ご注文は思い出ですか? 作:雷王
ようやく試験から解放されてまた小説を書くことができました。
ここで皆様に謝罪すべきことがあります。前回の後書きで書いた次回の予告の内容ですが、どうしても今回の話しに持ち込むことができませんでした。次々文を付けたしていく内に、私自身の規定文数に達してしまいました。予告も予定通りにできないことがどれだけ重い罪なのかは重々理解しています。
本当に申し訳ございませんでした。
小説を書きはじめてずっと謝りっぱなしの私ですがこんな私の小説を読んで下さっている皆様にはとても感謝しています。これからもこんな私の小説を応援してくれたらとても幸いです。
では、最後までお楽しみください。
それでは、どうぞ!
〜一時間後〜
「や、やっと全部飲み上げたよ〜」
ココアはそう言ってぐったりした。
「こ、こんなにコーヒーを飲んだのは初めてです。」
チノもつらそうな顔で言った。
「私も途中でちょっと嫌になってきた。」
と言いながら、リゼは苦笑いをする。
「まぁ全部同じコーヒーだったからね。無理もないよ。」
と俺は言う。(ちなみに、コーヒーも時間が経ってかなりぬるくなっていた。飲めない訳じゃなかったが…)
すると、二階に行っていたタカヒロの叔父さんが戻ってきた。ちなみにティッピーも一緒だ。
「ようやく片付いたようだね。レオ君もすまないね。手伝ってもらって。」
「いえ。いいんですよ。コーヒー美味しかったですし。」
叔父さんは申し訳なさそうにしていたが、十年前は、まともに飲めなかったこの店のコーヒーがこうやって美味しく飲めるのは感慨深い。
だが、しばらくブルーマウンテンは飲みたくない。あとこれをペンネームにしている小説家にもあまり会いたくない。
「そうかい。では、俺は今からバーの支度をするから、ココア君とリゼ君は使ったカップを洗っておいてくれるかい?」
と、叔父さんが頼むと、
「「はい!」」
と言って二人は席から立ち上がった。俺は二人の素直さに感心していると次に叔父さんは、
「チノはレオ君を部屋に案内してくれるかい?今さっき部屋の用意をし終えた所だから、場所は解るね?」
という風にチノに指示した。チノは少々困惑した様子を浮かべだが、「は…はい。」と言って渋々了承し、立ち上がった。
俺も今の叔父さんの言葉には驚いたが、同時に叔父さんの考えも読めた。叔父さんは俺とチノのこれからのために、なるべくチノを俺と関わらせようと思っているのだろう。
そんなことを考えながら、俺も立ち上がり、チノの後についていった。その前に俺は叔父さんの前に立って、
「あの、今日からまたしばらくお世話になります!」
俺はそう言いながら姿勢を正し、お辞儀をした。
すると叔父さんは何も言わず、目を閉じ、ただ笑みを浮かべながら俺に向かって歩きだした。そしてすれ違い際に俺の肩に優しく手を置いて…
「こちらこそ、"これからチノを頼んだ"よ。」
叔父さんはそれだけ言うと、台所に向かって行った。
声こそは俺と叔父さんにしか聞こえないほどの小さなものだったが、置かれた手は、娘(チノ)に対する思いが俺の肩の上に重くのし掛かり、かけられた声もまた、俺の中で力強く響いた。
"あの頃"の俺逹に戻ることは、叔父さんの望みであり、"あの人"の望みでもあるから‥‥‥
「‥‥‥はい。」
俺は振り返らずそう答え、階段を登り始めたチノについていった。
その時、突如背後から鋭い視線を感じ、後ろを振り返って見ると、そこには誰もいなかった。
(気のせいか?‥‥‥)
俺はそう思いながら、また歩きだした。しかし、俺は気づいていなかった。扉の影から殺気だった目で俺を睨み付けていた、ティッピーの姿を‥‥‥
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
(間がもたない…。)
お互い無言な中で、部屋まで案内してくれてるチノの後をついていっている中、俺はそう心の中で呟いた。
思いば、俺とチノはお互いのことを知ってから一言も言葉を交わしていなかった。ラテアートのコーヒーを飲んでいる時も、ココアとリゼはいろいろと話しかけてくれたり、俺自身も二人に話しかけたりしていたが、チノとは全く会話をしていなかった。
俺の理由としては、解らなかったからだ。チノは俺のことを覚えているのか、覚えていないのか、それとも思い出したのかどうなのか全く解らない。
もし、覚えている、あるいは思い出したのなら、"約束"を思いっきりすっぽかした俺の対応に困っているのか、いや、もしかしたら、そんな俺とは話す価値もないと蔑んでいるのかもしれない。ホントにもしそうだったらどうしよう…。これからちゃんと向き合おうと思っていたのに、序盤からこれじゃあ先が思いやられーーー
「あの、どうしたんですか?」
「えっ‥‥‥?」
ふと顔を上げると、またも心配そうな顔で俺を覗き込んでいるチノがいた。チノが俺のことを知ってから話しかけてくるのは初めてだった。
どうやら俺はずっと考え込んでいて、いつの間にか頭を抱えてうずくまっていたようだ。俺は慌てて立ち上がり、右手で髪をかきながら軽く笑いながら、
「いや、何でもないよ。」
と、優しい口調で答えた。
「本当に大丈夫ですか?」
チノは尚心配そうな顔で言ってくる。
(まぁ、はたから見たら変な風に見えるよなぁ。)
そう考えながら頭の中で苦笑いするも、心配してくれたチノには、言うべきことを言わなければならない。
「本当に大丈夫だよ。‥‥‥‥ありがとう。心配してくれて。」
("ごめん"ではなく、"ありがとう"と言おう。)
これは、俺が旅の中で得た教訓の一つだ。
人は謝ってもらうより、感謝された方が嬉しく思えるのだ。(ただし、謝る時はちゃんと謝ろう。)
すると、チノが突然後ろへ向き直り、「そ、そうですか…」と少し暗めの声で言ってまた歩きだした。
(えっ!?俺なんか気に触る様な事言った?)
