バクマン。~未来へ向かって~   作:舞翼

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お久しぶりです。


鬼怒川温泉

「温泉旅行も久しぶりだなぁ。てか、小学生以来か?」

 

 鬼怒川(きぬがわ)温泉旅館に到着し、竹部屋に入り荷物を置いた翔太は、背伸びして大きく息を吐いた。

 鬼怒川温泉旅行を実現させるまでに、ダブルダンクの連載完結、アニメになったダブルダンクの声優オーディション。担当編集の吉田との交渉など、様々な事柄があった。

 もちろん、ダブルダンクのヒロイン役の声優は、“柏木加奈”。オーディションで披露したその演技は、他者の演技を圧倒し、拝見している者たち全員を魅了した演技であった。仮に、公開オーディションになった場合でも、加奈の演技は視聴者を魅了し、1位の座に輝いたであろう。

 

「うん。小学校6年生の頃に、柏木家と南波家で一緒した時以来だね」

 

 小学校6年生だということは、今から約10年前だ。言葉にしてみると遠い昔のように感じられるが、翔太と加奈にとっては、つい最近のように感じてもいた。

 

「てかあの頃から、俺はほぼボッチだったな」

 

 加奈は翔太の問いに苦笑し、

 

「そうだったね。でも翔太君、友達は必要ない雰囲気を出してから、他の子たちが近づかなかったんだよ」

 

「あー、うんまあ。俺は加奈が隣に居れば十分って感じだったから、そんな態度だったんだろうな」

 

 たぶんな。と付け加える翔太。

 翔太は、小学校高学年の記憶は曖昧だったりする。覚えているのは、ほぼボッチだったということだけである。

 

「まあ折角来たんだし、観光でもするか?」

 

「うん。そうしよっか」

 

 ともあれ、翔太と加奈は荷造りを解き、部屋を後にし鍵をかけ、一階のフロントに鍵を預け旅館の玄関に向かったのだった。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 観光地に出ると、そこには大樹や紅葉の木が翔太たちを歓迎するかのように鎮座していた。周りは自然に溢れており、空気も澄んでいる。

 

「この場所、夕方近くになったらライトアップされるらしいな。夜になったら、また来るか?」

 

 パンフレッドを広げ、観光地の説明場所の詳細を読んだ翔太は、隣を歩く加奈にそう聞く。

 

「うんっ。また夕方にまた来ようっ」

 

 綺麗だろうなぁ。と言い、周りを見回す加奈。翔太はそんな加奈を見ながら「こういう好奇心旺盛な所は変わらないなぁ」と内心で呟く。まあ翔太の「面倒くさがり屋」というのは、大人になっても変わらなんだが。

 ともあれ、翔太と加奈は歩調を合わせながら、観光地を散策する。

 

「そういあ、ダブルダンクの収録が始まったんだってな」

 

 またその中には、亜豆美保、佐藤綾も出演したりする。

 

「うん。先週1話の収録が終わった所かな」

 

 ダブルダンクアニメ開始は1ヵ月後なので、事前収録。ということらしい。

 

「翔太君は、新作を連載会議に?」

 

「どうだろうか?まだ何も考えてないからなぁ。でも、ネームは練るだろうけど」

 

 連載が終了した後すぐに練ったネームを連載会議に出すか解らないが。

 前回はすぐに出したが、今回は何かの読切りや賞などを挟むかもしれない。

 

「ま、今は仕事のことは忘れて楽しもうぜ」

 

 まあ言い出しっぺは翔太なのだが。

 ともあれ、この場所をカメラに収めてから、次の観光場所へ向かう。ちなみに写真も、一人一人で映った写真と、通りかかりの観光客にお願いしてツーショットを撮った。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 翔太と加奈が次に向かった場所は、観光の目玉と言われている足湯だ。まあでも、温泉旅行を言えば定番の場所なのかも知れない。

 そんな時だった――、

 

「あ、あの、南波加奈さんと、柏木翔太さんですよね?」

 

 あ。と、声を上げる翔太たち。

 現在、翔太たちは変装していないので、周りに露見するのは当然だ。先は、老人夫婦だったの露見することが無かったが、若い子たちに露見するのは当然だろう。

 

「私、加奈さんと柏木さんのファンです!サイン下さい!」

 

 ファンを名乗る子は、加奈の舞台やファンイベント、ダブルダンクのコミックスは欠かさずチェック(購入)しているとのことだ。

 ファンの子は、観光地にある絵馬を模様した板に、油性ペンを取り、翔太たちに差し出す。

 

「いいですけど。オークションなどに出品しないで下さいよ」

 

「もう翔太君。そんなことはしないって。ね?」

 

 最後の、ね。いう言葉は、ファンに向けられた言葉だ。

 まあ確かに、翔太たちのサインがネットの出品なんて話は一度も無いのでそういう心配はないだろう。

 

「はいッ!私の家宝にしますので、大丈夫ですッ!」

 

