ご注文は思い出ですか? 作:雷王
皆さん超お久しぶりです!お元気でしょうか?
あれからどれくらいたったでしょうか?とにかく、皆様をこんな長い間待たせてしまったことを深くお詫び申し上げます。これからも私のクソつまらない小説を読んで下って、少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
それでは、堅苦しい挨拶はこれくらいにしていよいよ本編です。今回は、2019年初投稿ということで、いつもより、長めにいたしました。(べ、別に前回予定した所までに話しがまとまりそうになかったから、やむを得なくって訳じゃないからね!)では、どうぞ最後までお楽しみください。
それでは、どうぞ!
レオ&チノside
「ここです」
と言い、チノは二階の奥の部屋のドアノブに手をかけ、扉を開けた。
「どうぞ」
チノはそう言って俺に部屋へ入るよう勧める。俺は恐る恐る部屋に入ると、思わず息を呑んだ。
「こ、これは…」
部屋には、整えられた立派なベッド。仕事をするには十分すぎる机。部屋の中央には段ボールがあり、部屋に入って中を調べると、中身は俺が一週間前に送った仕事で必要な資料(後に詳しく説明する)が入っていた。顔を上げ、再び辺りを見回すと、部屋の隅に高さを変えられる大きな本棚が数個置いてあった。
「す、すごい…」
全部叔父さんが俺の為にわざわざ用意してくれたのだろう。叔父さんのおもてなしに俺は感激せざる得なかった。すぐに叔父さんにお礼を言わねばと、俺はとりあえずリュックとキャリーバック部屋の中に置き、電気を消して、部屋のドアを閉めた。すると、扉の前でチノが真顔で俺のことを見て立っていた。俺は一瞬驚いたが、まずはこの子から叔父さんについて聞いておこうと思い、
「あれ、叔父さん…君のお父さんが全部用意してくれたの?」
「はい、そうです」
「そっか、なら今すぐ叔父さんの所に行ってお礼を言わないと」
そう言って、俺は一階に向けて歩きだし、2、3歩ほど歩いた時背後から、
「あ、あの!」
突如呼び止めらた。声の主はチノであることは分かったが、何のきっかけもなくチノが俺に話しかけて来たのは初めてだった。
「私達、昔会ったことがあるんですよね?」
しばらく間を置いて放ったチノの言葉に俺は内心激しく動揺し、足を止めた。
「あ、ああ…そうだよ」
俺は振り返らずそうなんとか答える。動揺している様子をチノに見られたくないのもあるが、昔を話しをしてきたチノに俺は顔向けできなくなった。もしかしたらチノは十年前のこと思い出したのかもしれない。もし、そうだったとしたら…
「あの…昔、あなたのことを…」
俺は息を呑んで次のチノの言葉を待った。
"チノが過去のことを思い出す"
いずれその時が来ると覚悟はしていたが、会って一日も経たずに来るとは思っていなかった。心の準備が完全にできた訳じゃないが、どんな言葉も受け止めるつもりだ。
今まさに、チノは昔のことの思い出してーーーー
「私は"どう"呼んでいたんですか?」
ーーーーーーーいなかったようだ。
俺は「えっ」とあっけにとられ、思わずチノの方を振り向いた。チノは、顔を若干赤らめ、どこかもじもじしていた。この言葉を言うのにかなりの勇気を出したのだろう。しばらくするとチノは続けて、
「私、昔のことをよく覚えていないんです。だから、あなたのことも何て呼んでいたのかも思い出せなくて…」
ありがたいことに昔のことを思い出していないことも教えてくれた。
(チノが昔俺のことをどう呼んでいたのか、か…)
チノの質問に俺はある迷いが生じた。"チノに昔のことを教えるべきか、否か。"彼女に昔の呼び方を教えるということは彼女に過去の一部を教えるということ。俺は、チノが混乱することを恐れて、全てを話すことができない。最悪な結果を避ける為にはチノ自身が思い出すしかない。が、一部を話せば思い出すきっかけにはなるかもしれない。だが、それでも俺は迷った。この俺にチノが昔の呼び方で呼ばれる"資格"はないからだ。しかし、俺とチノはいずれ、互いに過去と向き合わなければならない。どう呼ばれていたのかを教えるのは、そのきっかけになるだろう。でも…
「…チノ」
「は、はい」
迷いに迷って、俺は緊張しているチノの前に立ち、中腰になり、チノとほぼ同じ目線になって言った。
「別に昔に合わせる必要はないよ」
「えっ…?」
予想もしてない答えが帰って来て困惑しているチノに俺は続けて、
