傷だらけの戦士   作:黒死牟

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今日も頑張って書きます!


第26話 解明

べ「…トドメだ!」

べミウが鞭を振り上げたその時…

 

曜「させない!」

曜がべミウの前に立ちはだかった

べミウの動きが止まる

 

千「曜ちゃん!」

今度は千歌が曜の前に立ちはだかる

他のメンバーも両手を広げて立ちはだった

べ「…人間め…」

9人に威圧されたべミウは逃げる様に海に飛び込んだ

果「逃げた…?」

 

ダ「そのようですね…」

クウガは変身を解いて立ち上がる

悠「ごめん、みんな…また危険な目に合わせてしまった…」

悠介は拳を強く握り締める

悠「俺は、俺は…なんて情けない…」

目から涙がこぼれ落ちる

敵に負けたからではない、自分が不甲斐ない故に彼女達をまた危険に晒せてしまった事が、悔しくて仕方ない

 

静かに泣く悠介の元にメンバーが駆け寄る

曜「悠介君は情けなくなんかないよ?だって、あんなに勇敢に戦えるんだもの」

 

梨「そうよ、あんなに恐ろしい怪物に向かって行けるなんて凄いことよ?」

 

ダ「そうですわ、自信を持ちなさい?」

 

果「そうだよ」

 

悠「みんな…ありがとう」

いっつも助けられてばっかだ、ほんと

 

 

沼津 カジノ店廃墟

暗い部屋の中、グレムは本を読みながら口を開く

本の名前は、カミュ

グ「クウガを取り逃したそうですね?べミウ」

 

べ「あぁ、思わぬ邪魔がはいった」

 

バ「失敗の代償は大きい、覚悟はできているな?」

バルバがグレムに合図をすると、彼はポケットの中から小さな機械を取り出した

グ「これはガリマの分身に使った物です、生物に埋め込むと宿主の精神を消し去り、戦うだけの戦闘マシンへと変化させる」

べミウはその機械に目をやるが、すぐ向き直る

べ「それを使った所で私の実力が変わるという証拠はあるのか?弱い連中にそれを使っても大差ないだろうが、もう少し考えてみろ」

バルバは不敵に笑う

バ「ふふっ、賢い奴だな、ならば必ずクウガを殺せ、そして魔石ゲブロンを見つけろ、いいな?」

べミウは部屋から出ていく

グ「それにしても、あの方は今どこに?」

 

バ「いるさ、すぐ近くに…な」

バルバはまるで遠くを見るような目をしていた

 

 

悠介の家

俺は家に帰りつくなり、自分の部屋のベットに飛び込んだ

枕に顔を埋め、溜息をもらす

悠「はぁ、また俺は…」

みんなを守ると誓ったのに、俺が助けられてばかりだな…

もっと、強くならなくては…もっともっと…!

 

その時、下の階のインターホンが鳴った

悠介は急いで下に降り、ドアを開ける

そこには曜が1人で立っていた

曜「悠介君、今平気?」

 

悠「あぁ、問題ない、どうした?」

 

曜「ちょっと話ししない?」

 

俺達は海沿いを並んで歩く

悠「話って、なんだ?」

 

曜「うん…ちょっと心配になって」

 

悠「大丈夫だって!ほらこの通り!」

悠介は胸を張って見せるが、曜には空元気にしか見えなかった

曜「悠介君…やっぱり私、悠介君が傷つく所、見たくない…」

曜は歩みを止め、俯かながら話す

曜「なんで悠介君が傷つかなきゃいけないの?」

悠介は少し考え、やがて決心したかのように言った

悠「俺だって本当は戦いたくなんかない、相手が怪物だといえど、殴りたくないんだ…」

自分の拳を見つめ、もう片方の手で包む

悠「本当に、この感触にはいつまで経っても慣れないんだ…」

優しい性格、本当は暴力なんか振りたくない…

彼は相当の重荷を背負って戦っているのだと私は感じた

 