 家宝って言い過ぎな気も。と思いながら、翔太と加奈は慣れた手でサインを絵馬にサインを書く。

 ともあれ、サインを書き終わり絵馬を再び渡した所で「ありがとうございますッ!」と絵馬を握り締めて去って行くファンの子を見ながら、翔太たちは苦笑するのだった。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

「いい湯だなぁ……」

 

 翔太は素足で足湯に浸かると、息を吐くように呟く。

 そんな翔太を見ながら、翔太の隣で素足で足湯に浸かる加奈が、

 

「翔太君、おじさん臭いよ。まだ若いんだから」

 

 うぐッ。と唸る翔太。

 まあ確かに、翔太はまだ26歳なので、おじさんには早い年齢だ。

 

「冗談冗談。でも確かに、それしか言葉が出ないね」

 

 加奈は何かを思い出したように、

 

「そういえば、旅館の温泉に混浴風呂があるらしいけど、一緒に入る?最近は一緒に入ってなかったしね」

 

「そうだな。そうすっか」

 

 確かに、最近は入浴時間が合わなかった為、入浴は別々に取っていた。まあでも、夜食や一緒に居れる時間は変わっていないので、おしどり夫婦には変わりないだろう。

 足湯を堪能した所で程よい時間になり、旅館に戻った翔太たち。その道中も、翔太たちの顔には笑顔が咲いていた。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 ライトアップされた景色を見てから観光が終了し、翔太はフロントで鍵を受け取ってから予約した部屋に戻り、翔太は部屋に備え付けられている電話機を取り、受話器を右耳当て夜食の件を連絡する。現在は19時を回った所なので、夜食には丁度いい時間帯だろう。

 それから数分後、女将さんと従業員の手により四季折々をふんだんに使った料理が食膳に並ぶ。女将さんたちが退出した所で、向かい合わせに座る翔太と加奈は手を合わせる。

 

「「いただきます」」

 

 箸を持ち、新鮮な魚を一口し、それを咀嚼して飲み込む翔太。

 

「うまい」

 

「そっか」

 

 加奈も一口して、「うんんーっ」という唸り声を上げる。

 加奈も翔太と同じく、新鮮な魚に感動を覚えたのだろう。

 

「やっぱり自然ならではの味だね。東京では滅多に食べられないかも」

 

「まあそうだな。東京じゃ降ろしたての魚はほんの一部の場所にしかないしな」

 

 そんなことを話しながら、翔太たちは箸を進め完食する。

 ともあれ、混浴風呂に入った翔太たちは、押入れに仕舞われている布団を取り出し、畳の上に敷いていく。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 部屋の電気を消して布団を入り、枕に頭を乗せ布団を上体に乗せた翔太が口を開く。ちなみに、加奈と翔太は隣同士になるように横になっている。

 

「帰ったら早速仕事だな」

 

「うん。お仕事頑張ろうね。それにしても、長いような短いような休暇だったね」

 

「まあな。でも、最近は社畜になりそうである意味怖いが……」

 

 「まあ、うん、そうだね」と、加奈は歯切れ悪く返事をする。

 翔太の言葉は、最近の加奈にも言える事柄でもあるのだ。……まあ所謂、翔太たちは仕事人間。ということなのだろう。

 

「でもま、子供も追々考えようぜ。もうそろそろ20代後半だしな」

 

 というか、柏木家、南波家の両親が「孫の顔はまだなのか?」と、最近は急かしてきていたりもする。

 

「だね。そうなると、産休どうしよっかなぁ。今から計画だけは立てておこうかな」

 

「その期間は、家政婦を雇うか。もし連載していた場合、俺は仕事場に缶詰になりそうだし」

 

 その方が、翔太が安心できるのは確かだろう。

 将来設計を話し合った所で、翔太たちは睡魔に襲われる。

 

「んじゃ、明日も頑張ろうな」

 

「……うん。お休み、翔太君」

 

 そう言ってから、加奈は静かに寝息を立てる。翔太も「俺も寝るか」と言ってから、瞳を閉じるのだった。

 こうして、有名漫画家と有名声優(舞台女優)の温泉旅行の幕が閉じた。




ダブルダンクのアニメは、ヒロイン役(幼馴染)に“柏木加奈”
バスケ部マネージャーに“佐藤綾”“亜豆美保”
友人Aに力ある声優って感じです。

オーディションも書こうとしたんですが、REVERSIとかで書いたしいいよね。と思ったので書くのを断念しました。
まあ加奈ちゃんのヒロイン役オーディションは、加奈ちゃんが誰の追随を許さなかった。って感じです。

ちなみに、鬼怒川温泉には、竹、松、梅、の部屋で振り分け(予約)になっています。

では、また。

追記。
ファンの子が取り出した絵馬とマジックはご都合です。
また、持ち帰ることができる絵馬と、神社にかけていく絵馬が売ってますね。
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