ご注文は思い出ですか?   作:雷王

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皆さんお久しぶりです。
今回は投稿が遅くなり大変申し訳ありません。
一時、飽きかけていたのですが、ごちうさの最新刊を読んで、消えかけていた作者魂に再び火がつきまして、やっと完成しました。
では、いよいよレオはラビットハウスのメンバーと関わりはじめます。
それではどうぞ!


order3 〜友達と妹?と失敗作〜

その後、叔父さんが詳しく説明したお陰で、三人とも、なんとか理解してくれた(勿論、チノの件は伏せてくれたが…)。

すると突然、桃色の髪と制服を着た女の子が目の前に立って、天真爛漫な笑顔で自己紹介をした。

「初めまして!私は4月からここに下宿してお世話になっています、 保登 心愛です! 高校一年生で、チノちゃんのお義姉ちゃんでs」

「違います。」

 

ココアが完全に言い終わる前にチノはさらりと否定する。俺はただ「あはは…」と苦笑いするしかなかった。

 

すると今度は、紫色のツインテールの女の子が何やら申し訳なさそうに近づいて来た。身長はココアよりも高く、どこか大人びた凛々しさもあった。そして、話しにくそうにこう言った。

 

「私は手々座 理世です‥‥‥。高校二年でこの喫茶店でアルバイトをしています。‥‥‥その‥‥‥ティッピーを投げつけたのは私です‥‥‥。わざとではないとはいえ‥‥‥本当にすみませんでした!」

 

バッ!と、リゼはまぶたを強く閉じて、勢いよくかつ丁寧に腰を曲げて誤ってきた。

 

俺はそれ以前にあの兎を投げつけたのがこんな女の子だということに驚きを感じた。実際、飛んできたティッピーを顔面で受けた衝撃はなかなかの物だった。体が兎毛で被われている毛玉兎だったから良かったが、あれがもし、もう少し硬い物体だったらと思うと‥‥‥思わず身震いしてしまう。

 

(一体この子の何処にそんなパワーがあるのだろう?)

 

俺はそんな疑問を抱えながら目の前のリゼを宥めた。

 

「大丈夫だよ。俺はどこも怪我はしていないし、多分ティッピーも怪我はしていないと思うから。」

 

「い、いえ、でも私が悪いん…です。本当にごめんなさい!」

 

それでは尚、リゼは誤り続ける。これは自分の気が済むまで誤り続けるつもりだろう。これで切りがない。こういう時は、話題を変えて気を反らすのが一番だ。

 

「リゼ‥‥‥で良いかな?さっきから話し難そうな感じだけど、もしかして、人にはあまり敬語は使わないのかな?」

 

突然の話題にリゼは思わず目を丸くした。だが俺の質問にはしっかり答えた。

 

「ええ、まぁ、はい。そうですけど‥‥‥」

 

俺は唇に笑みを作り目を少し細めてこう言った。

 

「じゃあ俺にも敬語で話さなくてもいいよ。リゼの話しやすい話し方で構わないよ。」

 

リゼはますます目を見開いたかと思いきや、すぐ目を思いっきり閉じて顔を左右に何度もふった。

 

「いえいえ!そういうわけにはいかないですよ!だってレオ‥‥さんは私より年上ですし、何より、あんな事をしておいて敬語を使わなくていいだなんて出来ませんよ。」

 

徐々に話しの勢いが落ちていくリゼ、まだ多少引っ張っているみたいだが、なんとか話題を変えることはできた。俺は両膝に手を乗せ、体重を預けリゼとほぼ同じ目線に立った。

「さん付けもいらないよ。俺はリゼと友達になりたいんだ。友達に年の差は関係ないし、こんなことぐらい気軽に許せる関係になりたいんだ。」

 

「と‥‥‥友達。」

 

リゼがそう呟いて少しうつ向いている間に俺は元の体勢に戻して、右の手を彼女の目の前に差し出した。リゼは、はっと俺の方を見た。俺は唇を左右に引き延ばしながら…

 

「これからよろしく、リゼ。」

 