「昔は昔、今は今だ。無理して昔のことにこだわることはないし、俺に気を使おうとしてるつもりなら、その必要もないよ。チノが呼びたいように呼んでかまわない。でも、どうしても昔の呼び方がいいのなら教えるけれど…どうする?チノが決めなさい」
「‥‥‥‥‥‥」
チノは黙ってうつむいた。
俺は内心、最低だと思った。結局俺は、自分ではどうするか決められずチノに決めさせてしまった。それに、過去のことに囚われている俺が何を言っているんだ。矛盾しているじゃないか。自分の優柔不断さと情けなに自己嫌悪していると、チノが口を開いた。
「…それじゃあ、あの…」
頬を赤らめ、困惑したチノを見て、やっぱりチノに決めさせるべきじゃなかったと後悔したが、なんと呼ぶかを決めた様だった。
「…"レオさん"…でいいですか?」
「‥‥‥‥」
(…"レオさん"か…)
昔の呼び方とは違うが、俺にはもう"あの呼び方"で呼ばれる資格はないし、チノの好きに呼ぶように言ったのは俺だ。嫌と言う理由はないし、気に入ってない訳ではない。
「ああ、それでいいよ。改めてよろしくな、チノ」
「こちらこそ、よろしくお願いします。レオさん」
俺達は、はじめて互に笑みを向けた。
「叔父さん、ありがとうございます。あんな立派な部屋を用意してくれて」
「礼には及ばないよ。むしろ、あんな狭い部屋ですまないないと思ってる。だからせめて、見映えは良くしようと思って色々揃えて見たんだが…」
「そんなことありませんよ。とてもいい部屋でした」
「ほかにも何か必要なものがあったら言いなさい。遠慮はいらないよ」
「今は大丈夫です。ありがとうございます」
俺はその後、バーの支度をしていた叔父さんの下へ行き、お礼を述べた。叔父さんは申し訳ないように言っているが、俺にとっては感謝極まりないことだった。一方チノはというと、ココアとリゼがまだ食器洗いを終えていなかったので二人の手伝いに行った。そう言えば、リゼの顔が少し赤かったような気がしたが気のせいだろうか?とにかくお礼も言ったし、俺もココア達の手伝いをしようとキッチンに向かったが、
「なんだ、もう終わったのか?」
「あっはい、今終わりました」
キッチンに入った時には、ココア達はすでに洗いものを終えていて、食器棚には大量のコーヒーカップが置いてあった。
「ん〜っ!、それじゃあ今日はこれで終わりだね!お疲れ様!」
「ああ、お疲れ様」
背伸びしながら言うココアの言葉にリゼが答える。ふと、俺はキッチンにあった時計を見た。時刻は7時半を回っていた。
「もうこんな時間か…」
俺がそう言うと、ココア達も時計を見出した。
「あっ、ホントだ」
「もう夜ですね」
そう二人が言い合っていたその時、
グゥ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「「「‥‥‥‥‥‥‥」」」
「‥‥‥‥‥」カアアア
なんとも可愛らしい音がキッチンに響いた。俺とココアとチノが沈黙している中、一人顔を赤らめ、さっと腹部を押さえているリゼに俺達は視線を向けた。その視線に気づいくとさらに顔を赤くし、慌てふためいた顔で、
「ちっ、違う!私じゃないぞ!!」
「俺達まだ何も言ってないぞ」
「あっ…うぅ…」カアアア///
咄嗟に反論したがそれが仇となり、俺が返した言葉にもう言い訳ができなくなったリゼは、ますます顔の赤色に色が増し、ついにはしゃがみこんでしまった。
「まーまーリゼちゃん。そう恥ずかしがることないよ。私だってお腹空いたもん」
とリゼの肩を軽く叩きながら慰めるココア。しかし、それはかえってリゼの傷口を広げることとなり、ついに耐えられなくなったのか、バッと立ち上がったかと思うと、
「きっ着替えて来る!!」
と言って、高速でキッチンを抜け、隣の更衣室へ駆けて行った。
「ありゃりゃ」
「逃げちゃいました」
「まぁ当然だよなぁ」
等々言った後チノが、
「でも確かに、そろそろ夕食の支度をしないといけませんね。私がしますので、ココアさんも着替えて来て下さい」
「えー、私も手伝う!」
「制服でしたらココアさん絶対汚しますし、料理も失敗しますので結構です」
チノの鋭い反論にココアはめげず、
「だいじょ〜ぶ!お姉ちゃんに任せなさ〜い!」
と言い、ウインクしながら曲げた右腕は肩まで上げて袖をまくり、左腕でその腕の上腕二頭筋の部分をガッシリ掴むというポーズをとったがチノの表情は変わることはなく、
「任せられません」
「ヒドイ!!」
涙目でショックを受けているココア。俺はやれやれと思いながら、二人にある提案をした。
「じゃあ二人とも着替えに行くといいよ。俺が夕食を作るから」
