傷だらけの戦士   作:黒死牟

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この小説も20話まで来ました!
ここまでこられたのもいつも読んで頂いている皆様のお陰です!
これからもよろしくお願いします!


第20話 遊戯

浦の星学院 運動場

悠「ランニングあと1周〜ファイト!」

全員が最後の力を振り絞って全力疾走している

今日も果南さんがトップだろうな

そう思っていると…

曜「やったー!1番!」

 

果「くっそー!負けちゃった〜」

 

千「凄い曜ちゃん!」

いつもは果南さんが1番なのだが、今日ばかりは曜のラストスパートに負けてしまった様だ

ル「しゅごい走りだったね!」

 

善「さーすがっ、我がリトルデーモンね」

 

花「ちがうずら」

1年生組がいつもの様なコントを繰り広げる

梨「何かいい事でもあったの?」

 

曜「うーん、あったかも!ね?悠介君!」

 

悠「え、俺?」

 

千「なになに?何があったの?」

 

曜「なーいしょ!」

 

千「えー何でよー!」

俺達の話を果南と鞠莉は微笑みながら見ている

果「いい感じだね?」

 

鞠「そうデスねぇ」

 

果「鞠莉、曜に何か言ったんでしょ?」

 

鞠「ええ、悠介とちゃんと話なさいって」

 

果「色々話せたみたいだね!次は…告白かなん?」

 

鞠「あーん、very hot ね!」

 

果「ほんと、羨ましいよ」

 

鞠「あら〜果南、もしかして妬いてる?」

 

果「ちがうってー!」

 

鞠「うふふ、It's joke!」

私は再び悠介達の方に向き直り

曜、悠介の事、頼んだわよ…

 

 

その日の帰り道

千歌ちゃんと梨子ちゃんと別れ、私達は家に向かって歩いている

悠「しっかし今日のお前は凄かったな、びっくりしたよ」

 

曜「悠介君のお陰だよ!」

 

悠「俺の?」

 

曜「うん、私、わかった気がするんだ、悩んで自分だけで抱え込むんでいても何も分からないって、自分で行動する事が大切なんだって!」

 

悠「何だか分からないけど曜が元気になれたんならそれで十分、やっぱりお前は凄いよ、あーあ、曜が俺の隣にずっといてくれたら楽しいだろーな」

悠介君は顔を赤らめながら話した

ほんと、ずるいんだから…

曜「うん、私も…」

言いかけた途端、悠介君のおじいちゃんの声が聞こえてきた

じ「悠介ー!手伝って欲しい事があるからちょっと来てくれんか?」

 

悠「わかったー、じゃあ曜、また…今度な!」

 

曜「うん!また、今度ね!」

彼がまた明日と言わずにまた今度って言ったのは…話の続きって事なのかな?

考えても応えは見つからない

曜「たまたまだよね!今日も疲れたし早く帰って休もっと」

私は自分に言い聞かせ、家に入って行った

 

 

沼津 カジノ店廃墟

グ「チェックメイトですね」

 

ガ「あー!つまらん!」

グレムとガドラがチェスをしていると、後ろの扉が開きガメルが入って来る

バ「ガメル、何をしている?クウガは倒したのか?」

バルバは鋭い口調で言った

メ「ぶらぶらしている暇など無いんだぞ?」

 

ガ「別に遊びに行ってた訳じゃないよ?下見をしてたのさ」

 

グ「下見?」

 

ガ「ああ、クウガの周りの人間をね」

 

バ「それで、どうしたんだ?」

 

ガ「クウガには仲の良いガールフレンドがいる、そいつをさらう」

 

グ「なるほど、そういう事ですか」

 

ガ「奴の心を攻撃するには最適だよ」

ガメルは不適に笑い、自信気な表情をする

バ「せいぜい頑張る事だな」

 

ガ「まあ、見ててよ」

ガメルはカジノ店を後にした

 

 