やっとまともに会話ができたと思ったのに、もし何か怒らせることを言ってしまったのならとてつもなく不味い。ここは謝っておくべきか?いや、その前にどうしたのか聞いておくべきかもしれない。旅をしていた時はいろんな人と気軽に話せたが、チノに関しては、その人逹とおんなじ風に扱って良いわけがない。どうしたらーーー
(ホントに大丈夫なんでしょうか?)
再びうずくまっている俺を見て、チノはそう考えた。
〜食器洗いside〜
一方、リゼとココアは使ったカップを洗っていた。リゼが洗剤でカップを洗って、ココアがそれを拭き取っていた。半分ほど片付いた時、
「ねぇリゼちゃん。」
突然ココアが話しかけて来た。
「ん?」
リゼは軽く反応した。他愛もない話題だろうと思っていた彼女の予想は次のココアの一言で、裏切られることになる。
「レオお兄ちゃんってカッコいいよね!」
「!!!!!///」ビクッ!
リゼは思わず持っていたカップを滑らせ、カップは中に舞い、床に落下しそうになった。
「あわわわわわわ!」
慌てて掴もうとするも手も洗剤の泡まみれでうまく掴めない。4、5回ほど手から滑らせるが、なんとか両手でキャッチしひとまずホッと一息置くが、
「いきなり何言い出すんだ!びっくりしただろ!」
すぐさまココアを怒鳴る。
「えへへ〜♪ごめん、ごめん。」
笑いながら謝るココアに、リゼはやれやれとため息をつく。しかし、先ほどのココアの発言が蘇りリゼは再び顔を赤くした。
「そ、それで、どうしてそんなことを聞くんだ?///」
リゼがココアにそう質問すると、
「だってステキな人だと思わない?優しくて、話しも面白くて、なんかすごくて、一緒にいてとっても楽しいもん。リゼちゃんはどう?」
「‥‥‥‥‥」
リゼは押し黙った。なぜなら自分もレオに対しココアと同じく、何かしら印象を持っていたからだった。だが、リゼの印象はココア以上だった。
「俺はリゼと友達になりたいんだ。」
「これからよろしく、リゼ。」
彼に笑顔でそう言われ、手を差し出して来た時、自分の中にある"何か"が大きく弾みだし、体がみるみる熱くなっている感覚を覚えた。しかし、これが一体何なのかリゼには解らなかった。しかし、これは決して誰かに晒してはいけないことだけは本能で理解できた。少なくとも、彼だけには絶対にーーー「…ちゃん。」
「リゼちゃんってば!!」
「うぇっ!!」ビクッ!(二度目)
ココアに大きな声で名を呼ばれ、リゼは我に帰った。しかし、今度はカップを滑らせることはなかった。というのも、
「どうしたのリゼちゃん?流し台がすごいことになってるよ?」
「えっ‥‥‥あっ。」
気がつくと、流し台が泡でいっぱいになっていた。どうやら考えるのに夢中になって、無意識にカップを洗っている内に洗剤の泡がとてつもないくらいに立ち込んでしまったようだ。手首から先が泡に飲み込まれて見えなくなっている。
「ど、どうにかしないとな。」
というリゼの言葉に、
「うん。そうだね。」
と、ココアは答える。
その後、なんとか流し台の泡を片付け、カップ洗いを再開した。
「それでリゼちゃんはレオお兄ちゃんのことどう思ってるの?」
「結局それを聞くのかよ!!」
〜to be continued〜
いかがでしたでしょうか?
今回はレオとチノが打ち解けはじめ、リゼがレオのことを気になり出したという回でした。ココアに関しては、彼女はあくまでレオのことを兄としてしたっているため、リゼみたいな"そのいうこと"はまだありません。今後の彼女達の様子をゆっくり眺めることにしましょう。
そして、次回の話しですが、題名は、"クッキングマスターレオ"です。もう先に言っておきます。次回は必ずこの題名に準ずる話しを投稿しますのでよろしくお願いいたします。
それでは、また!