「「えっ!?」」
と言って、二人ともあっけにとられた顔をした。
「何言ってるんですか!レオさんはお客様なんですから、そんなことさせられませんよ」
と遠慮するチノに、
「いや、俺はお客様じゃなくて、しばらくお世話になる居候者だよ。だから何かしらご奉仕しないといけないと思うからね。料理なら俺もできるし」
「でも、今日来たばかりで疲れてない?」
というココアの質問に、
「全然大丈夫だよこんなの。旅している時に比べたら大したことないよ」
「えっ、レオお兄ちゃんって旅をしてたの?」
ココアが驚いたように言った。
「ああ、言ってなかったね。…まぁそうだよ。外国を取材するために世界中を旅していたんだ」
「へぇーすごーい!!ねぇねぇ、レオお兄ちゃんの旅の話し聞かせてよ」
ココアの目が輝かせて言った。
「ああいいよ。夕食をしながら話そうか。準備をするから、その間にチノと着替えて来るといいよ。良かったらリゼも誘って来てくれ」
「うん分かった!行こうチノちゃん!」
「えっちょ、ココアさーん!」
純粋なのか素直なのか、ココアはチノを引っ張ってキッチンを出ようとした。
(まんまと乗せられたな…)
なんとか上手いこと言って、俺が料理をする流れに持って行けた。俺自身、何かここで出来ることしなければ、ただ食べて寝るだけなんて無神経なことはできない。
チノも最初は抵抗したが、「仕方ないですね…」と言ってそのままココアに連れて行かれた。キッチンを出る際、チノは申し訳なさそうに俺を見て、
「…それじゃあよろしくお願いします。材料は好きに使ってかまいませんので」
「ああ分かった、楽しみにしててくれ」
と言って笑みを見せると、チノも少しは気が軽くなったようで、こちらにも笑みを返し、ココアとキッチンを出ていった。
「…さて」
俺はキッチンを見回して、まず冷蔵庫の中を見た。
「大体の材料はあるな」
そして、あちこち見てみると"ある物"を見つけた俺は、今晩の献立を決めた。
「よし、やるか」
数十分後、
「うわー!いい匂い!」
料理の工程も中盤に差し掛かった時、ココア達三人が私服に着替えてキッチンに入って来た。するとリゼが困惑した顔で、
「い、いいのか?私までごちそうになって…」
「ああ。皆で食べた方が楽しいだろ?それに音が出るほどお腹を空かせたリゼを放って置けないからね」
「うぅ…」///
塞ぎかけていた傷口がまた開き始め、今度は羞恥に満ちた表情を浮かべた。
「あの…何かできる事があったら言って下さい。手伝いますので」
とチノが言ってきた。
「ありがとう。じゃあどこで食べようか?」
「二階にリビングがありますのでそこで食べましょう」
「あれ?そうなの?」
俺はさっき二階に上がった時は自分の部屋しか見ていないため、他は全く知らなかった。…いや、"忘れてしまった"と言うべきか…
「そっか、分かった。じゃあチノとココアは二階に行って食器とかを並べてもらおうか」
「はい、分かりました」
「行こっ!チノちゃん!」
勇んで駆け出すココア。
「ココアさん。走ったら危ないですよ」
その言いながらチノはその後をつける。
「リゼはここで洗った野菜を切ってくれ」
「ああ、任せろ」
リゼはそう言って包丁を持ったその時はっとした。
(あれ?今私、レオと二人っきり…って何考えているんだ私は!!私は別にレオとそんな関係じゃ…)
そこまで考えるとリゼは思わず顔を大きく左右にふる。
(ええい!早く切ってしまおう…)
とやけになりながら包丁を握りしめ、目の前のレタスを凝視する。
その様子を見ていた俺は、
(何かレタスに恨みでもあるのか?)
と、思わずにいられなかった。
「…よし。完成だ」
「おお…」
そう言いながら、フライパンの中を覗くリゼ。すると、
「ねぇねぇ、もう出来た?」
ココアが気になってキッチンに入って来た。
「ああ、準備できたから、ココアはこのサラダ運んでくれないか?」
俺はテーブルに置いておいたサラダのボールをココアに差し出した。
「うん!分かった!」
ココアはすぐさまサラダを受け取って、またキッチンを出ていった。
「さて、後はこのフライパンと鍋なんだけど…」
「ああじゃあフライパンは私が持って行くよ」
と、リゼは言い出す。
「えっ、大丈夫か?火傷するなよ」
「大丈夫だって。親父に色々鍛えられたからな」
リゼはそう言って、フライパンを持ち上げ、キッチンを出ていった。俺は最初は不安だったが、リゼの言った通り大丈夫そうだったので俺も鍋を持ち上げて、リゼの後について行った。
(そう言えば、リゼの家って一体どんなんなんだ?)