次の日 夕方

今日はAqoursの練習もお休み

私は体力を落とさないようにランニングをしている

住宅街を抜け、海沿いに出ると心地よい潮風を感じた

この感覚がなんとも言えないから走るのが楽しい

弁天島で折り返し、再び住宅街に戻って来た時、背後に何者かの気配を感じた

立ち止まって振り返るが、そこには何もいない

曜「気のせいかな?」

私は再び走り出すが、また後ろから気配を感じた

動物でもない、人間でもない、とても…嫌な感じがする

もう一度立ち止まって振り返るが、やはり何もいない

また走り出そうと前を向いた瞬間、それは現れた…

目の前の空間が不自然に歪み、緑色のカメレオンの様な怪物が姿を現す

ガ「見ーつけた、クウガのガールフレンド、俺と一緒に来てもらうぞ」

怪物は長い舌を伸ばしながら此方に近づいてくる

曜「か、怪物…」

恐怖を感じて私は腰が抜けてしまい、その場にヘナヘナと座り込んだ

曜「だ、誰か…」

その時、後ろから声が聞こえてきた

悠「曜!大丈夫か!」

悠介君が私に近づこうとしたが、怪物の方が一足早かった

私を無理やり立たせ、身動きが取れない様にする

ガ「クウガ、この娘はさらって行く、助けたければ隣の島に来い!1人でな」

怪物はそう言うと、曜もろとも体を周りの景色に体を溶け込ませ、消えてしまった…

悠介は何も出来ずに佇む

悠「曜が、俺のせいで…」

曜がさらわれたのは俺の責任だ…絶対に助け出さなければ!

隣の島という事は…淡島だな、待ってろ、曜!

俺は船乗り場まで走り、船に乗り込む

 

果「あれ?今のって…悠介?」

 

 

淡島 山中

曜「ここは…」

私は気がつくと山中の開けた場所で、木に縛り付けられていた

縄を解こうとしたが、きつく結ばれていてビクともしない

ガ「お目覚めかい?クウガのガールフレンドさんよぅ」

声のした方向に目を向けると、銀髪の男が立っている

曜「なんでこんな事…」

 

ガ「決まってるよ、クウガを殺すためさ」

男は冷徹な口調で答える

ガ「冥土の土産に教えてあげるよ、僕達デモスは古代の民であるグロンギの遺伝子を受け継いでいる種族、クウガは古代の人間達が生み出した戦士、言わば僕達の天敵だね。グロンギは全てクウガが倒したはずだったけど、もう1体、復活をしないまま生き残った者がいる、そいつが封印されているのがここ内浦って訳さ」

ガメルは更に続ける

ガ「だけど、そいつを復活させるためにはクウガの持つ霊石が必要なんだよ、それをもぎ取る道具にするためにお前をさらったって訳さ」

 

曜「そんな事のために…」

 

ガ「ここにはトラップを仕掛けてる、クウガが足を踏み入れたが最後、奴に…死が訪れる!」

ガメルは不適に笑う

その笑みからは狂気も感じられる、これが、デモス…

悠介君…

 

次の瞬間、聞き覚えのある声が私の耳に届いて来た

悠「曜!助けに来たぞ!」

 

曜「悠介君!来ちゃダメ!」

曜は必死に訴えるが、ガメルが私の声を遮った

ガ「よく来たなクウガ、さぁ、こいつを助けてみろ!」

ガメルは怪人態に変身する

ガ「お前に救えるか?この人間を!」

 

悠「救う、絶対に…いくぞ!」

悠介は変身の構えをとる

曜「悠介君!ダメ!」

 

悠「変身!」

仮面ライダークウガ マイティフォーム

クウガは変身すると同時にガメル目掛けて走り出す

ガメルは1歩も動かずに、不敵な笑みを浮かべている

ガ「ふん、バカめ!」

次の瞬間、クウガの足元から鎖が飛び出し、両手両足を拘束

ク「なんだ、これは…くっ!」

鎖を引きちぎろうともがくが、ビクともしない

ガ「無駄だ、その鎖は特殊合金で出来ている、お前の力でも千切る事は不可能だ!」

ガメルは高らかに笑い声を上げながら、クウガに近づく

ガ「今まで仲間が世話になった分、きっちり返させてもらう!」

身動きが取れないのをいい事に、クウガを痛めつける

クウガは苦痛の声を上げて倒れ込むが、無理やり起こされ、更に殴打を受ける

ク「がっ…やっべぇ…」

曜は顔を背け、目をつぶった

とても見ていられない、ごめん悠介君…私が捕まったばっかりに…

 

