よろしければどうぞ。
◇月A日
最近、はぐれ悪魔狩りの襲撃が増えてきた。
町中で襲われるから、全く気が抜けないんだにゃー。
ほんと、困るにゃー。
◇月E日
ここ数日で襲撃の頻度が増えて、まともにご飯を食べられない日が続いてる。
……あー、お腹減ったにゃー。
禍の団の猿との馬鹿騒ぎが懐かしく感じる。
ちょっと前には、フェニックス家の坊ちゃんが仕掛けてきたこともあった。
なんでも、獣耳美少女を眷属に加えて多属性ハーレムを作るんだとか。全くもって訳がわからないにゃー。
断ったら、当然強引に眷属にしようと襲ってきた訳だけど。
まあ、あんな質の低い眷属じゃ私には勝てない。おとといきやがれ、だにゃー。
でも、やっぱり不死ってのは厄介極まりないにゃー。
正直あれはもう勘弁してほしい。
◇月K日
今日も一日頑張った。
ところで、雪が積もった。
ぅなー……、冷たいのは勘弁してほしいにゃー……。私、寒いのは苦手なんだけど。
夜になるとまた雪が降りはじめてきたから、近くのコンビニに雪が止むまで、雪宿り? しに行ったんだけど。
やー、まさかあの外人さんに会うとは思わなかったにゃー。
ここ数ヶ月会わなかったから、完璧に油断してた。
で、逃げようとしたんだけど、どうにも私と敵対しようとしてるように感じられないのにゃー。
もしかして、オンとオフの差が激しかったりするのかにゃー?
まあ、猫缶をくれた時は流石に目を疑ったけどね。
……あいつって、教会の戦士とかじゃないのかにゃー? 悪魔に施しを与えるような真似して大丈夫?
罠かも、と疑いもしたけど……、流石に空腹と食欲には勝てなかったにゃー。
ひさびさにまともなご飯を食べた気がする。猫缶だけど。
食べる傍、ちょっと観察してみたけど、教会関連のものとかをつけてる様子はないし、どうにもこいつは教会とは関係ない、ただの一般人っぽい。
もしかしたら、ただ強力な神器を持ってしまっただけの、ただの人間なのかも。
色々思考してたら、いつのまにか頭を撫でられてた。
……下手っぴだにゃー。
お世辞にも撫でるのが上手いとは言えないけど、……なんていうか、あったかい。
…………、いつぶりかにゃー、こんな風に誰かに撫でてもらうのって。
多分、悪魔に転生する前──それこそ、両親が生きてた時以来かも。
なんか、こういうのっていいかも、とか思ってしまった。
……キャラじゃないにゃー。こんなの、黒歌さんのキャラじゃない。
黒歌さんはもっと、クールビューティで、男を誑かす悪いはぐれ悪魔──、そのはずなんだけどにゃー……。
これじゃダメ、そう思ってあいつから離れたけど、ね。
なんであいつの後をつけちゃったかにゃー。
あいつがコンビニから帰っていくところを陰から眺めて、なんか寂しくなっちゃって。
そして、気づかれないように後を追って。
結局、家までついていって。
ほんと、どうしちゃったのかにゃー、私。
なんていうの、こういうの。吊り橋効果?
◇月L日
また、あいつの家に行ってしまった。
キャラじゃないんだけどにゃー。
そしたら、あいつ風邪ひいちゃってるのにゃー。情けない。
まあ、ご飯の恩もあるし、薬でも作ってあげようか。
この時期って薬草取れないから、薬なんて貴重なんだよー?
作った薬をポストに入れて、帰った。
この黒歌さん謹製の特製風邪薬なんだから、効かなきゃおかしい。
風邪、治ってるといいにゃー。
◇月N日
様子を見に行ったら、風邪が治ったみたい。よかった。
……なんで、私はこんなに安心してるのかにゃー?
Δ月G日
最近は禍の団の活動も落ち着いてきたから、また駒王町に来た。
で、あいつの家の窓から中を覗いてた。
何やってんのかにゃー、私。白音の様子を見に来たんじゃなかったの?
案の定あいつが起きてきて、見つかった。
そして、家に入れてもらって、ご飯を食べさせてもらって。
何やってんだろうね、私。
途中で、強い聖の気配を感じて、逃げちゃったけど。
また、行けるといいにゃー。
温もりを知った猫は、野良には戻れないんだよ?
Δ月N日
今日も行ってきた。
ご飯はカリカリだった。私的には刺身が食べたい。
安物だったのはマイナスかな?
あと、お尻を見られちゃった。雌なんだ、だって。
そういうの、絶対やっちゃダメだよ?
思わず引っ掻いちゃった。
嫌われてないかな?
Δ月Z日
厄介なのに目をつけられた。
デュリオ・ジェズアルド。
神滅具、
この町に来ているらしい。
しばらく、身を潜めるしか──。
ω月C日
デュリオ・ジェズアルドと接触して、私は倒れた。相手が悪かった。
戦ってる途中であいつが来た時は、動揺した。
そして、デュリオはあいつを私の仲間かと思ったのか、攻撃を放った。
一般人だとすぐに気づいたみたいだけど、遅かった。
あいつが死んじゃったらどうしよう、なんて考えて、酷く動揺して、気づいたら体が動いてた。
とっさに盾になって、あいつを守って。
……でも、守ったつもりが守られてたなんてにゃー。
あいつが私を連れてデュリオを撒いた、って聞いた時は耳を疑った。
その後は、色々説明した。三大勢力のこと、デュリオ・ジェズアルドのこと、そして──私のこと。
嫌われた、と思ったけど、全然そんなことはなかった。むしろ、私を歓迎してくれた。
それが、とても嬉しくて、でも巻き込みたくない、って駄々こねるような真似して。
結局、押し負けた。そして、なんかプロポーズみたいなことをされた。
まー、そんなつもりじゃないってのはわかってるつもりだけどね? でも、すごく嬉しかった。
この人となら、一緒になっても構わないって、思っちゃった。
でも、あいつは、エクスカリバーを持ってた。
現存するどのエクスカリバーとも違った、でも、『聖剣』というものを一身に表したような聖剣。でも、鞘から抜けないらしい。封印が施されているんだって。
たしかに、エクスカリバーは伝説では、湖の乙女に返還されたけど。
これがエクスカリバーなら、教会の持ってるものはなんだろうにゃー?
まあ、それはさておいて。
私、今すごく幸せだよ? 生きてるなかで、1番。
色々、身の回りを整理しなきゃならないけど。
これからよろしくね、アーサー。
そして物語は、原作へ。