リゼはしばらく呆然とした顔で俺の顔と差し出された右手を交互に見た。やがてリゼの顔にも笑みが浮かび、彼女も同じ手伸ばして俺の手を握った。

 

「‥‥ああ、こちらこそ、よろしくな‥‥‥‥レオ。」

 

そうやってお互い笑みをこぼしていると外野から

「ずるーい!私もお友達になりたーい!」

 

と、怒ってる様で怒ってない様な明るい声が聞こえてきた。声の主は俺の予想どおりココアだった。さっきチノがココアの話しに割り込んできて、その後リゼが話しかけて来たため、俺も挨拶を返せていなかった。

 

「あ…ああ勿論だよ。これからよろしくな、ココア。」

 

と言ってココアに手を差し出すと、ココアは両手で俺の手を握り返し満面の笑みでこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うん!こちらこそよろしくね!"レオお兄ちゃん"!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥へ?‥‥‥お兄‥‥ちゃん?」

 

店内にしばらく沈黙が流れた。

 

「な…なぁココア。おまえは俺と友達になりたいんだよな?」

 

俺が苦笑いしながら問いかけると、

 

「うん!そうだよ!」

 

ココアは笑顔で返答する。

 

「じゃあ、お兄ちゃんって呼ぶのは少し変じゃないかな?」

 

「だからレオお兄ちゃんは私のお友達でお兄ちゃんだよ。」

 

「いや、わけわからん。」

 

突っ込んだのは俺ではなく、リゼだった。俺はそのリゼの言葉に便乗した。

 

「そうだよココア。俺はココアと出会ったばかりでお兄ちゃんとして振る舞ってないしそれに‥‥‥」

 

俺は誰も聞こえないように小さな声で呟いた。

 

「‥‥‥それに俺は"そう"呼ばれる資格もないから‥‥‥」

 

するとココアはきょとんとして尋ねてきた。

 

「レオお兄ちゃん、今何か言わなかった?」

 

「‥‥‥いや。何でもないよ。」

 

さすがに一番近いココアにはかすかに聞こえていた様で俺は一瞬ドキッとしたが、幸い旅の経験で幸か不幸か感情を隠すのが得意になっていた俺はそれ以上感ずかれることはなかった。

しかし、これ以上拒み続けているとなんでなんでと質問攻めされて埒が明かない気がしたので‥‥‥

 

「‥‥‥‥‥わかった、いいよ。ココアの呼びたいように呼んで。」

 

「わーい!じゃあよろしくね!レオお兄ちゃん!」

 

「ああ、よろしく、ココア。」

 

今日一日で色々と疲れていた俺は渋々苦笑いで了承し、ココアと二回目の挨拶を交わした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それにしても、このコーヒーの量はなんだ?」

俺は店のテーブルの上に置かれた大量のコーヒーが入ったカップを見て言った。近づいて見ると、コーヒーにはミルクで絵が書かれている。

 

「ああ、ラテアートか。」

 

俺も旅の途中でいろんな喫茶店を見てきたから知っていた。いや、それ以前に十年前に当時のマスターだった俺の祖父が一度俺にやって見せたのを覚えているが、

 

「こ、これは‥‥‥‥」

 

目の前にあるラテアートはどれも芸術的とはいえなかった。

 

「ああそれは、チノとココアが作ったやつだよ。さっきまで練習していたんだ。」

 

とリゼが説明する。その後ろでココアは照れ笑いして、チノは顔を赤くしてうつ向いていた。

 

「あっ、でもねでもね!最後に作ったのはすごく上手に出来たんだよ!」

とココアが言って、自分の傑作を探して俺の前に差し出した。見て見るとコーヒーの中に白い薔薇が咲いていた。細かい部分まで再現されていて、あの大量の失敗作から比べるととても大きな進歩だった。

 

「へぇ、すごいじゃないか。よく出来てるよココア。」

 

と俺が褒めると、ココアは「えへへ〜」と照れていた。そして俺はふとある事を思いついた。

 

「じゃあ俺も一つ作って見ようかな?」

 