私は彼の手の上から両手を包み込む

曜「ずっとずっと、苦しんでいたんだね…悠介君が戦い続けるなら、私はあなたの心の傷を癒し続ける、それが私の役目なんだって思うんだ」

 

なぜだろう、目から涙が溢れて止まらなかった

俺は1人じゃない、仲間がいる、そして愛する人も

悠介は涙を乱暴に拭い取り、向き直る

悠「ありがとう、本当にありがとう…」

 

皆の未来は、俺が守る

 

悠「これからも、ずっと一緒にいような」

 

曜「ヨーソロー!」

私は彼の言葉に応え、とびっきりの笑顔で敬礼をして見せた

 

 

時刻は午後6時

職場から自宅へ、学校からの帰りで行き交う人々で街は溢れていた

その中を、人らしからぬ物が歩く

外見は確かに人間の女だが、どこか普通の人間ではない雰囲気が漂う

 

女は人混みから外れ、裏路地に入った所で立ち止まった

頭の中に声が入ってくる

バルバ、待ってるよ…

次の瞬間、目の前に真っ白い服に身を包んだ男が現れた

バ「…ダグバ」

男が不敵に笑ったと思うと、まるで影に溶け込むように姿を消した…

 

 

悠介が居間で晩御飯を食べていると、部屋の奥からじいちゃんが沢山の資料を持ってきた

悠「なんだ、それ?」

 

じ「これはな、ここ内浦に伝わる伝説について書かれているものじゃ」

 

悠「そんなのあるんだ、どんなやつなんだ?」

じいちゃんは碑文が書かれた古文書の様な物を1つ取り出し、悠介に見せた、

そこに書かれていた物は…

 

心乱れし物、魔道の霊石を身に付け、究極の闇をもたらさん

 

悠「究極の闇…」

 

じ「まぁただの伝説じゃからな」

じいちゃんは笑っていたが、俺はただの伝説だとは思えなかった

碑文の中には地図の様な物も書かれており、下に文字が添えられている

地図が指し示している物は島のようで、下の文には

 

人々が崇める聖域、邪悪を封じ、闇を鎮めん

 

悠「聖域、邪悪を封じる…今度椿さんに聞いてみるか」

 

 

次の日の学校終わり、俺は千歌と梨子と曜の4人で歩いていた

梨「何か考えは浮かんだ?」

梨子が千歌に聞く

千「うん、やっぱり二手に分かれるしか…」

 

悠「他に方法はないもんかねぇ」

 

その時、千歌の目に沢山のみかんが目に入った

千「あ、みかんだ」

 

梨「こんなに沢山?」

 

曜「そりゃ、内浦のみかんは甘くて有名だもん」

 

千「そうだ、みかんだよ!」

 

悠「へ?」

 

千「みっかーん!」

千歌は大きく飛び跳ねた

 

 

ラブライブ 地区予選当日

結局、二手に別れることになり、俺、千歌、曜、ルビィ、梨子、ダイヤさんでラブライブの会場に来ている

梨「今前半が終わったって」

 

悠「いよいよだな」

その時、ルビィが心配そうな表情をしている

曜「だいじょーぶ!」

それに気づいた曜が、ルビィを元気づける

曜「花丸ちゃんも言ってたよ?練習通りにやれば、問題ないずら!ってね!」

ルビィの顔が笑顔になる

曜「それに、今回作ってくれた衣装、とっても可愛い!」

曜達が着ている衣装は、和服をモチーフにしたなんとも煌びやかな衣装

その時、ダイヤさんが姿を現した

頭に大きな飾りをつけ、端正な顔立ちに和服が最高に似合っている

ダ「お待たせしましたわ…」

その姿に全員が見とれる

千「うわぁ…!」

 

曜「ダイヤさん、綺麗…」

 

ダ「そっ、そうですか?」

ちょっぴり恥ずかしいみたいだ

ル「ルビィ、ずっと思ってたんだ、お姉ちゃん絶対似合うのにって」

そう言うと、ダイヤさんはルビィちゃんをそっと抱き寄せる

千「いい妹さんですね!」

 

ダ「もちろん、自慢の妹ですわ!さぁ、行きますわよ!」

 

エントリーナンバー24、Aqoursの皆さんです!

