの中にミルクで描かれた白くてモコモコした物体だった。

 

「おいココア、これは何だ?雲か?それとも綿菓子?」

「えっ、違うよ。これはティッピーだよ。」

 

ティッピーとは、この喫茶店の看板兎のアンゴラウサギの事である。実はティッピーは、この喫茶店のマスターであったチノの祖父の魂が乗り移っている。が、その事を知ってるは、チノとその父親のタカヒロだけである。

 

「あーなるほど、確かにこのモコモコした所が…ってどれも違いはないし、これは簡単すぎるじゃないか!」

 

リゼの連続ノリツッコミが炸裂する。

 

「えへへ〜」

 

リゼのツッコミに対してココアは何故か照れ笑いをする。

 

「リゼさん、私も出来ました。」

 

リゼがやれやれと言いながらチノの作品を見てみる。

 

「‥‥‥」

 

チノの作るラテアートもまた、不気味な人の顔をしたラテアートだった。まるで、たくさんの芸術品とその独特な作品で注目を集めた、やたらと名前の長い芸術家の様なラテアートだった。芸術が分かる人ならまだしも、とても一般客が飲みたがる物ではない。

 

(二人共、商品として出すにはほど遠いな。)

そう思いながらリゼは肩をすくめた。

 

(いや…だがしかし、ここで投げ出しては、指導者(教官)の名が廃る…)

 

その瞬間、リゼの中の指導者(教官)魂に火が着いた。ココアとチノの二人は、そんなリゼの様子を察し、身の危険を感じたがもう遅い。

 

「お前逹!徹底的に鍛えてやるから覚悟しろ!」

 

「「サー!イェッサー!」」

 

ココアとチノの二人は反射的に敬礼をして返事をする。

 

「声が小さい!!」

 

「「サー!!イェッサー!!」」

 

ここでリゼ教官による、ココアとチノのラテアートの猛特訓が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(まったく、騒がしいのぉ。こんなので果たして店に客が来るのかのぉ。)

 

今度はカウンターの上で一部始終を見ていたティッピーが途方に暮れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レオside

 

 

 

俺はしばらく考えて、ひとまず、俺がこの街で働く編集会社に行くことにした。幸い、会社の場所は前もって聞いて、メモしておいたため、道順は分かっている。そこであわよくば、"ラビットハウス"の場所を知ってる人に道を尋ねようと思い、俺はメモを便りに会社への道を急いだ。

 

 

 

数十分後…

 

 

 

「今日からしばらくお世話になります、香風玲央です。よろしくお願いいたします。」

 

俺は編集会社の社内に入り、社員逹に挨拶した。その後、会社の説明や、今後の打ち合わせなどを済ませ、今日の出勤は終了した。俺は会社の出口で社員の一人に、"ラビットハウス"の場所について聞こうと思ったその時、

 

「あら?もしかして、レオさんではないですか?」

 

聞き覚えのある女性の声がした。俺はそんな筈はないと、ゆっくり振り向いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

ラビットハウスside

 

 

 

 

 

一方その頃、

 

「だから違う!もっとこう…的を狙うイメージ脇をしめるんだ!」

 

厳しく指導するリゼ。

 

「サー♪イェッサー♪」

歌う様に返事をするココア。

そしてチノにも、

 

「チノ!また絵の形がおかしくなってるぞ! もう一度やり直しだ!」

 

「まっまたですか?」

 

リゼのラテアート特訓は熾烈を極めた。チノはもううんざりの様だが、ココアはこの状況を何故か楽しんでいる様だ。

 

一方で、チノの父、香風(かふう) タカヒロは喫茶店の二階の自室の窓付近でそわそわしていた。

 

(そろそろ来てもいい頃なのだが・・・・何かあったのだろうか…)

 

どうやら、レオが"ラビットハウス"にまだ現れないため、心配し始めた様だ。

 

(探しに行きたい所だが、そろそろ、バーの支度をしなければならないし、チノ逹にはまだ内緒にしておきたいから、あの子逹を行かせたくはないし…じゃあ親父を行かせ…いや、駄目だな。どうしたものか…。)

 

そう思いながら、タカヒロもまた途方に暮れた。

 

 

 

 

レオside

 

 

 

 

 

突如、誰かに名前を呼ばれ、振り返って見ると、そこにいたのは、同じ編集社の小説家、青山(あおやま) ブルーマウンテン {本名:青山 翠(みどり)}がそこに立っていた。青山は三年前、俺がこの編集社に入社した少し後に小説家デビューした。俺も少しそれに関わっている。 そのため、青山は俺に色々と話しかけられたりされたのだが‥‥‥

 

「やっぱりレオさんですよね?久しぶりですね〜。二年ぶりでしょうか?いつ帰って来たんですか?」

 

