椿邸
悠介は椿の身体検査を受けている
椿「…よしっ、特に問題ない様だね」
悠「ありがとうございます、椿さんって医者でもしてたんですか?手際がいいというか」
椿「あぁ、監察医の経験はあるよ」
悠「所で、なんで俺は助かったんでしょうか…」
椿「少し説明しようか、君が敵に注入された菌糸は人間の体温では爆発的に増殖する。最初、君の中の霊石アマダムは白血球の数を増やして対抗していたんだがそれでは追いつかないと判断した。そして、君の心臓を1度止め、瀕死状態にして体温を下げる事で菌糸を撲滅したんだ」
悠「判断って…じゃあ、俺の中のアマダムには意思があるという事ですか?」
椿「詳しい事は分からないが、レントゲンを撮ってみた結果、君の中のアマダムは君の体とほぼ完全に結合している。この意味が分かるかい?」
椿は深刻な顔で質問してくる
悠「え、どういう事ですか?」
椿「君の体が人間じゃなくなってしまう可能性があるって事だ、今は身体だけだけど、もしこれが脳にまで及んだら、奴らと同じ様な怪物に…」
椿の質問に悠介は明るい声で答えた
悠「大丈夫ですよ!なんか、そんな気がするんです。俺は奴らと同じ様にはならない、そう感じるんです」
椿「まぁそう言ってるうちは大丈夫だね、私は碑文の解析を進めるとするよ、新しい発見があるかもしれない」
悠「お願いします!ありがとうございました!」
悠介は椿に深々と頭を下げて帰って行った
椿の家から帰る足でそのまま学校へ向かう、Aqoursの練習に参加するためだ
浦の星学院 屋上
悠「おまたせー!」
悠介が屋上へ出ると、メンバー達が押し寄せる
千「おかえり!悠介君!」
曜「元気そうだね!」
ダ「もう動いて大丈夫なのですか?」
悠「ご心配ありがとうございます、もう大丈夫です!」
果「じゃあ、練習再開しようか!」
全「おぉー!」
新学期が始まるまで残り1週間と少しある、その間の練習は基礎体力作りに重点を置く事にしているのだ
まずはストレッチ、体操、それから校庭に降りてみっちりランニング、教室で体幹トレーニング、筋トレをする
気づけば夕方になり、ひぐらしが鳴いている
果「はいっ、今日はここまで!お疲れ様!」
皆その場に座り込み、疲れを顕にしている
花「疲れたずらぁ…」
ル「ピギィ…」
善「よはぁ…」
鞠「まだまだデスねぇ!」
ダ「そうですわね!」
互いに方を寄せ合って座り込んでいる1年生組を後ろ目に、3年生組はまだまだ元気そうだ
流石だなぁ…
俺も今日は疲れたなぁ
曜「悠介君もお疲れ!」
そう言って水を手渡される
悠「おう、ありがとな」
喉乾いてる時に飲む水って格別の美味しさがあるよな
悠「あぁー、生きてて良かった」
梨「魂の叫びね」
悠「ホントだよ、しっかし疲れたなぁーこういう時は温泉にでも入りたい気分だ」
俺の一言に千歌が食いつく
千「じゃあウチに来なよ!旅館だし!なんなら泊まったら?」
悠「いやぁ、泊まるのは迷惑じゃないか?」
千「そんな事ないよ!志満姉もまた悠介君に会いたいって言ってたし!ダメ…かな?」
千歌が上目遣いでこちらを見て来る、やばい…可愛い
悠「わかった、じゃあお言葉に甘えようかな」
千「やったー!」
私はその光景を黙って見ていた
曜「…」
私も行くって言おうとしたけど、きっと邪魔になっちゃうよね…
寂しさを紛らわすように拳をぎゅっと握った
私って、意気地無しだな…
十千万旅館前
あの後、俺は1度家に帰り支度をして千歌の家の前に来た
今日も曜と一緒に帰ったのだが、心無しか言葉が少ない様に思えた
なんかあったのかな?まぁ練習で疲れてるだけだよな
そんな事を考えていると、旅館から千歌が出てきた
千「いらっしゃい、悠介君!」
千歌の後ろには姉の志満さんもいる
志「久しぶりね、いらっしゃい」
志満さんもニコニコ笑顔で出迎えてくれた
悠「お世話になります!」
旅館に通され、説明を受ける
志「この廊下を真っ直ぐ行ったらお風呂ね、悠介君の泊まる部屋は2回にあるわ、じゃあ、楽しんでね!」
去り際の志満そんの顔がなんか物凄くニコニコしてたんだけど気のせいか?