「「「えっ!?」」」

 

三人の女の子は同時に声をあげた。

 

「レオ君、ラテアートをした事があるのかい?」

 

という叔父さんの質問に対して、

 

「はい、十年前に祖父から少し教わったぐらいですけど‥‥‥」

 

と俺は答える。

 

「いや、ラテアートはそう簡単にできるものじゃないぞ。」

 

「そうだよ。私も今日ここまで出来るようになるまで二時間はかかったんだからね。」

 

という風にリゼとココアが言ってきた。

 

「でも楽しそうだし、一回作らせてよ。」

と言いながら、近くにあった何も書かれていないブラックコーヒーとラテアート用のピックとミルクの入った入れ物を取り出した。

 

「えっと‥‥‥確か‥‥‥」

 

俺は十年前に祖父がやって見せたのを思い出しながらラテアート作りを開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして数分後‥‥‥

 

「よし、出来た。」

 

と言って完成したラテアートをココア逹に見せた。

 

すると‥‥‥

 

「「「えーーーー!?」」」

 

三人の女の子は驚きの表情を浮かべた。

 

「こ、これは!?」

 

タカヒロの叔父さんも(ついでに叔父さんの頭の上に乗っていたティッピーも)目を丸くしている。

 

コーヒーカップの中には、目を疑うほどに再現されたローマのコロッセオが描かれていた。

 

「レオ…お前本当に初心者なのか?」

 

というリゼの質問に、

 

「おう、初心者だぞ。」

 

と俺は答える。

 

「すごーい!レオお兄ちゃんどうやったの?」

 

というココアの質問には、

 

「いや、昔ラテアートを作ってもらったのを、旅で見てきたコロッセオを思い出しながら作っただけだよ。」

 

と返した。

 

「レオ君は昔から物覚が良くて、手先が器用だったからね。」

 

と叔父さんが思い耽っていると、

 

「多分、そんなレベルじゃないと思います。」

 

とチノが答えた。

 

「ホントにすごいよレオお兄ちゃん!コツ教えて!」

 

ココアが目を輝かせて頼んできたが、

 

「ごめん、俺は少し出来るだけで教えられる訳じゃないから‥‥‥」

 

さすがに教えるのは難しいと思い丁重に断った。

 

「いや、これは少しとは言わないだろ。」

 

リゼが少し呆れ顔で言う。

 

「でもこれは俺の記憶と感覚だけで作ったから、参考にはならないと思うよ。」

 

俺がそう答えると、

 

「逆にすごいよ!」

 

ココアが大声で指摘した。

 

その時、「ごほん」っと叔父さんがわざとらしい咳払いをした。俺逹四人は一斉に叔父さんの方を見た。

 

「皆そろそろいい時間だし店を一旦閉めようか。それと、失敗したやつもちゃんと処理するように。」

 

「「「あっ‥‥‥‥」」」

 

山の様なコーヒーを見て呆然とする三人組。俺は三人が不敏だと思い、

 

「あ‥‥‥俺も手伝うよ。」

 

と言うと即、

 

「「「是非お願いします!」」」

 

と言われ、いよいよ後に引けなくなってしまった。

 

(今夜ちゃんと眠れるかなぁ‥‥‥‥)

 

そう思いながら俺は一つ目のコーヒーカップに手を伸ばした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちなみに俺の作ったラテアートは、ココアがしっかりケータイのカメラに収めた。

 

 

 

 

 

〜to be continued〜

 

 

 

 

 

 




いかがでしたでしょうか?
今回はココアとリゼがレオとどう関わっていくのか、そしてレオのことについて少々知ることができたかなぁと思います。
ごちうさの最新刊を読んだ時、私の書くこの小説はどこまで書いていこうかと思いました。できれば、最後まで書いていこうと思っています。(それまで私が本当に小説を書くのを飽きていなければの話しですが…)
さて、これからですが、ラビットハウス編はあと二話ぐらいになる予定です。次回はまた、レオの凄さをまた一つ知ることになると思いますので是非お楽しみに。
それではまた!

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