私達は舞台へ立つ

周囲からはパチパチと拍手がするが、圧倒的に少ない

浦の星学院の生徒達は説明会に行っているため、応援する人が余りいないのだ

その状況を見ていた志満さんと美渡さん

志「千歌ちゃん…」

とても心配そうにしている

千「あぁ…」

やっぱり皆がいないと…

 

その時、

勘違いしないよーに!

振り向くと、そこには果南さん鞠莉さん善子、花丸

果「やっぱり、私達は1つじゃないとね!」

 

善「ほらほら、始めるわよ!」

 

花「ルビィちゃん!この衣装、とっても可愛いずら!」

 

踊る、今全力で…会場に日本風の曲がかかる

私は舞踊り、会場もパフォーマンスに魅了されている

 

曲が終わり、最後のポーズを取ると、会場からは割れんばかりの歓声と拍手

一息つくこと無く、千歌が走り出す

千「さぁ行くよ!」

 

梨「ここからが勝負よ!」

 

曜「花丸ちゃん達、大丈夫?」

 

果「もしかして、学校説明会に間に合わせるつもり?」

 

私達は会場を出て、走る

悠介も慌てて着いて行く

悠「どういう事だ?」

 

ある日の夕方

悠「みかん?」

 

千「そう!あそこはずっとみかん畑!うちのクラスにやってる子がいたから!」

 

曜「そうか!あれを使えば!」

千歌が言っているのはみかんを運ぶ運搬機の事だ

 

梨「ほんと、諦めないね千歌ちゃんは!」

 

千「うん、道がある!」

 

その時、花丸が疲れて膝をつく

花「はぁ、はぁ…」

それを善子とルビィが助け、共に走る

 

着いた先には運搬用の小さなモノレール

梨「こんなのあったんだ…」

全員がそれに乗り込む

千「みんな乗ったー?」

 

曜「全速前進〜ヨーソロー!」

果南さんが勢いよくレバーを引く

しかし、モノレールは物凄く遅い

花「冗談は善子さんずら」

 

善「ヨハネ」

 

悠「いやツッコミ入れてる場合かい」

 

果「もっとスピード出ないのー!」

焦れったくなった果南さんが更にレバーを動かした

すると…バキン!

悠「あ…」

 

果「取れちゃった…」

次の瞬間、モノレールが坂に入り勢いよく走り出した

全員から悲鳴が上がる

まるでジェットコースターだ

蛇行しながら進み、みかんの木に入り込む

出てきた時には全員の口にみかんが入っていた

始めは怖がっていたメンバーも、次第に面白くなったのか笑顔になる

 

モノレールから降り、いよいよ学校に向けて走る

全員すでに息が上がっている

それでも前に進む

ダ「時間がありませんわ」

 

ル「間に合うかな」

 

曜「後少しなのに」

 

悠「もうすぐなのに」

 

果「ここまで来たのに」

 

鞠「このままだと」

 

善「ダメなのか…」

 

花「ずらぁ…」

 

梨「奇跡は、起こるのかな…」

 

千「私、思うんだ。奇跡を最初から起こそうなんて人、いないと思う、ただ一生懸命、夢中になって、何かをしようとしている、何とかしたい、何かを変えたい!それだけの事かもしれない…だから!」

千歌の走るスピードが上がる

千「起こせるよ奇跡、私達にも!」

 

梨「起こるかな、奇跡!」

 

千「起こるよ、だって、だって!虹が掛かったもーん!」

千歌の言う通り、空には綺麗な虹がかかる

私達は今を全力で生きる、君の心は、輝いてるかい?

