アベルの死に慣れてきて卑屈になっていくカインニキの話。
個人的にpixivで見かける紳士な兄貴もいいけどやさぐれドS(親切)なカインニキが好きです(ド直球)
そんな妄想を詰め込んだ何か。
きっともうシリアスは書かない。

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初投稿になります嫦娥(ジョウガ)というものです。
即行で考えたのと脳内ハードコア状態で書いたので全体的にテンション低いです。文体にテンションも何もあるかこのたわけェって感じですけどね。
ふはは(棒読み)


But a Dream

鈍色の両腕は赤く染まっていた。

目の前には血みどろのアベルの死体が

転がっている。

 

この死体を見るのは何度目だろう?

そして…アベルはいつになったら

絶対に俺を殺すことはできないと気づくのだろうか。

云千年前のあの頃と俺達は全く変わっていない。

そしてこれからも…

俺はその気がなくともアベルを殺し続けて…

アベルは……。

 

ああ、やめた。

こんなことを考えたところで何になる。

俺は足早に現場を後にした。

もう本当にその刺青も見たくないし、

声も聞きたくない。

 

「073、最近何かあったの?」

博士に聞かれた。

「何もないけど…どうした急に。まさか新手のSCPにミーム汚染されたんじゃないだろうな」

博士は少しひきつった笑いを浮かべていた。

やっぱり人を笑わせるジョークは苦手だ。

「僕は純粋に君のことを案じて言ったんだけど…

ま、いいか。いやね?この前076が収容違反

起こした時、君の特異で076を鎮圧したじゃん?」

「ああ、いつもと変わらなかった」

「違うんだ、カイン」

「何が」

博士は一瞬言うのを渋ったが、ため息の後に恐る恐る口にした。

 

「カイン、最近怖いよ」

 

俺は最初意味がよくわからなかった。

ここは財団。俺より比べ物にならない程恐ろしい

バケモノを腐る程収容している。

「何を言ってるんだ博士、俺がSCPということを

忘れたのか」

「違うんだよ…君がSCPだってことは重々承知してる。そんなこと僕が忘れる訳ないじゃないか」

「…つまり?」

「僕が言いたいのは…君がアベルに対して

冷酷になってるってことだよ」

「…」

「収容されたばかりの頃はアベルの死体に

酷く怯えていたのに…最近は死体を見ても無表情だ」

「財団で死体に一々情をかけていたらキリがないだろう。博士、アンタもDの死体なら嫌というほど見てるじゃないか」

「この前なんか酷かった。君は意識してなかったかもしれないけど…去り際にアベルの死体を睨んでた」

さっきより増して博士の顔色が悪くなった。

「どうしちゃったんだカイン…このままだと君の心までバケモノになってしまう」

 

俺が悪い意味で変わり始めているのは薄々俺自身も気づいていた。

云千年間ずっと同じことを続けてきて心が麻痺してきたのだろうか?

 

段々卑屈になっていく。

 

俺の何処かでアベルに謝りたい気持ちはあるが、もう遅すぎる。

今更アベルに…彼自身をあんなバケモノにしてしまったことを謝ったところで、何も変わらない。

 

アベルも俺も、もうただの人間には戻れないのだ。

 

その夜、殺風景な部屋でふと歌を口ずさんだ。

 

「…Life is a but dream」

 

そこまで口ずさんだところで、ため息をついて…就寝時間も近いのでベッドに入った。

 

 

「……夢なら早く覚めてくれ」




http://ja.scp-wiki.net/scp-073

SCP_foundationはクリエイティブ・コモンズ表示-継承3.0ライセンス作品です(CC-BY-SA3.0) http://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/deed.ja


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