その疑問が俺の頭から離れなかった。
「夕飯だぞ〜」
「お待たせ」
そう言いながら、リゼに続いて俺も二階のリビングに入り、リビングのキッチンにそれぞれ鍋とフライパンを置いた。
「わーい!早く食べようよ!」
「焦らなくても、夕飯は逃げないよ」
俺は、早く食べたがっているココアを宥めながら、皆で皿に装ったり、おかずを運んだりするなどして、夕食を準備は着々と…
「そう言えば、さっきチノちゃんのお腹の音が鳴っていて、可愛いかったんだよ〜」
「ココアさん!!それ言わないでって言ったじゃないですか!!」
「良かったねリゼちゃん、仲間が出来て」
「ココア!頼むからもう掘りかえさないでくれ!」
「‥‥‥」
進んでいったと…思う。
「それじゃあ、いただきま〜す!」
「「いただきます」」
ココアに続いてチノとリゼが手を合わせて言った。
「ああ、召し上がれ」
俺がそう答え、この街での最初の夕食が始まった。
「美味しそうだね〜」
「すごくいい匂いがします」
「…食べてできれば感想を聞かせてくれるか?」
「ああ、じゃあいただくよ」
三人はまず、主食であるスパゲッティをフォークで絡め取り、口に運んだ。
「どうだ?悪くはないと思うんだが…」
「うん!!すっごく美味しい!!」
「本当か?良かった」
ココアの言葉に俺はひとまず安心した。
「ああ、本当にうまい!こんなうまいスパゲッティは初めて食べた!」
「いや、そこまで大袈裟なものじゃないけど…」
リゼからの太鼓判に、俺は謙遜した。
「そんなことないです。とっても美味しいですよ。」
「そ、そうか?なら、良かったよ。」
皆から絶賛され、俺も素直に嬉しくなった。
「私が今まで食べたスパゲッティとは何か違うな、どうやって作ったんだ?」
「正確には、"スパゲッティ・ボロネーゼ"。まぁ別名"ミートソース"って言うんだけど、そっちの方が分かるかな?」
リゼの質問に俺はそう答える。材料を見て回った時、俺はスパゲッティの麺を見つけ、今回の献立を決めた。
「えっ?でも、私が知っているミートソースとは何か違うような…」
ココアがフォークでスパゲッティを持ち上げ首を傾げた。
「多分、ココアが言っているのはスパゲッティの上にミートソースをかけたやつの事だろう?これはイタリア流のミートソースで、スパゲッティとミートソースをフライパンで混ぜるんだ」
「へぇ〜そうなんだ!」
ココアが何かと興味津々に聞いてくる。
「あの、この黄色いのって何ですか?」
チノがスパゲッティに乗っている黄色い粉状のものを指して言った。
「ああそれは、粉チーズだよ。隠し味に入れたんだ」
「そうなんですか、とっても美味しいです」
「それは良かった、ありがとうチノ」
「…っ!」ドキッ
俺がお礼を述べた途端、"何故か"チノは顔が赤くし、俺から顔反らした。
(どうかしたのかな?)
俺がそう疑問に思った時、
「このシチューとサラダもすっごく美味しい!」
ココアが声を上げてそう言ってきた。するとリゼも、
「ホントだな、どれも負けてない」
「あはは、褒めすぎだよ」
ここまでベタ褒めされるとさすがに照れる。
「ねぇレオお兄ちゃんって、どうやってこの料理を覚えたの?」
「このスパゲッティは、イタリアに居た時に教えてもらったんだ」
「えっ、イタリアで!?」
ココアが目を丸くすると、テーブルに手を置き、全体重を乗せてこう言ってきた。
「ねぇねぇ、その時の話聞かせてよ!」
「私も聞きたいな、その話」
「私も聞きたいです」
ココアに続いてチノとリゼもそう言ってくる。
「分かったよ。旅の話しを聞かせる約束だったしね」
俺はあの時を振り返るような表情でイタリアでの思い出を語った。
ーーーそう、あれは今から1年と半年前、様々な国渡り歩き、イタリアにたどり着いた俺は‥‥‥
行き倒れていた。
「「「えっ!?」」」
〜to be continued〜
いかがでしたでしょうか?私としては、気が向いた時にしか文字を打っていたにしては、よく出来る方だと思いますが…
今回は、レオとチノが互いに打ち解け初め、レオは料理がとても上手いことが分かりました。そして、レオとチノとの間には、何らかのしがらみがあるようですね。一体何なのでしょうか?そして、自分がイタリアを旅した時の事をココア達に語るレオ、行き倒れてしまった彼の運命やいかに!(まぁ生きてますけど)
それでは、いつになるのか分かりませんが、次回も楽しみにしていてください。
それでは、また!