 

全力でライブをやりきり、客席からは歓声があがる

千「どっちにするかなんて、選べないし、どっちも叶えたいんだよ!」

空には浦の星の生徒達が飛ばした沢山のシャボン玉

千歌は空に向かって手を伸ばす

千「だから行くよ、諦めず心が、輝く方へ!」

 

悠「千歌らしいな、お前がそう思う程、俺も頑張らなきゃって思うぜ!」

 

皆と感慨に浸っていた時、悠介の目にあの女が写った

悠「あれは…」

女は不敵に笑い、決闘だと言わんばかりに此方に来いとジェスチャーをした

Aqoursのメンバーも女に気づいたようだ

曜「悠介君、あれって…」

悠介は向き直り、決心したかのように言った

悠「皆、今日は本当に奇跡を起こしてくれたな、次は…俺が頑張る番だ!」

 

千「帰ってくるよね?」

 

悠「あぁ、もちろん」

 

梨「絶対だよ?」

 

果「嘘ついたら針千本だからね?」

悠介は大きくサムズアップをしてみせる

そのまま後を向き、走り出す

 

べミウは海岸に立っている

外から見れば、それは恋人を待っているようなロマンチックな画だが、彼女の目的は「闘い」なのだ

夕日が更に輝きを増し、彼女を照らしている

 

悠介は海岸のべミウの前に立つ

その顔は戦いを決心した顔だった

 

変身の構えをとる

悠「行くぞ、変身!」

仮面ライダークウガ ドラゴンフォーム

足元の流木を手に取り、ドラゴンロッドへと変化させる

べミウも怪人態へと姿を変え、装飾品を1つ取ってムチに変える

 

先に動いたのはべミウだった

物凄いスピードでムチを振る

それを前転しながら避け、ロッドでべミウの腹を狙う

べミウはロッドをもう片方の手で掴み、押し返した

力ではべミウの方が優勢なのか、クウガは押されてしまう

今度はムチをロッドに巻き付け、一瞬で氷漬けにした

ク「ちくしょう!」

ロッドで体を突くが、案の定バラバラに砕ける

攻撃をするが簡単に受けられ、ロッドも放り投げられてしまった

それでも一瞬の隙を付き、べミウに素早いパンチを叩き込む

べミウは少しよろけたが、すぐにムチを振り、クウガの肩アーマーを氷漬けにした

ク「ぐっ、まだまだ!」

素早く側転して距離を取り、海岸に向かって走り出す

べミウもクウガを追い、海岸へと走る

 

打ち上げられた海水が足に当たる

その時、水とは別の感触を足に感じた

ふと下を見ると、流木がある

クウガは何かを決心したかのように流木を蹴り上げた

べミウは素早くムチを放ち、トドメを刺そうとする

見事流木をキャッチすると、そのまま前転してムチを交わし、一瞬でライジングパワーを解放した

体に電撃が走る

肩と胸に金色のラインが入り、流木も先端が鋭くなったライジングドラゴンロッドへと変化した

仮面ライダークウガ ライジングドラゴンフォーム

べ「コケ脅しだ!」

べミウはもう一度ムチを振るが、クウガは高くジャンプして避け、そのままべミウの腹にロットを突き刺す

ライジングスプラッシュドラゴン

べミウの腹には封印の紋章が浮かび上がる

べ「ぐっ、があっ!」

クウガは更にロッドを押し込む

そして体を大きく回転させ、そのままべミウを海へと放り投げた

べミウは海へと沈み、やがて大きな水しぶきを上げて爆発した

 

夕日にクウガが照らされる

 

その時、後ろから声が聞こえてきた

曜「悠介君!」

そこにはAqoursのメンバー

梨「勝ったのね!」

 

ダ「あっぱれですわ!」

 

悠「今日、俺は決心した、これからも逃げずに戦い続ける事を、皆の笑顔を守り続ける事を、そして…Aqoursのマネージャーとして、皆と一緒にラブライブで優勝する事を!」

力ずよくサムズアップをして見せ、ニカッと笑う

それに応えるかのように、全員がサムズアップをする

 

それぞれ、とても良い笑顔をしていた




今回はここまでです!

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