まぁいいか、取り敢えず部屋に行くか
そう思って2階に行くと、千歌が待っていた
千「あ、悠介君!こっちだよ!」
千歌に通されたのは、いかにも女の子の部屋らしい雰囲気の部屋
あれ?これってまさか…
俺は恐る恐る尋ねる
悠「千歌、まさか俺の泊まる部屋って…」
千「うん!私の部屋だよ!志満姉に頼んだらOKだって!」
悠「いや、俺に選択肢は…?」
女の子の部屋にいきなり泊まるなんてハードル高すぎだろ…
千「悠介君、いや?」
千歌が上目遣いでこちらを見て来る、これは断れないやつだ
悠「いや、むしろ嬉しい」
すいません、口が勝手に…
兎にも角にも千歌の部屋に泊まることになった、今夜は眠れそうにないな…
その後風呂に入り、旅館の温泉を十分堪能した後食堂に向かう
温泉最高だったな、生きててよかった
志「温泉どうだったー?ご飯できてるよ」
悠「最高でした!うわっ、美味しそう!」
今日のメニューは天ぷらの盛り合わせに刺身という海沿いならではの夕食だ
悠「では、頂きます!」
料理はどれも美味しく、舌舐めずりする程だった
夢中で食べ続けると、お腹もパンパンになる
生きてて良かった、何回言うんだろうこの言葉
悠「あぁー美味しかった!ご馳走様でした!」
志「喜んでくれて何よりよ、それに、悠介君の食べっぷりをうちのお父さんが気に入った見たい」
悠「そうですか!お父さんはどこに?」
そう言うと厨房から手が出てきてサムズアップをしてくれた
千「ごめんねーうちのお父さん恥ずかしがりだから…」
千歌も風呂に入ってきたのか、髪が濡れていた
悠「そうなのか、でも料理は本当に美味しかったよ」
そう言うとまた厨房から腕が出てくる
千「お父さん喜んでるみたい!」
腕見ただけで意思疎通が出来るって凄いな…
改めて高海家の凄さを痛感した
千「それはそうと悠介君!今から部屋で遊ぼうよ!」
千歌は子供のように無邪気に笑う
が、しかし…
美「あんたは手伝いがあるでしょうが!」
千「ええーいいじゃん美渡姉〜」
この人は千歌のもう1人のお姉さんだ
美「悠介君ごめんね〜うちの千歌は手伝いがあるから少し待っててね?」
顔は笑っているが、言葉からは威圧が感じられる…
悠「全然大丈夫ですよ!むしろ手伝いましょうか?」
志「大丈夫よーでも気持ちだけ貰っておくわね、ありがとう悠介君」
そして千歌は美渡さんに耳を引っ張られながら消えていった
俺は千歌が帰ってくるまで窓から海を眺めていた
辺りは電灯も少ないので殆ど暗闇しか見えないが、微かに見える白い海水と潮風がなんとも心地よかった
悠「海って、いいな」
物思いに耽っていると部屋のドアが勢いよく開く
千「悠介君おまたせー!もー美渡姉ったら洗い物殆ど私にさせるんだもん!」
悠「お疲れさん、まぁしょうがないだろ」
千「それはそうと何して遊ぶ?」
悠「そうだな、トランプとか?」
俺の言葉に千歌は大きく頷き、机の引き出しからトランプを取ってきた
2人でやれるトランプなんてババ抜きと真剣衰弱ぐらいなので、取り敢えずババ抜きをやる
悠「よしっ、また俺の勝ちっ!」
千「もーなんでなの!」
ババ抜きでこんなに顔に出る人がいるのかと思うくらい、千歌は心理状態が顔に出る
それから何回かやったが、5勝1敗と俺の圧勝だった
そろそろ寝る準備をしようとしていると
千「悠介君、悠介君って好きな人とかいるの?」
いきなり真剣な声で聞いてくる
悠「え、どうした急に?」
千「いいから、答えて、好きな人いる?」
悠「…わからない、でも気になる人は…いるかな」
千「そうなんだ、私は、いるよ」
そう言うと千歌は俺に抱き着いてきた
女の子の匂いとシャンプーの香りが鼻腔をつく
千「私ね、本当は凄い寂しがり屋なんだ。一緒にいてくれる人が居ないと虚しくなる、悠介君が誰の事を好きかは見てたら分かるよ?でも、今日位は甘えても、いいよね?」
そう言うと千歌は目をうるうるさせながら上目遣いで見て来る
やばい、断れねぇ…
悠「あぁ、まあ今日位なら、いいぞ」
あ、口が勝手に
俺たちは布団に横になり、お互い向き合う形になった
俺を抱きしめる腕が強くなる
千歌は顔を赤らめ、嬉しそうな顔で此方を見ていた
やばい…俺に千歌の胸が当たり過ぎて理性が吹っ飛びそうだ…
俺は何度もこれは千歌のためだと自分に言い聞かせていると、いつの間にか寝落ちしていた
今回はここまでです!