その時、聞き覚えのある声が聞こえてきた

果「悠介!しっかり!」

 

ダ「助けに来ましたわ!」

 

千「悠介君!」

目を向けると、そこにはAqoursの面々がいる

曜「皆、どうして?」

 

鞠「話はあと!兎に角今は悠介を援護するわよ!」

鞠莉ちゃんは私の縄を解きながら応える

ガ「お前ら、一体?」

 

鞠「私達は、彼の仲間よ!」

次の瞬間、ガメルに木の枝が投げられた

果「ほーら、こっち!」

 

花「こっちもいるずら!」

 

善「こっちも!」

 

梨「こっちにも!」

四方八方から飛んでくる枝にガメルは怒り狂う

ガ「たかが人間如きが、舐めやかがって!」

ガメルが果南に狙いを定めた瞬間

果「悠介!今がチャンスだよ!」

果南の声にクウガが反応し、ガメルを抑える

ク「聞こえたぜ、お前達の声!超変身!」

仮面ライダークウガ タイタンフォー厶

クウガはガメルを抑えたまま、自慢の剛力で鎖を引きちぎる

ガ「ぐ、くそっ!」

ガメルはクウガの腕からすり抜けると、周囲の景色に体を溶け込ませた

ク「逃がすか!超変身!」

仮面ライダークウガ ペガサスフォーム

枝を拾い上げ、ペガサスボウガンへと変化させる

意識を集中させ、見えない相手、悪意を感じ取る…

脳裏に見えたのは、林の中を走り去るガメルの姿

ク「そこか!」

遠くの敵に狙いを定め、ペガサスボウガンにエネルギーを貯めて引き金を引く

ブラストペガサス

凄まじい速さで打ち出された矢は遠く離れたガメルに直撃、クウガの紋章が浮かび上がる

ガ「そんな、バカな…」

ガメルは苦しみながら倒れ込み、大きな破裂音と共に砕け散った

千「やったー!」

 

ダ「あっぱれですわ!」

クウガは変身を解き、曜の元へ駆け寄る

悠「大丈夫か!」

 

曜「平気だよ!でも皆何でこの場所が?」

 

鞠「船乗り場に悠介が血相変えて走り込んで来たのを果南が見つけて、皆に知らせて追っかけて来たってわけ!」

 

悠「そういう事だったのか、ありがとう、また皆に助けらてしまったな…また危険な目に」

 

果「悠介、私達はあなたの仲間であり友達、それを助けるのって当たり前だよ?何でも1人で背負い込もうとしないで、玉には頼る事も大事だよ?」

果南の言葉に全員が頷く

千「この街は私達の街なんだもん!守りたいと思う気持ちは、同じだよ?」

 

悠「千歌、果南さん…そうか、そうだよな、」

 

鞠「1人じゃできない事も、皆がいれば出来るようになる、あなたは1人じゃ無い、だから…勘違いしないよーに!」

俺はずっと1人でこの街を守っている気でいた、でも、1人じゃ…なかったんだな。皆いる、皆がついてくれている

悠「仲間って、良いもんだな」

赤々と染まる夕陽に向かい、俺は誓った

この街を必ず守ってみせる、皆と…Aqoursと一緒に!

 

 

帰り道

私達は夜道の中を歩きながら帰っている

辺りはすっかり暗くなり、少し肌寒くも感じる

悠「夏も終わっちまうな」

 

曜「うん、ちょっぴり寂しいかも」

 

悠「俺、ずっと思ってたんだよな、ここに引っ越すまで辛い事、悲しい事ばかりあったけど、今は違う。曜や千歌達と出会えた事がなりよりも嬉しく思う、真っ黒に染まってた俺の心を明るく照らしてくれた。お前と一緒にいると楽しいんだよな、なんて言うか心が安らかになるっていうか…俺はこれからもずっと曜に隣にいて欲しい、だから、だから!」

悠介は立ち止まり、曜と向き合う

曜「つづき、言って?」

 

悠「俺と、付き合って下さい」

その瞬間、私はボロボロと涙を流す

曜「やっと、言ってくれた…私も同じ気持ち、悠介君とずっと一緒にいたい、だから、これからもよろしくね!」

私達が友達から恋人になった瞬間だった




今回はここまでです!

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