プーサー日記D×D   作:黒装束の人@活動休止中

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少々遅れました。
仕事が繁忙期なもので……

それはそうと、3話投稿時点でUA数6,896、お気に入り登録数260件突破ありがとうございます。感謝の極みです。

なんか評価バーが黄色になってました。


03

#月×日

 先日、3回目の給料日を迎えた。

 ということで、俺。

 実は、引っ越ししました。

 当初の予定より、実に1ヶ月も長く滞在してしまった。

 引っ越した場所は、兵藤夫妻宅からちょっと離れた所にある比較的安かったアパートだ。

 職場からは少しばかり遠くなってしまったけど、それも誤差の範囲。

 部屋は、リサイクルショップで買ってきたテーブルと冷蔵庫が置いてあるだけの、質素というか貧乏部屋みたいな中身だけど、これから順次家具は増えていく予定。

 まあ、それはいいんだけど……。

 引っ越してきたから、お隣さんに引っ越しの挨拶をしに行った時の事だ。

 俺はインターホンを押したんだ。

 そうしたら、なんて聞こえてきたと思う?

 

「はーい、ちょっと待ってほしいにょ」

 

 思わず耳を疑ったよ。

 おじさんの裏声のような声が聞こえたと思ったら、語尾に“にょ”とついていたんだ。

 この時に持っていた引っ越し蕎麦を落としそうになった俺は悪くない。

 それだけならまだよかったんだ。いや、よくないけどさ。

 ドアを開けて出てきたのは、魔法少女の衣装を着た筋骨隆々の猫耳漢の娘だったんだ。どこの世紀末覇者だ、というレベルの筋肉(マッスル)だった。

 その後は記憶が曖昧なんだけど、どうやら俺はショックで気絶したらしい。

 ……ちょっと書いてて気分が悪くなってきたので、続きは明日書こうと思う。

 

 

 

#月+日

 昨日の続きを書こうと思う。

 気絶して、目覚めたら見知らぬ部屋だったんだ。

 覚醒しきらない頭で情報整理をしていたら、部屋の外から足音が聞こえてきて、漢の娘系魔法少女が姿を現したんだ。

 何をされるのかと思ったら、謝られた。

 状況を飲み込めないでいると、「ドアを開けた途端倒れたんだにょ」と説明された。

 あー、そうだっけ。この時の頭の中はそんな感じに冷静だった。

 

「ミルたんって言うんだにょ」

 

 ミルたん、名前だろうか。

 この漢の娘系魔法少女の名前がミルたんだなんて、とんでもないパワーワードじゃなかろうか。

 内心戦慄していると、ミルたんは自分について語り始めた。

 

「ミルたんは、魔法少女になりたいんだにょ」

 

「うん、見ればわかるよ」

 

 思わずツッコんでしまった俺は悪くない。

 ミルたんの着ている衣装は、よくアニメとかで見るような体のラインを強調するように肌にピッタリと張り付くタイプの白い衣装。

 ミルたんの世紀末覇王ばりに凄まじい筋肉と、膨張色の白が相まって痩せマッチョの成人男性を2人合成したらこんな感じになるかなー、というくらいにはデカい。身長は2メートルを超えるんじゃないだろうか。とんでもない迫力だ。

 形から入ったらこうなるんだろうな、というのを思い知った瞬間だった。

 そこで相談があるんだにょ、と一拍置いたミルたんは。

 

「ミルたんは魔法を使えるようになりたいんだにょ」

 

「諦めた方がいいんじゃないかな、うん」

 

 言った瞬間ものすっごい顔をしていた。ブルドッグの顔の皮がもっと垂れ下がったらこうなるんじゃないか、というくらいには凄かった。

 というか、ミルたんなら拳圧で風を飛ばすとか普通にやりそうなんだけど。

 

「……実はちょっとした魔法なら使えるんだにょ」

 

 この時正直あまり期待せずに、どんなのだい? と返事をした。

 どうせ風の無い室内で蝋燭の火を消すとかだろう。風の正体は拳圧。

 だとか内心馬鹿にしていたんだけど。

 

「パイプ椅子を鉄球に変える魔法だにょ」

 

 まじかおい、と素で返事をしてしまったことを覚えている。

 あれだろうか。パイプ椅子を拳で丸く圧縮して鉄球にするんだろうか。

 

 この後はよくわからないうちに知りもしない魔法少女ミルキー(ミルたんを生み出した元凶)について語られ、さらにはアニメ全話を見る羽目になった。

 帰ったのは結局深夜になってしまったんだが……魔法少女ミルキーが意外に面白いアニメでちょっと感動してしまった。

 同士じゃないから、ミルたん。だからその衣装を押し付けないでくれるかな。王子様系魔法少女なんてなりたくない。

 

 あと、例の変なチラシの事を思い出したからミルたんに渡してみたら、なにやらすごく葛藤していた。なんでも、他人に叶えてもらった力が自分の力だと言えるのか、悩んでいたらしい。

 真面目な事だ。

 別にいいんじゃないだろうか。どっかの魔法少女もフェレットから力をもらったようなもんだし。実際どうかは知らないけど。

 そう言ったら、どこか吹っ切れたような笑顔を浮かべて「ありがとうだにょ」と言っていた。

 乙女(・・)の笑顔はいい。漢女だけど。

 

 

 

#月÷日

 やっぱり猫は好きだ。犬派か猫派、どっち? と聞かれれば、間違いなく猫派だ。食費も犬と比べれば、体が小さい分安いし、鳴き声もそこまで大きくない。わりと飼いやすいのではないだろうか。

 こう思ったはずだ。突然どうした、と。

 というのも、今日はなにやら出勤途中に黒猫を見つけた。

 俺を見た途端逃げ出してしまったが。

 あそこまで露骨に嫌がられると、ちょっとくるものがある。

 餌付けとかしてみたかったんだけどな。またのチャンスに期待だ。




ミルたん回でした。アニメでのあの衝撃は凄かったですね。

ちなみに作者は猫派です。にゃん(=^x^=)

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