会って二言目でこの質問攻めである。はっきり言って俺は青山が少し苦手だ。なぜかというと…

 

「おう。久しぶりだな、青山。一週間前に日本に帰って来た所だよ。にしても、どうしてここに居るんだ? 三年前は本社の方にいただろ?」

 

と1オクターブ下がった声で返事した。

 

「はい、でも実はこの街が私の地元なんです。ここの方が筆が乗るんですよね〜。では、レオさんもどうしてここに居るんですか?」

 

「あーまぁ色々あって、しばらくここで編集の仕事をするんだよ。」

 

 

すると青山は目を大きく見開いて両手を合わせた。

 

「ではレオさんの旅の事が記事に乗るんですね!それは楽しみですね〜。そうだ、レオさんこれから用事はありませんよね。でしたら旅の事を是非聞かせてください。小説の参考になるかもしれませんし。私、近くに良いお店を知ってるんです。"甘兎庵"っていう所なんですけど、あそこのお茶と和菓子は美味しいんですよ〜。」

 

 

 

 

(不味い。)

 

 

 

 

このまま青山のペースに持って行かれるととても不味い。

 

俺が青山を苦手な理由、それは、青山はマイペースでつかみ所がないため、三年前、俺が旅に出るまでかなり振り回され、それはそれは苦労した。 今後のために親睦を深めようと言ったり、小説の物語を一緒に考えて欲しいと言い、あちこちの店に連れて行かれた。その度に何故か俺が奢る羽目になり、休日もろくに休めなかった。今ここで断らければ、三年前の過ちを繰り返すことになる。

 

「あっいや、そうしたいのは山々だけど、実はこれからまだ用事があって…」

 

俺はなるべく青山ががっかりしないように、丁寧に断った。

 

「あら?そうなのですか?それはとても残念です〜。」

 

 

青山は少しがっかりした様な顔をした。

 

青山には悪いが生憎俺は、何か奢れるほど金を持っていないし、別に嘘はついていない。俺はこれから探さないといけない所が……あっ。

 

「青山。お前、ここが地元だったって言ってたよな?」

 

 

「はい。確かに、この街は私の地元ですけど…。」

 

 

「だったら、"ラビットハウス"っていう喫茶店知らないか?探しているんだけど…。」

 

 

この時、俺は初めて青山の驚いた表情を見た。

 

「えっ!"ラビットハウス"……です……か。……はい、知ってますけど……」

 

「ホントか?良かった。それじゃあ道を教えてくれないか?」

 

「はい、いいですよ。」

 

こうして俺は青山から"ラビットハウス"の道を教えてもらい、会社の出口へ向かった。

 

「ありがとな、青山。後でお礼はするよ。」

 

「いえいえ。お構い無く〜あっでもどこかの

 

お店で旅の話しを聞かせてもらいますからね〜。」

 

「うっ…」

 

どうやら俺は青山の魔の手からは逃れられていなかったらしい。

 

「ああ、考えておくよ。じぁまたな。」

 

「はい、どうかお気よつけて〜。」

 

こうして俺は会社を出て、"ラビットハウス"へと道を急いだ。

(そう言えば、青山と話している時、気になることを言っていたな。)

 

そう、俺は青山が話していた中で、"ある事"が気になっていた。

 

それは‥‥‥

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

"甘兎庵"と言う店の事だった。

 

(この街に甘味処みたいな所があったんだなー。 十年前は、"ラビットハウス"しか喫茶店を知らなかったからなー。)

 

そして俺は、いつかその店に行ってみよう思いながら"ラビットハウス"に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「せっかく三年ぶりに会えたんですから、もう少し、お話ししていたかったんですけどね…。」

 

社内に一人取り残された青山は寂しそうに呟いた。それにしても、レオの口から"あのお店"の事を聞くことになるとは思ってもいなかった。

 

「"ラビットハウス"…久しぶりに聞きました…。マスターはお元気にしているでしょうか?」

 

その呟いやきながら、青山は昔の事を思い返すのだった。

 

 

 

 

〜to be continued〜

 




いかがでしたでしょうか?
実は第1話の本当の題名は「やって来ました!ラビットハウス!」にするつもりだったのですが、あまりにも1話の内容を膨らまさせ過ぎたため、そこまでに話しを持ってこれなかったため、あの長ったらしい題名にしました。なので次回はようやくレオがラビットハウスにやって来ます。
さて、今回のお話しですが、いきなり新キャラを4人と一匹を投入して今後の物語で支障をきたすのではないかと内心ビビってます。しかし、話しの構成上、仕方がありませんでしたがなんとか頑張ろうと思います。
では、次回は上記にもあった通り「やって来ました!ラビットハウス!」です。どうぞお楽しみに。
それではまた!
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